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4.畢罪の花 ~ひつざいのはな~

 


 どうも、あっちいけだ。


 いやぁ、前回俺の睡眠時間について書いたところ、予想外に多くの身体の心配をしてくれるコメントをメッセージやら活動報告で頂戴しちまった。


 ただ、俺のことなら心配すんな。逆に昨日と一昨日は10時間くらい寝ちまったからよ、充填完了だ。

 そうやって俺は勝手に息抜きしてっから、まあ、なんだ。無駄に心配かけさせちまってすまなかったな。俺は今日も元気だぜ。




 さて、今日も感想に入る前にどーでもいい小話を挟んでいくぞ。本題との関係性については(以下略


(っていうか本音を言うとだな……お前ら、よくもまあ次に読む作品に合わせたような話題を作ってくれるよな。俺としては導入に困らないからいいんだけどよ)


 さあ、今回は俺の好みについて話をしてやろう。


 なんでかっていうとだな。この日誌の活動について語ってくれているお気にユーザーの活動報告。それを流し読みしていた中でふと目に入ったコメントで『あっちいけさんの好みが分かってからエントリーするかどうか悩もうかな』(意訳)みたいなものがあったんだよ。


 ……ああ、もしそんなことで悩んで踏ん切りつかねぇ奴がまだいるならな。この際ここで言っておく。


 俺は好みによって点数を増減させるつもりはねぇし、斬る斬らないを選ぶつもりもねぇ。まあ、あくまでつもりだからな? 面白さのポイントとかに好みを全く反映させない!と断言はしねぇ。


 ただ、俺が見ているつもりなのはその作品の完成度だ。本気でぶち当たって作られた作品を読んで、俺がお前の素晴らしいところ、足りていないと思うところを全てぶちまけてやる。そういうつもりでこの企画を立ち上げてるから、お前らの方から俺の好みに合わせてくる必要はねぇ。


 何なら、今のところ読んだ作品は全部俺の好みじゃねぇよ。的外れだよ、普段だったら読みもしねぇ作品ばっかだよ。


 それでも俺はその作品が狙っているターゲット層になりきったつもりで読んで、ターゲット層の読者がその作品を読んだ時にどう思うかを必死に汲み取って感想を書いているつもりだ。だから募集要項のセールスポイントで『どういう人に楽しんでほしいか?』を書いてもらうようにしてるだろ?


 まあ、その意図が分からず書いてきている奴もいるがな。そこはそれ、俺の伝え方が悪かったと反省している。


 というわけでな、お前ら。俺はどんなジャンルであろうと読んでやるし手も緩めねぇ。だから安心してどんどん応募してこい。


 そして一方でな、どれだけボッコボコに殴られても『あっちいけさんは俺が求めているターゲットじゃないからこんな酷いことを言ってくるんだな…』って言い訳するつもりの奴らな。(幸いなことに今のところいねぇがな)


 お前らにそんな逃げ道は用意してやらねぇよ。俺はそのターゲット層になりきって、『いや、ターゲット層から見ても明らかにダメやん…』ってなところをバシバシぶった切っているつもりだし、これからもそうしていくつもりだ。

 もちろん、それが『俺の超個人的な意見』であることに変わりねぇ。だからさっきから『つもり』っていう言葉を連発している。


 まあ行きつくところ、俺の意見に対してどう向き合うかは受け取ったお前ら自身が決めなってこった。


 さて。こんだけ言えばもう俺の好みに合わせて応募しようだなんて腑抜けたこと言う奴らはいなくなっただろう?


 それでももし、やっぱり俺の好みが気になるって奴はな―――


 俺の作品を読め!! 以上だ。










 さて、待たせたな。ここから感想に移っていくぜ。


 今回、丁寧口調の裏に『踏み台にされてなるものか!』という反骨心を見せながら、それでも踏み台を差し出してきたのは『八刀皿ヤトウザラ 日音クサノネ』君だ。


 すげぇ名前だな。と思ったら某所で答えを聞くことが出来た。どうやら自身を『盆暗ぼんくら』であると思ってのことらしい。


 ってなわけで、ここでの君の名前はボンクラ君で決定な! 不満があれば感想欄で大いに暴れてくれ。


 と、話がそれちまったが以下、募集要項からの引用だ。先に目を通してくれ。



 ――――――――――――――――――――――――


【作品名】

 畢罪の花 ~ひつざいのはな~


【あらすじ】

 遙か未来。『不死となった』全人類十万が生きる都市を舞台に、未だ不死でない兄妹が、『死があるからこその生』を追い求める。そしてそれを護る黒衣の男と、不死の源たる少女――千年前より紡がれる、彼らの縁の物語。


【セールスポイント】

 はっきり言って、文章量的にも内容的にも軽くはないです。……が、『不老不死と生』そして『親と子』というテーマに少しでも共感いただけたなら、最後にはそれに見合う感動はお届け出来ると思います。


【フックポイント】

 出落ちと言われてしまえばそれまでかも知れませんが、あらすじにもある設定そのものが最初のフックでしょうか。『人類すべてが不老不死』――それはどういうものか、それをどういう話にするのか。そこにまず興味をもってもらえれば、と。


【本気度】

 最新作というわけではないですが、ここに投稿するまでにも、改稿に改稿を重ねた作品です。もちろん、それでもまだ、直す余地はいくらでもあると考えていますが。

 一応、プロを獲りにいった作品であり、かつて初稿の際には、講談社のメフィスト賞で上位の評価をもらいました。それを、さらに時間をかけて研ぎ澄ませたと自負しています。

 真剣に読んでいただければ、(個人の好みはともかく)それだけのものをお返し出来る作品のはずです。それぐらいの本気度は込めてあります。


 ――――――――――――――――――――――――



 引用ここまで。







 さて、今回も訳あって感情グラフを後回しさせてもらう。


 っていうか思ったんだよ。本来あのグラフの出現位置って概要説明した後こそ正しいんじゃねぇかってな。


 だから今後、感想の構成は『概要説明⇒グラフ⇒本気の感想⇒悩み相談』という流れにする。特に誰も気にしねぇかもしれないが一応の事務連絡だ。





 よーし、じゃあ早速。読んでねぇ奴らの為にこの『畢罪の花 ~ひつざいのはな~』(以下、畢罪)の概要を説明していくぞ。




 主人公は双子の兄妹ノアとナビア。彼らは不老不死が当たり前となった世界において、数百年ぶりに生まれた新たな命であった。


 不老不死を象徴する一輪の花『不凋花アマランス』。それを身に宿し、すべての民へ不老不死の加護を与えている少女『春咲姫フローラ』は、新たに生まれた彼らを歓迎し、加護を与えられる歳になるまで大切に大切に、まるで子を慈しみ母のように愛情豊かに育てた。


 ところが、兄妹は祝福を受ける間際にフローラのもとから姿を消す。『死』を持ったまま何処かに消えた兄妹の身を案じ、フローラを頂点とする組織『花冠院ガーランド』は兄妹を連れ戻そうと特殊部隊『枝裁鋏シアーズ』を送り込む。


 策を弄し逃げる兄妹であったが、所詮は子供。とうとう追いつめられる。追手である彼ら枝裁鋏は兄妹に『不老不死』を与える為、その身から死を遠ざける為、穏やかに救いの手を指し伸ばす。


「その二人から離れろ」


 だがその時、制止の声が小さく響く。


 突如現れた、黒い僧服を纏いし宣教師然とした男。彼は瞬く間に追手を殺し、兄妹の前に立つ。


「アンタ…何者なんだ? なんで俺たちを助ける?」


 ノアは尋ねる。この世で『死』を持つ者は許されざることであった。故に彼ら兄妹に味方する者はいないはずであった。


 しかし男は問いに答えず。先ほど殺したはずの枝裁鋏の遺体が起き上がるのを見て顔を歪める。


 馬鹿な、何故死なない…驚愕のあまり漏れ出た言葉を聞きつけ、ノアは答える。


「何言ってるんだよ? 人間が死ぬわけないだろ?」


 この話は『不死と生』、『親と子』。それらを軸に紡がれる、懸命に『生きる(しぬ)』ための物語である―――









 おう、またもや怒られそうなレビューになっちまった。


 とりあえず読んでねぇ奴ら。いつものごとく上のは俺が読了後に『こんな話だった気がする』という雰囲気で書いているもんだから鵜呑みにしてくれるなよ? 鵜呑みにされたら俺がボンクラ君に怒られちまう。








 さて、このままの流れで次に、『畢罪』の良いところについて語っていこうか。


 まず描写が丁寧だ。地の文の作り、設定の練り方が尋常じゃねぇ。なるほど、そういう世界もあるかもしれんなって思わせる雰囲気づくりが徹底されている。


 なんだろうな、少女漫画の王道ファンタジー世界っぽいとでも言えばいいんだろうか。清廉さと荘厳さを兼ね備えた美しき中世。よくなろうでありがちな『中世ヨーロッパ風だ』とかいう無味な描写で表現される世界とは一線を画していた。

 非常に上質な、洗練された描き方だったな。


 そして心理描写。この作品は一応主人公がノアとナビアっていう兄妹(というかメインはノアか?)なんだけどよ、こいつらがあまり主人公主人公していなくてだな。


 さっきのあらすじの中で出てきた宣教師っぽい男―――彼の名前をカインって言うんだが、彼だったり敵方頭のフローラだったり、その配下だったり。もう色んな奴らの視点に飛びまくってそれぞれの思いだったり思惑だったりが語られる。


 視点変更が多い作品はそれだけストレスがかかりやすいもんだが、この作品は極めてタイミング良く視点変更が行われている。話の切れ目だったり、もうそろそろこっちの動きも気になるぞって時に切り替わる。

 そもそも誰が主語であるのか明示されていないまま始まる話もあるが、それも『誰の視点なんだろうな?』って考えさせられて、個人的にはオツで高評価だ。


 そしてこの作品の最大のポイントなんだが、『価値観の描写』。これがえぐい。


 この世界では3種類の人間が生きていてな。

 ・人間が不老不死になって当たり前の世になってから生まれた『新史生まれ』。

 ・逆に人間が死ぬのが当たり前だった頃を生きていてそこから不老不死になった『旧史生まれ』。

 ・そして新史に生まれながらも未だ不老不死を与えられていない『ノアとナビア』。


 それぞれが『死』に対して抱いている感情がもう滅茶苦茶に違う。俺がはっとさせられたのは『新史生まれ』の奴らの死生観だ。こいつらの心理描写は真に迫っている。現実にはあり得ない価値観をボンクラ君はよく掴み、よく表現している。


 思想の根幹が違う奴らが物語上でぶつかり合う様は、どう生きるのか、またはどう死ぬのか。死ぬとは、生きるとは、遺すとは、遺されるとはどういうことなのかという強いメッセージ性を物語の合間であちこちに埋め込み、感動と読後感の種を読者の心の中に植え付けていく。


 そして最後にふわっと花開くように、読者の心に感動という名の一輪の花を咲かせて物語を終える―――うん、素晴らしい物語だった。


 それと上で語ってきたことから分かるようにこの作品、メッセージ性の強さや重さ、それに伴う文の重さからして滅茶苦茶に人を選ぶ。特になろうのサイト内ではな。


 すらすらっと読んで物語の展開だけを追っていきたい奴らは初っ端1話目で脱落してくだろう。流し読みに全く適していない重厚な描写と薄味な台詞回しが読者の集中力を試してくる。


 だからな、この作品。『そういった作品だ』という思いで見なけりゃやられる。ああ、ちなみにこれは貶してねぇからな? 誉め言葉だ。


 徹底的に読者のターゲットを絞りつくし、そこへ狙いすました文章構造。これは自分に自信がねぇとやれない方法だ。


 道行く多くの通行人は見逃し、捉えた獲物だけを一刀両断に仕留める。そんな侍魂にも似た気迫を感じる作品だった。











 ―――さて。


 今日はまず、お前らに先に断っておくよ。


 お前らはさ、今回も俺が口汚く感想を言っていくと思ってんだろ? 不愉快だとか、ふざけてんのかとか、俺がぼっこぼこに作者の顔を殴るのを期待して来たんだろう?


 言っとくがな、俺の口が悪くなるのは作品の質を貶める行為があった時だけだ。今回でいうとこの『畢罪』、それほど作品の質を落とす要素はなかった。


 それにほら、すごーく丁寧に書かれているからよ。それを乱暴に殴りに行くのってなんか心苦しいってか気が削がれるってか……な? 分かってくれんだろ?


 ってことでよ。今日の俺は非常に心穏やかに感想を書ける。そんな気がする。


 というわけでボンクラ君。殴りはせんが、今からめっためたにぶった切っていくから覚悟しろよ?









 さてこの作品、ボンクラ君曰く公募に出したそうだから、それはそれは力が入っている。誤字もなけりゃ明らかな設定矛盾、心の動きの不自然さなんてものもなかった。


 『小説を書く時の作法』という面で言えば満点さ。おめでとう、ボンクラ君。君は俺から満点を受け取った初めての人だ。


 だがな。


 お前の作品はすこーしばかり読者を馬鹿にしている。どういうことかって?


 まあ、とりあえずはいつものグラフ。ここで出しておくか。ほらよ。



【PC版】


挿絵(By みてみん)



【スマホ版】(レイアウト崩れ注意)


挿絵(By みてみん)



 ほい、出したぞ。


 ちなみにこの『畢罪』な、俺は最終話まで読破した。22万文字くらいか? まあ2日で読み切ったよ。


 本当は10万文字近辺で切ろうと思ってたんだが、あともうちょいだからいいかって思ってついつい最後まで読んじまった。まあ、10万も20万も誤差の範囲内ってことで許せ。


 ああ、そうだ。ちなみに今回の感想は『畢罪』を読んでねぇやつにはチンプンカンプンな内容になっているが許してくれ。この作品、わりとネタバレされると面白くなくなる要素が多い。だからここではかなり焦点ぼかしたような感想しか書かねぇ。


 つまりこの感想はボンクラ君だけに宛てていると思ってくれていい。それでも感想を読むお前ら。感じ取ってくれ、フィーリングで。






 よーし、それじゃあボンクラ君。お前の作品の欠点を言っていくぞ?


 まずな、『退屈』。この『畢罪』、物語の展開にメリハリがなさすぎなんだよ。


 ああ、いや待て。この言い方だと『この話はテーマ性を重視したものなので展開のメリハリを求められているのならどうぞ他の方の転生ものでも読んで下さい』と言われかねねぇな。違うぞ、ボンクラ君。そういうことを言ってるんじゃあない。


 なんて言えばいいか…うまく伝わるかどうか分からんが、俺が感じたことを素直に言うぞ?


 この作品、小説という形態を取る必要性ないんじゃね? と思ったんだ。


 この話を読んでいるとな、なんかキリスト教の聖書だったり、あるいは子供向けの童話だったり、そんなものを読んでいる気分になったんだよ。


 ある意味、メッセージ性を重視してるんだったらそう俺が受け取ってしまうのも納得できてしまうかもしれんが、なんかなぁ。もっと短く済む話をこてこての描写と心理描写くっつけて無理やり小説にしてみました!みたいな風に感じてしまったんだよな。


 ちなみに、こう思ってしまったのは主に前半部分な。後半(俺的にはナビアが倒れたところくらい)からはきちんと小説してるなぁと思った。


 恐らくだが、前半では心理描写も特に深入りしているものがなくて、敵にしろ味方にしろそれぞれ登場人物が『小説の中での自分の役割』に忠実に動いているようにしか見えなかったからそう思ってしまったのかもしれん。登場人物全てが、テーマ性というメッセージを伝える為だけに動いている、みたいな。


 俺、普段はそういう作者の意図めいたものって大嫌いなんだけどさ。そういう作品もありだと思って読んでいたよ。いっそすがすがしいまでに人物には演者になってもらって感情に注目させず、監督(作者)が伝えたいメッセージ性だけに注目してもらうっていう手法。うん、全然あり。


 だがな、それにしてはこの作品。中途半端に物語性というか『小説らしさ』みたいなもんがあるもんだから「おや?」って思っちまった。ノアの天才設定だったり、ナビアの料理だったり、街の風景描写だったり。


 ある場面ではメッセージ性重視、ある場面では物語性重視みたいに二分されているから、どちらかというと素では展開を追いたい勢である俺はメッセージ性重視回を『退屈だなぁ』と思ってしまったのかもしれん。


 それがまず欠点と思われる1つ目だ。






 そんで2つ目。『説明しすぎ』。


 これは別に描写が細かすぎとか丁寧すぎって言ってるわけじゃねぇぞ? てめぇがターゲットとして想定している読者には必要のないところまで説明しちまっていて、読者が興ざめしちまうんじゃないかって思ったところだ。


 例えばな。ナビアが倒れてノアが看病してるシーン。あそこではナビアの心情⇒ノアの心情って移っていくよな?


 あそこのナビアの心情はマジで良かった。あそこからだな、俺がこの作品を童話じゃなくて小説だと思い始めたのは。なんだ、こいつ作品の中でちゃんと生きてんじゃんって思ったよ。


 ただな、その後のノアのシーン。「今思えば信念に付いてきたのはお前が俺に、じゃなくて…俺がお前に、だったのかもな」って言うセリフあるじゃん?


 あれ、なぁ……! そこまではっきりと言わなくてもよかったと思うんだよ、俺は!


 この作品、ここまで読み進める奴は相当の胆力と集中力と読解力を持っている奴だと思う。きっとこのなろうで飼いならされた有象無象ではなく、きちっとした文学青年淑女だと思う。


 そいつらは多分な、このセリフがなくても「あれ、もしかして不老不死から逃げているのってノアが主だと思っていたけど、根幹の部分ではナビアの方が主なのか?」って察すると思うんだ。


 いや、ふと思った推測が当たってましたと本編で答え合わせしてくれるのは嬉しい。だけどそこでそこまで明確に答えを言われてしまうとなんか興ざめなんだよなぁ。例えるなら、俺が上で褒めていた描写で、ひたすらに綺麗で荘厳な風景描写があった後に『ようするに中世ヨーロッパ風の世界だった』って描かれるくらいに、肩透かしだったよ。

 その後の「えらそうなこと言っておきながら、俺なんてまだ……」のセリフだけで、『ナビアの思いがあったからこそ外へ飛び出して行ったんだとここでノアが気づいた』というニュアンス伝わらね?って思った。


 あー! くそ面倒くせぇことばっか言ってすまんな!


 ようするにだ、お前は想定ターゲットを少し馬鹿にしている。最初の1話2話でふるい落としてやった有象無象とは、こちとら地力が違うんだぞ? こういう時にこそもう少し文学的優越感に浸れる表現や描写にしてやれよ!ってのが正直な感想だ。ほとんどの場面ではこういった、それとなく読者に伝える表現が出来ているのに、非常に勿体ないことだ。


 あとな。これまた場面は変わるが31話。これは酷かったぞ?


 お前、『終盤だから色々と伏線回収しとかなきゃ!』なのか『今後設定語れるタイミングなくなるから辻褄合わせは今のうちに全部済ませておこう!』なのか『ここで改めてメッセージ性のこと意識付けさせとかなきゃクライマックスが盛り上がらなくなっちゃう!』なのか、どんな強迫観念かは分かんねぇけどな。説明詰め込みすぎ。


 っていうかキャラクターに語らせすぎだろ? 序盤・中盤の『薄味台詞からニュアンスを感じ取ってください』路線はどこ行ったんだよ? こういう観念的な話をな、べらべらべらべら語られるとうんざりなんだよ。


 いや、いいよ。普段の俺なら『ふんふん』って聞いてたかもしれねぇよ。長台詞はラノベの典型だからな。


 だけどな、これを読んでいる時の俺は文学青年の俺だ。


 ―――あ、ちなみに俺は大学の時にバリバリの純文学ゼミに入っていた。どのくらい本を読んでたかって聞かれると答えに詰まるが、それでもそこらに転がっている有象無象よりはターゲットに近づけられる存在だと思っている。


 それでだな。こういったことは全部言葉で説明せずニュアンスで伝えてあげろよ。行間を読ませろ、もしくは地の文でそれとなく読者の理解を誘導しろ。

 少なくとも、何百文字分も同じキャラに語らせて、その後も同じ分だけ別のキャラに語らせて、また別の―――みたいな構成だけはやめて差し上げろ。


 一気にキャラクター感がなくなって作者の駒っぽくなってるから。せっかくのクライマックス前なのに逆に萎えてくるから。







 さて、気になったところはこんなものか。


 ああ、いや待て。今まで話してきたことの総括として最後にもう1回ぶった切っておこうか、ボンクラ君。


 この作品はな、『読む必要性』か、あるいは『義務感』でもって読まねぇと読み進めていけない話だと思っている。特に俺個人がフックポイントだと思っている14話まではな。

 (不老不死の街っていう設定だけでフックになると思ってるんならな、ヨシュアとかマルタとか、そこらへんが抱いている『死』についての価値観をもっと早く深く出してくれねぇと読者は『お?』と思わないと思うぜ)


 不老不死しかいない街。逃げている兄弟。うん、それで?ってなわけだ。その情報から類推される予想から味方も敵方も飛び越える行動も発想もしない。全てが予想の範疇であり、はっと目を引かれる展開がない。


 文体は綺麗だがそれだけ。

 設定も凝っているがそれだけ。

 読んで得られるものが何もない。感動も、笑いも、ハラハラも、何もない。ただ、だらぁーっと退屈な展開が重たい文によって進んでいく。


 うん、14話まではマジで暇だった。だからこれを読み進めていくには作品の力以外のものに頼らないと難しいのかなと思った。


 例えば公募な。あれは多分これくらいの文量であればあらすじだけでポイーッてことはないんだろ? 選評する奴らも、きちんと最後まで読み進めるという義務を与えられているなら、この作品を最後まで読むだろうし、最後の感動できるところまで行きつけるだろう。

 他には実際に買ったとか借りたとかだな。手間や金がかかっていれば序盤で重くても読み進めるだろ。


 お前はあまり意識はしねぇかもしれないが数多の作品が手間なし・出費無しで読めるなろう界隈においてこの作品は、日の目を浴びることはねぇだろうなと思った。


 でもな。さっきも言ったが最後まで読めば作品の良さが分かる。うん、多くは語れないがサラとグレンとルイーザ。俺はあいつらが好きだったから、うん。まあ、最後どんな感情になったかは察してくれ。サラが登場する回はわりとポイントが高いのは、そういうこった。


 それとライラな。最終話のあいつは衝撃だったわ。つまり、あいつはずっと―――うん。ヨシュアのことを思い出して、すごく衝撃だったわ。


 そんな感動のラストがあるだけに、序盤の進め方と終盤前の風呂敷の畳み方がもったいねぇと思った。うん、惜しい作品だったというのが俺の素直な感想だ。







 さて、そんなわけでこの作品に関しての感想は以上だ。特に寄せられている悩みもねぇから最後にいつもの2つを言って終わりだ。





 ※ここで書かれている内容は全て個人的な意見であり、真に受けるかどうかは読み手に任せる。無視するも反論するもナニクソと思うも好きにしろ。






【作品名】畢罪の花 ~ひつざいのはな~

【URL】https://ncode.syosetu.com/n9373eo/

【評価】5.5点


さて、今回のあとがきはなっげぇぞ。


本文に載せるにしたって『本当に』どーでもいい話よりもさらにどーでもいい内輪的な話だったからな。全部あとがきに載せることにした。読むも読まんも、お前ら好きにしてくれ。




さあ、まずは同志、古城ろっく君宛ての私信だ。


お前はお前が書いているエッセイ内で俺の感想に対しての返信を書いてくれたな? ありがとう、俺的にはお前が筆を折ったり方向性を見失ったりしなかったことが一番嬉しい。


ただな、それに対してお前の作品内で感想を残すことを躊躇っちまった。うん、俺的にもお前を全力でぶん殴った反動っていうのかな、まだそこから立ち直れていやしねぇ。


ああ、心配とかはすんな? 一時的なもんだ。俺が言ったことに対する反応を、『私』で言い返すことが出来なかった。それだけだ。


あの場で俺が残せたとしたら、『よかったです! 今後も活動応援しています!』的な無味なコメントだけだった。せっかくの決意表明をしてくれてるのに、それだと味気ねぇだろ?


だから俺はこっちで返信することにした。内容はこうだ。


『お前は正しいと思って今後も突っ走ると表明してくれたが、俺の正直な感想は前も言った通りだ。

 そして「ああ、疲れた。マジで読むの疲れる」って読む奴は少ねぇ。少ねぇし、少ねぇなりのその大半が内輪の奴だろう。今回の畢罪みたいにな。

 っていうかそもそも問題はそこじゃねぇ。お前の言ってることでな、


>少なくとも茜のタイヤが35Cであることと、シクロクロスという非舗装路トレイル専用車であることを説明しないと、勘のいい読者に

>「あれ?第10話で茜は雪道を走れなかったのは何で?オフロード用なんでしょ?」

>「第12話で自然公園を走っているのは何で?タイヤが細いんでしょ?」

>「オフロード用なのかオンロード用なのかハッキリしてよ。ご都合主義で設定変えてるの?」

>って、なるだろ。


 ↑なるわけねぇよ!っていうツッコミ待ちか? その『勘のいい読者』って言葉を『自転車に滅茶苦茶興味のある読者』に置き換えろ。少なくとも、俺レベルではそんな解説をもらったとしても『はぇ~、そうなん? ふ~ん』としか思わねぇ。ちなみにこの『そうなん?』は理解してのことではなく、右耳から左耳的な『そうなん?』だ。たとえ次のページで真逆の間違った解説をされても『はぁ~、そうなん? ふ~ん』となるだろうよ。


ああ、俺に読解力や理解力がねぇなってするのは構わねぇ。だがな、興味のない話だと読者は途端に理解力・読解力が皆無になる。覚えておいてくれ。


ただな。「そのキャラたちの語る専門用語が分からないから、面白さをすべて理解できないのが悔しい」って思ったのは確かだよ。だから俺は理解することを自ら諦めた。そこでナニクソ!って噛みつく気は起らなかったし、今後もあえてそうしたストレス環境な気持ちでもってチャリチャンを読むことは、ないだろう。


これはあくまで俺個人の意見だから、みんながそうだとは言わねぇ。もう一回殴ることになっちまってすまねぇが、俺はお前の作品を自転車販促小説だとは決して思わない。チャリチャンとは俺の中ではヒューマンドラマであり、恐らく、そのヒューマンドラマ要素がなくなって自転車販促色が多くなったら、俺は読むのを止めるのだと思う。(その販促内容が、チャリチャンLみたいな内容だったら別だがな)


だが恐れるな。お前はお前の書きたいように書け。きっとその方が面白いものが書けるのだろうし、逆に書きたいことを捻じ曲げてまで書いた作品はきっとつまらなくなる。というか今まで好き勝手書いてきたその作品を『面白い!』って思ったことは間違いねぇんだ。だから恐れず行ってくれ。


それとな、俺がお前の作品を読んで薄っぺらいところだが自転車についての意識が変わったのは間違いねぇ。さっきはああ言ったが、お前の作品を読んで『まいった! 自転車買いたくなったから相談に乗ってくれ!』って俺が思わず言ってしまうことも期待している。


だからな、結局言えることは変わらねぇ。今後も応援している。それだけだ』


以上、まずは古城ろっく君宛ての私信だ。





さて次。


実はこれも古城ろっく君絡みの話だ。


彼は彼なりに胸に刺さっているスコップを引き抜いたらしい。どうやらこんな企画を始めたらしいぞ。


【採掘日誌『第一話だけを、集めるぞ』】(https://ncode.syosetu.com/n4088fg/)


俺の日誌のコンセプトとは真逆。長編の『1話』だけ、もしくは短編のみを募集している日誌だ。


こことは随分ノリの違う作品だが、俺の日誌の応募要項に満たない作品を漏れなく拾うことが出来る日誌だ。興味ある奴は突撃してみな。





そして最後。


これまた古城ろっく君絡みだ。どんだけ話題作ってくれんだよ、彼は……


とはいえ、細かいことを言ってしまうと彼は関係ない。彼が書いたエッセイにおいてだな、この日誌を作るにあたってリスペクトした方が降臨なされた、『黒字』でな。


先代スコッパーの彼は俺のことを応援してくれているとのことだ。ただ、残念なことにここの日誌は黒字受付不可にしているから声を届けることが出来ないと来た。


なるほど、有難い話だ。そしてここの感想欄をログインユーザーじゃなくても書き込めるようにすれば彼の言葉を直接頂戴できることになるのだろう。


だが、やらん。俺はここの感想欄で黒字受付するつもりはさらさらねぇ。


俺はあんたの垢と作品を引きずり出したいとも思っているがそれを目的に置いている日誌を書いているわけじゃねぇ。そもそもこんな私信をつらつら書いている時点で噴飯物だろうが内輪でぬくぬくやるつもりは、俺にはねぇ。


ここでの俺はひたすらに熱意ある同志達と作品と意見を『本気』で交わすだけだ。言いたいことあるやつぁ垢を晒して言ってきな。


……とはいえ、生存報告が聞けたことは嬉しかった、とだけ言っておく。



以上だ。




さて、次は一回飛ばしたオッドアイ野郎の出番だな。


今度こそ私は、天寿をまっとうする!!

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