表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/24

3.終末世界のオーバー・ピース~目が覚めたら最強の決戦兵器になっていた件について~



 

 どうも、あっちいけだ。


 待たせたな。さすがに平日は仕事だから読むのも書くのもペースは遅れる。


 それに俺も作者の端くれだ。せっかく読みに来てくれるものを適当な文で出すのはしのびねぇだろ? だからそれなりに時間をかけてこの感想を書いている。


 ちなみにこの感想(1話あたり1万文字くらいか? 今回に至っては1.3万文字もある)を書くのに俺は10時間くらいかけている。下書き4時間、推敲に6時間くれぇだな。

 そこに作品読む時間も合わせりゃ。な? 平日いつ寝てんだよってなるわけだ。


 ちなみに俺の最近の睡眠時間は4時就寝の7時起床だ。心が燃えてねぇとやってられねぇ環境だ。


 ……っと、変な話から入っちまったな。すまねぇ。とは言いつつ今回はもう1つ。『本当に』どーでもいい話をしたいと思う。


 いいよな? 俺の作品だ。俺が何書こうと勝手だろ?




 俺も最近、ようやく活動報告というものを活用するようになったんだがよ。そこに最近嬉しい知らせが届いた。


 ここで紹介したモノクロ君と古城ろっく君からだった。曰く、ここで紹介してもらって以降PV数が増えただのブクマが増えただのと活動報告にお礼が書かれてあったんだ。


 ……ああ。ありがとうな、お前ら。


 俺はここで結構ぼろくそにしか言ってねぇけど。お前ら読者が作品に向かっていってくれたことが、俺は本当に嬉しい。


 俺は思う。


 ここを踏み台にして、お前らにはそれぞれ新たな出会いに向かって旅立っていってほしい。

 決してここでの出会いを、俺中心の小さなコミュニティなんかで閉ざさないでほしい。


 熱意ある同志達よ。

 そして、それに感化されて今胸に炎を燃やし始めた未来の同志達よ。


 俺が言いたいことは1つだけだ。


 それぞれ、切磋琢磨し合おうぜ。







 


 閑話休題。









 さあ、始めるぞ。今回もどーでもいい小話から挟んでいく。本題との関係性について気になるんなら、そうだ。いつもの如く汲んでくれ。





 さて、今回は俺がつける『面白さ』の点数について話してやろう。


 俺が作っているグラフでこの面白さのポイントは非常に重要な数値になっている。読むモチベが上がるか、ストレスが上がるかの指標になっているな?


 それなのにろくな説明もせずにグラフを出しちまっていた。すまねぇな。それに『ここの話は俺、めっちゃ頑張ったのにたったの70点しかないのかよ…』とかしょんぼりされてもアレだからな。ここで俺がつけているポイントの感覚ついて語っておこう。


 0点:作品の良さを全て台無しにする超絶糞

 10点:作品の良さを少し貶める糞

 20点:くそつまらん

 30点:つまらん

 40点:う~ん……

 50点:平凡

 60点:面白い

 70点:神回

 80点:引き込まれた

 90点:心掴まれた

 100点:3日間くらい役に立たなくなる


 とまあ、こんな感じよ。


 20~79点は単純にその話が面白いかつまらねぇかで判断している。というか逆だな。単純に面白いかどうかで判断つけられる範囲だから20~79点の間に収まるっていった方がニュアンスが近い。


 その範囲外になると、面白いかどうかとは別の指標になってくる。例えば80点以上をつけるところは心が動かされた時だ。感動したとか、爆笑したとか、そういった時に80点以上が与えられる。


 今のところ2つしか作品を読んでねぇが最高得点はモノクロ君の『クロステラ』の第9話が90点だったな。あれは素晴らしい回だった。次点で『クロステラ』の第4話、そして古城ろっく君の『チャリチャン』の9.5話が同点で80点だ。

 お前らは誇っていいぞ。俺に80点以上をつけさせたんだからな。


 逆にだ。20点未満ってぇのは俺のぶち切れポイントだ。


 その作品の質を作者自ら貶める行為を俺は絶対に許さねぇ。その作品の良さを作者自身が分かっていねぇなんて、書かれている作品が可哀そうすぎて仕方ねぇ。


 だからこの20点未満の点数については作品に対しての点数じゃねぇ。作者に対しての怒りの声だ。


 今のところ、クロステラを書いた『モノクロ君』に対して10話で10点、34話で0点をつけている。モノクロ君よ、大いに反省せよ。


 そんなわけでだな。俺から60点って言われても嘆くな。それは相当の誉め言葉だ。


 70点を貰ったら喜べ。その話の完成度の高さは俺が保証してやる。


 80点が1個でもあったら大いに喜べ。お前の作品は俺の心を動かしたんだ。


 90点が1個でもあったらお前の勝ちだ。俺はその話単体で、作品のファンになれるんだ。


 そして100点。これを叩き出せる作品が今応募されている中にあることを、俺は祈っている。


 逆に20点な。これを連発してしまうような作品は、そうだな―――








 ―――さて。


 流れをぶった切っちまうがここで小話は終了だ。ここからは感想に移っていくぜ。


 今回、俺に対して愛の告白しながら踏み台を差し出してきた作者は同志、『ヨシコ』君だ。


 以下、募集要項からの引用だ。先に目を通してくれ。


 ――――――――――――――――――――――――


【作品名】

 終末世界のオーバー・ピース~目が覚めたら最強の決戦兵器になっていた件について~

(https://ncode.syosetu.com/n6673fe/)


【簡易的なあらすじ】

 冴えない高校生が気がつけば人間サイズの汎用人型決戦兵器に生まれ変わり、世界の命運を憧れの人そっくりの別人に丸投げされます。


【セールスポイント】

 なりたいもの、憧れていたものになれなかった人に。そうなってしまった後の事を考えたことはあるのか。この物語は、「今の日常に満足している人が、突然ヒーローにされてしまったら」、「俺だったら力を貰えたらこう出来るね! 余裕余裕!!とか人前で抜かす人達に何故力が与えられないのか」というのをテーマにしています。


【フックポイントの話数】

 プロローグと第一話、そして第二話の落差。謎しか残さない冒頭、いきなりのクライマックスから平凡な日常への回想に入ります。


『悩み』

 清々しいまでに自分の好きしか詰め込めていません。文章力? 構成力? 流行り? 知らんな。とかもう開き直ってしまっているのが悩みです。


【本気で書いているかどうか】

 勢いで書いていると言ったな? あれは本当だ。


 だが本気だ。本気で書きたいものを書いている。MONSTERは切っ掛けに過ぎない、吐き出すものは心の中で燻っていた これが見たい の集大成だ。見たいものは確かにあった。でも頼んでも誰も書いてくれなかった。誰も書いてくれないなら、自分で書けばいいじゃない。自分が見たいものを見せてくれるのは、欲しいものを作り出すのは、いつだって自分だけだと気付いた。


 だから書いている。書きたいものを全力で。


 読者の事を考えていない? そんなことはないです。読者様は神様だから。神様はいつだって全力を見ると答えてくれるでしょう? だから、きっと答えてくれると私は確信しています。


 ――――――――――――――――――――――――


 引用ここまで。








 さて、お前らが毎回楽しみにしているだろう感情グラフについて、今回に限っては訳あって後回しさせてもらうぜ。


 まず先に、読んでねぇ奴らの為にこの『終末世界のオーバー・ピース~目が覚めたら最強の決戦兵器になっていた件について~』(以降、オーバーピース)の概要を説明していく。






 主人公の名前は小林拓郎。彼はいかにも普通で平凡な高校生活を送っていた。


 ところがある日、起きたら自分の身体が生き物と機械が融合したような異形の姿に変わっていることに気づく。なんじゃこりゃあああ?!


 果たして異常はそれだけじゃ収まらない。妹には猫耳が生え、父親はロボットになり、クラスの友人はプレデターやらドラゴンやらに変貌を遂げていた! しかも、誰一人として自分の姿に違和感を覚えちゃいねぇ。なんだこの世界、滅茶苦茶すぎるぞ!!


 見知った者達が見知らぬ姿へと変わってしまい、主人公は混乱に陥る。だが、そんな彼に更なる大混乱が押し寄せる!


 町へ色濃く影を落とす、身の丈100mの白い巨人―――『終末』と名付けられた異世界から襲来してくる異邦人は、人類を滅ぼさんとする敵であった。


『日本を救ってくれ、コバヤシ!』

『今日も頼むぞ、コバヤシ!』


 人々は小林に救いを求める。何故? 何故俺に言っている? 疑問を呈す小林だったがその問いには誰も答えてくれない。重なる求めの声に追い立てられ、彼は巨人の目の前までヘリで拉致られて、ろくな説明もないままに突き落とされる。


「誰でもいいから説明してくれよ!!」

「俺は何も分かっちゃいねぇんだよ!!」


 主人公の心の叫びには、誰も耳を傾けてくれなかった。突き落とされた彼はそのまま落下し、高層ビルの頂上に激突する。


 身を襲う衝撃に死を悟る。そのまま黒い意識に飲まれていきそうになった彼は―――


【《能力抑制コード-01-》から《-05-》まで解除】


 身体の内から鳴り響く、声と駆動音を確かに聞いた。


【完了、第一種全領域対応型終末対抗決戦兵器-J型-】


 やがて彼は立ち上がり―――


【-O.V.E.R.P.E.A.C.E-Awakening-】


「今からお前を……ぶっ倒す!!!」


 鋼の拳でもって『終末』を粉砕する―――


 行け、コバヤシ!

 この町の、いやこの国の未来はお前のその手にかかっているッ!!










 ……さて。


 なんか怒られそうなあらすじになっちまったな。


 あ? 誰にかって? そりゃ作者たるヨシコ君にだよ。


 とりあえず読んでねぇやつらに言っておくが、このあらすじは大分意訳が含まれている。そうだ、最新話(約13万文字)まで読破した俺が『こんな話だったような気がする』という勝手なイメージでもって書いている。


 細けぇところは違うだろうが、まあ大方こんな内容だったとこの場では言っておく。もし不満があればヨシコ君、感想欄で大いに暴れてくれ。







 さて、この作品の良いところについて語っていこう。


 まず、勢いがやべぇ。


 もう詳細なところの理屈なんてどうでもいい。描かれているのはドラゴンボールばりのハチャメチャな戦闘シーンだ。

 圧倒的な強さを誇る最強決戦兵器コバヤシ(主人公)の謎性能。どんな『終末』だろうと、彼の本気にかかりゃあイチコロよ。


 そして勢いの対局として、葛藤。


 主人公たる小林は自覚がないままに決戦兵器『コバヤシ』に意識が移ってしまったんだが、周りはそんな事情を知らねぇし理解しようともしねぇ。


 何をすればいいんだ? なんで逃げちゃダメなんだ? なんで俺の体は兵器になっているんだ? 彼の悩みは誰にも理解されない。理解されないまま、彼は戦うことを求められ続ける。


 シリアスとギャグ。この作品は緩急つけながら物語が展開されている。

 描かれている怒涛の勢いについていければ、あるいは悩める主人公に感情移入できれば、きっとこの作品を楽しむことが出来るだろう、まる。











 ―――さて。


 さあお前ら、もう俺の言いたいことは分かるよな?


 あん? 分からねぇって? そいつぁすまなかった。書き方が悪かったか、もしくはお前らの読解力に俺が期待しすぎたかね。


 ともかく、今まで語ってきた内容は前座だ。俺が『私』の時に述べる、薄っぺらいうわべだけの感想だ。


 そうだ、お前ら。待たせたな。ここからが今日の本題だ。










 まずはいつものように俺の感情グラフから出しておこう。


 ちなみにグロ注意だ、覚悟しな。



【PC用】


挿絵(By みてみん)


【スマホ用】(レイアウトの都合上若干見づらくなっているから注意な)


挿絵(By みてみん)



 さあ、見たか? 俺の本音を。


 見たらここでいつもの注意だ。


 ここで語っているのは究極的に個人的な意見だ。普遍的なもんじゃねぇから真に受けるかどうかはてめぇで勝手に判断しな。


 さあ、言ったぞ。ここから俺は『本気』を出す。













 ―――ああ、ヨシコ君。


 この作品にはお前が言う通り、お前の『好き』がたくさん詰め込まれた作品なんだろうな。


 筆が走る勢いに任せて、『やりたい・書きたい・見たい』の欲求を嬉々とした表情に映しながら、一心不乱に書き進めているお前の姿が容易に想像できるよ。


 ブックマークも130件ついてて、すげぇよ。俺なんか同じ話数分投稿した時なんてまだ累計PV5,000くらいだったんだぜ? それに比べりゃお前はもうその3倍も読まれてんだ。


 お前は立派にファンのついている、しっかりした作者だ。


 だから言っていいよな?


 俺一人の言葉で、筆を折らないでくれるよな?


 俺の、正直な感想を言うぞ?


 ……お前の作品、つまらなかったよ。








 さて、今回の俺は『本気』でもあるが『超真面目』だ。


 言葉を間違えるとやる気のある作者を一人、完全に殺してしまいかねない。そんな繊細な話をこれからしていく。


 だからいつもの茶化しだったり無駄なハイテンションは一時休止だ。俺は『本気』で真剣に感想を書いていく。


 俺は、『本気』の作者を、応援したいだけなんだからな。










 さて、この『オーバーピース』。至る所でぶん投げたくなる。


 風景描写が不足しているとか、プロローグが厨二病的過ぎて俺には合わなかったとか、エヴァ〇ゲリオンだとかマジ〇ガーZだとか読者が知っているのを前提とした描写になっているエゴだとか、そういった細けぇことはこの際置いておく。そこいらは合う・合わないがあるからな。


 ヨシコ君。俺がこの作品を読んでいてつまらねぇと思った理由は大きく分けて2つだ。









 まず1つ、キャラクターが作品内で生きていない。


 0話から36話まで読んだ中で、キャラクターの息吹を感じた瞬間が一度たりともなかった。全部、お前の操り人形になっていた。


 何か『おっ、こいつはこんなこと考えるんだな…』とか『こんな言葉が出てくるのはさすが、こんな世界に生きている住人なだけあるなぁ』とか、そういう俺たちにとっての意外性みたいなものだ。それが一度たりだってなかった。


 なんかな、全員人間味がねぇんだわ。後ろでヨシコ君が操り糸を垂らしているのが透けて見える。

 その場、その時、その状況で適宜判断している感じがしない。全部作者の意図通りに動かされている感じがするんだ。


 どういうことかっていうとな。例えばだ、11話目の終わり掛けから12話目冒頭のシーンまでを続けて引用するぞ。


 読んでねぇやつらの為に、あらかじめシーンに至るまでの概要を説明しておく。


【登場キャラ】

 ・小林(主人公):普通の人間小林だったつもりがいつの間にかパラレルーワルド(みたいなもの)のコバヤシの身体に意識が移っていた。

 ・沙都子先生:元々の世界では学校の先生(小林の担任)だったが、この世界では最終決戦兵器であるコバヤシの管理者的立場になっている人。

 ・フリス:コバヤシの幼馴染。だが元々の世界では面識がなかった為に、小林はこの子のことを全く知らない。小林に対して好意を寄せている節があるが小林自身、その好意は自分に対してではなくコバヤシに対してのものだと思い、複雑な気分。


【状況】

 ・小林がパラレルワールドに来て初めて『終末』が現れた。

 ・沙都子先生はその『終末』に対抗する手段はコバヤシしかいないからと小林をヘリで拉致する

 ・ヘリで移動している間に『終末』が姿を現した。その巨大すぎる姿を見て、主人公が戦意喪失してしまう

 ・『終末』は主人公が生まれ育ったオオトリ町に向かっていきそう


 状況説明は終わり。ちょっと長いが、読め。

 注意ポイントは、主人公の心の動きだな。


 ――――――――――――――――――――――――


 戦えって言うのかよ! 俺に!!


「ふざけんなよ……あんな……」

「……」

「あんなのに、勝てるわけないだろ!!」

「……そう、勝てないのよ。私たちには」

「!?」

「私たち人類には……《終末》と戦って勝つ方法はありません」


 おいおい、堂々と真顔で何言ってくれてんだ沙都子先生? ふざけてるの?? 勝つ方法は無い???


 >だったらさっさと逃げろや!!<


「だから、貴方だけが頼りなのよ。コバヤシ君」


 はっはっはっ、無理を仰る。もう自然と笑いが出てくるわ、こんなもん笑うしかねえわ……。


(中略)


「無理だよ……俺は、俺は……!!」


 戦えと言われた……あのバケモノと。どうやって?


「コバヤシ君……本当は貴方に、こんなこと言いたくないけど……」

「……何ですか」

「貴方に拒否権はないの……戦うしか無いのよ。それが、貴方の使命……《終末対抗兵器》の存在意義なの」

「断ったり、逃げたりしたら?」


 俺の返事に沙都子先生は表情を曇らせる。いやいやいや……戦うor戦わないの次元じゃないよ、相手になるかよ。足先に当たった瞬間、即死するわボケが!!!


「……極刑に処されます」

「ホア?」

「つまり、敵前逃亡は即刻《死刑》よ。闘争の意思がないと判断された瞬間……貴方の存在意義は失われたと見なされます」


 さて、どうしたものか。逃げても死ぬ、戦っても死ぬ。で、俺が負けたら何かこの国が滅ぶ……と。そしてあの馬鹿でかい《ナニカ》は俺の家族や友人が住むオオトリ町に向かっててー……


「もしも……《終末》ってのがオオトリ町に辿り着いたら、どうなるんですか?」

「……」

「ねぇ、せんせ……サトコさん。どうなるんですか??」

「みんな、死ぬわ。貴方の家族も……友達も……日本に辿り着いた《終末》は、目に映るもの全てを破壊するの」

「……何のために?」

「わからない。私たちにわかっているのは《終末》が敵であるということ……そして、《終末》を倒すのは貴方にしか出来ないということよ」


 なるほどなるほど、そうですか。


「……なぁ、フリスさん」

「はい……」

「俺ってさ、どんな奴だったの?」

「……え?」

「アンタが知ってる《コバヤシ・タクロー》は、どんな男だった?」


 俺が《オーバー・ピース》だかいう、良くわからないバケモノになったのはもうどうでもいい。妹に>猫耳<が生えた、親父がロボになった、フリスさんという>超絶かわいい幼馴染<が現れた、友達が変なのになった、沙都子先生が教師をやめて冷たくなった……それも何とか我慢してやる。


「……」


 俺の住む町に、家族や友達が住む俺たちのオオトリ町によくわからんバケモノが向かってて……そいつが町に辿り着くとみんなが死ぬ────


「素敵な人……でした」

「へー……そうなんだ」

「……優しくて、強くて、友達も沢山いて、妹のメイコさんをとても大事にしていて……」

「……」

「笑った顔が、可愛くて……その……この前、ようやく私の名前を昔みたいに《フリス》って呼んでくれて……」

「……」

「小さい頃から……私……、私の……っ!!」

「わかった、最後に一つだけ聞かせてくれ」


 ────認められるか。


「アンタの知ってる俺タクローは、あの《終末》とかいうバケモノを前にしても逃げなかったのか?」

「……」

「コバヤシ君……」

「逃げたいと、言わなかったのか?」

「……はい。貴方は決して、逃げようとしませんでした」


 ────明衣子が、親父が、みんなが死ぬなんて……認められるわけないじゃないか! 許せるわけないじゃないか!!


「沙都子先生!」

「だから、先生はやめなさい!! 私は……」

「勝てるんだな!?」

「……!!」

「俺なら、《終末アイツ》に……あのバケモノに勝てるんだな!!?」

「勝てます!!」


 俺の問いかけに、沙都子先生よりも早くフリスさんが応えた。


「貴方なら、絶対に……!!」


 フリスさんは震える手を強く握りしめ、俺の目を見ながら言った……その言葉だけで十分だった。


 >やってやるよ!!<


 終末だか何だか知らねえが、戦えばいいんだろ! 畜生、やってやんよぉ!! 小林くんがアイツぶっ飛ばしてやんよぉ!!! 明衣子を、親父を、皆を守ってやんよぉおおおおー!!!


「よくわかんねぇけど、何か勝てる気がしてきた!!」


 ――――――――――――――――――――――――



 ここの部分、主人公の感情の動きが急すぎてついていけない。


 俺が小林だったら、とは言わねぇ。それまでの小林だったら『逃げたら極刑』って言われて、『さて、どうするか』なんて冷静に考えるわけねぇよ。余計に暴れるだろ。さっきまでのおびえは何処に行ったんだよ。


 もしくはいつもの『どういうことなの? なんで極刑? なんで死刑? ホワァッツ?!』くらいに思うだろ。なんでこの土壇場で超人聞きが良くなるんだよ。


 他のところもそうだ。先生に諭されて、いきなりフリスに話を振ったと思ったら『あんたの知ってる俺を教えてくれ?』????


 何急にかっこつけ始めてんだよ。さっきまでビビッて逃げよう言ってたやつはどこに行ったんだよ。


 『よくわかんねぇけど、何か勝てる気がしてきた!!』じゃねぇよ。そう思った根拠を俺に教えてくれよ。


 いきなり主人公の心が行方不明だよ。俺がそれまで11話分二人三脚してきたあの理解力皆無でおちゃらけビビりな小林くんはどこ行ったんだよ?




 ……っていうことがあったんだ。


 ちなみにここは分かりやすい例として挙げただけで、ほぼ毎話、こういった『は? なんでこいつこんな感情になってんの?』って思うシーンがある。主人公だけしゃねぇ、友人にしろモブにしろ誰にしろ、感情の起伏が突然すぎて置いていかれる。もっと丁寧に、生きた人間として表現してやって欲しい。


 ただ、こういうこと言うとだな。大体返ってくる言葉は『そうしないとプロット通りに話が進まないから仕方ないじゃないか』なんだ。


 ヨシコ君。もし万が一お前も今そういう風に思ってるんなら、ふざけんなよ?


 それはお前の身勝手だ。本当に、無理やり登場人物の心を洗脳して改造して不自然な心の動きを強要しないと進まないような物語ならな、捨てちまえ。





 ああ、それとキャラクターに関して他に言うとな。例えばフリス。あいつちょろすぎんだろ? 『主人公に惚れている幼馴染』像まんまじゃねぇか。

 見飽きたキャラ過ぎて何の魅力も感じなかったよ。他の作品から似たようなキャラ持ってきて入れ替えても、違和感なくその場で主人公に惚れてくれるだろうなって思っちまったよ。


 理由はな。『主人公に惚れている都合のいい女』というキャラ設定が先行しすぎていてそこに『らしさ』とか『個性』といった心の肉付けがされてねぇからだ。こいつの動きを見ていると、パペットマペットみたいに後ろでお前がわちゃわちゃやってる姿が見えて、『こういうのがいいんだろう?』『こういうサービスシーンが欲しいんだろう?』って語りかけられているみたいでな。ああ、うんざりだったよ。


 他にも先生や友人、妹、父親。どれもステレオタイプの量産型キャラクターにしか見えなかった。個性的なのは造形だけだな。何ら、興味を惹くような奴はいなかった。


 しかもその造形も、果たして今後役立たせるつもりがあるのかどうか知らねぇが、今のところ世界観の深みに全く貢献してねぇからな。


 はたから聞けば気になるだろうさ。昨日までは人間の姿だった父親はロボになって妹には猫耳が生えてて、友人はドラゴンやらプレデターになってる。すごい無茶苦茶な世界観だってな。


 だが、俺はそんな小手先じゃ騙されねぇぞ。お前はこいつらの容姿を伝えてそれっきりにしている。本来は異世界にいった象徴である『外見の変貌』という重要な要素を、安易なキャラ付けにまで貶めている。


 俺はな、例えばドラゴンの友人をはじめ空を飛べる生徒が着陸するための施設が学校の屋上にあったりだとかな、プレデターの友人がその辺で捕まえてきた意味不明な生物を食べていたりだとかな、猫耳妹がいつもと違うルートで帰宅していたと思ったらそこにマタタビ畑があったとかだな。


 まあ、そんなろくでもない、しょうもないことでもいいんだよ。設定を活かしてほしかったんだよ。3mくらいの巨人もいる世界だから学校の扉もすげぇ高くなってるとか、微妙なことでもいい。


 お前、そういう風にしなかっただろ? 姿かたちは変われどやってることは普通のことしか描かなかったよな?


 もしそこに高尚な意図があってまだ隠し球として取って置いてあるんなら謝っておくよ。だがな、いつまでそれを隠しておくんだ? 俺らには既に『人間の多くが異形の姿になっている世界だ』という情報が与えられているんだ。

 それなのに日々送られている生活が普通の人間と全く変わらないって、果たしてその設定意味あったの? って思っちまうだろうが。


 1発ネタじゃねぇ、きちんと構成された世界を見せてくれよ。生きている人の息吹が感じられる雰囲気を味わわせてくれよ。

 じゃねぇと、『ああ、この作者はこの設定を活かしきれないほどにレベルが低いんだな』って思っちまうだろうが。


 お前はもう少し、自分が生み出した世界に向き合った方がいい。設定と世界が泣いてるぞ。











 ああ、話が脱線しまくったがここまで言ってきたのが1つ目の理由、『キャラクターが生きていない』だ。


 さて、こういう類の感想を別作品に書いた時に、俺が貰った感想返しは『そんな細かいところまで書いていたらこの作品の売りである勢いがなくなってしまう』だった。(意訳)


 つまり『細かい設定のところは読者の想像に任せていて、勢い重視で書いているからその指摘はカテゴリー違いですよwww』という内容だったわけだが、俺はそいつの顔をぶん殴ってやりたかった。


 目を覚ませ、お前の作品はその売りだと思っている勢いにもクソ要素が詰まっているんだぞってな。









 ―――そうだ、ヨシコ君。君にも同じ言葉を捧げよう。


 お前が売りだと思っている勢いを、お前は自分の手で殺してしまっているんだ。


 それがお前の作品をつまらなくさせている理由の2つ目。『構成力の無さによるテンポの悪さ』だ。


 例えば14話目。


 小林の様子がTV中継されていて、友人やら有象無象らが小林のピンチに慌てふためくシーンだ。


 そこで妹が立ち上がって泣きながらに『あんな奴に負けんな、クソ兄貴ぃー!!』って叫ぶじゃん?


 その後主人公が覚醒して逆転する様子が放映されるじゃん?


 胸熱で良い話じゃん?


 ―――と思いきや、15話目。


 何でもう一回同じシーンを主人公視点で最初からやり直すねん…どう考えてもどっちか1つでいいだろ。俺、なんでまだ主人公ピンチなんだろう? って本気で思ったわ。


 お前がやっていることをな、アニメとかで例えるとこうなる。


 ――――――――――――――――――――――――


 1、主人公ピンチの様子がシェルター内のTVに放映される(←アニメ視聴者、マジかぁ、やべぇなぁってなってる


 2、有象無象が慌てふためく(←視聴者も固唾をのんで見守っている


 3、妹、立ち上がり叫ぶ(←そうだ、負けるなコバヤシ!


【挿入歌が流れ始める】(←盛り上がるー! これは勝ち確だな!!


 4、主人公、TVの向こうで敵をぶっ倒す(←やったぜ!!


 5、妹「私の兄貴が負けるわけないんだから!」(←そうだそうだー!!


 6、主人公視点に移り、何故かピンチ(←ふぁっ!?


【いつの間にか流れることをやめた挿入歌】(←あれ、何この不穏な空気?


 7、主人公、回想に入りフリスと先生の言葉を思い出す(←お、おう?


 8、こんな奴に負けるなんて認められるかぁ!ドガァーン!(←あれ、さっき見たぞこのシーン


【再び流れ始める挿入歌】(←?!


 ――――――――――――――――――――――――


 みたいな感じだ。分かりにくいかもしれんが、俺が感じた戸惑いみたいなものを感じ取ってくれると有難い。


 さて、他のやつがどう読んだかは知らねぇが俺が読んだ時のイメージはこんな感じだった。


 ちなみに、こういうテンポの悪さみてぇなのは各所至る所に見られた。勢い重視のくせに、見せ場で色々詰め込みすぎて視点があっちこっちへ行きすぎて、しかも時間軸もあっちこっちに行ったり来たりしすぎて、勢いが完全に削がれてんだよ。


 1つのシーンで見せ場となるところがいくつもあって、色々書き散らしたくなる気持ちは分かる。だがな、言いたい。


 この話はヒーロー物だろ? 少なくとも俺は今のとこそう思って読んでいる。

 主人公にとっての初戦だ。俺たち読者はなんとなくの雰囲気で小林が実は滅茶苦茶強いことを知っている。だから、主人公がそれを理解できずビビっていても、こいつがきっと何とかしてくれるっていう期待感を持って読んでいる。


 そしてオーバーピースが起動するところ、胸熱だよな?

 遠くから妹の声が聞こえてくる。胸熱だよな?

 主人公がテレビの向こうで『終末』をぶっ倒してくれる。胸熱すぎるよな?


 読者としてはそこで一回満足なわけなんだよ。すげぇ、やっぱり主人公は強かったんだ!って納得して、更に安心しているわけだ。


 それがなんでお前はそこでもう一度読者にハラハラさせる展開を持ってこようとしたんだ? ヒーロー物としての爽快感がそこで死んでんぞ。


 2回目以降ならそれでもいいかもな? 実際、姉妹戦は俺も楽しめたよ。一筋縄でいかない敵が現れ、主人公は最強だから安心だって見ていた読者の緊張を誘う。それは別にいいと思う。


 だがな、初戦でそれはねぇだろ? 初戦くらい、読者の『うおお!!』っていうテンションの高まりをそのままに戦闘終わらせてやれよ。


 ああ、しかも論点がずれちまっていたな。今回に至っては『勝った! →と思いきや?!』ではなく、『勝った! →やられているところからもう一度、別視点で』みたいな感じになっちまってる。興醒めだよ。意味がわかんねぇよ。


 読者のテンションの高まりを、お前は完全に無視している。『書きたい!』が優先されてしまって、作品の質を落としている。勿体無いことだ。


 ……ああ、そうだ。書いてたら思い出したよ。


 18話から始まるメンテナンスの時が一番酷かったよ。


 読んでねぇ奴らに簡単に説明しておくが、まず18話は主人公がメンテナンスを受けている話から始まる。そしてメンテナンスを無事に終えて18話は終わる。


 だが次の19話に行くと何故か主人公はメンテナンスを受けていないことになっている。はあ?だよな。俺も読んでいた時、はあ?だった。これ以上うまく説明することは、俺には出来ない。


 そしてお前ら。すまねぇ。この話の怒りをヨシコ君に伝える為には読んでねぇ奴に合わせて語っていられねぇ。ここからは読んだ奴らだけにしか分からねぇ内容で語っていくが許せ。


 さて、ヨシコ君。あれは18話でメンテナンスしてるところのダイジェスト版を見せられてから、19話から23話までかけてそこに至るまでの経緯説明→メンテナンスって構成になっていたよな?


 俺はあそこを読んだ時、18話のがダイジェストだと全く気づかなかった。1章の最後で、小林が戦いを終えて、どうやらメンテナンスってのが必要そうだって話をしてたよな? だから俺はそのままの流れで、その日のうちにメンテナンスをしているんだと思って18話を読んでいた。


 次の話に行ったら主人公が全身痛い痛い言ってたよな? 俺、最初はメンテナンスをし終えたら体が痛くなるもんだと思って読んでいたんだよ。そしたら何故か父親から『お前昨日メンテナンスサボっただろ?』って言われて???だよ。理解不能な状態に陥ったよ。


 その時点でな、俺の頭の中での時系列は『終末と戦った→メンテナンスをした→翌日起きたら体が痛い→親父から「昨日メンテナンスサボっただろ」って指摘される←?!』って状態になっていた。


 でもな、その後3話くらい読み進めたらようやく理解できたよ。正しい時系列は『終末と戦った→メンテナンスを受けずに帰った(←後出しで出される情報)→翌日起きたら体が痛い→親父から指摘される→メンテナンスをした』だったと、後になって読み解けたんだ。


 マジで、ふざけてるだろ、お前?


 なんでダイジェスト版の時にさ、『俺がこうなっている理由を語るには、ほんの少し時間は遡らなければならない…』みたいな一言すら入れられねぇんだ?

 そういった一言があるだけでこのすれ違いは解消されるんだよ。それなのにお前は、そんな簡単なことすら出来ず、マジで、はぁ、作法がなってねぇよ……


 正直に言おう。ここに限らず1話目から、お前の小説の進め方はマジで滅茶苦茶だった。読者を完全に置いてきぼりにしている。


 一話一話あたりで独立して考えず、せめて一連の流れの間は構成を考えてから書こうぜ。それで読者のテンションを意味なく振り回すのはやめて差し上げろ。あと、時系列を読者に勘違いさせないように気をつけて書いてくれ。お願いだから。













 さて、今回は俺にとって非常に消化不良の戦いだった。


 言いたいことは山ほどある。が、それらを集約して1つにまとめると作者のレベル不足。これに尽きる。


 作者が描こうとしていることは何となく伝わってくる。それが正しく表現されていればきっとこの作品はとても面白いものになるだろう。


 だからヨシコ君。上で語ってきたのはお前が真に書きたい作品ものに対して、現状足りていないと思ったところの指摘だ。決してお前の作品を貶したり、お前の人格を否定したり、ましてやお前の本気を疑っているわけでもねぇ。


 腕を磨け。牙をとげ。そうして完成したお前の作品を読んで、笑って泣いて読める日を、俺は楽しみにしている。













 さて、最後にヨシコ君から来ている悩みに答えて、今回は締めるとしよう。


 >『悩み』

 >清々しいまでに自分の好きしか詰め込めていません。文章力? 構成力? 流行り? 知らんな。とかもう開き直ってしまっているのが悩みです。


 流行はどうでもいい。だが文章力と構成力は身に着けてくれ。


 着けておいて損はないぞ? 人間性と世界観に深みを与え、わざわざ『エヴァ〇ゲリオン』とかいうメタいセリフを使わなくても描写できるようになるんだ。


 描写も適当でテンポも悪い作品を、少なくとも俺は読みたくない。努力して、書きまくって、それらを身につけてくれ。








 じゃああとは恒例の2つ、やっておくぞ。



 ※ここで書かれている内容は全て個人的な意見であり、真に受けるかどうかは読み手に任せる。無視するも反論するもナニクソと思うも好きにしろ。





【作品名】終末世界のオーバー・ピース~目が覚めたら最強の決戦兵器になっていた件について~

【URL】https://ncode.syosetu.com/n6673fe/

【評価】2点


 今回の話で不幸になる方が出ないこと(俺含めて)を、俺としては祈るばかりだ。

 ちなみに今回の感想で怖気づいてきた奴がいたら今のうちに感想消しておきな。逃げる奴の背を、俺は撃たねぇからよ。


 さて、ここで1つ事務連絡だ。次回は順番でいけば絢さんの作品になるんだが。

 絢さんより、『あっちいけさんの感想を見て、より一層本気度に火が付いた。全編改稿するから時間が欲しい』との連絡があった。


 俺は快くその申し出を受け入れたよ^^

 1月18日までに終わらせろという期限付きでもってな。


 さあ、絢さん。お前の本気を見せてみろ。

 わずか3日間でどれだけ改稿できるか、お前の今の限界を超えたもの、俺に見せてみろ。


 というわけで次回は一個飛ばして宣教師野郎の出番だ。


 フローラ~!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
i546984
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ