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お釜大戦  作者: @FRON
第八章 ゼロの決死圏!!
321/343

∥008-03 鉄の女はにげだした!

#前回のあらすじ:すいません、噛みました



[ツェツィーリエ視点]



―――ツェツィーリエ(Zäzilie)=ヴァルザー(Walser)は、()()()()()()()()()()



武闘派クラン『鉄血機甲師団』所属、()()にして()()なる女傑。

クラン内外にその名を轟かせ、日夜目覚ましい活躍を上げる彼女。


その、誰にも言えない秘密が『()()』である。


()()()()()()()()()()()()()()()に育ち、質実剛健を旨とする家訓に従い過ごした、19年間。

自他に厳しく志は高く、常に張り詰めた生活を送る故に生じた、()()()()とでも呼ぶべき性癖であった。


往来で見かける年端もゆかぬ稚児、道端で日向ぼっこする野良猫。

己が視線はそういった『()()()()()()』を自然と追い、抱きしめ愛でたくなる衝動に駆られるのだ。


無論、そのような惰弱な行為を実行に移す気など()()()()無い。


ツェツィーリエは鉄の女。

親衛隊(ユーゲント)員の家に育った、栄えあるアーリア民族の末裔である。


分厚く被った面の皮で()()()情欲を覆い隠し、今日も彼女は鉄血にして厳格なる女傑を演じるのだ。

―――()()()であった。



(カ、カ、カワイイイイイイイィィィィッッ!!!???)



()()()()()()()()


綿毛のようにふわふわな白い髪、その下で涙を湛えて揺れる、真紅の瞳。

ほんのり赤く色づいた夢みるような頬、乱暴にかき抱いたら折れてしまいそうな、華奢で繊細な腰。


先程から舌ったらずで庇護欲をそそる、少女のような高い声はどうだ。

天上の調べを奏でる楽器の如く、その声で我が名を呼ばれたらその場で失神してしまいそうだ。


会取叶(えとりかなえ)という少年。


それを構成するあらゆる要素(カワイイ)が、鉄の女の心の護りを跡形も無くぶち抜いた。

―――なんだこれは、これが現実に存在する、生物だとでも言うのか。


きっかけは、急遽発令された緊急任務(クエスト)だった。

意気込んで向かった赴任地にて巡り合った【神候補】達、その中に彼は居た。


ほぼ初対面の相手である。


名前と能力、そして通信越しに聞いた声くらいは、()()()として把握してはいた。

だがしかし、いざ顔を合わせた実物は、()()()()()()()を行っていた。


こちらが急に黙ってしまったからか、少年は不思議そうに小首を傾げている。

・・・そんな愛らしい仕草をするな、思わず抱き上げて連れ帰ってしまいたくなるだろうが!


少年の全身から発せられる、圧倒的なまでの()()()()()()()


それは視覚と聴覚を通し、ツェツィーリエの頭から余裕という余裕を奪い取ってゆく。

呼吸は浅く早く、熱き血潮は体内を駈け廻り鼓動は早鐘を打つ。


しかし―――


我こそは誇り高きアーリア民族の末裔、鉄血にして厳格なる海の女。

()()()()()()()()()()()()()()


辛うじて残った理性を総動員し、目深に被った提督帽(アドミラルハット)で視覚情報をシャットアウトする。

後ろ髪を引かれる思いに駆られながら、ツェツィーリエはその場を足早に立ち去るのであった―――



今週はここまで。

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