11.時き継幻想フララジカ
※今後の本日誌の進行に関わる内容を後書きに書いてある。そこまで読み進めるのが面倒な奴もいるだろうから結論だけ先に言っておくが、今後この日誌での作品募集はしない。2021年4月13日時点で俺が把握している分までで応募終了とする。以上だ。
さて、まず初めに謝っておこう。
あ? 違う違う。更新止めていたことやしばらく顔出さなかったことに対してじゃねぇ。今回に限って感想の書き方をいつもとちょっと変えることについてだ。
お前らにはよ、俺がいつも感想を遠慮なしに言っているように見えてるんだろうが、実は細けぇとこで色々自分ルールがあるんた。それをあえてここで列挙するつもりはねぇがな。
だがこと今回の感想に関しては、俺は自分に課していたルールの1つを取っ払う。それが今回だけに限られるかどうかは知らねぇがな。
どういうことかは、読めば分かる。以上、前置きだ。
さて、変な前置きから始まっちまったが、久しぶりだな。どうも、あっちいけだ。
前回更新から1年半経っているらしい。その間、多分こっち側でも色々あっただろうが、すまねぇな。俺にも俺の事情があって、マジでその間ろくにログインしてねぇ。誰かいなくなってたり、誰かが出版していたり、色々あるかもしれねぇが俺は知らねぇ。あえて調べようとも思っていない。
そんなわけで、どれくらいの奴がこの日誌を見てくれるんだか想像もつかねぇ。ただようやく色々と落ち着いてきたもんだから、たまりにたまった課題へ手を付けていこうと思ったわけよ。そうだ、俺の踏み台として差し出されている作品ども、それに向き合える時間が戻ってきた。
今だけは、この場所だけでは、俺は俺でいられる。『本気』でぶつかってきた同志に、『本気』でぶち当たっていく。懐かしくも猛る感覚よ。
そんなわけで、早速行くぞ。今回突然の日誌再開で急襲の憂き目に遭っているのは同志『ひなうさ』君だ。
俺が一年半も休んでいる間にいなくなっていたらどうしようと思ったが、どうやらまだまだ精力的に活動しているようだ。安心したよ。
さて、そんな彼の呼び方について、今回も捻りなく『ひなうさ』君と呼ばせてもらおう。そしてそんなひなうさ君がエントリーしてきた作品については以下、募集要項からの引用だ。先に目を通してくれ。
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【作品名】時き継幻想フララジカ
https://ncode.syosetu.com/n7003ei/
【簡易的なあらすじ】
時は現代……親友と共に街へと繰り出した少年・藤咲勇は突然の世界の変化に遭遇した。
"魔者"と呼ばれる異形、それらを前に"魔剣"と呼ばれる特殊な武器を得た勇は次第に世界を巻き込む戦いの渦へと足を踏み入れるのだった。
【セールスポイント】
詳細を描いた戦いの模様。
「現実は甘くない」を念頭に置いて緩急を意識した物語構造。
そして友情努力勝利……なろうでは受ける訳も無い要素の詰まった、「現代神話」の創造作です。
【フックポイントの話数】
基本的にフックポイントは意識していませんが、最初の見所として
・第14部 ~一閃 に 猛る~
主人公が初めての戦いに挑むシーンです。
現代の人間ならこうなるだろう、そういった話を進めた上での結論から出ました。
【本気で書いているかどうか】
超絶に本気ですね。
小説で終わらせるつもりすらありません。
挿絵を描きつつ、自己コミカライズも念頭に物語を忠実に描いています。
小説そのものも、何度も改稿を加えています。
そもそもが私自身がまだ小説を書き始めて浅いという事もあり、経験不足から自身が出来る事をやりつつ、そこから得た経験で再び塗り潰す……これを繰り返しています。
それを繰り返しながら新作を書き連ねて1年半でおおよそ150万文字が書き終わりました。
ちなみにまだ終わってません。
完結するまでは物語を描き続ける予定です。
これが私の本気です。
『悩み』
人気ジャンルから圧倒的に離れているせいか、感想が殆ど来ません。
それ故に、人からの指摘が殆ど得られず、未だ自己よがりが強い作品となっております。
他者の作品を読んで学んではフィードバックをしていますが、それが正しいのかどうかの判断が難しい所。
故に、辛口コメントを期待したく。
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引用ここまで。
さて、どうやらあらすじを見るにこの日誌初めてのローファンタジーもののようだ。現代世界を舞台にファンタジーするってやつだ。(合ってるよな?)
そう。ここで『合ってるよな?』と挟んでしまうくらい、実は俺はローファンタジーものに疎い。ひなうさ君が言う通り、超王道なジャンルではないだろうが、それにしたってというところがあるだろう。
そんな俺がローファタンジーものと聞いて思い浮かべるのは……ペル〇ナとか、デビ〇ルとか、メガ〇ンとか?
って全部アト〇スじゃねぇか。待て待て、他に何かあるだろう―――(ネットで検索中)―――ああっそうか! ハリー〇ッターとか、Fa〇eとかそうだな。うんうん、意外と分かるぞ。よしよし、話についていけそうだ。
ちなみになろう界隈で有名なローファンタジーものも調べてみた。一切、俺が知っている作品はなかった。
すまねぇ、ひなうさ君。そんなわけだ。こんな俺はもしかしたら読者にふさわしくないかもしれんが、ひとまずざっと第三節(25万文字相当)くらいまでは10回くらい読んで、第四節(35万文字相当)くらいのところまでは2回くらい読んだ。だから、以下感想を残すことにする。
さて、感想に入っていく前にまずこの『時き継幻想フララジカ』(以下、時フラ)の概要を述べていこう。いつも通り、以下概要だ。
主人公の名前は藤咲勇、東京の高校に通うごく普通の学生だ。そんな彼には出来すぎた友人がいた。その友の名前を司城統也という。
トウヤは文武両道、イケメンで金持ち。何でもそつなくこなすスーパー天才君だ。そんな彼に対し、主人公であるユウはコンプレックスを抱いている。とはいえそんなことは些細な問題で、彼らは奇妙なところで互いを認め合う親友同士だった。
そんな彼らが渋谷へ遊びに出かけたある日、突如として世界各地を局地的な異変が襲う。建物や地面が緑色のツタに覆われ、同時に外を歩いていた人が姿を消した。ユウ達が遊びに行った渋谷もその対象となり、渋谷の町で助かったのはユウ達含め、異変が起こった時にたまたま屋内にいたものだけだった。
彼らは突如起こった異変に戸惑う。しかし異変はそれだけに留まらず、彼らの前に身の丈2メートルを超える異形の者が姿を現した。
異形の者は凶暴で残酷。腕を一振りするだけで人々を簡単に殺していく。そうして運よく異変を生き残った者達も次々と惨たらしく殺されていく。
ユウは怯える。しかしトウヤが先導し、彼らは細い路地へ逃げていく。異形の者は大きい、細い道は通れないと判断したからだ。
ユウはトウヤと共に逃げる。懸命に駆ける。ここから少しでも遠ざからなければ殺されてしまう。路地を走るユウは、恐怖で萎えてしまいそうになる足をがむしゃらに走らせる。
しかしユウ達の前に異形の者が立ちふさがる。
「っ―――ユウッ、逃げろぉぉお!!!」
咄嗟に、トウヤがユウを逃がそうと身を挺す。
何でもそつなくこなすトウヤ。
やることなすこと全てうまくいくトウヤ。
盲目的にそう信じ切れてしまうほどに彼は凄かった。だからユウは言われた通り、その場から逃げ出す。
しかしユウを逃がした後ろでトウヤは、いともたやすく殺される。飛んできたトウヤの首、ユウはそれが変わらず『逃げろ』と言っているように見えた。
「うっ―――うわああああぁぁっ!!」
叫んだ。半狂乱になりながら、ユウは脇目も振らず逃げた。トウヤがそう言っていたから。
逃げる。逃げる。逃げ続ける。振り返れば、そこにはきっと異形の者がいる。
そして逃げた小路の先で―――ユウは転んだ。自分を見下ろす影にぶつかったのだ。
「なんだぁ、お前?」
その影は異形の者ではなく、人間だった。しかし大きい。異形の者よりも大きいその巨漢は、ユウを追って現れた異形の者を腕の一振りで屠る。
あまりの強さに呆然とするユウ。彼を助けてくれた巨漢は、自らを指して『剣聖』と名乗った。
ユウは助けられた礼を言う。しかし、助けられた安堵も束の間、ふつふつと沸いてきたのはトウヤを殺されたことに対する復讐心であった。
だけど、ユウには力がない。だから彼は剣聖に頼んだ。
「お、俺の親友の、仇を取ってください!」
「嫌だね、面倒くさい」
しかし懸命の願いは聞き届けられず。諦めきれないユウは、やがてその言葉を発する。
「だったら―――俺にも出来ますか? あの化物に、一矢報いることが!?」
ユウは力を求めた。そしてその願いは受け入れられた。
剣聖がユウに差し出したのは一振りの剣―――異形の者を殺せる武器【魔剣】。こうして魔剣を手に入れたユウは異形の者【マモノ】達との闘争に身を投じていくのであった。
さて、いつも通りだ。フィーリングでもって書いているから微妙に違うかもしれねぇが気にするな。どうしても気に喰わねぇってんならひなうさ君、感想欄で大いに暴れてくれ。
そんなわけで、流れで感想に入っていくとする。まずはこの作品の良いところから語っていこう。
特になし。以上。
―――さて。
まずはフォローしておこう。
この作品、『面白くできそうな要素』はいくらでもある。魔剣や命力といった設定、土地変容の全容、異変は局地的なものであって変容対象外の土地では普通の生活が継続されていること、主人公がまず最初に抱く感情が『復讐心』だというダークファンタジー感、そして『今までの世界を築いてきた大人たちと、異世界に触れ合った結果知識や経験を先行して手に入れた主人公たちの対比』、だったりな。ファンタジーもののツボもローファンタジーもののツボも両方抑えられる作品だなと俺は思った。
だがな、ひなうさ君。本当に申し訳ないことだが、上に挙げたものを良いところとして紹介しようとしたのだが無理だった。褒めようとした部分の周りにも、俺にとって気に喰わない部分がちらついており、素直に褒めることが出来なかった。
これが前書きで言っていた、今回俺が取っ払ったルールだ。『感想を送る時は絶対に良いところも挙げる』―――俺はそのルールを守るのと、自分を誤魔化して感想を書くのと、悩んだ末に前者を捨てた。
というわけでだな、ひなうさ君。まず結論から言ってしまおう。
俺はこの作品にとっての読者たりえない。なぜなら、読んでいて疑念なく純粋に『ほう、面白い』と思えた瞬間が一瞬たりともなかったからだ。つまり、ひなうさ君が想定していた読者像に対し、俺が一欠片もかすらなかったということだ。
よって、ここから先に書いてあるのはお前にとって役に立たない落書きでしかない、と思ってくれて構わない。あるいはお前にとって毒にしかならない可能性もある。だから今回に限っては別に読んでくれなくても構わない。
お前がこの作品を『本気』で書いているのは知っている。でなければ最新章まで含めて350万文字も書き続けられねぇだろ。
だからこれは俺とお前の作品とで、致命的に反りが合わなかった。それだけのことなんだ。
さて、というわけで今回は先に言っておく。
ここで書かれている内容は全て個人的な意見であり、真に受けるかどうかは読み手に任せる。無視するも反論するもナニクソと思うも好きにしろ。
それじゃあ、行くぞ。
さて、まずこの『時フラ』について、俺が読み始めるにあたってあまり面白くないところからスタートする。
それは何かというと、あらすじ読み終わってからの第一話の部分。ひなうさ君は『大前書き』【 これから本作を読まれる方へ贈るメッセージ 】というページをわざわざ作って、読者に対してメッセージを送っている。
別にそれ自体は構わない。普通の単行本やマンガだったりも、巻頭に作者のコメントが入ることが多いからな。
ただその内容がだな、やれ『カワヨ系な名前の作者だけれど内容は非常にハードな描写が多いです』だの『一般的な「残酷描写」という括りを超えた描写も散見されます』だの『本作は気軽ではありません。復唱します。本作はライトノベルではありません』だのとつらつら書かれていてだな…
鬱陶しい、と思ってしまった。物語の内容を作者が訳知り顔で最初にペラペラくっちゃべってるのを見て煩わしさを感じてしまった。先入観と偏見があるとは思うが、こういうこと言う作者ほど期待外れな作品を差し出してくることが多いと思っており、お前が前書きで言葉を重ねれば重なるほどに期待感はしぼんでいった。
そして読み始めてしばらくしても「別に改めて注意するほど残酷じゃねぇな…」とか、「うーん、言ってもライトだなぁ」とか思っちまってよ、それなりに読み進めた後に再度この第一話を読み返してみたら「勘違い作者の自己満足前書き」にしか見えなくてな。
正直言っちまおう。あの前書き邪魔なだけだと思った。もしかしたらだいぶ読んだ先にすげえ展開が待っているかもしれないけれど、あんなぶち上げられたハードルを飛び越えている部分は少なくとも読んだところまでではない、と俺は感じた。
俺的にはあんな前書き、無い方がより素直に物語に入っていけたと思う。
さて、次に第2話だ。第1話が前書きであるから、実質的にはここから物語が始まる。
まあ、それなりに厨二病的な書き出しではある。好き嫌いが分かれる部分だ。俺はどちらかと言うとあまり好きではない派だが、『そういうものだ』として受け入れるだけの度量はある。
ただ、ここに関してひなうさ君。雰囲気を作ろうとしているのは分かるんだが、文章が非常にまどろっこしいと俺は感じた。
例えば出だしの文、ちょっと引用してみるぞ。
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そこは全てを闇に染める暗い空間。
中央に一つ、燐光纏う灯がぼんやり浮かび上がる。
それは明かりか、それとも月下の返光か。
薄っすらとした光が包むのは一人の女性。
誘われた光が顔の輪郭から影を僅かに祓い。
その面持ちが露わになった時、彼女はそっと呟いた。
「少年と、少女の姿が見えるわ。 まだ年端も行かない程の」
若い女性なのだろう、その輪郭は歪み一つ無く。
闇との境界を流れる様な線で隔てていた。
「でもその動きに迷いは無い」
揺らめき踊るは金の髪。
光伴うその姿は、まるで髪そのものが煌めいているかのよう。
「ふわり、ふわり」と漂い、彼女の周囲を淡く照らした。
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引用ここまで。
言いたいことは分かるよ。出だしで重要なシーン(伏線的にも大事だろうし、この話が壮大であることを印象付けるために大事なところなんだろう)を載せているけれど、一方でネタバレにならない程度にボカして何とか乗り切ろうとしているひなうさ君の努力の形跡が見られるよ。
でもさ、すげぇ読みづらいんだ。端的に言うとまどろっこしい。
細かいこと言っていくぞ。例えば最初の文、『そこは全てを闇に染める暗い空間。』ってさ、ちょっと分かりづらい表現だと思うんだ。少なくとも、本文語り始め最初の一文には不適だと思う。
文法的には間違いじゃないんだよ。何言ってるかも分かる文章なんだけどよ。多分、主語の「そこは」と名詞の「空間」の間に修飾語が多過ぎるからだと思うんだが、物語出だしの一文にしておくにはすげぇ小癪だなと感じた。物語に没入しようとしたらいきなり冷静さを求められた、みたいな感じだ。あぁ、すげぇ個人的な意見で申し訳ないけどさ。
パッと一目見てすんなり意味が分かるような文を出だしには置いておいた方がいいんじゃねえかな、と俺は思ったんだよ。
それとさ、ここらへん一帯の文章なんだけど逐次ビジュアルを追って説明しているんだよ。なんか違和感が半端ないんだよな。ネタバレにならないよう適度に要素をぼかしているのに、表現の作法自体はすげぇ細かく説明する時用のテンポになってる、みたいな。
ここの部分については、もっと地の文を削ってテンポよく読ませてやった方がいいんじゃねぇかなと俺は思った。まあ、すまねぇ。第1話の前書き部分で若干辟易した状態からスタートしたから、よりネガティブな読み方をしちまっている自覚もある。
好き嫌いの範疇かもしれねぇ。ただ俺はここの第2話全体の表現を、あまり受け入れられなかった。そんだけだ。
そうして迎えた第3話。ようやく主人公であるユウが登場する。
ぶっちゃけて言おう。今まで第1話と第2話に対してつらつらと文句を垂れてきた俺だが、ここからの方がより読むのが苦痛だった。
とにかく文章が冗長的過ぎだ。最初こそ、『出だしだから雰囲気重視の意図を持ってこそなんだろう』と思っていたけどさ、この文体は始終続く。もうな、読むのに疲れちまうんだよ。
その割には中身がない。3行にまたがるくらいの長文を読んで、『これって短い一行の文で事足りるんじゃねぇか?』って思ったことは数知れない。俺がお前の作品を読んで感じた事、それは文章の脚色をし過ぎだってことだ。
もう『どこが』とか指摘する気も起きない。特定部分じゃないから引用するまでもない、っていうか特定部分に区切って引用してくると恐らく気づけない。作品全体で満遍なく冗長的だからこそ、抜粋してきたら『そうでもなくない?』ってなってしまうと思う。
まあ、そうは言っても一応例を引用しておくよ。わりと序盤で俺がうへぇと唸るほどに冗長的だった部分。
何気ない日常パートから抜粋する。以下、引用だ。
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―――だから今日もきっと 、ハァ―――
勇の心に口から出せない溜息が漏れ。
悩みを体現するかの様にくっきりとしたしかめっ面が童顔に浮かぶ。
でもそんな苦悩などいざ知らず。
統也が突如として「キリッ」と鋭い視線を勇へと向ける。
「その夏休みの予定前の下準備って奴だよ勇君。 何もしないまま夏を迎えるつもりかね?」
それも束の間、途端にその頬が緩み。
たちまち「ニタァ」と歯を見せつけた珍妙な笑みが「グイッ」っと現れていて。
おまけに右手を切れのある素早い動きで胸元に充て、親指の立った拳を握り締める。
随分と力の籠ったサムズアップだ。
統也のあからさまな様子に、勇の嫌な予感はもはや最高潮へ。
心にだけ響いていたはずの溜息がとうとう口からも堪らず溢れ出し。
不安は転がる雪だるまの様に膨らみ続け、気付けば歯を覗かせる程の苦悶を堪らず呼び込む。
そんな彼の心境など知ってか知らずか、統也は依然ノリノリのまま。
まるでミュージカル役者の如く緩やかに手腕を広げ、感情の昂るままにその声を張り上げた。
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引用ここまで。
まあ、なんだ。たまにこれくらいの語り方であれば別についていけるんだよ。ただ本作は軽い日常トーク場面からシリアスな戦闘シーンまで、始終このノリが続く。
俺にとって少なくとも第1節の文章の大部分で『内容の薄さに反して語りすぎ』(←語りすぎだからこそ内容が薄まっているとも言える)と感じた。なんだろうな。改稿をいっぱいしているからだろうか、何か文体の部分に『気負い』というか『気合い』というか、ひなうさ君の『この作品はすごく特別なものだから、全ての部分をスペシャル仕様にしないと!』っていう驕り・勇み足めいたものを感じるんだ。
っていうか身も蓋もない言い方をしちまうと、『全体的に物足りない完成度だった処女作を、それなりに力をつけた作者が文体だけ異常に気合を入れて手直しした』みたいに見えちまったんだ。
結論、内容に対して読者へ強いる集中力が高すぎる、と俺は感じた。そこまで描写せんでもいい、そんな大仰に描写せんでもいい、そう思うところが読み進めれば読み進めただけ出てくる。
もう一度言う。この作品の至る所にひなうさ君の気合いが入りすぎていて、読者たる俺はしがみつくのに精いっぱいになってしまった。
ひなうさ君曰くこの作品は気軽ノベルではないそうだから、言わせてみればきっとこれは重厚で丁寧な作りをしているんたと反論されるかもしれないけれど。
俺にはただ単に文字量かさまししてそれっぽく見せられてるだけで全然丁寧な作りじゃないんだよなぁと感じられたとだけ言っておこう。
表現は短く、分かりやすく、タイミング良くしたほうがいいなぁと俺は思った。
ついでに言っておくけどさ、この話は渋谷で土地変容が起こって、ユウ達がそれに巻き込まれてからようやく本格的に物語が動き出すと思うんだけどさ。
ひなうさ君、そこまでに何文字使ってるか把握してるか?だいたい2.2万文字くらいだ。長ぇよ。そこからやっと本題だろうに、単行本の5分の1くらいの文量かけるのは、ちとやり過ぎだと思う。
まあ別にいいよ。出だしが遅くて面白い作品なんていくらでもあるからな。だけどさ、その2.2万文字をお前は何に費やした?そのほとんどがユウとトウヤの交友関係的な話だ。
分かるよ、トウヤが死ぬという悲劇性、ユウが復讐を誓うドラマ性、ダークファンタジーものとして大事なところだ。そこを盛り上げる為にユウとトウヤの仲の良さを印象付けたかったんだろう?
意味ねぇから。2.2万文字費やしたけど、正直それだけの文字量を読ませる労力に見合ってないから。
いや、本当は意味があるべきなんだよ。だけどな、お前は2.2万文字を使ってトウヤの魅力を掘ってこなかった、と俺は感じた。正直、トウヤを死なせて悲劇性を演出するのであれば、もっと読者をトウヤのファンに仕立て上げなければならなかった。
なのにお前はその文字量を使ってトウヤの何を表現してきた?羅列してみるぞ。
『主人公の昼寝を邪魔してきた』
『部活をさぼって遊ぼうぜと誘いにきた』
『ずんずんと話を進めていって主人公を振り回す』
『彼女がいない主人公に対して、彼女を作るよう強制する』
『彼女なんて今はいらないと言った主人公の言葉を無視して強引に話を進める』
『主人公に彼女を作らせるためナンパを強要する』
『自分へ逆ナンしてきた女の子の注意を主人公の方へ逸らす』
『自分のせいで主人公が馬鹿にされてしまったのでちょっと反省するけど、すぐ後にまたナンパをさせようとする』
―――さあ、つらつら言ってきたが、読者たる俺はこんな奴に対してどういう感情を抱くのが正解なんだ?
たしかに、マモノに追われた時に先導してくれたのはトウヤだ。頼れる天才ぶりを発揮したな。だけどさ、もう正直手遅れなわけ。トウヤが死んだときに俺にはなんの感情も沸いてこなかった。『あ、やっぱ死んだわ』くらい。一方で主人公は半狂乱に泣き叫んでるだろ?この主人公と読者たる俺の感情の乖離ったらねぇよ。
今更どうしようもないかもしれないけどさ、2万文字くらい文量使うんだったら『えー!!? ここでトウヤが死んじゃうの!!?』って読者に思わせるようにしとけよって俺は思った。正直、最初にマモノに吹き飛ばされたギャルと同じくらい、俺にとってトウヤはどうでもいい人物だった。
作者たるお前にとってみれば、トウヤとユウの仲がいいというのは当たり前なんだろう。そして作者たるお前はトウヤに対して愛着があるだろう。だがな、ここまで読んだ時点での俺はそうではない。むしろ不快な奴だとすら思っていた。
ひとつ、作中ユウがトウヤを指して非常に興味深いことを言っているのでここで引用してみよう。
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「夏と言ったらいわゆる青春アオハルライフのど真ん中ってヤツだ。 それを快適に過ごす為にはあるものが必要。 つまりッ! カノジョが欲しくなる、そうだろッ!?」
(中略)
「―――お前、彼女居るだろ」
(中略)
「あぁ俺には居るさ。 だがお前には居ないッッッ!!!!(中略)なぁ!! こんな悲しい事があって堪るか!! そうだろうッ!?」
偉人の放った言葉には常人が理解に苦しむ言葉もあるという。
彼の場合も、きっとそういう事なのだろう―――勇はそう思わずにはいられない。
何せ当人は至って真面目に話しているつもりなのだから。
けれど勇は知っている。
親友だから知っている。
その根底にある感情の正体を。
勇が横目でチラリと統也の顔を覗けば―――その時視界に映るのはニヤけた面構え。
気付いていないと思って浮かべる、知る者の少ない統也の隠れた本性である。
統也はこの状況を前に楽しんでいるのだ。
自分が起こす騒動に振り回される勇の姿を。
真面目でありながらも、親身でありながらも。
二年も付き合えばこれくらいはわかるもので。
勇がもはや言い返す事さえ億劫になる程に同じ様な事を繰り返してきたのだから。
とはいえ、わかるからこそ複雑でもあった。
例えふざけてニヤけ顔を晒そうとも、間抜けな態度を取ろうとも。
その根源は親友である勇のため。
統也とはそういう事を躊躇いも無く出来る男なのである。
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引用ここまで。
さて、ここは彼女がいないユウに対して、本人に全くその気がないのに彼女をゲットしようぜ!とトウヤが焚き付けているシーンだ。
ここで読者たる俺はユウから「二年間付き合ってきたからこそ分かるけど、トウヤは相当面倒くさい奴なのだ」と紹介されていると受け取った。だってそうだろ?いくら友達のためと言ってもそれで本人のやる気も気持ちも関係なく突っ走って、有無を言わさず巻き込んで来るんだ。そして振り回されている友人を見てニヤニヤしている。
絶対に仲良くできねぇなと思ってしまった。そしてその挙句、自分のせいでユウがすげぇ恥かかされたのに、少しだけ反省する素振り見せた後はそのことすっかり忘れたかのようにまたナンパを焚き付けてくる。まあ、こういう奴っていると思うけど、俺は距離を置きたくなるな、こんな奴。そしてここらで紹介されたネガティブ要素を覆してくれるほどの良エピソードはなく、主人公をかばって彼は死んだ。
もっと魅力的だと思えるキャラだったら、この物語にはトウヤがいなくては!と思えるほどのキャラだったら、ここを読んだ時の印象が大きく変わっていたのかなと、俺は思った。
例えばさ、劇薬めいた意見になってしまうが、同じ展開でもトウヤが死ぬまではトウヤを主人公に見えるように書いてみたら面白いかもしれないと思った。
ユウはわりと掴みやい性格してるだろ?だからトウヤ目線で物語進めていっても読者はユウに対して共感を持ちながら読み進められると思う。逆にトウヤは内面がややこしい奴だから一人称視点で無理やり読者に精神を近づけさせる。
そうしてトウヤが死んだ後にユウが実は主人公だったんです!ってな感じにうまく切り替えれたら俺的にも「おぉ〜」ってなってたかもしんねぇ。いや、実際に書くのはむずいかもしれねぇけど。
まあ、そんなこと思ったって話だ。(全然関係ないけど、第3話の最初らへんの文、あれはユウが言っているように見えるが、実はトウヤ視点の言葉ではないか?とか思ったりもしている。それだったら面白いなぁという、偏屈読みの一読者の感想だ)
あとさ、ヒロインの『ちゃな』、いるだろ?
あいつの影薄すぎ。少なくともマケン手に入れる第2節までは。とはいえ第1節の時点で出てこないと後々合流できなくなるから、ボーイミーツガールのタイミングとしてはそこしかないんだろうけどさ。
なんかドラマ性がなさすぎ。必然性がなさすぎ。どうしてこいつは主人公の後ろをくっついて歩いてきたんだよ。あ、言っとくが「実は伏線なんですよ」とか言うなよ?伏線どうこう言う前に悪目立ちし過ぎてるから。なんかそれらしいこと地の文で説明してるけど、ごり押しの印象は拭えない。
『この人メインヒロインだから、このままここにいると異変に巻き込まれて死んじゃうから主人公の後をつけさせるね!』って言い訳してるひなうさ君の顔がちらついて鬱陶しいだけだったから。
ああ、もういいか。ぶっちゃけていってしまうとさ。この作品、プロットやらストーリーラインを優先させた結果、至る所で話の整合性が無茶苦茶になってる気がしてならねぇんだわ。
『主人公にはトウヤという親友がいます! 仲良さそうですよね~。仲良しなんですよ!いいですね?おっと、ここで死んでしまいました! 悲しいですねぇ、主人公、悔しそうですねぇ、復讐できるんでしょうか?』とか。
『ここでヒロイン登場です! いやぁ、まだまだ出番は先なんですけど、どうしてもここで主人公と縁を作っておかないといけないんで、ちょっと我慢してくださいね?ヒロインヒロインするのは主人公がお家帰ってからで、そこでヒロイン力堪能させてあげますから!』とか。
そういう作者の都合めいたものが至る所で透けて見えて、読むにつらい。
例えば第3話、ここではトウヤがユウに対して「サプライズがあるから放課後部活サボって付き合ってくれ!』と言ってくる。そしてその後そのサプライズとやらが「主人公に彼女を作らせる思いつき」であることが知らされる。しかしその後、『じゃあ明日渋谷でナンパな!』と言ってトウヤは去っていく。
…はあ?どうして放課後部活サボらせてまで一緒に帰ったのにそのままナンパに行かねぇんだよ?マジで理解不能だ。
と理解できないふりをしてみたがな、何故こんなことになっているか1つ俺は推測してみた。外れてたら恥ずかしいがな。
こんなことになっているのは、恐らくトウヤがユウをナンパに誘うのは平日で、一方ユウたちが実際にナンパするのは休日でないと『ひなうさ君的に困ることがあった』からだ。
まず出だしのシーンではユウとトウヤを登場させたい。そうなると2人が一緒にいて違和感のない場所は学校となる。そうなると出だしは平日の学校であることが確定する。そしてトウヤがどういった人物であるのか印象付ける為にユウへ部活をさぼらせ振り回すというエピソードを挟む。これがひなうさ君の『やりたかったことその1』。
一方でナンパしにいった先で主人公であるユウがヒロインであるちゃなの存在に気づくきっかけは、「休日なのに制服を着て渋谷に遊びにきていること」だった。だからこの場面は休日でないといけなかった。これが『やりたかったことその2』
そうしてそれらの作者的事情を優先させた結果、「放課後部活サボらせてまでトウヤがユウを誘ったのに、何故か実行は翌日で!と告げて去っていく」という謎コミュニケーションが発生してしまったんだと予想している。まあ、もしかしたら人によってはここを矛盾だったり違和感だったりとは思わねぇ奴がいるかもしれねぇが、俺は納得できなかった。
そしてこういった意味のわからん、納得できねぇ話は他にもある。例えば第15話部分で、マモノを倒したユウが剣聖に対して『あの、良かったら俺の家に来ませんか?』って言ってるシーンあるよな?
あそこ、どうしてユウはまだ自分の家が普通に無事だってわかってるんだ?普通はよ、自分の家も同じく土地変容に巻き込まれてるんじゃないかとか、家族は大丈夫だろうかとか心配するんじゃねぇのかよ。そもそもまだ剣聖やマモノたち側が地球側に来ているんじゃなくて、ユウ達が異世界側に飛ばされてきたのかもしれないとも推測できる場面で、ここの主人公は完全に家が無事にあると確信しているくらいの言い方をしている。違和感でしかない。
他、第16話。大変な事件が起きている最中、無事に戻ってきた主人公に対して母親が無事を喜ぶシーン、あるよな?あの後すぐに『ユウが女の子連れてきたわよ!』とか言ってはしゃぐ母親を見て、こいつ頭大丈夫か?と思っちまったよ。頭の切り替え早すぎんだろ。渋谷に息子がいくって言ってて、渋谷が大変なことになってるってニュースでやってて、帰りが遅い。もう親としては気が気じゃねぇよな。それが無事に顔を見せて一瞬で『あなた、ユウが女の子連れてきたわよ!』みたいなノリって―――ってまあいいよ、そこは。そういう頭お花畑な母親もいたっていいさ、とあえて割り切ろう。
だがな。その後主人公が渋谷で何があったか説明して、友人であるトウヤが目の前で死んだことを話して、普通の感覚だったら真っ先にトウヤの両親に伝えてあげるべき事由だろ、そこ。なのに父親が『ユウも疲れただろう。トウヤ君のご両親に説明するのは明日でも遅くない』って、はぁ????? 冗談だろ? お前、トウヤの両親に一向に帰ってこない息子の心配を1日させるつもりなの???
あったまおかしいんじゃねぇのか? 人格破綻者だろ。お前らだって渋谷に行った息子の帰りが遅いって心配してたじゃねぇか。それが他人の親だったら別に構いやしねぇってか?ひどすぎるわ。
そしてここにきて、俺は悟った。ここはこの父親がおかしいのではない。ひなうさ君が自分の描いたストーリーラインを重視しすぎて登場人物の人格を歪めているってね。
ダメだダメだ、やってられねぇよ。キャラへの愛が足りないんじゃねぇのか?
そしてそういう『ストーリーラインを優先させた結果キャラクターの人格が歪められている現象』はその後も逐次出てくる。
第53話。剣聖に焚きつけられてユウの父親が国家権力たる警察の制止を振り切って車を暴走させ変容地域へ突っ込んでいくシーン。いやいや、どう考えても一介の弁護士がしていい判断じゃねぇだろ。どうして後部座席にいる奴に『構わず突っ込んじまえよ』って言われただけで検問を強行突破するんだよ。たとえ他にやりようがなかったとしても、もう少し躊躇するだろ。少なくとも一回は引き返すだろ。その後有耶無耶の中何とかなったけど、この一発でこの父親は社会的に抹殺されていてもおかしくない。普通そんなこと、するかね?
第74話。ユウが級友であるあずーや心輝、セリに対してトウヤが死んだことを告げるシーン。ここでセリが実はトウヤの彼女だったことが読者に明かされる。俺も思わず『おっ』と興味を惹かれた瞬間だ。しかし、ここで盛大な茶化しが入る。なんと、心輝もその2人が付き合っていたことを初めて知り、なんと『マ、マジかよ…トウヤが死んだこともかなりショックだったけど、そっちはそっちですげぇ衝撃的だよ』なんて台詞をのたまうのだ。あり得なさすぎだろ?どんだけ人の命を軽く扱ってるんだよ。
っていうかその台詞の前にも『だけどセリの奴、トウヤが死んだだけで泣きすぎじゃね?あいつがあんな泣くところ初めて見たぜ』みたいなこと言ってて、こいつとんだ人格破綻者だなって思っちまったよ。普通思っても言わねぇし、普通は思いもしねぇだろ。
だが、まあいいよ。もしかしたらこの心輝という奴が本当に人格破綻者である可能性があるからな。ひとまず置いておこう。
だがな、それら心輝のセリフを聞いて主人公は全くの無反応だ。はああ?冗談だろ?そこは普通怒るところじゃねぇのか?
だが、これもまあ、いいよ。その後すぐに描写が出てくるけど、どうやら魔剣使いは命力の力で精神も強くなるみたいなこと言ってたし、もう主人公はそんなことでは怒ったり動揺したりしない超メンタル強い人間になったんだろうよ。そう思うことにしたよ。
ところがどっこい、その次の75話。ちゃなが虐められているところを見て激昂している主人公を見てまた人格が破綻していると思ってしまった。いや、正確に言えばここの心の動きとしては正常なんだろうけどさ、もう主人公が怒るのも怒らないのもひなうさ君の匙加減としか見れなくて、やれやれって感じなわけよ。
もうね、この作品には至る所に『人格面』で矛盾を感じるところがありまくるわけだよ(少なくとも俺視点では)。主人公と出会って即告白してくるようなエウリィとかはほんの序の口だな。チョロインここに極まれり。ひなうさ君が彼女を都合よく洗脳してるわ、はいはいハーレム要員1人追加ー、みたいな。
一応、俺は第4節まで読んだよ。大体35万文字相当くらいのところまでだ。なぜそんなところまで読んだかというと、俺が手放しでほめられるところを見つけられるまで読もうと思ったからだ。
結果、見つからなかった。いや、さっきも言った通り面白くできそうな要素はたくさんあったよ。セリとトウヤが実は付き合ってたとか、土地変容の仕様とか、和泉先生のくだりとかな。ただし、そういった面白そうな要素の周りには漏れなくひなうさ君の作為めいたものが散りばめられていて、素直に褒めることが俺には出来なかった。
俺が毎話ごとに感じたフラストレーションの原因を言語化すると『作者の顔がちらつく』。最初から最後までこの一言に尽きる。文体でもシナリオ展開でもキャラの感情の起伏でも。その全てにおいてひなうさ君の顔がチラついてきて鬱陶しかった。
点数にすると毎話20点や30点だ。モチベが地を張りストレスが天井を超えているグラフになるだけだ。よって今回もグラフを書かない。
そして、以上で感想を終わらせようとも思ったが、ついでだ。本当は言わなくてもいいことなのかもしれないが、あえてもう一つだけ最後に言っておこう。俺がいつも以上に作品を厳しめに見てしまった理由の根源たる話だからな。
さて、本作は第1章時点で百万文字を超えている。最新章である第3章まで含めると現状350万文字ある。
正直、軽い気持ちで追いかけ切れる文量じゃねぇ。この文字量を小説情報ページで見るだけでブラバする奴もいるんじゃねぇかな。
なんて言いながら、ここで言いたい本質は文字量じゃねぇ。文字量に対しての序盤の相対的平凡さ、そこが本作最大の課題だと思っている。
いや、別に普遍的平凡さとは言わない。これが40万文字くらいで完結する作品だったら、これくらいの出だしでもまあ許容範囲かなと思うんだよ。
ただ、これは350万文字を超える超大作だ。それでいて読者に「最後まで読んでみようかな!」と思わせるほどの特大な起爆剤が序盤にはない。
・友達と異世界的な世界に飛ばされる(実際は違うが)
・友達が殺される
・特殊な武器を手に入れる
序盤の要素をぎゅっとまとめるとこんな感じになると思う。
わりと王道なストーリーだ。なんなら、すげぇ個人的なことを言ってしまうと俺の処女作もまさしくこんな感じだった。この序盤で死んだ友達が後ほど敵サイドで復活するとかしてたらマジで俺の厨二病を抉ってくるから、そこは是非外しておいて欲しいと願っている。
さて、俺の個人的感傷は置いといて、第1節(約10万文字)を読み終わった段階では「わりとまだよくある方のシナリオ展開であった」と俺は感じた(ただし、文字量のかさましが酷い。これくらいの規模の話であれば3万文字あれば事足りる、と俺は思っている)。そして内容は極めてライトではないが、若干の重めなライトノベルの王道展開といった感じで、そこに唯一無二性はない。
さて、これだと残り340万文字付き合い続ける選択肢を取るのは、俺的には難しい。何故なら、他の数十万文字くらいの作品と比較して、この超大作の続きに付き合う為には膨大な時間と労力をかけなければならず、高いモチベーション維持が必要になるからだ。
ひなうさ君、君はこの作品の、それも序盤に対して既に相当力を入れているつもりなんだろうが、足りない。もっと大きな爆発が欲しい。
同じシナリオで起爆剤を入れることは、きっと難しいだろうなとは思う。だけど例えばこの作品が『俺にとって』読みやすく、主人公にすごい共感ができて、トウヤが死んだ瞬間に心持っていかれるような感じに仕立てあげられれば、『俺』は純粋に楽しんでもう少し読み続けられるだろう。そして読み続けた先でまた起爆剤、その先にも起爆剤と盛り上げてくれる要素が散りばめられていれば最後まで読み続けられるんだろうと思った。
上でもいったように、アンチばりにこんなボロクソ言ってる俺だけど、面白くできそうな要素は幾らであるとも言っているんだ。お前の料理の仕方で、きっとこの作品は化けると思う。
だがもし今以上に序盤へ爆発要素を作れない場合、少なくとも俺はこの作品の読者には一生なれないだろうと思っている。
さて、本当に褒めることなく感想を終えてしまった。
だけどこの日誌の初回で俺は誓ったんだ。『本気』でぶち当たっていくと。そしてその原動たる言葉は「狭いコミュニティーの中で輪を閉じると腐る」だ。
袖すり合った仲ではあるが、内輪だからって容赦はしなかった。これで縁が切れるなら、それもしょうがない。
そして、改めて言うが今まで言ってきた内容はあくまで俺個人の意見だ。真に受けるも聞き流すも好きにしてくれ。
そんなわけで以上だ。以下、恒例の2つだ。
※ここで書かれている内容は全て個人的な意見であり、真に受けるかどうかは読み手に任せる。無視するも反論するもナニクソと思うも好きにしろ。
【作品名】時き継幻想フララジカ
【URL】https://ncode.syosetu.com/n7003ei/
【評価】0.5点
さて、前書きにも1つちらっと書いたが、改めて色々と事務連絡しておこう。
まず1つ目。色々考えた結果、俺は決意した。現時点で応募されている作品はすべて見る。すべて見て、俺なりの考えを感想として言語化し、それから自分の作品に手を付けなおす。そう決心した。
ただしこの日誌は書けば書くほど応募が増える。これからはどうかは知らんが、少なくとも今まではそうだった。というわけで一度ここで募集を締め切る。活動報告や過去の日誌内容に対してもその旨追記しておいた。
今後応募してきた奴については悪いがスルーさせてもらう。俺は現時点で差し出された踏み台を糧にして、最高の『吸血鬼』を作ってみせる。そう思っている。
そして事務連絡2つ目。今応募してきた作品について、時間が経ってしまって別の作品の方を見て欲しいと思っている奴がいたら言ってくれ。
それと最後、3つ目の事務連絡だ。とはいえ俺が自由に出来る時間はこの2年で大きく削られ、また色々と生活環境が変わってしまった。いつまたふらっと顔を出せなくなるか分からねぇ。
だからまあ、更新は気長に待ってくれ。またふらっと顔を出さなくなることはあるかもしれねぇがいつかは戻ってくる。そうして感想を書き終え、俺は自分の作品をまた書きなおし始める。
臨終するまでに『吸血鬼』を最高の形で書ければいい。それしか今の俺には見えていない。
以上だ。
さて、次はガチャ虫野郎だな。
カブトムシさん来たぁああああああああああああああああああああ!!!!