20.ハガネキ 〜彼女はメタルでハガネのやべー奴〜
こそっと更新。
どうも、あっちいけだ。
さて、今回はどーでもいい話からさせてもらおう。最近、感想を書く際の刃が鈍ったなと自覚することがあるって話からだ。
どこからとか、どれがとかは言わねぇが、日誌始めた当初とはだいぶ感想の書き方が変わったなと思う。女々しく、言い訳がましく、何より傲慢さが足りない。
それというのは、感想を送るごとにとある理解が深まっていったからだ。文字とは、言葉とは、込めた想いを100%の形で相手に伝えるのが非常に難しい手段だってことに。
俺と作者の感想欄でのやり取りを見りゃ分かるだろうが、そんな意図で言ったつもりはないのに相手には違う形で感想を受け止められていたり、逆も然りだ。そんなやり取りを重ねていくごとに、俺は意図しないニュアンスで受け止められないよう対策を練るようになった。
それが女々しく、言い訳がましく、何より傲慢さの足りない感想だ。理論武装し、理屈をこね、「俺がこう思ったのはこういった理論があるからだ」と言いくるめ、さも俺は正しい、俺は悪くないとばかりな顔をする。
辟易だ。そうじゃなかっただろう?
俺は俺にしか書けない感想を書く。その結果俺が悪者になっても、うつけ扱いされてもいいと思っていたじゃないか。
感想に先立つものは理屈じゃねぇ、魂だ。俺の魂がこう叫んでいる、嘆いている、感動している。そんなことを相手に伝え、それを補足するために理屈があったくらいじゃないか。
最初はすれ違ってもいい。あとで感想欄でバトればいいじゃねぇか。
今までの感想で決して俺は嘘をついちゃいねぇ。手も抜いてねぇ。だけど、頭で考えた感想があった。
俺は邁進するぞ。俺のために。
頭は整った、理屈は身に付いた。
だからもう一度、魂を燃やす。誰かを納得させるための感想ではなく、俺の魂の形を表すために、日誌を綴る。
さて、変な自分語りから入ってすまねぇな。
色々と思うところがあり、今まで取り繕っていた体裁を取っ払う。なに、どういうことかはこれからの感想を読んできゃ分かるだろ。
というわけで、本題に入ろう。今回踏み台を差し出してきたのは『爆散芋』君だ。
差し出してきた作品は以下、募集要項から引用する。
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【作品名】
ハガネキ~彼女はメタルでハガネのやべーやつ~
https://ncode.syosetu.com/n2996en/
【あらすじ】
よくある転生、え? 要望通る? 髪と鋼のような丈夫な身体くれ。
【セールスポイント】
ロン毛ぇ! ギザ歯ァ! 高身長ォ!
【フックポイント】
ニッチ性癖。
【本気で書いてるかどうか】
こんな作品読みたいけど書いてる人居ないな? じゃあ自給自足するわ!
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前回の『近ごろの魔法使い』と打って変わってだいぶ短ぇな。
っていうかフックポイントのところ、俺は「フックポイントとなる話数を言え」ってんのに何勝手にフックポイントに置き換えてんだよ。。。
まあそんな些細なことはどうでもいい。今までで最少文字数の要項だ。言外に「こまけぇこたぁ言わねえから作品を読め」と言われてるってことだろう。
タイトルからでは察せなかったが、あらすじ曰く転生ものらしい。それ以外は要項読んでもさっぱり分からねぇから、言われた通りさっさと読み始めるとしよう。
そんなわけで以下、読んでねぇ奴のために『ハガネキ~彼女はメタルでハガネのやべーやつ~』(以降、ハガネキ)の概要だ。
まず、主人公は神様の不幸な手違いで事故死してしまう。そして神様から「ごめん手違いで殺しちゃった」とテヘペロされるところから本作は始まる。まあ、いたって普通ななろう転生ものの導入だな。
1つ特徴として挙げられるのはこの神様及び主人公、かなり癖が強い。真面目に読もうとすると眉がひくつくレベルで「ええ加減」である。
ただ、別にそれは悪いことではない。「あ、この作品はこういうノリの作品なんだ」と一発で分かる為、今後の読者のスタンスを向こうから決めてくれる。そんな導入になっている。
そして転生した先は『よくある剣と魔法の如何にもなファンタジー』(←原作で神様が言っていることをまんま引用)である。ここまでは、まあキャラクターの癖がちょっと強すぎるくらいでいたってよく見かけるなろう転生物の導入である。
そこから先。主人公は元々が男であったのに神様の趣味が入って何故か女になっている。古今東西流行ってる性転換(TS)ものだな。そして人間にではなく、鉄人という固有種の亜人(見た目はナイスバディな高身長ギザ歯美女。別に肌の色が金属の色になっているとかはない)となって異世界に転生を果たす。
この鉄人という種は色々とめちゃくちゃな性能を持っており、魔王や勇者なんかよりずっと強い最高位の竜種ですら余裕でぼこせるレベルで、最高硬度を誇る希少金属ですらおやつ感覚でぼりぼり食べれたり、火山の炎にお風呂感覚で浸かったり、攻守ともに最強の存在となっている。
作中、戦闘で彼女が追い詰められることは一切ない。だいたいは見た目普通の人間(ただのナイスバディなギザ歯美女)なので、見た目に騙されて余裕ぶっこいていた相手方がそのまま瞬殺されていく様が水戸黄門ばりのお約束展開となっている。まあ、こういったなろう転生物ではありがちな展開である。
つまり、本作は「よくあるなろう転生物」のフォーマットに対して、かなり癖のある主人公(転生先の名前はタマハ。通称タマ)及びその周りのキャラクターが織りなすドタバタ劇という要素がセッティングされている作品であると俺は思っている。
さて。
そんなわけで早速本作の感想に移っていこう。
と、その前に事務連絡を挟む。今回前書きに書いておいたキモイ自分語りにも関連する話だ。
俺は今後、日誌の感想を書くにあたって全く過去の感想例に配慮しない。書き方、感情グラフ、その他今までの日誌を構成してきた何らかの要素、それらを一切考慮せずに好き勝手に語っていく。
俺は今まで、「前の作品の時はあれをやってあげたし、こんだけ読み込んだって言っちゃったし、こうやって書いてあげてたし、みんなこれも期待しているだろうから作らなきゃ!読み込まなきゃ!語らなきゃ!」ってな感じで莫迦みたいに色々配慮していたが、それもやめだ。
俺的概要説明だって、何を隠そう初っ端の『クロステラ』のあらすじが役に立ってねぇから書いただけだ。何もそれ以降作者が書いているあらすじ以外に頑張って『っぽい』あらすじを書く必要ねぇじゃねぇか。(ちなみに毎回あらすじを書くのが最後になって、筆が進まずそのまま3週間が経過するとかざらにあった)
グラフだって、あった方が説明しやすいだろう、細かい機微が大事だから点数化しようとか思って作っていただけで、俺がなくてもいいと思ったなら作らなければいいんだ。そう思った。
俺は見えない何かに媚びへつらい過ぎていた。俺は、俺がしたいように感想を書いていく。
そういうわけだ。だから『あの時の感想ではこんなことをしてくれていたのに、どうして俺の時にはてくれなかったんだよ!?』とか突っ込まれても、知ったことか。それは俺がそれをする必要がないと思っただけでそれ以上でもそれ以下でもねぇ。
そして俺がそう判断した理由については、勝手に考えろ。いいな?
さて、そんなわけで感想に入ろう。
まず本作の方向性について、さっきから言っている通り本作は『よくあるなろう転生物』である。これはもうそもそもが作中の神様も『よくある剣と魔法ものの世界へ転生させる』と言っているからして世界観は推して知るべし。それ以外の要素としても周りの人物が主人公の特異性に驚く、主人公が無双する、主人公SAGEする者が敵味方ともに不在、主人公のピンチ要素がほぼない(あってもすぐに解決できるだろうと読者が予測可能な範囲)などなど、世に蔓延っている転生物と比較しておおよそスタンスに差が見えないことから、俺はそう結論付けている。
さて、そういった転生物は俺が大嫌いと公言している分野である。ただ、何故嫌いになったか答えるといつぞや話した通り、『転生物は面白いものだというインプットがある状態で様々な有名作品に手を出した結果、その悉くが糞であったために俺はなろう転生物が嫌いになった』という経緯がある。
つまり、俺はこういった作品をいくつも読んだことがあり、俺的良し悪し見極める材料を既に持ち合わせているということである。
そして、それら作品群の中で俺には合わなかった作品すらも世に広く強く受け入れられていることも知っている。
何故それらが世に受けているかの理由も理解しているつもりだ。自分事ではないから「つもり」という言葉がどうしても付いてしまうが、それでも理屈は知っているつもりだ。
つまりは、読者が主人公へ没入しやすく、非常に手軽に全能感を味わえ、普通であればかなりの窮地である不安な状況でさえ主人公がいれば大丈夫だという安心感がストレスを抱えている学生・社会人にとっての精神安定剤となっており、且つ連続性のある重厚なストーリーラインではないことから通学通勤時間、寝る前の隙間時間、スマホゲーの体力回復時間に気軽に読み進められること等々の要因から、疲れを疲れとして表面に出してはいけない現代人の現実逃避先として幅広く受け入れられているというのが俺が持っている偏見だ。
さて、さも俺は『なろう転生物』を莫迦にしているように見えたかもしれないが、そんなことはない。市場に多くある需要に対してベストマッチする作風を彼らは披露しているだけである。なーんらそれを莫迦にするつもりはない。なーんらね。
ただ、まともなプロットなんて作られていない、気分で思い浮かんだストーリーをそのまま手軽に反映できてしまう芯の無さ、『作者はこの作品でいったい何を語りたいのか?』が全く見えてこない、読めば読むほど苦痛な作品の山。それを乱立させやすい『なろう転生物』というフォーマットは、俺に対して極めて高い警戒心を持たせてくる。
『なろう転生物』というフォーマットは初心者でも簡単に手を出すことができ、読者のニーズと作者の供給が芯のところでガッツリ合致しているからある程度の文字数のところまではそれなりのクオリティを担保しやすく、ただし作者が見切り発車で進めたものが多いため途中から物語が空中分解を始め、落としどころを失ってメインらしいストーリーの進行が止まり、ぐだぐだと目的不明な話が続く。そんな顛末が起こりやすいから嫌いだってだけだ。
ただし、(俺的に)うまく決まれば(俺的に)最高に面白いものすら書ける。なにせ俺が一番好きななろう小説は転生物だ。
結論を言おう。「俺はなろう転生物を莫迦にしている」というのは全くの嘘になるが、「なろう転生物に安易に頼った結果自分のケツを拭ききれなくなっている作者を大莫迦にしている」であればおおよそ正だ。
さて、色々好き放題に語った後で本題に入ろう。俺にとってこの『ハガネキ』はなろう転生物に安易に頼ったものであったかどうか?
答えは正である。俺にとって本作は読むのが苦痛な部類であった。
ただ重ねて言うが『俺にとって』読むのが苦痛だっただけだ。世の有名作品、アニメ化作品も多くは俺にとっては苦痛作品であり、客観的・商業的な話では言っていないので注意だ。あくまで俺個人の感想である。
そんなわけで、何をもって俺が本作を読むのが苦痛と評したか。それを語るにあたり、まず「コース料理とスナック」の話をしておこう。
物語全体で起承転結がある。連続性・連動感のあるシナリオで読者を最後まで読ませようと管理されている作品がコース料理派の作品である。
一方で、初っ端から読者に強い刺激を与えて似たような話が続くんだけどその味がたまんねぇんだよねというのがスナック派の作品である。
まあ、2つに分けてみたが世の作品がこのどっちかに絶対に属するって高尚な話じゃねぇし、どっちかに属したから俺にとって苦痛だなんて区別する要因ってわけでもねぇ。
俺が好きなのは何となく悟ってもらえるだろうがコース料理派だ。ただスナックだけど面白い、コース料理だけどつまらない。そんなのも普通にある。
さて、ここでコース料理だとかスナックだとか出したのは、この『ハガネキ』がしいて言えばどちら側か?という話を出すためである。
それでいうと『ハガネキ』は純度98%くらいの割合でスナック派だと俺は思っている。
全編通してのストーリーの連動感はほぼ皆無といっていい。主人公が訪れた町・国ごとで起こるドタバタ劇を面白おかしく描き、次の街に行ったら本質的に全く同じような話が再度描かれており、全く同じように主人公マンセーが巻き起こる。
一応は主人公が旅する目的として『神様のテレポートによって不意の別れとなってしまったガンテツ(転生した直後に友人となったドワーフ)に会いに行く』というものがあるが、物語構成上「生きるために呼吸しています」くらいの、存在感としては最低限の目的であり、読者にとっては『ガンテツに会うまで主人公を応援しよう!』なんて気には全くならない程度のものである。
そして、この主人公の性格が非常にものぐさというか怠惰というか、特に目的なく生きることを良しとする人物である。その為周りのキャラクターがお膳立てをしてあげないとストーリーを動かしていけないのである。(上述したガンテツに会いに行くとか、ダンジョンに潜りたがっている冒険者のお供を任されるとかでない限り物語は一向に動かない)
色々言ってきたが、端的にいうと本作のメインシナリオ的なものはあってないようなものであると俺は感じている。
ちなみに「メインシナリオ的なものはあってないようなもの」というものは別にそれ単体で読むのが苦痛になる要素ではない。ただ単純に本作はスナック寄りな作品であると俺が結論づけた要素なだけである。
そうしてスナック寄りな作品について、読み進めていくモチベーションの原動となるものは『魅力的なキャラクター性』と『章ごとに展開されるストーリーの局地的質の高さ』で担保されることになる、と俺は思っている。
さて、ではそれら2つの要素について、『ハガネキ』ではどうなっていたかを語っていこう。
まずキャラクター性について、なんといっても主人公の癖がかなり強い。
癖というか、アクというか……基本的に主人公の一人称視点で物語が進むので否応なしに彼女との二人三脚を強いられるのだが、かなり適当色が強く、かなり人を選ぶのではないかと思わないでもない。
今までの日誌作品の中で癖の強かった主人公といえばヨシコ君の『オーバーピース』で出てきた\KOBAYASHI/も相当なものだったが、それを上回るキャラの癖である。
ちなみに余談だが、本作でも以前『まにてん』で言っていたような視点のブレが随所に見られる。個人的には気になる点だが、もはや主人公タマがそもそも「ええ加減」な為、そんな細かいことどうでもいいかという気がしなくもない。
それでもって本題に戻るが。本作ではキャラクター性について、主人公の癖が非常に強いというところは特筆すべきものであるものの、それ以外のキャラクターはそこそこレベルなのである。
たまに癖が強かったり特徴づけっぽい性格があるキャラが出てきたりするのだが、主人公タマと比較するとその存在感は1/5にも満たない。癖の強い登場人物同士で化学反応を起こしあうのではなく、超癖の強いタマの特異性を見せるために周りの人がいるくらいのバランス感であると俺は感じ取った。
そしてその感覚はおおむね爆散芋君の意向通りであろうと、募集要項のフックポイントやセールスポイントを見るに想像に難くない。
タマをガッツリ好きになれる読者であればたちまちファンになれるだろう。俺は残念ながらファンにはなれなかったが、それは個人間の相性の問題であり、本作の質如何とは何ら関係ない部分である。
タマが持っている『こまけぇことはどうでもいい』感であったり、『内輪の奴は守ってやる』という姉貴感であったり、『締めるときにはきっちり締める』感であったり、そういうのはきっちりしっかり表現されているので、キャラクター性については「俺には刺さらなかったがファンになる奴もいるだろう」という評価を俺は持っている。
そして次、『章ごとに展開されるストーリーの局地的質の高さ』について。
これが俺的に「う~ん…」だった。端的に言うと『ヒロイン・仲間ポジションの不在』が原因と思われる。
まず、非常に俺個人的なことを言ってしまうと主人公の成長が感じられない以上本作を読み進めていくモチベーションが上がらない。いきなり意味不明なほど強い力を手に入れて、それを『まあいいか』的なノリで受け入れ、それ以降自分が絶対的強者であることへの自覚をもとに好き勝手する様に、ある一定の共感はできるものの物語の主人公としての魅力を低く感じてしまうのである。(あくまで『物語の主人公としての魅力』であり、『個としての魅力』とは別である)
ただし、この要素は多くの俺的読むの苦痛作品で見られる特徴である為、世に受け入れられている要素であるとも思っている。俺は好きになれないが、そういったものをすんなりと受け入れられる奴も多くいることを勘案すると、この要素はこういった作品を書くにあたって比較的ベーシックなものであると結論づけ、この場で多く語ることはしない。
そして本題であるが、かといって主人公周りのサブキャラ達について、物語を通じて変化・成長しているような気がしないでもないが別段その章終わった後で再登場してくるわけでもなく、ほぼ全てのキャラが章ごとに使い捨てされていく。
主人公たちをマンセーするためだけに存在し、それが終わったら即退場していく彼らサブキャラ達。彼らがタマに関わった結果の成長など物語全体の方向性にさして影響を与えず、次の街に行っても本質的に同等なキャラが出てきて同じようなストーリーラインでビフォーアフターが生まれ、そして次の街へ、といった感じ。
俺個人的には『で、この作品を通して作者は何を書きたいの?』と思わざるを得ない。まあ、そもそもが主人公のキャラクター性のみで売ってるんであればその問いも全くのお門違いなんだろうけどさ。
さっきも言った通り主人公タマのキャラクター性については個としての魅力=求心力はあるものの物語の主人公としての魅力は低く、一方でそれ以外のサブキャラについてもキャラ自体が使い捨ての為印象が強く残らない。(瞬間風速でキャラの濃さをタマより発揮していくやつらもいるが、最終的な印象が薄くなってしまうのはこの使い捨てが要因ではないかと俺は感じている)
結果、章ごとのストーリーについてもそれほど魅力的なシナリオではなかったなというのが俺の受け取った印象だ。(サブキャラに魅力がないわけではなく、物語を読んだ後に「ああ、このキャラクターがこうなってよかったな!」とかそういう感動というか、キャラクターシナリオ的なものの魅力を薄く感じたというものだ)
ただし、実はそれら魅力を感じない要因(上述した『主人公の主人公らしい魅力』や『使い捨てされるサブキャラ達』)というのは、わりと有名作品でも共通してみられる要素なのである。
しかし『ハガネキ』と違って、作品を有名たらしめた彼らはヒロインであったり仲間であったり、旅に同行するキャラクターの徹底した深掘りを忘れていない。つまり、『主人公が人間的に成長しなくても、サブキャラが精神or肉体的に成長する話を差し込む』とか、『成長した結果のビフォーアフター(胸熱展開)を章をまたいでどこかで披露する』とかいうのをしているのである。それどころか使い捨てだとばかり思っていたキャラが再登場して胸熱してきたりもする。
それが『ハガネキ』でいうと大体タマの一人旅であり、当初の何となくの目的であるガンテツと無事再会を果たした前後も特に何か目新しい展開が起こるわけでもなく、途中から一緒に旅することになったダイチ(タマと同じく転生者で勇者)についても特に成長とかあるわけではなく基本的に主人公アゲ要因であり、そして迫りくる強敵や難題については大体タマがどうにかする流れもワンパターンだし。
俺の目がもはや耐えきれずに流し読み態勢全開になってしまったからなのかどうかは知らんが、ダイチと出会ってガンテツともうすぐ会えるかも~!?っていう第5章(40万文字過ぎた頃くらい?)あたりから、ちょっとまともに読めなくなってしまったんだよね。それまではストーリーについていけてたんだけど、最新話まで一度は読み切ろうと思ってたんだけど、すまん。第6章入ったところで力尽きた。
ちなみに、俺がこの作品を10万文字近辺で区切らず、延長戦でその続きを何故読み進めていったかというのと、「作者がこのスナック寄りと思える作品をスナックのつもりで書いたのか、コース料理のつもりで書いたのかが知りたかった」、それが大きかったのも第6章で力尽きた要因だろうと思っている。
物語始まってしばらくして、主人公には『ガンテツと再び会う』という目的ができた。その目的が達成させられた時、その達成のされ方によって本作のスタンスが測れるだろうと思ったからだ。
結果、ガンテツとは特に運命的な再会ではなく『おぉ、ようやく来たか』的な軽いノリで邂逅を果たし、それ以降その再会を機に何か事件が起きるわけでもなく何故かダイチ側の話になるし、特にその話が今後のタマの窮地や活躍にすぐ繋がるような話でもなさそうだし、あ~スナックね。スナックってなって読了としたという経緯だ。
俺的結論、この作品は徹頭徹尾俺が好きになれないタイプのスナック派作品であった。感情グラフをつけようとしても、俺が客じゃ無さ過ぎることもあり30~40点あたりをずっと行き来するだけのものになるので今回は作っていない。
そしてこの類のスナック作品が好きな奴向けであったとしても、ちょっと主人公のキャラクター性頼みで突き進んでいこう感が強過ぎて、どこかで飽きられるんじゃないのかな?と思ってしまった。
スナック作品には『読者を飽きさせないように常により強い刺激かちょっと異なった刺激を与え続けなければすぐに飽きられてしまう』という性があり、もし対策を打つのであれば上述通り同行・成長するヒロイン・仲間ポジションがあれば何とかなるかね…?といった感想を俺は抱いたというわけだ。
もちろん、それは俺個人的にどうすればまだ何とかなったかもと言っているだけであり、それが客観的・商業的に正解であるかどうかとは全く別ものである。それにそもそも言っておいてなんだが、タマのキャラの濃さを薄めない且つそのキャラそのものの影も薄くさせないような同行キャラクターを考えるのは途轍もなく大変だとも思っている。はじめてパーティらしきものを組んだマル君一行と旅をする———ってなると物語の方向性がだいぶ変わりそうだしな。
俺的感覚でいうと、第3章までは「俺は客じゃねぇなぁ」と思いながらも楽しく読める要素もあった。だが第4章くらいから『ハガネキ』で楽しんできた要素の薄れ(スナックの飽き)が来た。ん~、使い捨てられるサブキャラの濃さが薄くなったように感じたのも原因かもしれん。キャラ濃ゆいローズとリリーの兄妹が第3章でダブル登場しちまったのが余計にその印象を強めていると思われる。
あとは、強いて言うなら元々の旅の目的である『ガンテツとの再会』をよりドラマチックに仕立て上げるとか。
タマの話の合間合間にガンテツやらギートやらの話が挟まるじゃない? あれの延長戦で、ガンテツ側が不足の事態で窮地に立たされていて、それにタマが間に合うかどうか? そして間に合ったタマはギート達ですら手も足も出ない相手に何とか対抗できるのか…!?(出来るだろうけど)みたいな展開を期待できそうだったなら、俺的にはそこを楽しみに読めていたと思う。まあ、一読者の勝手な意見だ。
極論、作者が楽しんで書いているんであればそれでいいんじゃね?というのが一番素直な感想である。しかし、俺の穿った偏見であることを自覚しながら言うと、爆散芋君。だんだん書くのしんどくなってないか? 元々勇者や魔王、ロッジやヨシヒコとかの話をどういう着地の仕方見込んで書き進めてきたか分からないけど、この作品の進むべき道が分からなくなってるんじゃないかって気がしてならないんだよな。
着地点が見つからなくなるってのも『なろう転生物』によくある話だって偏見を持っているからそう感じただけかもしんねぇけど。
俺は第5章以降でそれをより色濃く感じたって、それだけだ。
以上、感想終わり。
あとはいつもの恒例の2つをやっておしまいだ。
※ここで書かれている内容は全て個人的な意見であり、真に受けるかどうかは読み手に任せる。無視するも反論するもナニクソと思うも好きにしろ。
【作品名】ハガネキ ~彼女はメタルでハガネのやべー奴~
【URL】https://ncode.syosetu.com/n2996en/
【評価】4点
さて、次は氷壺剣士野郎だな。
……俺だ。