∥002-14 どこかで見た部屋
#前回のあらすじ:トリアエズナマ!
「お、お騒がせしました・・・」
「本当にね!」
気をとりなおして―――ここは【イデア学園】の一角。
色鮮やかなアラベスク模様に彩られたペルシャ風絨毯の上には、ベージュ色のブラウスとモスグリーンのフレアスカートに着替えた梓が正座していた。
その前には同じくベージュ色のシンプルな上着と紺のズボンに衣装替えしたぼくが、腕を組んだまま仁王立ちの姿勢で立っている。
ここは現在、急きょ開催された反省会の会場となっていた。
議題はおっちょこちょいの後輩について。
「まったくもう!本当にあーちゃんはいつもいつも迂闊というか何というか・・・こないだも鞄忘れたまま登校するし―――」
「ううっ、その節は本当にお世話になりました・・・でも教科書貸して貰えたし、問題ないよね―――?(チラッ)」
「上級生からテキストを借りる後輩がいてたまるか!たまたまロッカーに仕舞ってあったからいいようなものを、本当にあーちゃんはいつもいつも―――」
「あの~もしもし?その話長くなるなら後にしてもらえませんか?先に色々説明しときたいんですケド~~~」
「そ・・・そうだそうだー、説教はんたーい・・・(ヘレンの後に隠れながら)」
生足+下着御開帳は流石に恥ずかしかったのか、耳まで真っ赤になったままふかぶかと頭を下げる後輩のつむじをじろりと睨む。
ぼくはそのまま小姑よろしく普段の素行に細々とダメ出しを始めたところ、それを見かねたのかヘレンから助け舟が入った。
これ幸いと便乗して説明の再開を要求し始めた後輩の姿にぼくは盛大にため息を吐くと、半眼のまま梓をじろりと睨んだ後に話の続きを促す。
ホッとした表情のヘレンはふわりと浮かび上がると、空色のソファーが一組置かれた一角へぼく達を案内した。
「あれ?このソファー・・・」
「なんだか見覚えがあるよ、ね?」
「ふっふっふ、お二人ともお気づきですか?おっしゃる通り、ここはあの時ご案内したのと同じ部屋なんです。お話の続きをするのにうってつけと思いまして、こうして来て貰っちゃいました!」
「あ~~、どっかで見たと思えば・・・成程、バスから移動した先もこの【イデア学園】だったって事かあ・・・」
「うふふふふー、ビックリしちゃいました?」
イタズラ成功、とばかりにころころと笑うヘレン。
彼女は本当に表情が多彩で、見ているとこちらもつい楽しくなってしまう。
しばしの間くすくすと笑い声が部屋を満たすが、会話が脱線気味なのを気にしてか、一つせきばらいをするとサマードレス姿の少女は一旦居住まいを正した。
「・・・っとと、話が逸れちゃいましたね。では気を取り直して・・・お二人をここへお招きした理由について、それから【イデア学園】についてご説明します」
真剣みを帯びたヘレンの表情に、自然とぼくらも話を聞く体制に態度を改める。
彼女はぼくらの様子を一瞥すると、再び口を開くのであった―――