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お釜大戦  作者: @FRON
第五章 ダゴン・マル・アズサ 北海の大決闘!!
203/343

∥005-79 集団戦・第九幕

#前回のあらすじ:寅吉(トラキチ)さん、龍馬(リョウマ)のこと知ってる?



[マル視点]



―――左翼側防衛ライン。


海と陸を隔てる海岸線は同時に、『深泥(ミドロ)族』の侵攻を食い止める最後の()として機能していた。

万が一、ここを破られれば本拠地までは一直線。


後にはもはや、敵を阻むものは残されていない。

だからこそ、この場へ敵が到達するのは戦の最終局面、海上に出た味方達が敗北した後。


・・・()()()、である。



「それが何で、こんな事になってるのよ!?」


『陸ダ・・・!』『水底ニオワス偉大ナル霊ヨ、我等ノ戦イヲゴ覧アレ―――!!』


「て、て、敵襲だぁーーーーっ!?」



サーチライトに白く照らし出された海原に、()()と黒い影が幾筋も走る。

それはみるみるうちに岸辺へと近づくと、海面を割って異形の戦士達が現れた。


水棲生物の特徴を持つ、異形の人類―――『深泥族』である。


海の向こうで、船団と『深泥族』が交戦する様子を、遠目に見守っていた【神候補】達。

それ故に味方が奮闘している間は敵襲は無いだろうと、そう高をくくっていただけに、左翼側戦力が破られない内に姿を表した敵は彼等に大きな衝撃をもたらしていた。


―――唐突に防衛ラインに姿を表した、『深泥族』。

彼等は果たして、何処からやってきたのか?


その答えは、()()()()()()にあった。


―――先刻。

接近する敵に対し、クラン『白き死神』のメンバーは陣地となる氷床を造り上げ、それ以て敵を迎え撃っていた。


対する『深泥族』側は、海流に干渉し陣地ごと押し流す事で、『白き死神』の策を打ち破った。

しかし、岸にまで流された氷床は、創造主であるMannerheim(マンネルヘイム)が生存していた事により、消えずにその場へ残り続けたのだ。


陸地へ到達するまでの間、死神たちの多くは氷の割目に飲み込まれ、その数を大幅に減らしていた。

だが、折り重なり複雑さを増した氷山の上に陣取り、粘り強く接近する『深泥族』に対し抵抗を続けていたのだ。


『深泥族』側は突破を困難と見て、右翼側に少数の囮を残したまま、素早く左翼側へと転身したのだった。


結果、こちら側の防衛ラインは予期せぬ敵襲に晒される事となった。

―――鬨の声を上げ、海岸線へと殺到する異形の戦士達。


それに対する【学園】側は慌てふためくばかりで、未だろくな迎撃態勢が取れていない。

万事休すか―――!?


そこへ頭上より、唐突に陽気な男の声が降ってきた。



「はっはっは!水神(ヴァルナ)の加護ぞあらん―――!!」


『!?』



()()()()()()()()()


何事かと天を振り仰いだ者達は、そこにあった()()を眼にして思わず()()()と口を開く。

よく日に焼けた20代後半程の男が、高らかに笑いながら空を飛んでいた。


その身体には、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

そして彼は体高1m程の、ミニサイズの青い体色の象に跨っていた。


マルの知己であり、【学園】北部に広大な農場を営むクラン『parivaar(パリヴァール)』の主。

Arnav(アルナブ)【神使】(ファミリア)蒼玉(ニーラム)である。



()()()()(隠喩)()()()()()(直喩)()()()()()・・・!?」


「へ・・・へ・・・()()()ーーー!!?」



空飛ぶフルチン野郎を指差し、驚愕と共に口々に叫びを上げる【神候補】達。

今まさに地上へと飛び出そうとしていた異形の戦士達も、突然の出来事に押しとどまり、水面下から()()と事の推移を見守っていた。


一方、当事者たる()()はというと。


涼しげな顔で集まる視線を受け流し、褐色のバルクを惜しげも無く夜空に晒しながら高らかに笑い声を上げている。

そして白い歯をキラリと光らせ、こう言い放つのだった。



「はっはっは!はっはっはっはっは!確かに俺は全裸だが・・・それもこれも、皆のピンチに駈けつけようと、死に物狂いで駆け付けたからなんだ・・・」


「ほ、本当に・・・!?」


「勿論・・・嘘だけどね!幻力―――招来ッ!!」


『パォォォォオン!!!』


「―――!?」



あっさりと自らの嘘を告白した褐色男は、()()()、と真っ赤な舌を出す。

そして鋭い呪言と共に()()()と掌で叩くと、跨っていた小象に変化が生じた。


名前の通り、青白い光を放つ蒼玉。


その姿が()()()と揺らぐと、小ぶりな体躯が見る見るうちに巨大化し始めた。

そして、あっという間に『泥艮』(ディゴン)にも引けを取らぬ巨体へと変じると、夜空に大音響の鳴き声を響かせた。


呆気に取られる一同の前で、そのまま海中へと降り立つ蒼玉。

地響きと共にとんでもない高さにまで水柱が上がり、降り注ぐ海水に紛れて逃げ遅れた異形の戦士達が()()()()()()()()()()()()()



「―――という訳で。クラン『parivaar(パリヴァール)』、一人と一頭が助太刀に来たよ!」


『パオォン!』



時雨のように飛沫が降りしきる中。

全裸野郎は巨体と化した蒼玉の上から振り返り、防衛ラインに居並ぶ仲間達へとまばゆい笑顔を見せる。


・・・その下には、鍛え上げられた見事なケツが二つ。

サーチライトに照らされ、()()()と艶を放つのだった―――


今週はここまで。

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