第1章:9節 残酷(whitewash)
誤字脱字・意味不明なことがあると思いますがご了承下さい。読んで頂けると幸いです。
9、残酷(whitewash)
「あなた!ここで何してるの?!」
銃口と目が合う。
「あなたこそなんのつもりなの?」
マズイわ、レイコ。どうして、この金髪が戻ってくるの?
ワタシの演技は間違いないはず・・・
・・・・・・
・・・もしかして・・・
「制御室は博士以上の学位もしくは相応の役職を持つ者しか入れない。
不正に進入する者がいれば排除するように言われてる!
両手を挙げてこっちに出てきなさい!!」
やはり・・・
レイコは口元を緩める・・・
バカな子ね、命令第一、イレギュラーは認めない性格。
扱い易いわ。ワタシがここにいることが問題では
なくて、ワタシがここで何をしたかが問題。
「三秒以内に両手を挙げて出て来なければ容赦しない。」
この状況のままだと、この金髪バカに撃たれかれないわね。
一つ、ここで脅えて、ユウコに任されたことを言えばいいのよ。
これは、嘘じゃないもの・・・
「3・2・1・・・」
「やめて!やめて下さい!!」レイコは震えてるかのように
両手を挙げて、制御室から出る。
「ユウコ主任から、言われて、、、制御室の調整を頼まれて
いたんです、、、だから、、、どうしてこんなことを
するんですか、アイさん、、、ぅうううう・・・・」
レイコは嗚咽を漏らすような声を出し、涙を絞り出した。
・・・
・・・・・・
「それは本当か?嘘ではないのか??」
落ちた、こんなにも簡単に、堕ちた。
「何故、私が嘘をつく、必要があるんですか?!
この部屋にいるみんなに聞けばいいじゃないですか?
ワタシが、“ユウコ主任に任された”かどうかを?」
もうこれで、確定、バレる要素はほとんどない、もし、
聞かれたとしても“任された”事実は周知のこと。
「うっ、すまなかった。どうやら私が勘違いをしてた
ようだ。てっきり、不正に忍びこみ、何か仕掛けてのか
と思った。」
アイは、面目ないと肩を落とし、銃を右脇にしまう。
惜しいわね〜、答えは合ってるんだけど、過程が
間違ってるから、あなたは0点よ。
さ〜て、シメといきますか〜。
レイコはツンテールを項垂れると、ふとももを閉じ、
内股のまま、ペタンと座り込んだ。
「本当に申し訳ない、怖い思いをさせて・・・
言い訳だが、この研究所にスパイが入り込んでいると
情報が入っていて、人の出入りがない制御室に、
レイコ殿が入っていったと聞いたので。」
アイは左手を差し伸べる・・・
「私がスパイだと・・・思ったの??」
「本当に申し訳ない・・・私も色々あって、正しい判断
が取れなかったのだ・・・」
「ありがとう・・・」アイの手をとる・・・
ありがとう・・・
本当におバカさんで・・・
ビービービー
《警報・レベル5が発令されました。非戦闘員ならびに
研究関係者はすみやかに退避してください。繰り返します、
警報・・・》
突如、鳴り響く警告音。
「誰か、警報をならしたのか?!」アイは、叫ぶ。
先ほどまでの、アイとレイコのやりとりに度肝を抜かされて
いた研究員たちは、立て続けに起こる、不足の事態をまったく
理解できていなかった。
引き上げられ、立ち上がったレイコは、
「誤報よ。」と言って、管理室を出ようとした。
が、後ろから腕をつかまれてしまった。
「ダメよ!!ここから出ては、恐らく誤報ではないわ。」
バカだけど、恐ろしく感がいい奴。私が一番嫌いなタイプ、
扱いやすいのは一時だけで、感だけで行動しようと
するから、論理が通じず堂々巡り。
レイコはふと腕時計に目を落とす。
定期連絡を取る時間を過ぎていない!!!
どうして、警報がなるの?突入するにして
も、コンピューターウイルスが発症するにしても、時が早すぎる!!?
「データ参照を受付ません!!アイ軍曹!!!」
兎にも角にも、原因を探ろうと、各研究員に指示を出す
アイを尻目に、再び出口に近づく。
・・・
ゆっくりと開く扉から、赤髪が現れた。
後ずさるレイコ・・・
まずい、ウイルスが原因だとバレれば、まず間違いなく、
私がスパイだと気づかれる。司教様はウイルスは遅効性のものだから、
レイコが逃げる時間はたっぷりとあると言ってくれた。
誰かがすり替えた?!
いや、何らかの原因で効きが早まったんでしょう。きっとそうよ。
後ろからは、明らかにあの軍人が近づいて来ている。
こんなときのために、司教様はこの“天使の涙”を矮小なる
ワタクシに預けて下さった。必ずレイコが“助かる”ように、
常人をはるかに超える力をもつ、天使様になれる力を預けて下さった。
「司教様、“天使の涙”お借りします。」
まるで、ビー玉のような丸い玉を指先から喉の奥に向かって
落とした。
ゴクっ・・・
・・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!????
次回『狂気』:気が狂う・・クルクルと、クルクルと、
「私はバカじゃない。従順なだけ・・・」By アイ
最後までお読み頂きありがとうございます。
申し訳ありません。配信が遅れますことをお詫びいたします。
誤字脱字の指摘、コメントを頂ければなお幸いです。
申し訳ありません、ラブコメあり、ロボットあり、と書いたのですが、もう少し先になりそうです。末永くお付き合い頂ければ幸いです。