俺はずっと、章一が好き
何がどうしてこうなっているか、今の僕にはちょっとよくわからないんですが。
そういえば、妙に眠たくなって意識が飛んでいたんだっけ。
気が付いたら僕は灰色のシンプルなパジャマを着せられ、ベッドの上にいた。
そして隣にはパンツ一丁の彼、白沢涼太がいる。
ガリッッ!!!
急に激痛が走り、何かと下に目を向けると、彼は何かに苛立ったように僕の鎖骨の辺りを噛んでいた。
プチプチと生々しい音がして、そこから血が垂れる。
「し、白沢先輩!?」
「章一は肉も美味いもんな」
「い、っつ……なんでこんなことするんですか」
「なあ、章一。お前、俺のこと好きか?」
「こ、こんなことする白沢先輩は嫌いです!」
殴ろうと思えば殴れるけど、そんなことをしたらどうなるか予測できる。
白沢先輩がこうなると、何をされるかわかったものではない。
「そんなに震えて、寒いのか?」
ギュッと抱きしめられる感覚。
白沢先輩の顔は笑っていた。
だが、その笑みには影が宿っていた。
「いいのか? 俺にいじめられたいんじゃねぇの」
白沢先輩は僕の背中やお尻を手の平でゆっくりと撫でた。
ニヤニヤと唇を歪める白沢先輩にイラついて、本当に一発殴ってやりたい。
でも、今主導権は完全に白沢先輩にあるのだ。
僕はなすがままであり、胎児のように身体を丸めるしかなかった。
「お前俺に言うことあるんじゃねぇの、なあ」
言わないと耳を齧るとでも言うように、耳元で囁く。
そして、僕の胸を白沢先輩の指が伝う。
「ふ、ぇ、僕は、白沢先輩が、す、き………ふ、ふ、っひ」
「なんで泣いてんだ、章一。てゆーか、最初からそう言えばいいだろ」
白沢先輩の目を見れる限り見つめてみると、勢いよく顔が近づいてきた。
「んっ……!!」
「んっっ…はぁっ…っ」
彼の太い舌が唇に入る。
絡み合う舌と舌がいやらしい。
ねえ、白沢先輩。そんなに僕の身体が好きですか__?
「わ、わりぃ。興奮しちまって、どうしようもなくキスしたかった」
「白沢先輩こそ、僕の、身体だけが好きじゃ、ないんですか」
「身体だけの奴とキスなんてしたくねぇよ。俺は、ずっと章一が好きだぜ」
白沢先輩は僕の頭をわしゃわしゃと撫で、上品な魔女のような笑みを浮かべた。
「好きだと、義理でも言えよな」
__本気の人相手に、義理で好きなんて言いたくないですよ。