ゾンビ出現の理由
「戻りました」
「あ~疲れた」
一之瀬と月村は、自分の仕事場へと帰って来た。警視庁仮課、それが彼らの所属する部署だ。
二人は銃などの武器をロッカーに戻し、自分のデスクで一息つく。
「お疲れ様です」
月村のデスクに置かれたお茶。それを出してくれたのは一般庶務の菊池綾香だった。
「ありがとう、菊池さん」
綾香はニコリと微笑んでから、一之瀬にもお茶を渡していた。
お茶を飲み終えたころ、それを見計らっていたのか犬飼孝嗣課長が手招きをした。四〇を過ぎたころの、温和な風貌の男だ。
「お疲れ様月村君。ゾンビは全部始末できたみたいで良かったよ」
問題はあった気もするが、バレていないのなら問題は無いだろう。そう判断し笑ってごまかした。
「主犯の研究者達も全員捕まえたそうだ。さっき神崎君から連絡があったよ」
神崎希。彼女は、今回の騒動の原因である研究施設に向かい、研究員の捕縛と施設の破壊を任された月村たちの同僚だ。
「なんでゾンビなんて作ったんですかねぇ」
月村が最初から感じていた疑問。どう考えてもゾンビが出来上がった先のヴィジョンが見えない。量も少ない、人間の時より強くなるわけでもない。あの状態で人を襲わせるのなら数百か数千の頭数が必要だろう。それこそ応対課の手が回らない程に増やせば何かしらの危険水域にまで膨れ上がっただろう。
「正確な目的は彼らに聞かなきゃわからないが、こちらで調べた限りでは不老不死の研究だったみたいだね。どこぞの財閥の御当主様の野望だったみたいだよ」
「不老不死って。アレ完全に腐ってましたよ」
「そう。失敗だったみたいだね。薬品に問題があるのか、そもそも人間は不老不死の器ではないのか。神のみぞ知るってことだね」
課長は温和な笑みを浮かべてそう言った。
「まぁ、取り調べはウチじゃないですから、続報は後日ですね」
「そうなるね。取りあえずは報告書、頼むよ」
了解です。と報告書の作成に取り掛かる月村と、ダルそうに伸びをする一之瀬。
暫くすると、部屋のドアが開いた。
黒髪のポニーテールを靡かせたスーツの女性。
無言で入って来た神崎はそのまま課長の席に向かい、前に立つ。
「神崎君、お疲れ様」
彼女は無言で頷いた。
「怪我人もいないみたいだし、万事解決だね」
また無言で頷く。
「じゃあ、報告書お願いね」
最後に頷いて神崎は自分の席に帰った。
その様子を眺めていた一之瀬は、椅子に持たれながら呟いた。
「なぁ、前から疑問だったんだけど、あの人どうやって採用試験受けたの? 面接はどうやったんだ? スケッチブック持参?」
それに答えたのは月村だ。
「特別だったらしいぞ。不合格にしたら損害がデカかったんだろう」
そんな事を言いながら、大半がデスクワークに勤しんでいると、応対課の扉がノックされた。
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