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お釜大戦  作者: @FRON
第一章 恐怖!町内巡回バスUFO襲撃事件!!
24/343

∥001-24 見知った背中

#前回のあらすじ:「ボクと契約s…」「します!」



[マル視点]



「―――はっ!?・・・ぼく、()()()()?」



視界の中、車体後部に開いた穴を埋めるように限界まで膨らんだ、コバルトブルーの水球が目に入る。

その姿を目にした瞬間、ぼくはこれまでどうしていたかをようやく思い出した。


ここはバスの車内、銀色の巨人によって破壊された最後尾の部分だ。


破損個所をカバーするべく、ぼくと【神使メルクリウス】はこの場所へ張り付いていた、()()

だが―――



(確か、()()()()()()()()()()()()()()、ような・・・?)



()()()()()()()()、『()()()』。


そんな確信めいた認識が、ぼくの胸の奥に渦巻いている。

根拠がない癖に、やけに確信を伴って脳裏に忍び込んでくる既視感(デジャブ)


それはきっと、自分の身に起きた―――あるいは、()()()()()()()()()


そんな理屈を超えた、予感めいた()()が、ぼくの奥底に囁きかけていた。

奇妙な感覚だが、一つだけ、こんな出来事が起こる原因になりそうな()()に心当たりがあった。



「ヘレンちゃん。まさかきみ、また()()()()()―――?」



()()()

そう一人ごちる呟きに応える声は、無い。


だがしかし、その代わりとばかりに前方より、メルの水球が展開されたあたりから()()()、と物音が響いた。

音につられ、自然と視線が上がる。



「物音?いったい何が・・・()()()!?」



素早く左から右へ、巡らせる視界の中に()()()と、鈍色の光が見えた。

その正体を確かめようと、更に目を凝らそうした、次の瞬間。


視界を覆う()()()が突如として覆いかぶさり、ぼくの目の前は文字通り真っ暗になった。



「・・・!・・・!!?」



苦しい、息ができない。


それだけでなく、顔全体に()()()()と張り付いたソレは、接触面からぼくの活力を()()()()()()と吸い上げていた。

得体の知れぬ襲撃者を引っぺがすべく、必死に続けられるぼくの抵抗。


それも、次第に力が萎えてしまい、ロクに爪すら立てられなくなってしまった。



(ダメだ・・・意識が・・・!)



遂には意識にまで、ぼんやりと白く霞が掛かり始める。

駄目押しとばかりに、全身に()()()()と追加の襲撃者が吸い付いた。


その感触と共に、ぼくの意識は()()()と途切れ―――



()()()



『~~~~!!!??』


「ぶはっ・・・()()()()()()()()()!」



()()()


清涼なる調べが辺りを満たし、何かに弾かれるようにして襲撃者達が四方へと飛び散る。

ほぼ同時に意識を取り戻し、ぼくは崩れ落ちそうになる身体を賢明に支えつつ、荒い息をついた。


―――()()()()()


それを理解するのに、酸素が欠乏した脳は数秒を擁した。

足元に転がり、()()()()と痙攣する銀色の円盤。


それを目撃したまま、ぼくはそれが意味するものを理解できずに一度、目をこすった。

そして―――唐突に、素っ頓狂な叫びを上げた。



「・・・『UFO型シング』!!何でここに―――?」


「車体と泡の壁の隙間を、ムリヤリ潜りぬけてきたようです。危ない所でしたね―――と、言うには()()()()()な気もしますが。とにかく無事で安心しました」


「・・・犬養(いぬかい)さん!」



ぼくの疑問に簡潔に答えてくれたのは、白の詰襟に身を包んだ偉丈夫、犬養青年だった。

彼は『()()』を操ると、床の上で伸びているUFO達にトドメを差して回る。


そうして菫色の粒子が空中に溶けて消える様を見守った後、ぼくは改めて疑問の声を上げた。



「さっきの妙な感覚といい、外から聞こえた音といい。一体、何が起きてるんでしょうか・・・?」


「うむ。君の疑問の答えになるかは判りませんが・・・これを見てください。つい先程現れた、我々にとっての助っ人です」


「・・・()()()!?」



青年は一つ頷くと、ぼくに宙に浮かぶ四角形のパネルを示した。

淡く輝くそれは、先程も目にした犬養青年の能力の一端だ。


周囲の光景を映し出す小窓を通し、バスの天井に立つ一人の少女が映る。

学校指定のセーラー服、比較的長身な細身は簡素な梓弓を携え、眼前に立ちはだかる銀色の巨人と対峙していた。


その後ろ姿が、たなびくポニーテールが、ぼくに()()()()の名を想起させる。



「・・・()()()()()!?」


「お知り合いですか?」


「えっと、はい。ぼくの後輩で―――確か、さっきまでそこに居た筈なのに・・・」



()()()


犬養青年とやりとりしつつ、視線を移した先に見知った姿は無かった。

学生鞄を()()()と残し、バスの後部座席はもぬけの殻となっている。


先程の妙な感覚、あれはぼくの時と同じく、彼女―――羽生梓(はにゅうあずさ)を、ヘレンが誘った影響なのだろうか?

そう考えると、()()()()()()()()


つまり――ー今の彼女は、ぼくと同じ成りたての【神候補】として、この戦場へ降り立ったという事だ。

不安と期待がない交ぜになった胸中のまま、ぼくはパネルの中の後輩を見守る。


()()()()()()


幾つもの想定外を経て、戦いはいよいよ最終局面へと突入する。

決戦の火ぶたは、今、まさに切って落とされた―――!


※2023/12/25 文章改定

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