隠し扉
注意して進むと警備員が二人いた。巡回の最中らしく、二人とも同じ方向を見て歩いている。
ハンドシグナルで東には待機を。一之瀬と月村は音も無く忍び寄った。
室内での発砲はせず、銃座の部分で後頭部を殴りつけて気絶させる。
それを東が拘束するという流れで、五人を拘束した。
「五人捕まえたけど、まだ居るかね」
「どうだかな。まだ目的のモノも見つけて無いから警備についてるかもな」
その会話を聞きながら、東はあるものに気付いた。
「一之瀬さん、月村さん。この壁おかしくないですか?」
東の指す壁は確かにおかしかった。壁面が微かに浮いている。
「いかにもな感じで怪しいな」
一之瀬が近づいて壁を触る。すると、壁が手前側に開いた。
「いかにもな感じの隠し扉だな。センスが古い」
扉の奥には下り階段があり、地下に向かっている。
「この先に何もないってことは無いだろう」
月村が先頭となり、間隔を開けながら進む。すると、もう一枚の扉があり、それを開けると薄暗い部屋に行きついた。
一〇畳ほどの空間には、二メートルほどの銀色の筒と、持ち込まれた品が置いてあった。
「あたりだな」
一之瀬も後ろからのぞき込み笑う。
「アレ回収して帰るか」
そう言って月村が警戒しながら刀に触った。
「二人は、そこのヤツ持ってくれ」
仮面と絵画。その二つの回収を頼んだが返事が無い。何があったのかと振り返ると、不思議そうな表情の一之瀬と東がいた。
「なんだよ。お前らも――」
続きを言おうとしたが出なかった。理由は自分の両手にあった。
左手には鞘。本来であれば銃を持っているはずの右手には刀が握られていた。
「何で刀抜いてんだよ」
一之瀬の指摘に月村は答えられない。自分ですらいつ抜いたのか、なぜ抜いたのかわからなかったからだ。
刀を鞘に戻そうとするが、腕が動かない。完全に固まったまま硬直していた。
「何か変だ。逃げろ」
月村が言うと同時、彼の腕が勝手に動き出した。
数回の素振りがあり、足が動く。
この刀は本物だった。妖刀としての能力は人を操り切り殺すこと。
「逃げますか?」
「お前はな」
東に逃げる事を指示した一之瀬は月村に向かっていく。斬りつけてくる刃を銃で防ぐ。




