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お釜大戦  作者: @FRON
第一章 恐怖!町内巡回バスUFO襲撃事件!!
3/329

∥001-03 このまま死にますか?それとも神様転生しますか??

#前回のあらすじ:生き返れるらしい



[マル視点]



謎の少女、ヘレンは語る。



「あなたは残念ながら死んでしまいました。ですが―――()()()()()()()()()()()()。どの時間とも繋がらない空間である『()()』から、死んだ原因となった過去へ干渉して、()()()()()()()()()()



そうすれば―――『死』へと向かう因果は()()()()()()()

因果が成立しなくなることで、『()()()()()()』世界線へと歴史を収束させることが可能なのだと、少女の声は告げた。


それは、さながら迷える子羊を導く啓示のように。


記憶と映像の両面によって自らの死を突き付けられ、密かに混乱していたぼくには、たまらなく魅力的な誘い文句に聞こえた。

しかし、胸の内に()()、小さな疑問が沸き上がる。


ぼくは()()()と首を傾げると、ためらいがちにその疑問を口にした。



「過去へ干渉して、死因を取り除く。でもそれって、()()()()()()()()()()()()()()なんじゃ・・・?」


「不可能ですねぇ」


「・・・やっぱダメじゃん!うわー!どうすりゃいいのさ結局!?」


「うふふー」



思わず頭を抱えると、()()()()と鈴を転がすような笑い声が頭上から響いてくる。


再び、目の前に立ちはだかった難題。

見つけたと思った解決策を再び見失い、どうしようかと顔を上げた先では、サマードレス姿の少女が両手を広げ宙に浮かんでいる。


彼女はにっこりと微笑むと、あっけらかんとその解決方法を告げるのだった。



「実はですねえ。それを解決する方法は既に、()()()()()()()()()()()()()()


「マジで!?しかも目の前って・・・。ぼくときみ以外には、なんにもない空間がずーっと、広がってるようにしか見えないんだけれど?」


()()()()()()()()()。既にお話しした通り、此処は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。そして逆に、此処から()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「・・・そんなこと出来るの!?」


「出来ますよー。何しろわたし、()()ですから」



()()


真っ白な空を背負い、天真爛漫に微笑む少女は、自らが()()であるのだと言う。

そも、他者を神様にできる存在が居るのだとすれば、それこそ即ち『()()()()()であろう。


たった今、少女の口から飛び出した耳を疑うような一言に、何処だかぼくは腑に落ちるものを感じていた。

幼き神はこう続ける。



「実のところ、お兄さんは()()()()()()()()()()


「・・・えっ?」


「お兄さんが他界する寸前、私はその魂を拾い上げて、この場所へと呼び込みました。肉体が滅び、ヒトが完全に死に至る前。『死』が成立する前から、揺るぎない事実として確定するまでの刹那。そこで、『丸海人(マルカイト)という存在』は()()()()()()()()()()



目の前の虚空に、先程も目にした横長のパネルが呼び出される。


そこに灯りが点ると共に、パネルには『原因-->事故-->死』と、事故からこれまでの経緯が蛍光色の図解で浮かび上がった。

更に、『事故』と『死』の間の矢印が途中から下方向へ分岐し、新たに『謎空間(ここ!)』と書かれた場所へ向かって引かれる。



「お兄さんの生死は、現時点では『生』と『死』が同時に存在しうる、()()()()()の状態にあります。シュレディンガーさんの箱に入れられた、猫ちゃんみたいなモノですねー」


()()()()()()()()()()、ね」


「ですです。この、『()()()()()()()()()()』状態から、『()()()()()』状態へ確定させるには、お兄さん自身の手で死因を取り除いて貰わないといけません。これ自体が一種の、神へと至る『通過儀礼』(イニシエーション)となるからです」


「・・・なるほど?」



半分くらいは理解できた、たぶん。


S()F()()()()()()()()()()()()を例に出した少女に、ぼくは()()()()と頷いて見せる。

要は、生き返りたけりゃ()()()()()()()()()、という事なのだろう。


それ自体は、当事者として当然の責務として。

今の話で疑問の残る箇所をじっくりと思い返すと、ぼくは改めて口を開いた。



「生き返る方法についてはわかったけれど。結局、ぼくはここに居ないと死んじゃうんだよね?それだと、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!・・・って事にならない?」


「なりますねー、()()()。そこで、私がちょっとだけ力を貸してお兄さんを『()()()』させてあげます。()()と、()()()()()()()()。どちらにも同時に存在できるようにするんです」


「・・・そうやって分身すれば、外に出てもぼくは死なない?」


「はい。神様の世界では、こういうのを『化身』(アバター)って呼ぶんです。本質(イデア)が此処にある限り、たとえ『化身』に何があろうとお兄さんは無事ですし、逆に『化身』が起こした変化は、本体であるお兄さん自身にも及びます」


「・・・えっと、じゃあ逆に。何もしないでこのまま過ごそうとしたら、どうなるの?」


「ん~・・・。まあ、当分は大丈夫と思いますけど?現時点で相当、ムリのある状態ですしー。放っとくと存在の矛盾にお兄さんの魂が耐え切れず、()()()()()()()()()()()んじゃ無いですかねー?」


「うへぇ」



少女の助力があれば、事故の原因を取り除く事で、ぼくは生存が可能。

だが逆に何もしなければ、そのうち存在ごと消滅しかねないのだという。


実質、選択肢のない状況に、ぼくは()()()()とした表情で呻きを上げた。


―――どうやら、何時までもウダウダ考えている余裕は無いらしい。

状況は実にシンプルだ、()()()()()()()()()()()()()()()()()


ならば―――



「・・・()()()



自然と、肯定が口をついていた。

こうして、生き死にをハッキリと突き付けられる経験は初めてだが、どうやらぼくは()()()()場合、迷わず動く()()だったらしい。


そして何より―――


あのバスにはぼく以外の乗客―――普段よく言葉を交わす、()()()()も乗っていた。

彼女達がむざむざ死ぬだなんて、ぼくは()()()()()()なのだ。



「ぼくは―――神様になる」


※2023/07/31 文章改定

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