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第2章:8節 勇気(Who dares wins)後編

「ここは・・・」


・・・白く見知らぬ低い天井には2筋のLEDランプが灯っていた。


清潔に保たれたベットから右手を空に向かってかざしてみると、点滴の管が二の腕から伸びているのが見てとれた。


「生きてるのか・・・」


ベットに横たわったツルギは、確かめるようにかざした右手を開いたり閉じたりしてみる。


「一応ね・・・」


天井を見上げた顔を幼い声のする方に向けると、赤い腰まである髪を携えた少女が立っていた。


「お嬢ちゃんが助けてくれたの?」


「何にも覚えてないの?あなた」


明らかに10歳前後にしか見えない赤髪の少女は、まるでマントのように羽織った白衣に両手を突っ込み顔を背けた。



「ありがとう・・・僕はツルギ・・・お嬢ちゃんは?」


「お礼を言われる筋合いはないわよ・・・それにお嬢ちゃんじゃないわよ・・・・・・ユウコ」


「ごめん、子供扱いして、大人の人連れてきてくれるかな?色々、聞きたいことがあるから」


「必要ないわ、私が答えてあげる。ここは戦略的母艦スペリオルの医務室よ。」


「スペリオル・・・」


戦術母艦ガンダールが主要に配備されているグラン基地において、戦略母艦が配備されたという情報はなかった。


それに、戦略母艦はザガしか聞いたことがない。そんなことよりも、


「ナオは??みんなは?無事だよね?!」


「みんな??あぁ、リョウ達のことね。生きてるわよ。元々何人いたかは報告は受けてないから、何人死んだかも知らないけど・・・」


不意に身を起こし、立ち上がろうとすると、両足に激痛が走った。


「ぅっ・・・」


「動かないで、あとでゆっくり状況は説明してあげるから、今は安静にしてなさい。」


 身を起こして、自分の体に目が行く。白いシーフをかけられた、胸、腹、局部、太もも・・・そこから先がマジックで消されたかのように、


ふくらみがなくなっていた。


「えっ・・・足が・・・アシが・・・僕の足がぁぁぁ~~~!!!」


「うるさいわね、足がなくても今の時代死にはしないわよ。命があっただけありがたく思いなさい。」


少女は長い赤髪をなびかせ、白衣に突っ込んだ左手を挙げると、ハイハイ、と言った具合に手を振り、部屋から出て行った。


「アシ、アシ、アシ、・・・・・・僕の、僕の、・・・・・・」


止め処なく出てくる涙は、足を失ったショックよりも、ナオのことを思う気持ちが強くなってくるものの方がおおきかった。


========================


<頭部大破>

<第1メインカメラ破損><胸部第2メインカメラ切り替え>

<第1第2第3第4サブカメラ破損><第5第6サブカメラ切り替え>


矢継ぎ早に立ち上がるダイアログを目にし混乱がさらに増す・・・


地面を捉えているのだろうか、完全にコックピット内は


計器のLEDランプの明かりのみが照らされ不気味な雰囲気をさらに漂わせた。


「ツルギ、お願いだから立たないで。」


音声のみのプライベート通信が切れる。


「なんだよ、ナオどういうことだよ!!なんとか言えよ~!!!」


ツルギの悲痛な叫びに対して<通信終了>の文字が点滅で答える。


「どうして、意味わかんね~よ、ナオ・・・」


「生きてるかツルギ・・・」リョウの声が響いた瞬間


爆発の衝撃が機体を襲う・・・どうやら一斉に攻撃を受けているようだ。


「くそっ、逃げきれなかったか、ハルカ機だけでも守るんだ!!!」アカツキの叫び声とともに


36mmマシンガンの連射音が鳴り響く。


「そんなことわかってるよ!!!」リョウが怒号をあげる。


おそらく肩のロケットランチャーを一斉掃射したのだろうか、爆音とともに土砂が崩れ落ちる地響きが伝ってくる。


・・・ハルカさんだけでも守らないといけない・・・そんなことわかってるよ・・・・・・


僕には何がなんだかわかんないよ・・・


「イヤ、こないで。お願い。イヤ」ハルカは懇願する。


36mmマシンガンの連射音が鳴り響く。


「どうして、効かないの?どうしてダークナイトが襲ってくるの?」


電磁フィールドに阻まれ、全くダメージを与えることができない。


「ツルギ、動けるか、動けるなら援護しろ~!!」アカツキの怒鳴り声が悲鳴に変わる。


「きゃぁぁぁ~・・・」耳もとからは轟音、外からは爆音。


「アカツキ~!!!!」リョウが叫ぶ。


「ナオちゃんどうしてこんなことするの?お願いもうやめて。」


ライフルの銃声が鳴り響く。2発・3発。ハルカの悲痛とともに・・・。


「っ、ダメか。おい、坊主いつまでも寝てないで起きやがれ!!!時間を稼いでくれればなんとかなる!!!!!」


「なんともなりませんよ・・・それにナオは、ナオが立つなって・・・リョウさん、すいません。」


「おっ、生きてんじゃないか。すみませんじゃなくて、このままでいいのか。クソっ、もうダメだ。もた・・・」


再び土砂が崩れ落ちる地響きが伝わる。


しばらくすると、何事もなかったかのようにあたりは静まりかえり


<強制排出>のダイアログが立ち上がった。



次回:第2章:9節 闘争(combative spirit)前編

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