判断
「何やってんだ。一先ずここを離れて装備と人員を整えて来い!」
「お前を気絶させるか、腕をへし折れば止まるだろ」
笑いながら刃を受け続ける。
自分にできる事は何かを考える。逃げるか加勢するか、判断できない事が一番無意味なのだと気づきながらも行動を起こせない。
しかし、強制的に動かなければならない時が来た。
階段の上が騒がしい。
腰の銃を抜き、構えると研究所の警備員が同じように銃を構えていた。位置は階下、人数も不利。撃ちあってもこの狭い環境では絶対に勝てない。そうなれば、やることは一つ。
後ろに下がり、勢いよく扉を閉めた。
「「どうした!?」」
攻防を繰り広げている先輩二人が同時に口を開いた。
「上に警備員が押しかけて来てます」
行き止まりの部屋で、敵が押しかけてきそうな状況。これはピンチ以外に無い。
「おい月村。腕へし折るぞ」
「バカ言うな。刀へし折れ」
言いながら攻防が激しさを増す。
「がッ!」
一之瀬の左肩から血が噴き出した。右手一本で支える銃は、明らかに剣撃を受けきれていない。
「おい東、俺の肩撃て!」
月村が必死に叫ぶ。
「先輩の許可が出たんだ。遠慮なしで五発くらいブチ込め!!」
一之瀬も青い顔で冷や汗を流しながら笑った。
「後で仕返しとか無いですよね?」
東の危惧はそこにあった。短い付き合いだが、ヤバさは理解できている。
「お前の腕次第だ。全治何か月かによる」
そう言われると決意が鈍る。
「早く撃て、じゃなきゃ俺がお前をシバく!」
一之瀬からもそう言われ、覚悟を決める。東にとっての正解は、素早く的確に月村の肩を撃ち抜く事。
銃を構え狙う。タイミングを逃さないように、動きが止まった瞬間に引き金を引いたが、
「あッ!」
突然二人が動いたことで見事に外れ、銃弾は近くにあった机にめり込んだ。
「「後でシバく!!」」
自分の未来が決定したが、気にせずにもう一度狙いを定め引き金を引く。
二発目は見事に肩に当たった。操られているとはいえ、刀を握れなくなれば落とすしかない。
ガシャンと落ちた事で月村の動きが止まった。
一之瀬は落ちた刀を遠くに蹴り飛ばし、安全を確保する。




