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お釜大戦  作者: @FRON
第七章 急襲!怪力博士の巻!!
301/344

∥007-24 神々の闘争・後

#前回のあらすじ:オラッ!洗脳!オラッ!洗脳解除!!



[マル視点]



ぼくの名前は丸海人(マルカイト)

17歳、県立立海(りっかい)高等学校3年。


地方都市の高校に通う平凡な学生だったぼくは、今年の春、()()()()事から神様のタマゴ―――【()()()】として覚醒してしまった。

それから色んなことを経験して、新米神様としてぼくなりに結構できるようになった、()()()()


()()()()()()()



「ぅわ―――!??」



地面の下から、次々と巨大な『()』が飛び出してくる。

()()()()と牙を噛み鳴らしながら、それは進路上にあるもの全てかみ砕き、飲み干しながら進む。


()()()()()()()()()()()()()()()


稼働中の採石場のような咀嚼音をまき散らし、貪食の咢は縦横無尽に飛び回る。

既に、クレーターの底はぼくが居るあたりを残して、どこもかしこも虫食い穴だらけだ。


()』の出処はクレーターの底をなみなみと満たした、タールの海の下。

その中心にはウミユリのように()()()()と揺れる『口』の根っこを従え、怪力兵(くゎいりきへい)零号(ぜろごう)だった()()が鎮座していた。


()』のうち一つがぼくのすぐ側を通り抜ける。

()()()()と足下が揺れ、一本一本が数mはあろうかという乱杭歯がすぐ近くの地盤を削り取った。


正直、生きた心地がしない。

それでも、一人逃げ出すことは出来なかった。


足下で()()()()眠るあーちゃんを置き去りに出来ないし、何よりヘレンちゃんの力で守られた()()を出て1()()()()()()()()()()()()()()()()

今出来る事と言えば、じっと息を潜めてこの場で総てを見続ける事くらいだ。


幸い、奴等が追っかけまわしているのは()()()()()()

情けない話だが、その事を今のぼくは感謝せずにいられなかった。



()()()()()()~。ホラホラ、そんなスピードじゃ、何時まで経っても追いつけませんよー?』



地表から無数に伸びる、黒い影。

それらが追う先で、真っ白なサマードレスが()()()と舞う。


無数の『()』の猛攻を一手に引き受けているのは、言わずと知れた我等が小さなかみさま、ヘレンちゃんであった。


縦横無尽に飛び交い、時にはコマ送りのように短距離(ショート)転移(テレポート)を挟みつつ、少女は咢の猛追を躱し続ける。

しかし、ついに四方八方から迫る漆黒の咢によって完全に包囲されてしまった。


華奢な身体を嚙み砕かんと、迫る咢に思わず飛び出しそうになる。



「危な―――っ!?」


『捕まえたかと思いました?()()!皆さんは()()()()()()()()()()()♪』


『―――!!!??』



()()()()、かと思われた次の瞬間。

ヘレンの居た空間に、()()()()()()()()()()()()()()()


全方位から大口を開け、突進する咢達。

彼奴等は突如、周囲に発生した()()()()()()()によって絡めとられ、有無を言わせず()()へ向けて吸い寄せられていった。


―――天の川銀河の中心に座す、超巨大B・W(ブラックホール)『いて座A*』(エースター)

ヘレンによって開かれたのは、星すら粉砕する究極の天体へと至る一種のゲートであった。


星界の門は凄まじいまでの吸引で、全ての咢をまとめて飲み込み、事象の地平線の向こう側へと誘う。

それに飽き足らず、黒穴は周囲に存在するあらゆるモノを()()()()と吸い込み続けた。


小石、砂、巨大な瓦礫に至るまで。

何もかもが穴の中心に消えるが、なおも吸引は止まらない。


このまま何もかもが穴の中心へと引き込まれるかと思われた、その時。

()()()と指を鳴らす音と共に、()()は終わりを告げた。


頭上へ向けて吸い寄せられていたもの全てが、引力から解放され落下を始める。

視線を上げれば、中空に先程まであった黒い円盤は消え失せ、雲一つない青空が広がっていた。


思わず()()と息を吐く。

しかし、続けてもう一度()()()、と響いた小さな音に、ぼくは思わず()()()と目を見張った。



『そういう訳で()()()()()球粒隕石(コンドライト)をお見舞いしちゃいます!』


「ちょっ・・・!?」



ここへ来てまさかの()()()


ヘレンちゃんはもう一度、巨大なクレーターへ辺りを変貌させた()()()()をここへ落とすつもりらしい。

()()()、と悲鳴を上げる間もなく、クレーターの底に再び、宇宙空間へと続くゲートが開く。


小惑星(アステロイド)(ベルト)から直送された巨大な岩石の塊は、中空より瞬きすら許さぬ圧倒的な速度で落下した―――!!



++【渇愛(■■■■)】++



再びの隕石落下。


覚醒によって強化された視力が、地表を粉々に破砕せんと迫る巨大な岩塊をすみずみに渡るまで捉えてしまうのが恨めしい。

クレーターの底がまたも灼熱地獄へ変貌するかと思われた、()()()


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


タールのような艶やかな影によって満たされた、穴の底。

その中心より現れたのは、先程とは比べ物にならぬほどの()()()()


()()、と開かれた牙が漆黒の花のように広がり、クレーターの()()を越えて不可視の障壁に()()()()と接触した。

頭上に広がる天が、黒々と咲き誇る奇怪な花弁によって覆いつくされる。


そして次の瞬間、巨大な咢はその中心に星界より飛来した岩塊を抱き、()()()()()()の如く()()()と呑み込んだ。

()()()、と重苦しい音が響き、巨大咢の体積が瞬時に倍近くに膨らむ。


口内にて隕石を受け止めた咢はやがて空に向けて口を開くと、カートゥーンのように()()()()と立ち上る黒煙を吐き出すのだった。



『・・・マジですかー』



質の悪い冗談のような光景。

それを前に、珍しくひきつった表情でヘレンは()()()と呟きを漏らすのだった―――


今週はここまで。

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