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お釜大戦  作者: @FRON
第二章 ようこそイデア学園へ!
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∥002-01 戦後処理はキラキラ

#前回のあらすじ:マルは父子家庭



「おめでとうございまーっす!!」



能天気な声に視線を上げると、バスの車内天井スレスレの高度に見覚えのあるサマードレスがくるくると舞っていた。

そのまま床すれすれまで降りると、褐色短髪浮遊系少女ことヘレンはにっこりと天使のような笑顔を浮かべて見せる。



「皆さんの健闘のお蔭で無事、今回の襲撃で予定されていた犠牲はゼロになりました!これにてミッションコンプリート、おつかれさまでしたー」



ぼく達――丸海人(マルカイト)を含めた【神候補】の面々――は互いに顔を見合わせると、人知れずため息をつき苦笑を浮かべる。

現在は『凍れる時』――【彼方よりのもの(UFO)】襲撃現場に生ずる時間が静止した空間――にて、敵の大ボス撃破の後、襲撃現場となった中型バスの車内へと集合した所であった。


その場に居並ぶ面々を改めて見渡す。


ゆったりした和装にがっちりした筋肉質の巨漢――西郷。

詰襟の洋装に柔和な笑顔をたたえた好青年――犬養。

バスの先頭にて謎の踊りを捧げる褐色のムエタイ戦士――高杉=シンサック。


一見すました様子ながら、先程からちらちらと1人の少女(あずさ)へ視線を送っているナイトドレス姿の美少女――エリザベス嬢。

激闘の余韻に色白の頬をわずかに紅潮させつつ、隣の少女と朗らかに語らいあう和装の淑女――清水嬢。

その背後に控えつつ、興味深そうに周囲をきょろきょろと観察している浅葱色のローブ姿――マルヤム嬢。


そして、それらに囲まれおっかなびっくりといった様子ながら、終始にこやかに歓談を続ける見知った少女。

彼らのうちだれか一人でも欠ければ、この奇妙な事件を犠牲なしで切り抜けることは困難であっただろう。



(ぼくは―――まだまだだな)



激闘の記憶を思い返してみる。

先程あげた面々がそれぞれの盤面にて欠かせない役割を果たしたのに対し、ぼくは正直なところ、ろくに役に立っていなかったと言っていい。


一度、敵の突撃を防いだ功績こそあれど、今となってはあの場面でぼくが動こうか動かなかろうが、結果として大した違いが無かったように思える。

これからどうなるのか予想すらつかないが、このまま無力な自分のままで良いという事は無いであろう。


ぼくはもの言わず傍らに浮遊する紺碧の水塊――【神使(ファミリア)メルクリウス】――をじっと見つめると、この身に宿った新たな力を鍛えることを密かに誓ったのだった。



「さて―――それでは皆さん、此度の任務はここまでとなります。という訳でご恒例のボーナスタイムですよ~」



その一言に再び視線が集まったところで、ヘレンは「ほいっ」と可愛らしい掛け声とともに両手を天に突き出す構えを取る。

その直後、周囲の空間にわずかに漂っていた(スミレ)色の粒子がぶるりと震え、みるみる間に艶やかな輝きを放つ宝玉へと変じたのである―――




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