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お釜大戦  作者: @FRON
第一章 恐怖!町内巡回バスUFO襲撃事件!!
23/319

∥001-23 テンプレテンプレ(TAKE2)

#前回のあらすじ:ムカ着火ファイヤー



[梓(あずさ)視点]



「まことに残念ですが―――」



目の前には、一人の女の子。

シミ一つない純白のサマードレス、肩口まで伸びたくせのある黒髪、()()()()とした両のおめめと鼻と口。


誰だろ?知らない子だ。

でも、お人形みたいにとってもキレイ!


そんな女の子が、目の前の空間に()()()()と浮かんでいたのです。



「あなたは死んでしまいました。ですがあなたには―――()()?」


「・・・」



()()


何だか話してるみたいだけど、あたしは知らない女の子の観察を続ける。

12歳くらいかな?


よく日に焼けてて、おめめもパッチリしてて外国の子みたい。

でも、喋ってるのは日本語なのよね。


そんなふうに()()()()と眺めていると、若干戸惑ったような声が上がる。

視線を上げると、先程の女の子が困ったような笑顔を浮かべていた。



「・・・なんだかさっきから、()()()()()()()?」


「えっ?」



そう言われて()()、と気付く。

女の子とあたしは目と鼻の先、息もかかるくらい近くにまで接近していた。



「おっといけね。・・・()()()。可愛い子だなー、っと思ったからつい、まじまじと見ちゃった。ごめんね?」


「―――可愛いって。え~・・・()()()!」



可愛く咳払いをすると、()()()、と後じさり女の子は距離をとってしまった。

しまった、警戒されちゃったかな?


ダメだな、あたしって『()()()!』とか『()()!』って思うと、ついつい今みたいに前のめりに突っ込んでいっちゃう。

先輩にはそれだとかえって逃げられちゃうよ、ってよく注意されてるし。


いけない、平常心、平常心。

あたしが内心失敗したなあ、なんて思っていると、仕切り直しとばかりにニッコリと微笑みながら、女の子は再び口を開いた。




「気を取り直して、っと。・・・改めて羽生梓(はにゅうあずさ)さん、あなたは死んでしまいました」


()()()()()?」


()()()()()()



二人して、向かい合ったまま()()()と首を横に倒す。


視界が180度右に傾いたところで、周囲の様子が視界に入ってきた。

あたり一面真っ白、見事に()()()()無い。


―――見渡す限り、()()()


石灰岩ともガラスとも判別できない、白い()()で埋め尽くされた大地がはるか彼方、地平の果てにまで続いていた。

ここ、()()



「はい!はい!質問!!」


「はーい、羽生さん。ご自由にどうぞー?」


「ここって、天国ですかー?」


「ですです」



いけない、語尾が伝染ってしまった。


自分が置かれた異常事態にようやく気付いたあたりは元気よく右手を振り上げる。

そんなあたしを一瞥すると、女の子は()()()()()ー、とこちらも間延びした返事を返した。


・・・そしてなんということでしょう、あたし()()()()()()()()()



「うそっ!?」



慌てて()()()()と全身を触って確かめる。

手足は4本、()()()()()()(!)な身体も頭も、きちんと付いていた。


よかった、ちゃんと()()()



「あれ?でもあの子はあたしが死んじゃった、って言ってたような・・・?」



ユーレイになると無くなるのって()?それとも()

わけがわからず首を捻るあたしに、女の子はおかしそうに()()()()、と鈴が転がるような声を上げた。



「うふふー。そうです・・・とは言いましたが、()()()()()()()()。ここはわたくし、ヘレンちゃんが作った()()()()()()()()()()的な空間でしてー。どの時間・空間にも繋がっていないのです」


「えーと。・・・それって?」


「あなたは死んじゃいましたが、それは()()()()()です。此処にいる限りこうして、生きてる頃と同じように活動できるんですよー?」


「・・・?・・・??」



なんだかよくわからない、あたしって、結局()()()()()()()()()


実感がちっとも沸かない現状に、あたしは再び首を()()()と横に倒した。

それに、この場所は一体なんだろう?


さっき言ってたように、『何処にもつながらない』場所なら、()()()()()()()()()()()()

それって、()()()()


首をひねりつつ、頭のてっぺんから煙を上げ始めたあたしを見かねたのか、ヘレンちゃん(でいいのかな?)は苦笑しながら再び口を開いた。



「よくわかんないのでしたら、なんか凄い謎空間!ってことで、流しちゃっても結構ですよ?」


「うん、そうする~。・・・ぷしゅー」



考えすぎで頭がぼーっとする。

今のはあの子が助け舟を出してくれたのかな?


優しい!


そうして、あたしはたっぷり時間をかけて頭にのぼった熱を冷ますと、改めて女の子を見つめた。

何から聞こうかな?


・・・とりあえず、まずはここからかな。



「えーっと、それじゃあヘレンちゃん。・・・で、いいのかな?」


「いいですよー」


「ありがと!それであたし、結局どうなるの?・・・どうなった、のかな?」


「はい、その質問を待ってました。・・・百聞は一見に如かず、コチラをご覧になってくださいな」



()()()()()


と可愛らしい掛け声と共に、眼前の高さ2m地点らへんに、平べったいモニターらしきものが展開される。

何もない空間に、突如現れた四角く切り取られた窓。


その向こうには、見慣れた光景が映し出されていた。


おっかなびっくり、あたしは目をしばたかせる。

それは―――毎朝乗っている、町内巡回バスが田舎道を走る風景だった。


両脇を緑に包まれた坂道、そこを、オンボロな小型バスが()()()()()()と登ってゆく。

見た所、あたしの家のある停留所まであと30分、といった辺りみたいだ。



「時系列で行くと、『()()』から数分程前の光景ですねー。ここから、羽生さん達に何が起きたのかを3人称視点にてお送りしちゃいまーす」


「おおー。場面が移り変わって・・・?あ!あたしだ。・・・先輩も居る!ちっすちっす、うふふふー。やっぱ小っちゃいなー♪」



一瞬、画面が暗転すると映像は、小ぶりなバスの車中へと切り替わっていた。


景色の中央、後部座席のど真ん中を占拠して盛大にイビキを立てているのが、あたし。

その隣、学生カバンを挟んで()()()()と座席に収まっているのが、先輩―――丸海人(マルカイト)であった。


先輩はあたしの一番の友達にして、『()()()()()

一言で言い表すのは難しいけれど・・・()()()()()()()()()


愛嬌のある()()()とした顔立ちに、()()()()()()()()としたお手々。

そして、小学生とよく間違われるちっちゃな背丈。


本人はとても(()()()!)気にしているけれど、あの、()()()()()()()()()


一方で、あたしは相も変わらず眠りこけていた。

乗車から降車まで、時間をフルに使って爆睡するのがここ最近のトレンドなのだ。(寝過ごしても、停留所で運転手のおっちゃんが起こしてくれるから安心!)



「もう少し先の場面まで飛ばして・・・っと。はい、ここからが注目です。以降は時系列に関わらず、『()()()()()()()』を()()()()()()()()()()()()ー?」


「うん。あれ、()()()()()?・・・と思ったら()()()()()?それに、なんか()()()()()()()もいるー。・・・()()()()・・・??」



窓の中では、不可思議な光景が繰り広げられていた。


眠りこけるあたし含め、乗客達が()()()()()()()()と同時に、画面端に居た筈のマルの姿が()()()()()()()()

―――かと思えば、別の場所へ再び現れていた。


出現したのは先輩だけではなく、3人+3人の男女2組も何時の間にやら、車内に姿を現している。

彼等は性別・国籍・容姿すべてがバラバラで、少なくともあたしがこれまで会ったことのない人ばかりだった。


彼等が先輩と二言、三言言葉を交わすと、女子3人組の方が画面の外へと出て行ってしまった。

・・・入口のあたりの席が良かったのかな?


そうやって、目を()()()()させながらパネルの映像を眺めているうちに、あたしは画面端に映る異様な『()()』に気付いてしまった。

()()はバスの窓ガラスの外、()()()()()()と黒い影のような何かが、幾度となく通り過ぎている。


気付いてしまった。

それがいわゆる『空飛ぶ円盤(UFO)』で―――それがバスの外を、無数に飛び交っていることに!



「えええええ!?なんかちっちゃいUFOがいっぱい!きもちわるい!!」


「見えるんですか?流石の動体視力ですねー」



あたしは自慢じゃないけれど、目はいい方だ。

でも、今ばかりはそれを呪わずにはいられない。


窓の外を飛び交うUFO達、それからは何故か、物凄く『()()』なものを感じた。

その予感を肯定するように、ヘレンちゃんが()()()と呟きを漏らす。



「あれは【彼方より(シング フロム )のもの】(ザ ビヨンド)、羽生さん達が死ぬことになった、その元凶―――()()()()()()、です」


()()()・・・?」



予感を肯定するような女の子の呟きに、あたしはつられるようにその名を口にする。

そして、パネルに映し出される光景もまた、次の場面へと移り変わっていた。


見知らぬ男女――【神候補】――達と、UFOの戦い。

【霧の巨人】(フォーモル)の出現。


窓ガラス越しにほんの一部だけ見えた、銀色の巨体からは先程のUFOとは比べ物にならない程の、悪い『()()』を感じた。

それを肯定するかのように、幾度となく巨人はバスへと襲い掛かり、鋼鉄の車体は薄布を裂くかのごとく容易く引き裂かれてしまう。


それに対峙するのは、不可思議な力を身に着けた先程の男女たち―――そして、()()()()()


信じられないような光景が、幾度となく繰り広げられる。

目まぐるしく移り変わる攻防、ピンチ、そして逆転。


あと一方、という所にまで追い詰められた巨人の叫びが、画面の外から木霊する。

だが―――嫌な予感はむしろ膨れ上がっていた。


再び弾け飛ぶ防壁、その奥から覗き込む、再臨の巨人。

泡盾(バブルシールド)を以て、一度はその一撃をいなした見知った顔の少年(マル)


しかし―――()()()()()()()()()()()()


何時の間にか車内へ侵入していたUFO達が、先輩の身体に次々とへばり付く。

()()()、と音を立てて車体を守っていたコバルトブルーの輝きが消え、そして―――


車体もろとも銀の巨椀が小さな身体を叩き潰し、パネルは沈黙した。


―――静寂が、その場を支配していた。

あたりに重苦しい空気が満ちている。



「繰り返しになりますが―――()()()()()()()()()()()()()



ヘレンちゃんは繰り返す。


()()()()()()()()()

唐突に思えるその言葉にちっとも疑問が沸かなかったのは、心のどこかで()()()()()()()()()からだ。


ヘレンちゃんは続ける。



「攻撃の余波でバスは大破、犬養(いぬかい)さんは退避が間に合いましたが、まき散らされた破片で乗客の肉体はズタズタ。『フライングヒューマノイド型シング』の討伐は時間の問題ですが―――時間凍結が解除されれば、皆さん間違いなく死亡確定、です」


「・・・・・・」


「さて。状況はご理解いただけたと思いますが、わたくしヘレンちゃんから提案―――」


()()()


「・・・えっ?」



何となくわかっていた。


あれはきっと、『()()()()()()()()()』。

このまま何もしなければその通りの事が起きるけれど、足掻けば変えられるかもしれない、()()()()()


あたしは、昔から()()()()()がなんとなく理解できてしまうのだ。

その代わり、誰にでもわかる事がちっとも身につかなかったりするのだけれど。


そんなあたしに出来る事で、あの人たちが―――()()()()()()()()()()()()



()()()()()()()()()()()()()()()()?」



茶色の瞳をまっすぐ見つめ、あたしはそう問いかけるのだった。

※2023/12/17 文章改定

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