表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お釜大戦  作者: @FRON
第五章 ダゴン・マル・アズサ 北海の大決闘!!
228/344

∥005-100 決着に向けて

#前回のあらすじ:首の皮一枚で助かった!



[マル視点]



『グオォ・・・ッ!?』


「やった!あのデカブツを吹き飛ばした―――!!」



『泥艮』(ディゴン)の巨体が泥の海に倒れ、()()()、と大音響と共に膨大な量の飛沫が立ち上がる。

地響きの残響が残る中、コックピット内の皆の視線は、この快挙の立役者―――ぼくの後輩こと、(あずさ)の元へと集っていた。



「やるやなか(じゃない)か!大したもんばい!!」


「今のは正に、間一髪でした・・・。しかし梓君。その()は、一体―――?」


「あ、コレ?これはねえ、えーっと・・・。なんか、()()()()()()()()?」


()()()て」



注目が集まる中、当の本人は、よくわかっていない様子で普段通りに()()()()としていた。

マイペースな彼女にぼくが苦笑を浮かべる傍ら、犬養(いぬかい)青年はその腕に収まる一張の弓に目を留めていた。


彼が気にするのも無理はない、つい先程までこんな代物は、()()()()()()()()()()()()()()からだ。


至極当然な疑問に対し、後輩の答えは実に()()()()したものだった。

恐らく―――彼女自身、なぜそうなったかを理解していないのだろう。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

今となっては慣れたものだが、彼女との付き合いが始まった当初はそれこそ毎日のように驚かされたものだ。(今でもたまに)


―――しかし、あの梓弓。

記憶が定かであれば、片洲で過ごした夜にも同じ()()を見た筈だ。


それ以降、()()()見かけなかったからすっかり忘れていたが、これまで何処かに仕舞われていたのだろうか?

まさか、用途に合わせて何処からともなく()()()()()()()()()()()()、だとか―――


一瞬、恐ろしい想像をしそうになったぼくは頭を振ってそれを打ち消すと、モニターの中で立ち上がりつつある異形の巨人へと意識を集中させた。

決して、現実逃避の為などでは無い。



「さて―――仕切り直しですね。互いに手札を出し切った今、ここから先は()()()()()()()()()()()()()()()の何れかでしょう」


「ど、どういう事ですか・・・?」


「『デモクラシア』と『泥艮』。両者の力量は重量と、単純な出力ではこちら。技量では向こうが上、と言った所でしょう。『深泥(ミドロ)族』の武術は恐ろしいものですが、梓君がいる限り、あちらもうかつに攻め込む事はできません。()()()()()()をまともに喰らえば、決定的な隙を晒す事になりますからね」



開戦当初、両者の激突で力負けしたのは『泥艮』の方であった。

しかし、その後巧みな体裁きでもって、戦を有利に進めたのもまた、『泥艮』であった。


いくら力で勝っても、巨体を十全に操る技量ではあちら側に軍配が上がる。

その差を埋めるのが、梓の『鳴弦』による強制的なダウン攻撃だ。


真剣勝負の最中に転倒し、決定的な隙を晒す事になればいかな異形の巨人とて、無事で済むとは限らないのだ。



「互いにある程度拮抗する以上、このまま続ければ待つのは()()()です。その末の粘り勝ちを狙いたい所ではありますが―――まだ、何か()()()を隠している可能性は否めませんね」


「そぎゃん()したら短期決戦、先に虎ん子ば叩き込んだ方が勝ち、ちゅう事でごわす!」


「わふっ!」


「まさかぁ、そんな事ある訳―――()()



()()()()()()()()()()()()()()()()


そんな可能性を示唆され、ぼくはそれを一笑に付す。

―――が、次の瞬間モニターの中に見えたものを目にして、思わずうめき声をあげてしまった。



「彼奴の周りの泥が、浮き上がって・・・!?」


「見て見て、()()()()()()()()()()()()()()()()!」



『泥艮』の周囲の地面が沸き立ち、そこから無数の黒々とした球状の物体が浮き上がってくる。

それは付近を覆う、多量に水分を含む泥の塊であった。


―――海の民である『深泥族』は生来、水を操る異能を持つ。

それ故に策を講じ、陸の上へと『泥艮』を引っ張り出し、そのお陰でこれまで戦いを有利に進められていた。


しかし、『水』そのものはこの場にも、()()()()()()()()()()()のだ。

そして、異変はそれだけに留まらなかった。


泥の玉の下部から水気を失い、乾燥した土が()()()()と落下してゆく。

それに反比例するように、徐々に黒々とした球体から()()()()()()()()()


後に残されていたのは、無色透明の澄んだ水の塊であった。



「やられた。・・・海水ば、沪しとりよったばい!!」


「そんな!折角海から引きはがしたってのに・・・!!」



『泥艮』は水を操る異能を使い、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。

今や、異形の巨人の周囲には無数の水塊が群れを成し、宙を漂っていた。


それが一点、水かきのある掌の前へと集ってゆく。



「な、なんかヤバい雰囲気なんですけど・・・!?」


「うむ―――。座視するにはあまりに剣呑。かくなる上は、此方も()()()を抜かざるをえません!」


「『デモクラシア』の、切り札・・・!?」



異常な【神力】(プラーナ)を集中させ、多量の水を集め始めた異形の巨人。

十中八九、隠していた切り札を今、まさに切ろうとしているのだろう。


絶体絶命、このまま無策では即、敗北に繋がりかねない状況。

この窮地に、我等がリーダーは如何なる動きを見せるのか?


慌てて声を掛けたぼくの目の前で、精悍な顔立ちの青年はゆっくりと頷く。

そして、絆の巨人が持つ最大の『()』を解放すると、高らかに言い放ったのだ―――!



今週はここまで。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ