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邪鬼の刻印  作者: どんC
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第四章 書き換えられた記憶

タイトルを少し変えました。

 あの侍女の名は何と言ったか?

 あの侍女が何時来たのか?

 覚えていない。

 でもミザリーの侍女だった。

 ミザリーの侍女は何人も居て。

 でも……良く辞めていた。

 仕事が厳しかったんだろうか?

 ミザリーが我儘を言っていたかしら?

 いえミザリーは誰からも好かれていた。

 でもあの侍女だけはミザリーのお気に入りで。

 ああ……思い出した。

 ミリーそうだ。

 あの侍女の名はミリーだ。

 本当はミザリーと言うらしいが、同じ名は不敬だからとミリーと呼ぶようになったんだ。



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ミザリー?私の妹と同じ名前ね。偶然?そう言えばミザリーの侍女はミリーと呼んでいたけれど本当はミザリーというんんだったか?あれ?この国から母についてきた侍女だったかしら?」


「キャサリンにはこの国の侍女はつけていない」


「えっ?でも…ミリーは母の侍女で子供の時から使えていて……あれ?ミリーってどんな顔していたかしら?髪の色は?目の色は?何色だったかしら?歳は……お母様に子供の時から使えているんだからお母様より年上よね?あれ?思い出せない?ミリーはミザリーの婆やだったし?」


「ミリーはどんな姿をしているんだい?良く思い出してごらん」


「ミリーは銀の髪にアメジストの瞳?あれ?王妃ミザリーと同じ?あの大叔父様、父の血筋に銀の髪にアメジストの瞳の者はおりません。お母様の血筋にその色の人がおりますの?それともこの国では一般的な色ですの?」


「この国では茶色の髪に琥珀の瞳が一般的だ。王族だけが白い髪にペリドットの瞳だ」


 大叔父様は懐から黒い布に包まれた十㎝くらいの肖像画を取り出した。


「王妃ミザリーだ」


 王妃ミザリーは銀の髪にアメジストの瞳、金色の豪華な衣装を身に纏い、頭にティアラを頂くその姿は……

 妹のミザリーだった。


「王妃ミザリー……侍女ミザリー……妹のミザリー……」


 三人とも同じ瞳、同じ髪、同じ顔。


「ちょっと失礼」


 男の人の声がした。大叔父の後ろにいた人だ。


 バチッ!!


 大きな手が私のうなじに置かれた。

 光の魔法陣が現れ刻印を破壊する。


「アリーヤ!!」


 遠くでマリンさんの声を聞いたような気がした。




 気がつくと私は客室のベットに寝かされていた。


「私は……気絶していたの?何だか身体が軽い」


 まるで鉄の鎧を脱いだよう。

 うなじをさする。


「私は……私は……ああ!! 思い出した!!」


 記憶が甦り雪崩のように私を襲う。


 思い出した!! 思い出した!! 思い出した!!


 王妃ミザリー!! 侍女ミザリー!! 妹ミザリー!!


 同じ顔!! 同じ顔!! 同じ顔!!


 同じ髪!! 同じ髪!! 同じ髪!!


 同じ瞳!! 同じ瞳!! 同じ瞳!!


 王妃ミザリーも侍女ミザリーも妹ミザリーも同一人物だ‼


 思い出した!! 思い出した!! 思い出した!!


 パスティ様と婚約した次の日。


 あの侍女ミザリーがやって来た。


 たまたまミザリーが訪ねてきた時。


 私は階段から見ていた。

 彼女は質素なメイド服にマントを着ていて。

 手には小さな鞄を持っていた。


『こんにちは。私は侍女のミザリーです。奥様が子供の頃からお仕えしております』


 そして妹のミザリーが現れた。


 ミザリーは私の部屋を取り上げ。

 私は小さなメイド部屋に追いやられた。


 私は一人っ子だ!!


 妹なんて居なかった!!


 そして……私がパスティ王子と話をしたのは、婚約した時だけだ。


 その後は……その後は……


 私は館に訪ねて来たパスティ様が隣で笑っている幻を見せらえていた。


「一緒に頑張ろう。一緒にこの国を良くしていこう。一緒に人生を歩いて行こう」


 いない!! いない!! いない!!


 優しい笑みの王子様なんて何処にもいない!!


 その言葉を信じて頑張ってきたのに……幻だった……


 なら王子様は何処にいたの?


 ミザリーといた。


 邪鬼ミザリーといた!!


 邪鬼ミザリーといて少しずつ少しずつ刻印を刻み付けられていた。


 いきなり刻むと城の魔術師に気付かれるから少しずつ……少しずつ……


 私と同じように、私といる幻を見せられて……


 私とミザリーはいつの間にかすり替えられていた!!


 どうしょう!! どうしょう!! どうしょう!!


 私の両親はおぞましい邪鬼ミザリーを国に招き入れてしまった。


 今から急いで帰っても海流の関係で一か月以上かかってしまう。


 ドアが開いてマリンさんが顔を覗かせる。


「気分はどうだい?」


 その後ろに大叔父とライル神官もいらっしゃる。


「全て思い出しました!! 邪鬼は妹に成りすまし王族に近づいた!! ああ……早く帰らないとこの国の二の舞になる‼」


 長い間邪鬼の刻印に操られていたことを告げる。


「アリーヤが眠っている間に王への面会がかなった。すぐ支度をしなさい。城に向かう」


 私は大叔父の侍女たちの手によって飾りあげられた。

 うわ~まるでお姫様みたいだ。


「顔が変わった?」


 鏡の中の私はニキビもなく。ガマガエルでもない。


「お美しいですわ」


 侍女達がしきりに褒める。

 マリンも頷き。


「邪鬼の刻印が破壊されて本当の姿になったんだよ。しかしあの刻印はえぐい物だったわ。隠匿の術式もさることながら。認識障害、それに人の命を食らうだけのみならずスキルまで奪う。恐ろしいわ。あの術式を組み上げた奴は天才ね。ただ欠点も合ってせいぜい奪ったスキルは三年しか使えない。人々を操るならもっと多くの命を必要とする」


 私は驚きマリンさんを見る。

 あの術式を理解出来るなら。マリンさんも天才なんだろう。

 私達は馬車に乗り込み城に向かう。

 豪華な馬車の中では、大叔父様とライル神官と私とマリンさんが乗る込んでいる。


「今の王は先々代の王弟でね。二十年前私達と共に城に乗り込んだ人だよ。チェイスは今首相をしている」


ライル神官が剣よりペンの方に才能があったらしいと笑う。


「邪鬼のお陰でこの二十年国を立て直すのに忙しかった。生き延びた王族は先々代の王弟と二人の王子だけだ。一番邪鬼ミザリーを憎んでいる。きっと力になってくれるだろう」


ガラガラガラガラ


馬車は護衛達と一緒に城に着いた。











最後までお読みいただきありがとうございます‼

不定期連載です。

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