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お釜大戦  作者: @FRON
第七章 急襲!怪力博士の巻!!
307/345

∥007-30 戦後処理・後

#前回のあらすじ:最悪の敵・大罪悪霊(レギオン)とは・・・!?



[マル視点]



秘密研究所の奥で遭遇した怪異、"色欲(luxuria)"。


その正体は、異次元世界である『彼方』(ビヨンド)に囚われた、無数の死者の集合体。

()()()()』と呼ばれる、()()()()()()()()()であった。


そして、"色欲"は『大罪悪霊』から分かれた7つの『化身』(アヴァター)の一つ。


『化身』―――すなはち、()()()が作り出すという、一種の()()()である。

つまり、本来の力が()()()された状態であっても、"色欲"はヘレンに匹敵する程の力を持っていたのだ。


()()()()7()()


"色欲"を除けば()()6()()が今後、ぼくたちの前に立ちはだかるのだという。

更に言えば、"色欲"自体も討伐できておらず、また何処かで遭遇する可能性があるらしい。


なかなかシビアな状況であるが、今はそれよりもまず、()()()()()()()()()()()を解消すべきだろう。

そう考えていたのはぼくだけでは無いらしく、少しハスキーな声が上がり、声のした方向へと視線を向けるのだった。



「・・・話はわかった。だが一点、疑問がある。お前は()()()()()()()()()()()()()()()んだ?ヘレン」



沈黙を破ったのは、分厚いレンズで素顔を隠した亜麻色の髪の少女だった。


それまで、話の進行側として、ある程度聞きに回っていた彼女。

てっきり()()()()についても、情報共有済みだと思っていたのだが、そうではなかったのだろうか?


そんな疑問を肯定するように、宙に浮かぶサマードレス姿の少女は()()()()と微笑むと再び口を開いた。



『そういえば、()()()()()お話ししてませんでしたね。・・・端的に言えば、()()()()1()()()()()()()()()()()


()()()()・・・?」


『はい。【彼方より(シング フロム )のもの】(ザ ビヨンド)による襲撃に端を発し、『彼方』の軍勢の来寇にて結末を迎える、()()()()()。そのループの中で得たのが、先程お伝えした情報なんです』


「なんですって・・・!?」


「つまり、ヘレンちゃんは()()()()()()()ー?」


『ですです』



自身が時間旅行者(タイムトラベラー)であるという、まさかの事実。


少女の口から飛び出した()()()()()()に、一同はそろって驚きの声を上げる。

彼女が言う()()()()()、『彼方よりのもの』に関わる数々の情報を、ここで一旦振り返ってみよう。


ぼくが最初、奴等によって襲われたのがことし、2()0()1()2()()()4()()のこと。


その日のうちに【神候補】として覚醒し、【イデア学園】に招かれた訳だが、【学園】には既に()()()()()()()()()()()

つまり、ぼくが参戦したのは、『彼方よりのもの』との戦いが始まってから、()()()()()()()()のことだ。


【学園】から見ると、ぼくは新参者という扱いになるのだろう。


そして、奴等との戦いの大詰めとなるのが、1()2()()2()1()()()()1()2()()2()3()()に到来するという、『X()()()』。

『彼方』と、この世界が()()()()するというこの日、今までにない規模の大軍勢が、全世界規模で押し寄せるのだという。


この『Xデー』をゴールとして、()()()は恐らく、去年の12月。

そこから翌年の12月までの一年間を、彼女はループしている事になる。



「・・・なるほど。私も初耳の情報だが、内容が内容だけに素直に()()()()()()()と信じる訳には行かんな。話の()()と、可能であればその()()。それを提示する事はできるか?」


『まあ、貴女ならそう言いますよねー。根拠と証拠についてですが、実は、()()()()()()()()()()。・・・と、言いますか。()()()()だったりしますね』


「えっ?」


()()()・・・」



思わせぶりなヘレンの発言に、その場の面々から疑問の声が上がる。

しかし、目ざといものは既に、その言葉が示す()()に気付いていた。


黒髪の従者、そして亜麻色の髪の少女。

この二名が、ホワイトボードの下で麦粥(ポリッジ)に舌鼓を打つ、謎生物へと視線を向ける。


真っ白で、()()()()なお髭に包まれた神様。

その隣に()()()と降り立ち、小さなかみさまは細い両手で()()と、毛むくじゃらの頭部を撫でた。



『神様の本当の名前は、()()()フジウルクォイグ(Hziulquoig)ムンズハー(munzhah)クロスミー(Klosmie)ビクス(bhyx)の子、豊穣と知識を司る、大いなる(Great)古のもの(Old One)。時空を越える旅を可能にしているのは、神様が持つ究極の神器、『()()()()()』の力なんです』


「神様の正体が、神々の王ダグザですって・・・!?」


「・・・知ってるんですか?」


エリン(アイルランド)の伝承に名を残す、偉大なる善神ですわ。数多くの秘宝を所有していて、『()()』もその一つだと伝えられてますの」


「しかし、()()が・・・?」



女性家令の言葉につられるように、一同の視線が神様の元へ集う。


毛むくじゃらの()()()()()()()は、今も口いっぱいに頬張った麦粥を()()()()()()()()と咀嚼していた。

奇妙な風体であると同時に、どことなく愛嬌があって親しみの沸く外見だ。


見る限りでは、無害で大人しい印象しか無い。

これが本当に、偉大なる神々の父なのだろうか?



「真っ白なおヒゲは確かに、()()()()()と言えば()()()()()ですけれども・・・」


「威厳のカケラも無いし、正直そう見えるかと言われると―――」


「「「う~~~~ん・・・」」」



マスコットとしか言いようのない姿を前に、一同は揃って首を傾げてしまう。

これが『大いなる古のもの』・・・()()()


そんな疑問を氷解させたのは、女性家令の放った一言であった。



「・・・善神ダグザは無類の()()()()で、たとえ敵地であってもそれが目に入れば夢中になって貪り続けるそうです」


「「「・・・()()!」」」


(ポリッジ)!』



シルヴィア(Silvia)さんの発言に、皆が揃って()()と手を叩く。


それを何か勘違いしたのか、神様は()()()()と笑いつつ、ぼくに木匙を手渡してくる。

例によって()()()()()()()()()()()()お粥を、あんぐり開いた口の中へ放り込んであげた。


ちっちゃな手で頬を押さえながら、()()()()()()飛び跳ねて喜びを示す。

その様子に、英国出身の二名は再び()()()、と首を傾げてしまうのだった。



「・・・神様についての真偽はともかく。『()()』の力は()()()()()()()()()()事、それで合っているよな?」


『ですです。付け加えるならその()、融合したものから繋がりを絶って、()()()()()()事も得意ですねー』


「えっと。その力でどうやって()()()()や、()()()()()()()()()()()が出来るワケ・・・?」


「簡単な話だ。場所や物体に限定せず、()()()()()()といった()()()()()()が能力の対象となる。此処ではない何処か、異なる()()()()()()。そういったありとあらゆるモノと()()することで、()()()()()()()()()()()()()んだ」


「・・・()っ」



てっきり、ヘレンちゃんのことを瞬間移動系の能力者だと思っていたぼくの認識が、(あきら)の一言によって粉々に破壊される。


―――『ダグザの大釜』、別名、『()()()()()』。

伝承によれば、この釜からは()()()()()()()()()()、死者を入れれば()()()()()()()()のだという。


釜の中が繋がる先、例えば『()()()()()()()()()()()()()()』から中身を持ってくれば、そこには()()()()()()()()()()()()事になる。

逆に、死者の肉体と、『()()()()()()()()()()()()()を入れ替えてしまえば、()()()()()()()()()()()()()()


一つの事しかできないが、その『一つ』を()()()()()する事によって、()()()()()()()()を可能とする願望機(チートアイテム)

それが、『ダグザの大釜』の正体だった。



『私がやってるのは()()と、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、あるいは()()()()のか。それをひたすら繰り返して、出来る事をやってるだけです。・・・ね、()()()()でしょう?』


「・・・」



ヘレンちゃんがこれまで、実現させてきた事を振り返ってみる。


先日の戦いでは、宇宙空間から巨大な隕石を呼び寄せ、敵に向かって投げ落としていた。

火星と木星の公転軌道の中間、小惑星(アステロイド)(ベルト)まで1()8()0(),0()0()0(),0()0()0()k()m()を繋ぐゲートがあれば、この芸当は可能となる。


次に、ぼくが【神候補】として覚醒した、()()()

彼女はぼくが死の運命に囚われた時、()()()()()()()()()()()()()ことによって、『()()()()()()()()()()()()()()ようにした。


星々の世界にまで届き得る()()()

そこからピンポイントで隕石を運ぶ()()()


更には()()()()といった、()()()()()()にまで彼女の力は及んでいる。


それと比較すれば、未来から時間跳躍して過去に来るぐらい、()()だろう。

今更ながらに、この小さな女の子に畏敬の念が沸き上がってくる。


―――彼女は正真正銘、まごうこと無き()()()であった。


今週はここまで。

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