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お釜大戦  作者: @FRON
第五章 ダゴン・マル・アズサ 北海の大決闘!!
225/343

∥005-98 冬休み特番・泥艮VSデモクラシア 北海の大決斗!!

#前回のあらすじ:何はともあれ、シナリオラスボス戦開始!



[マル視点]



「発進!デモクラシア―――!!」


『オオオォォオオ!!!』



犬養(いぬかい)青年と『泥艮』(ディゴン)、二者の叫びが重なり、それに巨大質量がぶつかり合う轟音が更に重なる。

真正面から接近した巨大ロボ―――『デモクラシア』と異形の巨人は共に両腕を開くと、()()()()()()と組み合い、押し合いを始めた。


接触により発生した衝撃波が周囲へと拡散し、泥の海へ放射状に波紋を広げる。


地鳴りのような音を上げせめぎ合う両者は、体格では『泥艮』が僅かに上、しかし重量では『デモクラシア』が数段勝っていた。

それが形となったのか、次第に異形の巨人は押され始め、逆に石造の巨人は一歩、二歩、と地響きを上げ歩みを進める。


それを形勢悪し、と判じたのか、『泥艮』は体をわずかに沈めると、次の瞬間には片足を支点にして、両者の位置を器用に入れ替えた。

コックピットの中で固唾を呑んで戦いを見守っていたぼくは、突然、怪物の姿がモニターから消えて眼を白黒させる。


―――かと思えば、急激に()()()()G()が掛かり、危く舌を噛みそうになるのだった。



「な、何事―――!?」


「先輩先輩、()()!!」


「なんと・・・!()()()()()()()()()()()()とは!!」


「感心しちょっ(してる)場合じゃな()、来っど(るぞ)・・・!!」



無防備に背中を晒す石造の巨人を、見逃す『泥艮』ではなかった。

すかさず体全体で沈み込むように踏み込むと、その全身を肉弾と変え、凄まじいスピードで突っ込んできた―――!!



「焼け石に水だろうけど・・・『()()()()()()()』っ!!!」


『・・・!!』


『ヌウッ・・・!?()()()()()()()()!・・・グオオオオ!??』



()()()()()()()()()


無意識にモニターへ向かって手をかざすと、ぼくは使い慣れた異能―――『バブルシールド』を発動していた。

無論、ビル並みにでかいバケモノ相手に使ったところで、こんなものは何の役にも立たない、()()


それでもやらないよりはと、駄目元で発動した異能は―――()()()()()()()()()()()()()()


二つの巨人の間に突如、()()()()()()()()()()()()が現れる。

それは次の瞬間には、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


眼前にいきなり出現した水壁に、そのまま避けきれず突っ込んだ『泥艮』は半ば全身をシャボンに吞み込まれる。

しかし次の瞬間には、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


危く転倒しそうになるところを、地面に手を付いてバク転し、そのまま数歩飛び下がる異形の巨人。

その前では、役目を果たし終えた水玉のクッションが弾けて消え、飛沫となって泥の海の上に()()()()と降り注いだ。



「・・・すっごい。先輩先輩!いまのどーやったの!?」


「い、いや・・・。ぼく自身、何が何やら・・・?」


「・・・説明しましょう!『デモクラシア』は絆の力!即ち―――()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!」


「えーと、()()()?」


()()()・・・こげんこっだ(こういうことだ)ばい!!―――()()()()()()()()()()!!!」


『わおーーーんっ!』



端的すぎる犬養青年の説明に、ぼくと(あずさ)はそろって()()()と首を横に倒す。

一方、()()()()()()()()()()()()()とばかりに、西郷(せご)どんは腕まくりした太い腕で操縦桿を掴むと、高らかに()()()()()()()()()()()


つられるようなツンの雄叫びに呼応し、石造の巨人の両目が()()()と輝く。

その全身が炎色のオーラに包まれ、明々と周囲を赤く染め上げた。


何事かと身構える異形の巨人の前で、巨大ロボは()()と両足を踏ん張ると、軽やかに宙へと躍り出る。

その身動きは、『深泥(ミドロ)族』の群れが片洲(カタス)の町へと溢れ出た()()()、ぼくが目にした巨漢の少年の動き()()()()であった。



『飛ンダ、ダト―――!?』


「それだけじゃなか!()()・・・()()()()()ーーー!!!」


『アオーーーーンっ!!!』


「炎のオーラが、巨大な手裏剣に・・・!?」


『ヌウッ!?』



続いて石造の巨人が放ったのは、燃え盛るオーラで形作られた手裏剣であった。

10tトラック程のサイズもあろうかという紅蓮の塊が、高速で回転しながら空より降り注ぎ、それを異形の巨人は見た目に似合わぬ俊敏な動きで躱してゆく。


当たり損ねたオーラ手裏剣は泥の海に接触すると、膨大な熱を伴って炸裂し、次々と周囲へと灼けた泥の飛沫を飛び散らせた。

立ち上がる噴煙に、さしもの怪物も後ろに飛び下がって難を逃れる。


その()を見逃すまいと、今度は全身をキリモミ回転させ、石造の巨人が天より襲い来る―――!!



()()・・・()()()でごわーーー!!!」


『ウォーーーーンっ!!!』


『ヌウウ・・・ッ!!?』



手刀、足刀、鉄筋コンクリートの四肢を磨き石の剣と変え、嵐のような勢いで巨人は連続して切りかかる。

対する『泥艮』は大木のような両腕を前にかざすと、巧みな動きで襲い来る斬撃をいなし始めた。


嵐のような乱打は怪物の分厚い肌を徐々に削り取り、周囲へと赤黒い血潮が飛び散る。



『凄マジイ連打・・・()()()()()()()()!!』


こんわろ(こいつ)、懐に―――ぐぉおおっ!?」


「ぅわーーーっ!?」



―――しかし、負傷が決定的なものになるより前に、動きを見切った異形の巨人は身を沈め拳打を躱すと、更に半歩進み出る。

そして巨大な瞳を()()()と光らせると、掌を重ね、石造の巨人の胴体を強かに撃ち抜いた。


()()()、と雷鳴のような轟音が周囲を震わせ、両者は弾かれるようにして離れる。


コックピット内部にまで掌打のショックは届き、全身をシェイクされるような振動と共に部屋の照明が激しく明滅を繰り返した。

あまりの衝撃に眼を回すぼくを尻目に、詰襟姿の青年が鋭く叫ぶ。



「・・・()()()ッ!!?」


「軽微でごわ!しっかし、敵もさしもの、燃えてきたでごわすな・・・!!」


『くぅぅん・・・』


「―――あ!()()()()がまた来るみたい!!」



()()()、と目の錯覚を疑うような動きで、『泥艮』が再び石造の巨人へと肉薄する。

甲高く雄叫びを走らせ、今度は異形の突起だらけの肘が、脛が、()()()()()()()()()()()()()こちらに飛びかかってきた。


いち早くそれに気付いた梓が声を上げると、呼応するように()()()()()()二名もまた声を上げる。



()()ーーーッ!!」


「・・・御意にごわ!!」


『シャアアア―――ッ!!!』



戦意を滾らせ、西郷(さいごう)少年は鉤爪を捌く。


が、次第に動きについて行けなくなり、巨人の全身から身体を構成するブロックが剥離し始めた。

人類の()()とはあまりに異なる怪物の動きに、さしもの彼も対応し切れていないのだ。


―――()()()()()()()()()()()()()綿()()()()()()()()()()()()()()()()()

()()()()()()()が先刻見せた、【深きもの】の間に伝わる『()()』の動きであった。


あの古兵が、『最強』と称した()()が。

モンスターの体躯に、達人の武芸を備えた()()()()()()が。


絆の巨人へと容赦なく襲い掛かる―――!!



「ばっ、『バブルシールド』―――!!」


『・・・!!』


『ソノ技ヲ見ルノハ、コレデ()()()()()・・・』


「!?」



猛攻撃にたまらず、ぼくはコバルトブルーの水球を展開する。

『デモクラシア』の力で増幅された水の防壁は、僅かな間とはいえ体勢を立て直す時間を与えてくれる筈()()()


―――しかし、異形の巨人はどこか落ち着いた様子で、水球の前に歩み出る。

水かきのある両掌を広げ、水壁の表面を撫でるようにして、怪物は()()と掌を添える。


流れるようなその所作の美しさに、どこか目を奪われつつモニターを見る一同。

一方、異形の巨人は閉じぬ瞳に消えぬ焔を滾らせると、闘志を込めた咆哮を上げるのだった。



『教エテヤロウ・・・。()()()()()()()()()()()()()()()()()()―――!!』


「「「「う―――わぁあああああっ!!?」」」」



一瞬、怪物の身体が()()()ように見えた―――その時。

コバルトブルーに輝く水面が瞬時に波打ち、波動となって背後にある石造の巨人にまで到達した。


()()()、と特大の金槌で殴られたような衝撃が、コックピット内部の搭乗者を同時に襲う。


如何なる技法によるものか、不可視の振動波を放った『泥艮』は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

激しく揺れる室内に、4名と2匹の悲鳴が木霊する―――!!



今週はここまで。

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