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お釜大戦  作者: @FRON
第七章 急襲!怪力博士の巻!!
290/345

∥007-13 少女兵器、始動

#前回のあらすじ:おーぷんこんばっと!



[マル視点]



「あーちゃん、ごめん!おねがい・・・『神使(ファミリア)メルクリウス』!!」


『!!』



謝罪の言葉と共に放たれた、コバルトブルーの水塊。

それは音も無く宙を飛来すると、少女の姿をした兵器を包み込もうと、その目前で一気に巨大化する。


―――『怪力(くゎいりき)博士』と、後輩。

どちらの対処を優先するか悩んだ末、ぼくは()()を選択していた。


ほとんど前情報が無く、何をしてくるのかわからない博士。

それに対し、知己ということもあり、あーちゃんの戦い方は一通り知っている。


【神候補】として覚醒したあの日、銀の巨人(フォーモル)を撃破した例の一射は脅威だが、【バブルシールド】なら直撃は避けれるハズだ。

先手を打つことができれば、ぼくの分身であるメルの身体で包み込むことで、ひとまず無力化させることができる―――()()()()()()


何もかもが見切り発車の出たとこ勝負だが、まずは当たってみるしかないのだ。

諸悪の根源たる()()()()の方は、その後でじっくり対処すれば良いだろう。


・・・考えても判らないから後回し、とも言える。



()()()()・・・!?」


『―――補助術式【有翼の靴】(タラリア)、発動』


「!?」



そんな訳で、まずは初手で後輩の拘束を試みた訳なのだが。

思わず()()()()()()()()を叫んだ直後、案の定水玉に包まれていた後輩の姿が、突如として離れた場所に現れていた。


驚愕に眼を見開くぼくの前で、残像を残しながら幾度となく短距離の移動を繰り返す少女兵器。



瞬間移動(テレポート)!?・・・()()()!!」


『―――対象を攻撃します』



移動の瞬間すら見えぬ、超高速の転移。

水球の中から脱出した事から見て、どうやら彼女はテレポート的な移動手段を持っているらしかった。


予想外の状況に混乱する中、突如として目と鼻の先に現れた彼女より、強烈な後ろ回し蹴りが放たれる。

何とか両腕でのガードが間に合うが、体格差から大きく後に吹き飛ばされてしまった。


()()()()と痺れる腕に舌打ちを漏らしつつ、再び正面を見やる。

蹴り足を戻した姿勢のまま、伸ばされた彼女の右手はまっすぐぼくの胸を指していた。


―――その指先に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()



『攻性術式【魔弾の射手】(タスラム)―――発射(シュート)


「!?」



猛烈に沸き上がるな()()()()


射出していたメルを慌てて手元に引き寄せると、ぼくは有無を言わさずシールドを展開した。

直後、少女の指先から一筋の光の矢が放たれ、【バブルシールド】へと突き刺さる。


一瞬、()()()()衝撃を吸収するが、勢いを殺し切れずぼくの身体はシールドごと弾き飛ばされていた。

予想外に威力に、ぼくは慌ててシールドを身体の前面から、全身をすっぽり包む形へと拡大する。


そこへ、更に()()()()と、立て続けに放たれる光弾。

それを喰らうたび、ぼくを包む水球はピンボールのように、()()()()へと吹き飛ばされてしまった。


()()()()と転がり、視界の上と下が目まぐるしく二転三転する。



()()()()()()―――』


()()()()っ・・・!!」


『防性術式【金剛石の盾】(アイギス)―――展開』


「・・・弾かれたっ!?」



再び、()()()()()()()()()()()()()


集った光のラインは、左手の甲に半透明のラウンドシールドを出現させていた。

防戦一方ではいけないと、メルの一部を切り離し放った水球は、少女の身体に届く()()()の所で光の盾によって阻まれる。


儚げに揺れる幻像の盾であるが、その防御力はどうやら見た目通りでは無いようだ。



「以前と、戦い方が全然違う・・・。どうなってんのさ、あーちゃん!?」


「うふふふふふ。ようやく()()()()()()だろうかね?」


「!?」



記憶にある戦い方と全く異なる姿に愕然としていると、それまで沈黙を守っていた顎鬚の男がくぐもった笑いを上げる。

大きく両の手を開き、つらつらと己の『()()』の自慢を始める博士。



「新世代怪力(くゎいりき)兵のフラッグシップモデルたる、『怪力兵拾号』!その設計に於いては、高い汎用性と拡張性を意識しておるのだよ!連射可能な高威力射撃【魔弾の射手】!堅牢なる防御フィールド【金剛石の盾】!縦横無尽な高速機動を可能とする【有翼の靴】!正に()()()()()()()()()()()()()()!どうかね?これが吾輩会心の一作、最高傑作なのだよ!!」


『お褒めに預かり光栄です、博士』



【魔弾の射手】が最初に撃ってきた光弾、【有翼の靴】が瞬間移動で、水塊を弾いた盾が【金剛石の盾】、だろうか?

・・・どうやら、攫われていた間に洗脳されるだけではなく、戦闘法まで勝手にインプットされてしまったらしい。


戦後最大の怪人と呼ばれる『怪力博士』、その懐刀と呼ばれる『怪力兵』。


彼を扱った映像作品(キネマ)では、一般市民を騙して改造し、己の命令に絶対服従する()()()()へと造り変えてしまうシーンがあった。

これはつまり、()()()()()なのだろうか?


普段見知った少女の変わり果てた姿に、愕然とした気持ちで奥歯を噛みしめるぼく。


当初立てたプランは、早くも根底から崩されてしまった。

先に無力化しようとした後輩には攻撃が通用せず、あまつさえ一方的に攻撃を受ける始末だ。


黒幕たる『怪力博士』は、その背後で高見の見物。

更には、実力がまったく未知数の黒髪の女性まで控えている。


この布陣を突破し、後輩を連れ帰るにはどうすればよいのか?

早くも暗雲が立ち込めてきた戦況に、ぼくは灰色の脳細胞をフル回転させるのだった―――



今週はここまで。

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