∥004-L 騎士道モテモテ物語
#前回のあらすじ:ポニーにまたがった騎士!
[James視点]
「反応出ました・・・二つ先の右側、数は四!」
「某に任せるのですぞ!いざ―――フィアナ騎士団、万歳ッッ!!」
菫色の幻想的な光に照らし出された廊下を一列に並び、靴音を響かせながら進む。
等間隔に据え付けられた扉が両側に並ぶ廊下はひっそりと静まり返っており、まるで邪悪なる太古の地下遺跡にでも迷い込んでしまったかのようだ。
某はごくりと生唾を呑み込むと、ぴたりと閉じられたミントブルーの扉を玄室の石扉よろしく蹴破った。
開け放たれた戸口の隙間から差し込む光に照らされ、中に蠢くものどもの姿がぼんやりと浮かび上がる。
内壁に派手に衝突したドアが立てる音に反応したのか、彼らのおおぶりな頭部がはっとこちらへ向き直った。
その黒く大きな瞳に侵入者の姿が映る―――が、時すでに遅し。
一気呵成に突き進んだ某が振るう愛剣の錆となり、宇宙人型シングのうち一体が菫色の粒子となって霧散するのであった。
「我が名剣、Son of Lunoの切れ味を見たか・・・である!」
「ああっ、吾輩の活躍が!?」
「ちょっと!後がつかえてるんだから、コントは後にして・・・よっ!」
<< OUCH!? >>
会心の手ごたえに思わずガッツポーズを取る某、そこへ背後より叱責の声が投げかけられる。
そればかりでなく―――びょうと鋭く風切音が真横を走り抜けたかと思えば、残る宇宙人型の中でもこちらに近い位置に居た個体に光の杭が突き立っていた。
思わず振り返ると、右手を構えた少女が部屋の奥を真っすぐ睨みつけている姿が目に入る。
彼女のしなやかな右手の先には小ぶりなボウガンが据え付けられており、今しがた矢を放ったせいか台座は空になっていた。
彼女―――アンジーの眩いおへそについつい視線が吸い寄せられていると、続いて鋭く叱責の声が上がる。
はっと我に返った某が彼女が指さす方向を振り返ると―――
今まさに、生き残りの宇宙人型達が某目掛けて飛びかかって来んとするところであった。
<< SHAAAA―――!! >>
「なんと―――!?」
「そうは問屋が卸しませんよー・・・バブルシールド!!」
<< OMG!! >>
<< BOOOO!! >>
やられる!?
鋼鉄のバイザーの隙間から、至近距離にまで迫った奴らの姿を目撃してしまい、某は思わずぎゅっと両目を瞑る。
―――しかし、すぐに訪れるかと思われた衝撃は、その直後に響いた声の主により見事防がれていた。
恐る恐る目を開いた某の視界に、青く輝く特大のシャボンが飛び込んでくる。
某の前に立ちはだかるようにして現れたそれは、一見儚い外見にも関わらず宇宙人型の突進を見事受け止めていた。
前方に突き出した鉤爪をシャボンにめり込ませたまま、空中で一時静止する宇宙人型シング。
しかし次の瞬間、突進の勢いそのままに逆方向へはじき出されると、べしゃりと床に後頭部から墜落していた。
その姿に憤慨したかのように、もう一体の生き残りが両腕を振り上げる。
しかし―――その両目はすぐに驚愕に大きく見開かれるのであった。
「かーらーのー、分裂・・・レトロ潜水服アタック!!」
<< !!!?? >>
特大のシャボンが一瞬、まばゆい光を放った―――かと思えば、次の瞬間には宙に浮かぶ二つの水塊へと分裂していた。
少年の声に呼応するように、ぶるりと震えると別々の方向へすっ飛んで行く水塊。
その行き先には、地面に倒れこみぐったりと四肢を弛緩させる宇宙人型と、その後ろで地団駄を踏むもう一体が居た。
―――高速で飛来した水塊にすっぽりと頭部を覆われ、奴らはあっという間に大混乱に陥る。
「今です!身動きが取れないうちにやっちゃってください!!」
「うぬ・・・わ、わかったですぞ!・・・とぉーっ!!」
<< OOPS!? >>
興奮に頬を紅潮させ、じたばたと藻掻く宇宙人型を指さす東洋人の少年―――マル。
彼の声に背中を押され、某は愛剣を握る手に力を籠めると、掛け声とともに振り下ろすのであった―――
ちょい短いですが、今週はここまで




