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お釜大戦  作者: @FRON
第二章 ようこそイデア学園へ!
31/342

∥002-02 ドロップ品回収はオートで処理します!

#前回のあらすじ:ミッションコンプリート!清算開始しますよ~




「わぁ・・・」


「キレイ・・・!」



溜息のように、感嘆の声が口々に漏れる。

それは、わずかに(スミレ)色の混じる色合いの5mm大の結晶体であった。


それがバスの車内に数個、空中を漂い窓から差し込む陽光を反射しえもいわれぬ煌めきを放っている。

更に、バスの外にはその数倍の結晶体が存在するのか、チカチカと光の明滅が窓から垣間見えていた。


その美しさにしばし心奪われていたぼくだったが、ある事実に気付くと窓際に駆け寄り、上空へと視線を走らせる。

そこには、拳大の結晶を中心に、それこそ無数の輝きが星空のごとく上空を埋め尽くしていた。


あまりの絶景にぽかんと口を大開きにしたぼくを尻目に、再びのんびりした声が背後から上がる。



「今日は大猟ですね~、それじゃ貢献度に併せて分配しますよ・・・ほいっ!」



その瞬間。


数えきれない程存在した結晶群は忽然と姿を消すと、目の前へ唐突に転移し空中を漂い始める。

おそるおそる指先で触れると、物言わぬ結晶体は空中に浮かんだままゆっくりと明滅を繰り返していた。



「こ、これは・・・!?」


【魂晶】(ジェム)と呼ばれる物質ですよ。【彼方よりのもの】は現世に出現する際、霧状の微粒子に己を投影する形でこの世界での姿を取ります。その微粒子がこの世を去る際に残されたもの・・・そう呼ばれているのがこれです」


「な、なるほど・・・?」



背後より掛けられた声に振り向くと、そこには掌上に【魂晶】(ジェム)を浮かべたまま微笑む犬養の姿があった。

・・・ぼくより5割増しで結晶の量が多い。


そりゃまあ、しょうがないかもしれないけれど、改めて目に見える形で貢献度の差を見せつけられると(ヘコ)むと言うか・・・。

ぼくはこほん、と咳払いで胸のモヤモヤを誤魔化すと、気を取り直し眼前に輝く【魂晶】(ジェム)を注視した。



「あれ?この石って―――」


「お気づきですか。そう、私が【票田引水】(ひょうでんいんすい)で使用したのも【魂晶】(ジェム)です。この石には他にも様々な使い道がありますので、大事に取っておくとよろしいでしょう」



「ふむふむ?」



そう言うと、犬養は「失礼」と一言つぶやき懐から銀色に輝く懐中時計を取り出す。

かちりと音を立て開いた文字盤の中央には、不可思議な印象を放つ磨き石が嵌められており、宙を漂っていた結晶群は(スミレ)色の輝きをいっそう強く放つと、瞬く間に石の中へ吸い込まれていった―――



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