∥002-12 そんな装備で大丈夫か?
#前回のあらすじ:タイトルの意味がちょっぴり判明
「改めまして―――【イデア学園】へようこそ、お兄さん!」
「・・・うわっ!?」
どうやらだいぶ長い事呆けていたらしい。
上空からくすくすと鈴が鳴るような笑いが降ってきたのに驚き、ぼくは思わず尻もちをついてしまう。
あわてて見上げた先には、青空を背景にけらけらと笑うサマードレス姿の少女があった。
気恥ずかしさから軽く睨むと、小さく舌を出した少女は高度を下げ、くるりと逆さまになってぼくと視線を合わせた。
「・・・ビックリさせるつもりは無かったんですけどね。ちゃんと着いたみたいで安心しました」
「まったくもう・・・まあ、いいや。それにしても―――すごいね、ここは」
「そうでしょうそうでしょう(フフン)」
ぼくは小さく咳払いをすると気分を切り替える。
周囲に広がる絶景に対し素直に賛辞を述べると、天地逆しまの姿勢でふんぞりかえったままヘレンはしきりにうなずいて見せた。
器用だなあ。
でもかわいい。
「何せ頑張って造りましたからね―――私が!」
「ええっ!?これを・・・全部?」
「そうですともそうですとも」
「すごい!大統領!(パチパチパチ)」
くるりと一回転。
益々調子に乗るヘレンを手拍子に乗せおだてると、流石に恥ずかしくなったのかわずかに紅潮させた頬をかきつつ視線を逸らした。
「そ、それはもういいですから・・・とりあえずお兄さん、場所変えません?」
「場所?」
「その服装ですと・・・その、目立っちゃいますし」
「・・・服装。」
ぱちくりとまたたかせ眼を下ろすと、パステルカラーなパジャマに包まれたおなかが視界に入る。
次いで周囲を見回すと、ぼくの格好が物珍しいのか、若干の人だかりが集まりつつある所だった。
やだ、超見られてる。
恥ずかしい!
「お・・・お邪魔しました~~~!」
ぼくは視線を避けるように小走りでその場から立ち去ると、ヘレンに促されるまま煉瓦造りの建造物の間を進むのであった―――
大丈夫じゃない、問題しかない。
今回の投下はここまでです。