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お釜大戦  作者: @FRON
第八章 ゼロの決死圏!!
343/344

∥008-25 人類有史以前から使い古された手法

#前回のあらすじ:決戦間近!



[???視点]



『狂気(マウント・オブ)山脈』(・マッドネス)より訪れ、昭和基地を襲撃した怪生物ショゴスの群れ。

ここへ来て彼らの前に、予想外の壁が立ちはだかっていた。


それは文字通りの―――『()』。


これまで人間達を襲い、奪ったものを己の組織の一部として取り込んできた彼等。

大型トラック並みの巨体、そして戦車に匹敵する火力を手に入れた今となっても、眼前に立ち並ぶ巨壁は容易に破れるものでは無かった。


人間()達の巣の前には巨大な防壁が立ち並び、今もショゴスによる砲撃を防ぎ続けている。

群れで最も強力な個体による大火力でも、損傷を与えられはしたが壁を破るには至っていないのだ。


ショゴス達は群れとして行動しているものの、それは本来の意味での『()()』ではない。

個として完成された生命体であるが故に、彼等は()()()()()()()()のだ。


今は一時的に、食餌の効率を求め群れているだけ。

ほんの少しのきっかけで、()()()()()()()()()()()のが現状であった。


そして群れの最後尾には、山のような巨体を誇る同胞が常に目を光らせている。

人間どもを容易に喰えないともなれば、即座に容赦のない共食いが開始されるであろう。


()()()退()()()


僅かな思考の後、群れが選択したのは()()であった。

難攻不落に見える人間どもの防壁だが、その構造には僅かな()()が見れとれる。


いかに分厚い壁であろうと、()()をくぐり抜けてしまえば、それは要害としての意味をなさないだろう。

原形質状の多細胞生物であり、身体の組成を自在に変えられる彼等ならば、それは()()()()()であった。


ついでに、同化できる組成であれば鬱陶しいあの『()』も、己の一部として取り込んでしまえばいい。


そう判断したショゴス達は、いつも通り()()()()()()()()()()()()()()()、一気呵成に突撃を開始する。

最初に敵とぶつかり、犠牲となるのは常に、群れの中で()()()()()であった。


雪煙を上げ、殺戮者の行進が開始される。


壁に近づくにつれ、その隙間から散発的な攻撃が飛んでくる―――

が、金属を取り込み硬質化させた体表には、傷一つ負わせることすらできない。


スピードを上げ、そのまま行く手を遮る巨壁へと肉薄する。

両者の距離はあと僅か―――そんな時、突如、それまで動きのなかった壁に()()が現れた。


出現した時の光景を()()()するように、防壁の一部が()()()()()()のだ。

低く地響きを立てながら、地中へと没してゆく灰色の巨壁。


群れの仲に僅かな動揺が走る―――()、ショゴス達はそのまま前進することを選択した。

()()()()()()というのであれば、構わずそのまま突き進むだけだ。


笛の音のような声を響かせ、先頭集団は更にスピードを上げる。


彼らが到達するよりも一歩早く、防壁は完全に地中へと没していた。

壁のあった箇所にはぽっかりと空いた穴が残されていたが、下からせり上がった金属製の蓋によって既に塞がれている。


人間どもの住処を一面覆いつくしていた壁は、そこだけ取り払われ、ぽっかりと口を開けていた。

ショゴス達はそこへ招かれるように、地響きを上げて殺到した。


うず高く積もった雪を撥ね散らし、壁の内側へと侵入を果たす。

薄暗い壁の内側には、行く手の両側を灰色の壁に挟まれた空間が、一文字に奥にまで続いていた。


タール状の体表に無数の眼が生じ、その中心に灯る赤い光がせわしなく左右を睨む。

求める獲物の姿は―――()()


人間(エサ)は見当たらない、しかしどこか近くで、息を潜めている気配がした。


先頭集団は、そのまま直進を続ける。

そこへ―――ひょい、と傍らより突如、()()()()()()()()()


()()()


粗末な布を身にまとい、その頭部には動物を模した、()()()()()()を頂いている。

そいつは()()()とショゴス達を見ると、一目散に奥へと逃げ始めた。


()()


・・・が、それはあくまで()()()()()()()()、だ。

追いかければ、捕まえられるまであと僅かだろう。


回転する履帯を唸らせ、ショゴス達はその後を追う。

火砲を使うまでもない、()()()()()()退()()()()()()()()()()()()


そんな思考を読まれたのか、行く手に居た筈の人間の姿が一瞬屈むと、次の瞬間には()()()()()()()()()()()()


どこへ行った?

慌てて左右を見渡すと、何時の間にやら()()()()()()()()()()()()()()()()()


恐らく、入り口と同じように()()()()()()()()()のだろう。


大急ぎで、右方向へと急カーブする。

先頭集団は何かに誘われるように、口を開いた壁の奥へと突き進んだ。


―――周囲を警戒する眼のうちの一つが、()()()()()()()()()()()()()()()()


()()()()()()()()

一瞬の浮遊感、後に、視界が急激に()へと流れる。


勢いのままに空中へ放り出されたショゴス達は、重力に引かれ自由落下を開始した。

咄嗟に身体の構造を組み替え、()()()()()()へと変化させる。


()()()()()()


次々と重い音を立てて、地面へと着地するショゴス達。

落ちたのは10m程だろうか、少なくない衝撃が彼らを襲ったが、ダメージはほとんど残らなかった。


そこへ、()()()()()()()()()()()()()


『―――()()



ばらばらと、円筒状の物体が頭上より降り注ぐ。


無数の眼がそれを注視する傍ら、彼らの脳を満たすのは歓喜であった。

これまでずっと待ちわびた人間(エモノ)が、すぐ間近に居る。


()()()()()()()()!?


爛々と赤く輝く眼は、その姿を求め動き回る。

()()()()()()の残る地表、四方を囲む灰色の壁、その上に()()()と光る()()()()()


反射的に天を仰ぎ見た彼等を待っていたのは、全身を灼く凄まじい熱であった。


周囲に散らばった円筒が弾け、まばゆい閃光と膨大な炎が吹き上がる。

ショゴス達の巨体は一瞬にして炎に包まれ、苦悶の色を帯びた声が処刑部屋に響き渡った。


金属片を混ぜられた()()は温度にして2000度を超え、さしもの屈強な外皮も致命的な損傷を受ける。

そこへ、再び()()()()()()()()()()()()()



『第二フェーズへ移行―――総員、()()



次の瞬間、容赦のない砲弾の雨が四方八方から降り注いだ。

炎を防ごうと組み替えた体の組織は、鋼鉄の塊によって()()()()に引き裂かれてゆく。


幾重もの層により熱を遮断する新たな皮膚も、たった今生じた()を通じ、内部まで漫勉なく黒焦げにされてしまった。

炎に対する抵抗力を失った所を見計らうように、周囲より追加の焼夷弾が投下される。


()()()を添加された炎はいつまでも消えずに燃え続け、辛うじて生き残っていた組織もやがて、炭へと変えられていった。

辛うじて燃え残った眼のうち一つが、赤く染まった視界の中、壁の上に立つシルエットを捉える。


表情ひとつ変えず、無慈悲に向けられた銃口。

再び、()()()()()()が辺りを満たした。


先頭集団が全滅したのは、それから僅か数分後の出来事であった―――


今週はここまで。

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