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51.ぼくらが得たもの(中)

 エリオ君は庭園にやってくると、どかっと木製の椅子に座った。


「思ってたよりはシャキッとしてんな。最終試験で気を吐きすぎて、もっとボケっとしてるかと思ってたが」


 エリオ君ってなんて鋭いんだろう!? さっきまで君の言うとおりだったよ!

 そう言うエリオ君はバカバカと悪態をつくものの、狙い通り不合格&最終順位が80位だったので満足そうだった。

 さらにその後ろには、最終試験でウィルベルをボコボコにしてくれたリーセルの姿もある。


「っていうか、何しに来たの?」


「ああ。リーセルがどうしても話がしたいって言うから付き合いでな。

 すげーだろこいつ。あんだけお前らをボコっといて話がしたいだってよ。空気読めないスキルなんてもんがあったら間違いなくレベルマックスだ」


「まったく困った王子様だよね。将来、DVとかしそうで超コワイんだけど」


 ぼくらがうんうんとうなずきあうと、リーセルが慌てたようにタンマ!と手を挙げた。


「ちょ、ちょっと待ってくれ! こういうのって健闘を称え合って、友情が芽生える展開じゃないのか!?」


 そんなこと言われても、ぼくは決して警戒を緩めたりはしない。

 だって、ぼくはウィルベルの保護者みたいなもんだからね。将来のDV旦那候補はシャットアウトせねばならぬ。


「うわー、ないわー。さんざん女の子の顔面殴ったり、腕折ったりしといて友情芽生えるとかないわー。まったく最近の若い子は――あいたっ」


 そんなぼくの頭をベシっと叩いたのは殴ったのはその当人であるマイご主人様(ウィルベル)


「そんなことないんよ。うちはめっちゃ友達やと思っとるし!」


 ウィルベルはぼくを黙らせるとリーセルの手をぎゅっと取って、ぶんぶんと握手。

 あ。リーセルがちょっと顔を赤くしてる。


 うちのご主人さまってさ、ほんとゴリラの化身だよね。

 この無防備さとか、ボディランゲージの勢いだけでなんとかなると思ってるとことか。


 まったくもう……。


「せっかくぼくが、『あーあー、仕方ないなー。だから友達料ちょーだい』って恩に着せる予定だったのに!」


「……。おめーの精霊、たまにめっちゃ悪辣なこと考えるよな」


「それも含めてうちらってことでしゃーなしやね」


 言ってウィルベルが微笑む。いいハナシダナー。

 でも、ひとつだけ言わせていただきたい。


「あの……、そんなこと言いながら頭をギリギリと締め付けるのやめてください。めちゃんこ痛いんだけど!?」


「それはそれ! これはこれ! これも含めてうちらやから、しゃーなしなんよ!! このっ! このっ! なんでミカは! いつも、余計なことばっかり言うの!」


「あばばば! 脳天からツノトロが出ちゃう!」


 ちょっとだけでいいから、さっきまでの殊勝なご主人様に戻って!

 

「――ご主人様に元気が出てよかったですね、精霊さん」


 そんなぼくにこっそりと耳打ちしてきたのは、ギギさんだった。


「ほんと、世話が焼けるでしょ?」


「うちのベルメシオラ様ほどでもないですが」


 同レベルだよ! と言いたいところだけど、頭を絞められすぎて、そろそろ意識が遠くなってきちゃった。あばー。

 そんなぼくに助け船を出してくれたのはリーセルだった。


「まあ、まあ。そんなことより、追加試験の件の詳細を見たよ。

 とんでもないことになったね。相手はあの(・・)クァイス・バルハラーロだろ?」


「おやま? その人ってば有名人なの?」


「そういえば相手の名前って、いま初めて知った気がするんよ?」


「お前ら……」 


 エリオ君がジト目で見てくるけど、だってしゃーないじゃん!

 ぼくらってば、合格発表を見た直後にばたんきゅーして、そのまま宿舎に直行だったんだから!


「エリオ君たちがそんなに危機感をもつってことは、そのクァイスって人はそんなに強いの?」


 とは言っても、いまのぼくらはちょっとやそっとじゃ負ける気はしないからね?

 言っちゃ悪いけど、ぼくらってば災害レベル1のドラゴンに勝利したり、リーセルに食い下がったりしてるわけで。

 相手が誰であれ、体調が万全であればそうそう一方的にやられることなんてないと思うんだけど――


「オレの10倍は強い、かな……」byリーセル


「オレは笑顔で秒殺される自信あるぜ」byエリオ

 

 ぴゃー!


 この世界ってば、強さの物差しがぶっ壊れすぎてない!?

 やばい。おしっこちびっちゃいそうなんだけど。

【マグロ豆知識】

尿の定義にもよりますが、クロマグロの尿(代謝老廃物を含む排出物)は腎臓→肛門と通って排出されます。

他にも、エラから不要な塩類を水分として排出しますので、定義によってはこちらも、尿(液体状の排泄物)に含むこともあります。


さて、この”尿”ですが、クロマグロは体内で生み出されたアンモニアを、単純にアンモニアとして排出しますが、人間は尿素、鳥などは尿酸に変化させてから排出します。


基本的に、アンモニア→尿素→尿酸の順で手間がかかるのですが、人間や鳥が、なんでそんな手間をかけるのかというと、それぞれの生態と関係してきます。(諸説あり)


哺乳類:尿をそこらへんにまき散らすわけにはいかないので、アンモニアを尿素に変え、無毒化することで体内に溜めこめれるようになった。


鳥類:飛ぶ、という生態上、重い水分を体内に溜めこんでおきたくない。なので、化学反応させることで尿酸として軽量化することに成功。


比べて、クロマグロは周囲が水だらけですので、わざわざ尿素に変える必要もなく、垂れ流しまくれます。

作中で「おしっこちびりそう!」とか言ってますが、クロマグロは本来、おしっこ垂れ流しライフなのです。


同じ魚類でもサメなんかは尿素に変えていますが……続きは↓のマグロ豆知識補足で!

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