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お釜大戦  作者: @FRON
第七章 急襲!怪力博士の巻!!
302/342

∥007-25 神々の闘争・結

#前回のあらすじ:もはや何が何やら



[マル視点]



―――戦いは、更に激しさを増していた。


穴底に広がるタールのような影より、無数の『()』を生やし攻撃を続ける、異形の人影。

ヘレンへ届かないことに業を煮やしたのか、大ぶりだった咢はすっかりコンパクトとなり、長槍(パイク)の如き形状と化して執拗に彼女を追い回す。


地面の下から無数の針を蠢かせるその姿は、()()()()()()()か、はたまた()()()()()か。

サマードレスの少女に狙いを付け、異形の影は目にも止まらぬスピードで次々と影を射出し続ける。


不規則な軌道を描く()()は空を裂き、鋭い擦過音と共に飛来する―――()()()()()()

空中散歩でもするかのように()()()()()()と舞いながら、ヘレンは次々と円盤状のゲートを呼び出してゆく。


そこから飛び出すのは真っ赤に焼けた()()()、ほとばしる()()()、うなりを上げる()()()

それが次々と迫る咢を打ち壊し、引き裂き、撃破してゆく。


今やただの観客と化したぼくは、不可視のフィールドに護られながら、その光景を固唾を呑んで見守っていた。



()()()と』


()()()!?」



乱戦の最中、軽い掛け声と共にゲートから()()()()()が取り出される。

それは細長く流線型の形状をした、いわゆる()()()()()()()だった。


放り出された爆弾は重力に従い降下、ぼくの眼前で地面に口づけ(キス)する。

()()()」、乾いた音が聞こえた―――ような気がした。


視界が一面の炎と、閃光に包まれる。

ぼくの悲鳴が、クレーターの底に木霊する。


そんなこちらの惨状などお構いなしといった風に、ヘレンの反撃はなおも続く。

ほっそりした腕の一振りは新たなゲートを開き、そこから今度は滝のように水が溢れ出した。


炎にまかれて身動きが取れずにいた異形の影は、あっという間に水底へと沈む。



()()()と行きますよー』



更に腕を一振り。


次なるゲートから飛び出したのは、まばゆい閃光と雷鳴。

連続して開かれた無数のゲートから、次々と稲光が迸り、空をつんざく轟音を響かせた。


不純物を含まない水―――すなはち純水は()()()である。

しかし、電解質を含んだ場合は別だ。


クレーターの底を満たすのは海水、伝導性はバッチリだった。



『どんどん行きますよー』



落雷だけでは飽き足らず、新たなゲートから次々と、更なる落下物が投下される。

()()()()()()()()()()()()()()()()()


最後にとどめとばかりに真上に開いた穴から、()()()()()()()()が注ぎ込まれた。

()()()()()()と波打つ水面、溶岩の放つ熱によってを引き起こされる水蒸気爆発。


()()()()と立ち上る白煙が周囲を満たす、正にやりたい放題である。

これだけの猛攻の前に、()()()()敵も今度ばかりは無事ではすまないだろう。


―――そう思ったその時、再び、()()()()()()()()が響いた。



++【この愛を永遠に(■■■■■■)】++



()()()()()()()


瞬きの後、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

それは()()()()、全ての分子が運動を停止する、究極の低温。


この場に現れた時と同じく、周囲に存在する熱を全て奪い、異形の影は世界を静止させた。

あらゆるものが氷結する中、コマ送りのような動きで『()』が水底より姿を現す。


辛うじて人と識別できる()()は、ぎこちない動きで頭上を見上げる。

そこには、空の一点に縫い留められた、()()()()()()()()()があった。



(ヘレンちゃんが、危ない・・・!)



形勢逆転。


一方的に責め立てていた先程とは打って変わり、ヘレンちゃんの大ピンチだ。

凍り付いた彼女の安否が気になるが、今はそれどころではない。


たとい彼女が無事だったとしても、このままでは無防備のまま攻撃を受けることになるだろう。

そして今、仲間の中で動けるのは自分だけだった。


だが―――


この状況下で一体、()()()()()()()()()()()()

ヘレンと文字通りの()()()()を繰り広げた怪物を相手に、出来ることなど何一つないように思える。


そうしているまごついている間に、影は()()()()()を見せていた。


頭上のヘレンをしばし眺めていたかと思えば、唐突に音も無く右手を上げる。

指とおぼしき部位を曲げ、()()()()()()()()を掲げると、そのまま()()()()()()()()()()


ノイズのような声と共に、右手の動きは続く。



―――(リン)


―――(ピョウ)


―――(トウ)


―――(ジャ)


―――(カイ)


―――(ジン)


―――(レツ)


―――(ザイ)


―――(ゼン)



それは、()()()()()()()()()()()()()

四縦五横の直線を空に切り、神仏に祈ることで魔を退けるという。


元は、陰陽師であった怪力兵(くゎいりきへい)零号(ぜろごう)

彼女は、"色欲(ルクスリア)"へと変じた後も残された知識を元に、この術を執り行っていた。


本来であれば、邪なるものを祓う()()はしかし、悪霊と化した彼女の手によって()()()()()()()()()()()

九字を唱える度に、人影の足下に()()()()()()



『我ガ"(アイ)"ヨ。()()()()()()()()()()()()。咢ニ捉ヘシ獲物ヲ()()()()()()()()()()()()()()()。サスレバ万物悉ク()()()()()()()()()()()シ―――』



九つの()、九つの()()


それが、噛み鳴らされる牙の内で軋り上げていた。

それを目にしたぼくの背筋が、()()と凍り付く。


()()()()()()



()()()()()。救急如律―――』


()()()()()()()()()()


「!?」



罅割れた声が、術の発動を告げる寸前。

クレーターの上空に、()()()()()が唐突に姿を現す。


先程まで幾度となく目にした()()は、紛れも無く()()()()が攻撃の際呼び出したゲートと同一のものであった。

驚愕に眼を見開くぼくの前で、再び星界の門が開く。



()()()()()()()()。必殺の一撃を繰り出す瞬間こそが、隙の無い貴女を滅ぼす唯一のチャンスです―――!!』



ゲートより齎された()()が音も無く空間を満たし、()()()()()()()()()()()()()()()


()が、()()が、()()が。

全てが瞬時に()()()()()()()()()()()


今や、クレーターの中に存在していたあらゆる物質は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()



()()()()()でこの空間を満たしました。これだけでも十分ですが・・・()()()()です!』



次なるゲートが口を開ける。


その内から放出されたのは、致死性の宇宙放射線を含む()()()

あらゆる物を焼却する()と、あらゆる生命を死に至らせる()が同時に吹き荒れる。



『太陽とは究極の"()"。死霊である貴女にとって最大の()()です。今度こそ滅びの時です、"色欲(ルクスリア)"―――!』



今週はここまで。

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