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お釜大戦  作者: @FRON
第七章 急襲!怪力博士の巻!!
291/342

∥007-14 少女兵器、躍動。

#前回のあらすじ:後輩が見たこと無いスキル構成な件について



[マル視点]



『―――【魔弾の射手】(タスラム)


「【バブルシールド】っ!・・・えーいくそっ、埒が明かない!先に()()()()を狙って―――」


『させません。【有翼の靴】(タラリア)―――【金剛石の盾】(アイギス)



戦闘はなおも続いていた。


漆黒のスーツに()()()()()を浮かび上がらせ、右手指先から魔弾を放つ少女兵器(あーちゃん)

高速で飛来する光の弾を防ぐと、ぼくは後方で高みの見物を決め込む、()()()()()()()()向けてメルの分身体を放り投げた。


当たれば急速に巨大化し、問答無用で拘束してしまう水塊。

しかしそれも、瞬間移動してきた後輩の展開した()()()によって間一髪、防がれてしまう。


先程から、戦いはこんな感じに一進一退の膠着状態が続いていた。


押し込まれていないだけマシなのだが、どうにも向こうの攻めが()()()というか、()()()()()()()()()気がする。

そんな予感を肯定するかのように、それまで戦況を伺っていた博士が怪し気に笑い声を上げた。



「うふふふふ。存外に持ちこたえるなあ、少年!・・・いやはや。君に関し、最初抱いていた評価を上方修正せざるを得ないねえ」


「そいつはどうも!」


「【()()()()()()()】、だったかな?儚げなシャボン玉のようで、これが()()拾号(ジュウゴウ)の攻撃にも、よく耐えている!・・・フム。ここは一つ、()()()()と洒落込もうではないか。―――拾号?」


『はい、博士』


()()()()()()()()()()


『かしこまりました。オフェンスコンディション2―――()()()()



博士の言葉を皮切りに、後輩から感じる()()()と増す。


()()()()()()


そう言外に感じ取った直後。

目と鼻の先に転移してきた彼女のガラスのような瞳と目が合い、ぼくは()()と息を呑んだ。



『【魔弾の射手】―――並列起動×2(セカンド)


「ちょっ・・・!?」



漆黒のスーツに、()()()()()()()()()()()


2発。

同時に放たれた魔弾は互いに絡み合い、宙に螺旋の軌道を描きながら紺碧の水壁に突き刺さった―――!


これまでに感じた事の無い程の衝撃に、思わず息を詰まらせる。

衝突の勢いでぼくの身体は、シールド毎はるか後方へと弾き飛ばされていた。



(目が、回る!こんなのまともに受けてられないぞ・・・!)



二度、三度と石畳の上をバウンドし、広間の中を()()()()()()()()()行き交う水玉。


先程の一撃だが、【バブルシールド】でも受け止めるのがギリギリだった。

こんな無防備な状態で喰らったら、まずもってタダじゃ済まないだろう。


()()()()と廻る視界の中で、いよいよ本気を出し始めたと思しき後輩の姿を求める。


・・・そんな懸念を嘲笑うかのように、右腕に()()()()()()()()を浮かび上がらせた少女が、視界の端にかすめるように映る。

反射的に()()()へ両手を突き出すのと、螺旋状の光弾が打ち出されるのはほぼ同時の出来事であった。



『【魔弾の射手】×2―――発射(シュート)


「こなくそっ!メル、3()()()()!!」


『・・・!!』



コバルトブルーの水塊が、()()()()()


少女とぼくの間に出現したメルの分身体は、瞬く間に半円状の水壁となって、迫りくる魔弾の前に立ちはだかった。

―――螺旋状の光弾は追加展開された盾を瞬く間に貫くが、それで勢いを殺されたのか、3枚目のシールド表面で消失する。


目の前で霧散してゆく光弾に、ぼくはそれまで止めていた息をゆっくりと吐き出した。



「ほほぅ!・・・そういうのもあるのかね。では拾号、お前も()()()()()()()()というものを、披露してあげなさい」


『かしこまりました。【有翼の靴】―――【金剛石の盾】』


「・・・()()!?」



一難去って、また一難。


博士の一言に無表情で頷くと、少女は瞬間移動の術式を起動する。

スーツのくるぶしの部分が怪しく煌めき―――


次の瞬間、彼女はぼくの目と鼻の先に居た。


反射的にシールドへ【神力】(プラーナ)を込めるぼく。

それに対し、少女兵器は光の楯を展開し―――()()()()()()()()()()()()()


コバルトブルーに淡く光る膜を通して、視界一杯に光の楯が広がる。

・・・どうやら、例の楯は()()()()()()()()()()()()()()ようだ。


2m大にまで拡大され、後輩の動向が【金剛石の盾】によって一切、見えなくなってしまった。



「前が・・・見えない!でも一体、何のつもりで―――()()!?」


『【魔弾の射手】―――並列起動×3(サード)



()()()、と首筋に寒気が走り、視線だけで背後を振り向く。

しかし、気付いた時には時、すでに遅し。


光の楯を目隠しに、背後へ転移していた少女兵器はぼくの背中目掛け、右手指先を突き付ける。

その腕には、()()()()()()()()()()()()()()



(これ、()()―――)


『発射』



無慈悲な一言と共に、これまでとは比較にならぬ光の奔流が指先より放たれる。

そのエネルギーの膨大さから、ビーム状へと変形した光弾はあっさりと【バブルシールド】を消し飛ばしていた。


今更回避も間に合わない、()()()()―――


思わず()()()と目を瞑った、その瞬間。

何処かより現れた()()()()が、ぼくの身体をかき抱き、()()()()()()()()()()()()


標的を空振りし、そのまま背後の石壁へ突き刺さる光弾。

()()()()()()


衝撃が駆け抜ける中、ぼくは頭上に「?」を浮かべたまま、銀色に輝く兜を()()()と見上げていた。



()()。・・・ですが間一髪、間に合ったようですね」


「え?えっ??()()()()()()()()()―――」


「おーっほっほっほっほ!!」


「「「!?」」」



被り物のせいでくぐもった、しかし()()()()()()()()()()()()

鈍色の鎧姿から響くそれに、ぼくは()()()()()へと思い当たる。


突如、ぼくのピンチに颯爽と駆け付けた鎧姿の人物。

その正体について口にする前に、薄暗い室内には唐突に()()()()()()()が響き渡っていた。


博士含め、ぼくらは一斉にそちらの方へと視線を向ける。


果たしてその先には、一人の少女が佇んでいた。

天をも衝かんばかりの金髪縦ロール、豊満な肢体を包むエレガントなイブニングドレス、強い決意を秘めた碧き瞳。


握りこぶしを腰に当て、仁王立ちに構えた真紅の令嬢は()()、と『怪力(くゎいりき)博士』一行へ指先を突き付けていた。



「よーーーーやく見つけましたわ!この!エリザベス(Elizabeth)=フィリップス(Phillips)=ミラー(Miller)の目が黒い内は!キャシー(Cathy)の身を好き勝手させるだなんて事・・・ぜーーーったいに許しませんことよ!!!」



唖然とする一同の前で、高らかに参戦を告げる。


たった今、鮮烈な登場シーンを決めたのは、後輩の友人にして、所属クラン『Wild(ワイルド) tails』(テイルズ)の主。

エリザベス嬢、その人であった―――

今週はここまで。

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