∥005-64 決着、そして次の戦いへ
#前回のあらすじ:爆発!跳躍!木端微塵!!
[孫六視点]
「うわぁぁぁぁあ!!!」
「ぐぅっ―――!?」
再び走った衝撃に、激しく振動する大地。
敷地内を避難していた職員達が一斉に悲鳴を上げ、次の瞬間に横殴りに襲ってきた衝撃波にあおられる。
ばたばたとアスファルトの上に倒れこむ職員達をよそに、孫六は衝撃の大本―――大破したトラックの荷台へと目を向けた。
大型トラックのボディは見るも無残にぺしゃんこになり、散らばったガラスの破片の上に転がっている。
たとえプレス機に掛けたとしても、鋼鉄の塊をこうまで変わり果てた姿にすることは難しいだろう。
そして、その後部。
荷台であった部分に探し物を見つけ、孫六は思わず目を見張る。
荷台の成れの果てにへばり付くようにして、つい先程叩き潰されたばかりの、メーサー砲の残骸が残されていた。
わなわなと震える声で、思わずぽつりと呟きが漏れる。
「わ、儂のメーサー砲が・・・!?」
元がなんであったのか、判別できない程に破壊された部品の端からは、黒く焦げ跡のあるコード類が数本、伸びている。
衝撃を物語るように鋼板に半ばめり込み、伸し餅のように平坦になった残骸は、明らかにもう二度と動くことは無いだろう。
施設中の電力を吸い上げ、見上げるような巨人に一度膝を付かせた雄姿は、今となってはもう見る影もない。
しかし不幸中の幸いと言うべきか、トラック周辺は無人だった為、犠牲者はゼロだ。
だが―――損害金額を考えると、思わず気が遠くなってしまう。
日本円にして数億もの金額を注ぎ、対『泥艮』兵器として用意した虎の子―――それも今は、ただの屑鉄の塊だ。
施設長は内心の憤りと無力感を込め、残骸を前に佇む巨人をキッと見上げる。
月明りの下、怪物は負傷の為か、荒く肩を上下させていた。
しかし―――すぐに面を上げると、しっかりとした足取りで施設内部を歩み始める。
「くそっ、待て―――!!」
手を上げ、慌てて追いすがる。
しかし、そもそもの歩幅が違い過ぎる故か、見る見るうちに怪物との距離は離されてゆく。
その場に取り残された男は金切声を上げると、地団駄を踏みながらあらんかぎりの罵詈雑言をまき散らすのであった―――
今週はここまで。




