7.蜥蜴の尻尾~久々にギルドに顔出したらギルドマスターにされていたので、残っていた少女とギルド再編する羽目になりました~
どうも、あっちいけだ。
久しぶりだな。一週間空けての投稿になる。それまでの投稿頻度と比べて大分待たせちまったことを、今回踏み台を差し出してきてくれていた在り処君には謝っておくよ。
ああ、在り処君にだけだ。俺は別にそれ以外の誰かの為に感想を書いてる気なんてさらっさらにねぇからな。誰がどんな感想残そうが、どんな催促のメッセージを寄こしてこようが、この日誌の筆を無理して進めるつもりなんてさらっさらにねぇ。あくまで俺のペースで読んで俺のペースで書く。
強制された本気なんて、『本気』じゃねぇだろ? 言いたいことも纏まってねぇのに、作品にもガチで向き合えていねぇのに、『本気』の感想なんて書けるわけねぇよなぁ?
っていうことだから、分かったな? 今後一切俺に催促の連絡をしてくるんじゃねぇぞ。以上だ。
ってわけで、初っ端からひじょーにどーでもいい話から入っちまった。許せ。
まあ、待たせちまったことについては本当に悪いと思ってるよ。だけどな、俺にだって自分と向き合いたい時だってあらぁな。
ってことで今後もこの日誌は不定期更新になるぞ。それこそふらっと1ヶ月くらいは更新が止まるくらいにはな。それくらいハードルを下げなきゃやってられん。
―――さて。今回は上で言いたいことを言ったからな。早速感想の方に入っていくぞ。
今回踏み台を差し出してきたのは、俺に対して『まずはてめぇの本気を見せてみろやぁ!』と先制で殴り込みをしてきた在り処君だ。
彼は前回の冒頭で語っていた、メッセージで感想を送り付けてきた刺客の1人にあたる。その内容をここでは語るつもりはねぇが、彼もなかなかに鋭いボディーブローを放ってくるぞ、気をつけろ……
とまあ、そんなわけで。在り処君がエントリーしてきた作品については以下、募集要項からの引用だ。先に目を通してくれ。
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【作品名】
蜥蜴の尻尾~久々にギルドに顔出したらギルドマスターにされていたので、残っていた少女とギルド再編する羽目になりました~
【簡易的なあらすじ】
ほぼタイトルで言いきってます。
幽霊ギルド員の主人公ニケルが久々にギルドに顔出すと、中は閑散としており一人の少女がいるだけ。
少女からギルドマスターが自分に移った事を知ったニケルと少女の成り上がりギルド譚。
【セールスポイント】
難しいものは何もなく、単純に楽しんで読んで頂けたらと思ってます。
読んでいてニヤリとしたり、心がほっこり出来る作品を目指してます。
【フックポイントの話数】
2話、3話の主人公と少女のやり取りでクスリと笑えば私の勝ちと思ってます。
後は一章(6話2万文字程度)で読み続けるかの分かれ道かと。
『悩み』
私は描写が下手です。故に話の展開が速いです。テンポがいいと言われてる迄はいいですが、そのうちに内容が薄い、状況描写が薄いと言われるでしょう。
【本気で書いているかどうか】
以前の感想にも書きましたが、「本気で書いてるか?」と問われれば答えにつまります。
ですが、「自分の作品を良くしたいか?」と問われれば間違いなく「yes」と答えます。
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引用ここまで。
さて、完全に余談となる話だがこの『蜥蜴の尻尾~久々にギルドに顔出したらギルドマスターにされていたので、残っていた少女とギルド再編する羽目になりました~』(以下、蜥蜴の尻尾)なんだがな。(名前なげぇよ…)
俺のとっておきの友人から『面白い』というお墨付きを貰っていた作品だ。実は読む前から結構期待していた。
感想欄もちらっと覗くと『こんなに面白いのに何故こんなに評価が少ないのか』とか言われていた。うむ、読む前から期待は高まるばかりだ。
さて、そんな『蜥蜴の尻尾』だが―――いつもの如く、読んでねぇ奴らの為に以下概要だ。
主人公の名前はニケル。彼は『蜥蜴の尻尾』というギルドに所属している傭兵であったが、やる気も帰属意識もだいぶ低いギルドメンバーであった。
熱血なギルマスからは『毎日顔を出せよ!』と言われるものの、言われれば言われるだけやる気が削がれる。ギルドに顔を出すのも週に1回、月に1回、やがてはずっとギルドに顔を出さず、のんびりと日々を過ごしていた。
そうして3カ月ほどギルドに顔を出していなかったある日、特に用事もないのにふらっと寄って入ったギルドハウス。いつもであれば活気づいているはずのそこには誰もいない―――ただ1人、見覚えのない銀髪の少女を除いては。
「マスター、待っていたッス!!」
その少女はなぜかニケルを指してマスターと呼ぶ。はて、なんのことだかさっぱりだ。ニケルがわけを聞くと、彼を除いた全員(ギルマス含め)がギルドを辞めてしまっており、ギルドマスターの権限がニケルに譲渡されていることが知らされる。
冗談じゃない。ギルドマスターだなんて面倒なこと誰がするか。ニケルはギルドを解散させようとする―――が、色んな陰謀と少女の懇願も相まって、結局はギルドマスターを続けていくことになってしまう。
そして正式にギルドマスターとなった彼に知らされることになる、驚愕の事実―――なんと、このギルドには途方もない額の借金が課せられていたのだった……
「一体どうなってんだぁー!!?」
ニケルの魂の叫びが虚しく響く。しかし最早どうにもならない。彼には腹をくくって借金を返していくしか道がないのだ。
無気力だけどべらぼうに強い主人公と、名前からして嫌な予感しかしなかったギルド『蜥蜴の尻尾』。そこに続々と集まってくる個性豊かな仲間たちが織り成すドタバタコメディ。
彼らが歩む道に平和はないっ! あるのは騒動、そして笑い!
日がな一日ぐーたらしていたい主人公は、再び平穏な生活を取り戻すことが出来るのか?! 王道ファンタジー路線でギャグを往く、抱腹絶倒の騒動を見逃すな!
―――ああ、うん。すまねぇ、コメディ作品ってなかなか概要を書くのが難しいな。
まあ、フィーリングで感じ取ってくれ。この作品、概要読むより本編読んでくれた方が百倍は楽しめると思うからよ―――おっと、ちょっと感想が先走っちまったな。許せ。
さて、ここから感想に移っていくぜ。まずは良いところから語っていこう。
まず、魅力的なキャラクター達。
この作品、最新話である42話(13万文字ほど)まで読んだんだが主たるストーリーめいたものはない。基本的には1章あたりに仲間や友人が増えていって、その増えたキャラをメインに立ててキャラクター性を披露していく構成なんだがよ。
とにかくキャラの幅が広い。(以下、ネタバレ?注意)
無気力な主人公から始まり、トラブルメーカーのロリっ子、世話焼き暴力娘、怪我で傭兵を引退した凄腕料理人(味音痴)、料理の腕は天下無双だが腕っぷしはからっきしの傭兵志望、マイペース腹黒、主人公にべた惚れな褐色女性(剣)、オラオラ系ワンコ。
キャラの濃さとは言わねぇ。広さがやばい。そいつらを御しながらキャラの魅力を現実感ある形で紹介していき、且つコメディも織り交ぜていく在り処君のセンスに脱帽よ。
しかもこういうコメディ小説にありがちな、キャラがコメディの為の舞台装置になってしまうというものが、この作品からは感じない。きちんと小説の中でキャラが生き生きとしていて、『コメディにさせるためにキャラを動かしている』のではなく、『キャラが動いた結果、コメディが発生してしまっている』という描き方になっている。
大変に素晴らしい。これはひとえに、在り処君が人物描写に力を入れた結果であると思っている。素晴らしいぞ、在り処君。称賛に値する。
次に、コメディのテンポの良さだ。
こればっかりはここでは語りづらい。実際に見に行って確認してきてくれた方が早いだろう。
俺のおすすめは1~2話の主人公とヒロインとのやり取りだ。このシーン、奴らにはコメディをやっている自覚はないんだろうが読者からするとコメディそのものだ。特に主人公の内面における突っ込みが非常に面白い。
笑いのツボは人それぞれだろうがな。俺は1話の『こいつワザと言ってるだろ?』の部分で完全に引っかけられた。ああ、このテンポの良さは主人公の『そのキャラらしさ』と相まって、非常に良い。素晴らしいぞ、在り処君。
そして最後に、ストーリーが邪魔をしていないことだ。
この作品、さっきも言ったがストーリー性に重きを置いていない。つまりはキャラ小説。キャラを深堀りする為に世界観やらストーリーがある。(多分な。俺が読んだ感じだとそう思ったってことだ)
こういったキャラ小説だと、あまりストーリー性に重きを置いてしまうと読者にとってのストレスになってしまったり、逆に全くストーリー性がないと飽きてしまったりする。刺身におけるタンポポ的な存在感が、ストーリーや世界観に求められてくるわけだ。
それを見るとこの作品、主人公たちがドタバタする傍らにちらっ、ちらっと見せつけてくる世界設定やら過去話なんかがある。しかもそれが、主人公たち(読者が興味を持った対象)に関する話題であるからして、『お、今後はそういった方向でもキャラの深掘りがされていくのか』という読者側の安心感と期待感に繋がる。
つまりは、読者が在り処君の手によって完全に餌付けされているのだ。『キャラの魅力』という餌が振りまかれ、読者は口を開けてついていく。その構図が見事に成り立っている。
『非常に美味い。もっと寄こせ』とばかりに読者は次の話へと読み進めていき―――そして続きには飽きが来ないようにどんどんとキャラが増やされていき、しかも増えた中でも埋もれていかない各キャラの魅力があり、むしろそれはキャラが増えるごとに化学反応を起こすように広がっていく。
ああ、非常に素晴らしい作品と出会えた。これは褒め称えるだけで感想を終えてしまう作品になるだろうと俺は―――思っていた。
……ただ、読み終えた時の俺は、思ってしまったんだ。
あれ、この作品。8点以上上げられるほどに、面白かっただろうかと……
さて、在り処君。ここから先の感想はいつもと違う。
俺でさえも何故こんな感想になってしまったか分からず、悶々と悩み抜いた上で出した結論であり、それすらももしかしたら間違いだらけかもしれない。後になって『やっぱり間違いだった! あの感想は取り消す!』と言ってしまうかもしれない。そんな微妙な内容になっている。
それでもこれはお前の作品と向き合って、俺が一週間くらい悩みに悩んだ末に導き出した、現時点での結論だ。どうか、聞いてやって欲しい。
そしていつもの通りだ。真に受けるかどうかはお前に任せる。いいな?
―――よし。それなら始めるぞ。
さて、俺は42話分(タイトル準拠であれば39話)までを楽しんで読み切ったはずだ。それでも、いまいち釈然としない気持ちとなってしまった。
胸を去来する声は多い。
この作品は果たして本当にそこまで面白かっただろうか?
手放しで称賛できるような素晴らしい作品だっただろうか?
何度も何度も読みたくなるような作品だっただろうか?
―――そうではない、気がする。
いったい何が引っかかっているのか。
クオリティーが高いのは間違いないはずなのに。
何がそんなに俺の心をモヤモヤさせるのか。
気にならないところがないと言えば嘘になる。
だがそれを突っ込む気になれないのはなぜなんだ?
いつものように、自信をもって『そうじゃないだろ!』と言えないのはなぜだ?
これがコメディだからか? コメディだから細かいところに突っ込むのはお門違いだと俺自身が思ってしまっているのか?
いや、コメディだからじゃない。何か、何かが違う気がする―――
悶々と悩み抜いた末―――俺はようやく1つ、残酷な答えを導き出した。
この作品、1章で終わっといた方が良くね…?
さあ、どういうことかというとだな。
この作品、第1章は主人公が『蜥蜴の尻尾』の正式なギルマスになって借金を抱え込むところで幕を閉じている。そこに至るまでのテンポ、キャラ同士の掛け合い、主人公のツッコミ、それらはすべてが高水準に揃っており、合計2万文字程度で収まる話なんだが非常にレベルの高い話だった。
もし仮にこの1章だけで終わる短編作品であれば、括りが短編となってしまって他の作品との公平な比較にはならないが9点くらいは叩き出せただろう。それくらいに、素晴らしい作品だった。
ただ、それは勢い重視の構成。世界観だったり設定だったりは無視。フィーリングで感じやがれと言わんばかりに色々な情報と置き去りにしながら突き進むそれは、まさしく短編コメディの造形。故に、長編小説である本作は2章から大きく方向性を変えることになっている。
2章以降はどちらかというとテンポを崩して、世界観を掘っていったり暗躍する人たちが出てきたりと、コメディ特化の作品ではなく、キャラ小説へと徐々にシフトしていく。
いや、この方向転換自体はありなんだ。序盤の掴みをコメディ色多めにして、キャラの深掘りを後から加えていくというのはまったくもっての王道。その手法には何ら文句はない。
だが、果たして俺は疑問に思った。この作品、確かにキャラはどんどんと増えていくが……深化という意味での深掘りは出来ているだろうか?
……否、キャラに奥行きを感じない。
そうだ、在り処君。本作に出てくるキャラは生き生きとはしているが、生きてはいないんだ。
……非常に細かい話をしている自覚はあるが、とりあえず俺の話を聞いてくれると助かる。
この作品、前の方で長所として『キャラの幅が広い』と言ったよな? そう、それは間違いねぇ。だけど、深みを感じねぇんだ。
何かこう、感情移入できる場面がねぇんだよな。キャラの方へ心を近づいていくシーンが無い。
唯一、感動できそうなシーンはグランツさんの義手義足の場面か? あれもグランツさんがそれまでどれだけ苦労してきたかとかの描写がねぇから感情移入のしようがない。あー治ったの、よかったね、くらいで済んじまう。
そう、キャラがとっても魅力的なのにそこへ感情移入できない。全部が台本の上のお話なんだ。『あっ、こいつこんなことも考えるんだ』とか、『こんな一面もあるんだなぁ』とかっていうのが全くない。全て、キャラクター性の上で成り立っている。極端な話を言えば、『こいつはツンデレだからツンかデレしかない』みたいな感じだな。
キャラ小説なのにキャラが生きていない。すげぇ極端な言い方をしちまうと、『トラブルメーカーとはこんなキャラです』、『暴力女とはこんなキャラです』といった属性説明書を読んでるみてぇな感じだ。そこから紐づくそのキャラ『らしさ』を超える、『そいつ自身』を見せて欲しいと俺は思ってしまったんだ。
俺は一周目を読んだ時に、『キャラが生き生きとしている』ことに目が誤魔化されて『生きている』と誤解してしまっていた。ただ、本音のところは違っていた。だからこそ面白かったと思えど『これってそこまで手放しに褒めるほど面白い作品なのか?』と疑問にも思ってしまったわけだ。
キャラは増えていって化学反応は起きた。ただ、それは平面上での広がりに過ぎない。
奥行きが欲しい。『あー、良かったね』で済ませるのではなく、『あぁっ、良い話だなぁっ!!』ってこっちの心の底から思わせて欲しい。
ああ、言っとくがな、別に泣くような感動を求めてるわけじゃねぇぞ? ギルメン同士が仲良くなって和気あいあいと過ごす中に、一歩、それまでよりも踏み込んだ人間関係が見えてこればそれでいいんだ。今じゃなんかなぁ、上っ面だけのギルド仲間みたいに見えちまう。それだけじゃ、俺は物足りねぇと思っちまったんだ。
……とはいえ、反論の声として予想されるのが『この小説はキャラ萌え小説なので深堀りなんていらんのです! パトリシアやティルテュに萌えてくれたらそれでいいんです!』って言われたらそこまでなんだけどよ。
ああ、ただ俺は『蜥蜴の尻尾』を読んでいて、恐らくそういったキャラの深掘りまでしてくれる作品だって期待しちまったから、こういう感想を抱いただけなんだ。
―――話が想定していたところから大分ずれちまった。話を一旦戻すぞ。
さて、俺がこの『蜥蜴の尻尾』を1章完結でよかったんじゃないかと思った理由。上で述べてきた『その後の展開でキャラの深掘りがない』というのが1つ。
もう1つが『コメディ色の薄まり』だ。
1章ではもう存分にコメディ要素が炸裂している。非常に面白い。
2章でも、序盤パトリシアと2人きりの時には1章から継続されたコメディ要素がある。ここも面白い。
……だがその後だ。他キャラが登場してくるとキャラ小説へ寄って行った弊害でコメディ色が段々と薄まっていく。さらに言うと主人公のツッコミも頻度が落ちてくる。そしてそれらは緩やかな変化であり、読者である俺もその変化に気づかず3章までを読み切ってしまう。
ところが4章だ。まずは野盗のくだり、あれは正直滑っていると思った。前後の話でコメディを挟めないから無理やりコメディタッチにしたのかもしれないがな、くすりとも笑えなかった。ああ、無理やり作者が笑いどころを用意してきたんだなぁって冷めた目で見てしまったよ。
あとはハマウンドに到着して以降だな。在り処君、あそこだけ話が異質だ。冗談抜きで、俺はいつの間に賢〇の孫を読みに来てしまったんだろうと思ったよ。
コメディ色は完全になくなり。
魅力的なキャラであるギルド員とは別行動をとり始め。
ポッと出のお偉いおっさんに力を認められて仲良くなって。
仲良くなったよしみで偉い会議に出席させてもらったら。
主人公が解決策をぽんと差し出して。
あれよあれよと主人公が無双をして。
はい、解決。
うん、無味だな。あそこの部分ではこの作品のセールスポイントである笑いもなければ、キャラの魅力も全く引き出せていない。ただ、主人公がマンセーされるだけのどーでもいい回だ。
もちろん、そういった作品が受けがいいのは知っている。そういった作品を読む層を取り入れるのもいいだろう。
だが、それでもこの作品の本質であるコメディ要素かキャラの深掘り要素くらいねじ込めよ。ああ、きちんと『質の高い』って条件を付け加えさせてもらうがな。
というわけでな、在り処君。
2章以降では
『キャラ小説として見てもキャラの深掘りが出来ていなくて不合格だし』
『コメディ作品として見てもコメディ色が段々薄まっていくから不合格だし』
……これって1章だけで完結していた方がクオリティー高かったんじゃね?って思ってしまったのが俺の正直な感想だ。
(もっと言うと、1章完結の短編としてあげようとしていたが思ったより好評で長編に切り替えたんじゃないかってくらい、1章単独の出来が良かったんだ)
だが、さっきも言った通りこれにはいろんな反論が出来る。『単純なキャラ萌え小説です!』って言いきるのであればどうぞ。『主人公が無双する小説を書きたいだけだからこれでいいんだ!』って言いきるのであればどうぞ。その方向性であれば間違いなく書けていると俺は思う。
ただ、俺はお前の作品を読んでな。『キャラクターに感情移入しながら読めるコメディ作品』という至宝を夢見てしまった。それだけなんだ。
在り処君。お前の作品は素晴らしい―――素晴らしく期待させてもらえる作品だった。
最後に感情グラフを出して、俺の感想を終了とさせてもらう。
【PC版】
【スマホ版】(レイアウト崩れ注意)
3章(19話+閑話)までは素晴らしい夢を見させてもらったよ。ありがとう。
さて、最後に寄せられているお悩みに応えて〆としよう。
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『悩み』:私は描写が下手です。故に話の展開が速いです。テンポがいいと言われてる迄はいいですが、そのうちに内容が薄い、状況描写が薄いと言われるでしょう。
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まず、この『蜥蜴の尻尾』に関してのみ言わせてもらうと、逆に語りすぎな部分もあるくらいだ。もっと思い切って戦闘描写とかは削ってもいいだろう。削れるだけの主人公の強さがあるし、そっちの方がテンポが良くなる。
あくまで俺視点で言えば、この作品の主はコメディorキャラだ。戦闘や情景なんぞつらつら語られても読み飛ばされるだけだ。
よって、もっと気楽に行っちまえ、ニケルみたいにな。
―――それとは別に、もう1個。
お前の他の作品、いくつかチラ見させてもらったよ。
地力がない。『蜥蜴の尻尾』ではニケルの性格に助けられているが表現力がまだまだ足りないと思った。
3つ前に紹介したボンクラ君の『畢罪の花』、あるよな? あれは今まで紹介した作品の中で最も描写力の高い作品だ。読んでみると良い。
そして三人称視点の小説をガチで一回書いてみろ。一人称は主人公が見た、触った、感じた、考えたものしか書けない。逆に言うとそれ以外は書かなくても話を進められる。
三人称はそうはいかない。キャラクターの話し言葉に甘えることは許されない、あくまで作者の表現力のみが試される。
三人称小説の、しかも話し言葉少な目の作品―――ああ、つまりはまんま『畢罪の花』みたいな作品だな。薄味台詞で読者に情感を連想させつつ、地の文で客観的に心情を表現していく、世界観を語っていく。
それを書き切れば、きっと今まで以上に色んなものが書けるようになるし見えてくる。一人称しか書けないっていうのと、一人称も書けるっていうのは、作者にとっては大きな違いなんだ。
くれぐれも、いくら三人称だからって会話文多めの地の文がちょろっとみたいなのは書いてくれるな。それでは練習にならんからな。
きっとなろうでは全く受けないだろうが、もし一皮むけようと思うのなら、そういう練習もありだと割り切って試してみると良い。頑張ってみるだけの価値はあると思う。
ああ、そうだ。最後に在り処君。完全なる余談になるが。
実は俺の知り合いが作っている作品で、お前と似たような方向性の作品を作ろうとして、違うしくじり方をしているものがある。彼の方はテンポの悪さでしくじり、お前の方はキャラクターを掘るのにしくじっているように、俺は思っている。
実はその知り合いに対してはお前の作品、参考にしたらいいかもよと薦めてある。逆に彼の作品をお前が読めば、何かヒントになるものがあるかもしれないと思っている。
もしその作品を読んでみたいと思うのなら何らかの方法で連絡をくれ。紹介しよう。
(あくまで在り処君にだけだ。他の奴らがなんて言ってこようが応えるつもりはねぇ。そのつもりでいろ)
さて、最後に恒例の2つを言って終わるぞ。
※ここで書かれている内容は全て個人的な意見であり、真に受けるかどうかは読み手に任せる。無視するも反論するもナニクソと思うも好きにしろ。
【作品名】蜥蜴の尻尾~久々にギルドに顔出したらギルドマスターにされていたので、残っていた少女とギルド再編する羽目になりました~
【URL】https://ncode.syosetu.com/n8456fc/
【評価】6.5点
さて、次は裏仕事野郎の出番だな。
くそったれ!!