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呪術師は勇者になれない  作者: 菱影代理
第20章:外の世界へ
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第374話 天送門の先(2)

「桃川」

「っ!?」

 まずは撫でるように、その中性的な小太郎の頬を薄く切り裂く。

 小太郎には本物と見分けがつかない分身を繰り出す『双影』と、本体にはダメージを相手にも与える『痛み返し』がある。そして本物と偽物を簡単に見破るために、小さな傷をつけるという判別法を悠斗は忘れていない。

 判定結果は、すぐに出た。己の頬に、今しがた妹が刻んだかすり傷しか出ない以上、答えは明白。

「やはり分身だったか」

 暴走したリライトが放出していたオーラと同質の闇属性魔力が黒い粒子状となって、血飛沫のように撒き散らしながら分身の小太郎が倒れる。魔力のみで構成された肉体は、すぐに跡形も残らず消え去った。

「そして、本体も出て来るつもりはないと見る」

 わざとらしいほどに、周囲を一瞥して言い放つ。重苦しいほどの静寂が周囲を包み込み、何ら変化は感じられない。

 小太郎本人がどこかで生き残っていることは間違いないが、今すぐに打って出て来ることはないようだ。あるいは、どうしようもないほどの不利を悟って、仲間を見捨てて逃げ出していてもおかしくはない、と悠斗は思った。

「委員長、夏川さん、蘭堂さん。さぁ、今の内に早く逃げるんだ」

「……断る、と言ったらどうするつもり」

「決まっているだろう。葉山と同じように、気絶させてでも天送門で送る」

 桜が倒れた以上、残ったのは魔力が尽きた涼子と杏子。そして余力こそあるものの、二人を守って戦うにはあまりにも不向きなスタイルの美波だけ。

 たとえ抵抗されたとしても捕縛は容易だと悠斗も判断しているのだろう。小太郎を斬った『光の聖剣クロスカリバー』は、すでにその手から消えていた。

「全く、恐ろしいわね。桜の話を聞いていなかったの? 悠斗君は、私達をどことも知れない場所へ飛ばして、野垂れ死にさせようとしているのよ」

「口先で惑わそうなんて、委員長らしくないな。俺のやることに変わりはない。まずは安全な場所までみんなを転移させ、それから洗脳を解除する」

「洗脳されているのは悠斗君の方、と言っても無駄なのでしょうね……」

 諦めたように項垂れた涼子の様子に、悠斗もこれ以上は反論さえないようだと安堵する。たとえ呪術で操られていると分かっていても、大切な仲間達から心無い言葉を浴びせられるのは、なかなかに堪える。

 自らの手で最愛の妹を昏倒させたことも、思っていた以上に心が揺らいでしまう。

 だが、決して手を緩めるわけにはいかない。どんな手段を使ってでも、仲間達の命だけは絶対に救わなければならないのだから。

「動かないでっ!」

 三人を保護しようと悠斗がさらに一歩を踏み出した瞬間、涼子は鋭く叫んで警告を発した。

「それ以上、私達へ近づくなら————」

「なっ、委員長、一体何を!」

 まるで人質をとって脅すかのような物言いに、悠斗は驚愕の表情を浮かべて足を止める。止めざるを得ない。

 実際に、切れ味の鋭さを示すようにギラつく刃が、涼子の白い喉元の突き付けられているのだから。

「————私は、自ら命を絶つわ」

 ナイフを握るのは、涼子自身。かすかに震える両手でナイフを握りしめ、己の喉へと突き付ける。

 涼子は自分自身を人質とすることで、悠斗の動きを止めたのだ。

「美波、蘭堂さん、私に武器を向けなさい」

「お、おい、それはちょっとヤバすぎない……」

「危ないよ、涼子ちゃん!?」

「悠斗君なら、素人の私の隙を突いて、ナイフを弾きかねないわ。でもさらに二人が私に凶器を突き付けたなら、悠斗君でもそう簡単には踏み込めないでしょう」

 突然の涼子の凶行に驚愕したのは仲間の二人も同様であったが……追い詰められたこの期に及んでは、なりふり構ってはいられない。

 何より、実際に悠斗の動きはこれで止まっている。自らの行動が、涼子の脅しが有効であることを示していた。

 一瞬だけ杏子と美波は互いに目配せをすると、意を決して得物を抜く。

 杏子は黄金のリボルバーを、美波は大型ナイフ『エンシェントヴィランズ』を、それぞれ左右から涼子へと突き付けた。

「委員長、馬鹿な真似はやめるんだ! 下手をすれば、本当に死んでしまうぞ!?」

「ええ、そうよ。悠斗君が少しでも動けば、私はうっかり死んでしまうかもしれないわ。私か、美波か、蘭堂さんか、誰か一人が手を滑らせればそれまで」

 本当に自殺なんてする気はないし、美波と杏子も決して涼子を傷つけることはない。だがしかし、そうと分かっていても本物の凶器を間近で向けられている構図にとても安心などすることはできないだろう。

 そう、本当に万が一、うっかり手が動いてしまえば、涼子は致命傷を負う危険性が存在している。その僅かなリスクが悠斗の歩みを止め、強引な解決法の実行を躊躇させた。

「くっ……」

「無駄よ、桜は自分で気絶させたでしょう」

 ちらりと倒れた桜の方を伺う素振りを見せた悠斗に、涼子の言葉が突き刺さる。

 もしも涼子が深手を負ってしまっても、『聖女』の治癒能力があれば一命を取り留めることはできるだろう。

 しかしその最も優れた回復手段を、悠斗は自ら封じてしまっている。倒れた桜はピクリとも動かず、目覚める気配はない。

「武器を置いて、ゆっくりと後ろへ下がりなさい」

「お願いだ、委員長。こんな危険な真似はやめてくれ」

「止めて欲しければ、早く言う通りにして」

「自分が何をしているのか、分かっているのか。桃川に操られているせいで、こんな無茶な行動をしているんだ。いい加減に、目を覚ますんだ!」

「馬鹿ね、桃川君が操れるなら、とっくに私は見せしめで自殺させられているわよ。悠斗君の方こそ、天送門で遥か遠くへ私達を追放しようとしていることを、自覚しなさい」

「だから、それは————」

 不毛な言い合いがしばしの間、続けられる。

 流石に悠斗も武装解除をした上で退くことまでは許容できず、その場に留まり声を上げ続ける。対する涼子も、全く折れる様子もなく、悠斗の言い分や説得に正論と屁理屈、どちらも織り交ぜて反論し続けた。

 互いに相手が操られている、と信じ込んでいる以上、最早どちらが正しかろうが議論で解決することはありえない。だが悠斗は心を尽くして説得を試みているが、涼子には悠斗を説き伏せるつもりなど毛頭ない。

 欲しいのは時間だけ。口先だけで解決できるならば、とっくに桜の呼びかけで正気に戻っていることだろう。

 あとどれだけの時間を稼げば、この追い詰められた状況を打破できるのか。次の瞬間には、悠斗が焦れて実力行使に出るかもしれない。

 先の見えない不安と嫌な緊張感にひっそりと冷や汗を流しながらも、出来る限りに言い合いを演じて、涼子は時間を稼ぎ続けた。

 しかし、やはりそれもついに限界を迎える。

「————蒼真くん、もういいよ」

「なんだって、どういうことだ、小鳥遊さん」

 口を挟んだのは、小鳥遊小鳥。

 悠斗ではなく小鳥が自ら動いたか、と涼子は警戒心を跳ね上げてその一挙に注意を向けた。

「大丈夫だよ、落ち着いて。ちゃんと委員長を無事に助け出すことができるから、ね?」

 穏やかな微笑みを浮かべながら、悠斗をなだめる様に小鳥が言う。その余裕に満ちた態度に、悠斗は意外そうに、涼子は表情を険しくして睨む。

「けど、一体どうすれば。委員長は全く聞き耳を持たないし、下手に動くわけには……」

「うん、だから、動かなければ大丈夫なんだよ————止まれ」

 そう一言唱えた瞬間、涼子、美波、杏子、三人の体は硬直した。

「くっ、やっぱり『神聖言語』ね……」

「小鳥の力で、指一本動かせないよう止めちゃうんだから!」

 その可愛い子ぶった口ぶりに、涼子は小太郎と同じように小鳥に対する苛立ちを全力で実感した。これなら、口汚く罵倒してくれた方がまだすっきりする。

 だが悠斗の手前、なんか小さくて可愛い、気弱だけれど健気なイメージを崩さない振舞いを小鳥が続けるのは当然のこと。

 猫被りも極まっているが、『神聖言語「拒絶の言葉」』の効果は本物だ。

 以前にセントラルタワー正門前でついに小鳥が本性を現した時と同じように、強烈にして絶対的な停止の力が、涼子達を縛り付けた。

「今だよ、蒼真くん!」

「ありがとう、小鳥遊さん!」

 これで勇者の足を止める障害は消え去った。悠斗が迷いなく委員長を救うべく力強く踏み込んだその後ろで、小鳥が嘲笑を浮かべる姿を涼子は確かに見た。

「ここが限界ね……みんな、行くわよ!」

 だが涼子は諦めない。自分の命を盾に、稼げるだけの時間を稼いだ果てに、彼女はついに最後の手札を切る。

 体は文字通りに指一本も動かせない程に硬直しているが、魔術師として体内を巡る魔力を止めるには至らない。『神聖言語「拒絶の言葉」』が封じられるのは、おおよそ発動者の声が届く範囲内の空間。人間や魔物を含めた、生物の体内までには効果が及ばない。

 基本的に魔法というものは、相手の体内に直接作用させることはできない。体の中から燃やしたり、凍らせたり、石の杭を生やして殺すことができように。そしてその原則からは、どうやら賢者の魔法であっても逃れられないようだ。

 故に、その発動は自前の魔力あればいい。杖を振るどころか、指先一つ動かす必要はない。

 そして尽きていたはずの魔力も、文字通りに命を賭けて稼いだ時間で、僅かながらに回復させている。この追い詰められた最後の最後で、一度の魔法発動を可能とするほどに。

「呪印解放————『吹き荒ぶ白雪』」

 己の喉元に向けたナイフを握りしめている左手の甲に、真紅に輝く文様が浮かび上がる。


『吹き荒ぶ白雪』:真白に染まる吹雪を意味する呪印。視界を閉ざし、体を凍てつかせる氷雪の暴風は、氷精霊の支配圏である。零下に舞う氷結の精霊達は、その場を作った者の言葉には喜んで従うだろう。


 涼子の手の甲に輝くのは、『呪術師』がその血をもって刻み込んだ『呪導刻印』である。

 小鳥の『神聖言語』に対抗するため、精霊の行使を修行してきた魔術師クラスの面々は、それぞれの属性による上級精霊の召喚さえ安定的に成功できるほどの成果を上げた。

 だが一つだけ、どうしても拭いきれない懸念事項は、そもそも魔法の発動を『神聖言語』で止められかねない、という点だ。基本的に精霊召喚は、各自愛用の武器を使って行われる。それが最も慣れており、魔法武器としての性能も一番だから、半ば当然の選択だ。

 しかし、武器を使うためには最低限の動作が必要となってくる。『神聖言語』で指先も動かせぬような状況となれば、精霊召喚も出来なくなってしまう。

 そこで第二の召喚手段として用意したのが、小太郎が新たに習得した刻印術『呪導刻印』だ。

 一種の魔法陣としても機能する呪印は、自らの魔力を流すだけでその発動を可能とする。そして一度、呪印によって精霊を召喚することに成功すれば、後は精霊が自ら動き出す。

「この雪だるまは……氷の精霊か」

 氷精霊を呼び出す呪印『吹き荒ぶ白雪』より出でたのは、大きな雪だるまのような姿をした中級精霊であった。

 涼子の実力があれば愛用の杖『スノウホワイトブルーム』と召喚サポートアイテム『PSP』を併用すれば確定で上級精霊『アイスタイタン』の召喚を可能とするが、『吹き荒ぶ白雪』のみを使った場合、瞬時に呼び出せるのは中級が限界であった。

 アイスタイタンよりは遥かに脆い雪の体は、パワーもタフネスも劣るが、その身から放つ凍てつく冷気に変わりはない。

「フォオオオオ……ブフォオオオオオオオオオオ!」

 唸り声のような音を立てて、大きな雪だるま型の中級氷精霊が白煙のような吹雪を放出する。無論、それはただ雪を含んだ風が吹き抜けるだけではなく、触れた先から氷漬けにするほどの氷結力を誇る、範囲攻撃魔法だ。

「むっ、どうしてコイツは動けるんだ————」

 精霊による神聖言語攻略法を発見したリライトの功績を忘れ去っている悠斗は、全く停止の影響を受けずに攻撃を仕掛けてきた氷精霊に対し、回避を選択した。

 吹雪を放出し続ける範囲攻撃に対して盾で受ければ足を止めるだけ。かといって、『光の聖剣クロスカリバー』の威力に任せれば、そのすぐ背後にいる涼子達ごと薙ぎ払いかねない。

 よって悠斗は一旦攻撃の範囲外に逃れて迂回するように回り込む、という消極的な対応を選んだ。

 そしてそれが、涼子達の更なる行動の猶予となった。

「行けよお前らぁ、呪印解放————『巌に刻む爪痕』ぉ!」

 涼子に続き、手の甲を輝かせて杏子が叫んだ。


『巌に刻む爪痕』:岩をも切り裂く地竜の爪を意味する呪印。その爪痕は地竜の力の証明であり、誇りでもある。最も深く刻み付けた者には、獰猛な地竜達も頭を垂れ、腹を伏せるであろう。


 杏子の周囲に砂塵が吹き荒れると共に、姿を現したのは砂色のラプター。一体だけでなく、その数は四体。

 砂の体と石の鱗を持つラプターだが、その体形は小太郎がアルファと名付けた二本角のリーダー個体に近い。角の数こそ一本だが、通常個体よりも一回りは大きな体躯に、より発達した前脚、そしてノコギリ状のブレードと化している尻尾の先端を備える。

「な、なんとか四匹出せたぁ……じゃ、頼むぞベータ!」

「キョワァアアアアア!」

 雄たけびを上げながら、即座に動き出す四体のベータラプター。

 アルファに次ぐベータの名を冠した彼らは、その戦闘能力も同様だが、今はその爪牙が敵に振るわれることはない。

 ベータは鋭い爪が生えた前脚でありながらも、決して乙女の柔肌を傷つけることなく器用に、丁寧に、されど迅速に主たる杏子をその背中へと乗せた。

「ううっ、私だけ役立たずぅ……ごめんね蘭堂さーん」

「気にしてる場合か、さっさとズラかるぞ!」

 二体目のベータは、精霊を呼ぶ術を持たず本当に何もできず固まっているだけの美波を背に載せ、さらに三体目も素早く涼子を回収する。

 雪だるまがさらに激しく氷結ブレスを吹き散らして勇者を遠ざけた隙に、三体のベータは踵を返して一目散に駆け出して行く。

「こ、このぉ! 絶対に逃がさないんだからぁ!」

 小鳥が怒りを抑え、悔しさを滲みだすよう努力した叫び声を上げて、一旦は銃口を下げていた守護天使へとついに攻撃命令を下す。

 その手を走り去るラプターに向けると、十体の守護天使は一糸乱れぬ動きで古代の銃を構えた。

「いけない、小鳥遊さん!」

「大丈夫、みんなには当たらないようにするから」

 万一の誤射を恐れて止めに入る悠斗の言葉を意図的に断り、小鳥は銃撃を敢行する。守護天使の指がトリガーを引き絞る、その瞬間、

「呪印解放————『疾風の羽根』」

 呟くような声と共に、真っ白い輝きが閃く。

「そんなっ、なんでっ、気絶してるはずじゃあ————」

 小鳥がその眩しさに目を細めながら、信じ難いものを見たと言ったように叫ぶ。視線の先にあるのは、倒れ伏していた桜が手を掲げて、その甲を真紅と白、二色に呪印を輝かせている姿であった。


『疾風の羽根・聖なる乙女の手にとまれ』:いと疾き翼を意味する呪印。天空を舞う自由な翼は、大いなる風の恩寵を受けるが————この羽根は聖女の祈りに応えた、白き輝きが宿る。その腕にとまることを許された翼は、神命を帯びる。


 弾ける閃光から、大きく翼を広げた白き光の隼が飛来する。

「お行きなさい、白疾風」

 主たる聖女の命に応え、光の隼は鋭い眼光で敵を睨み、翼を翻す。

 猛禽に目をつけられた小鳥は、一瞬その身を震わせる。

「こっ、小鳥を守れっ!!」

 そして命令は更新された。

 自らの背に生える翼が、『聖天結界オラクルフィールド』という万能の守護を与えているにも関わらず、真っ直ぐ最短距離で、放たれた光の矢の如く飛来することを予感させる白疾風の迫力に、小鳥は配下に自身の守りを命じた。

 次の瞬間には走り去るラプターの足を打ち抜くはずだった照準が外れ、新たに指示されたターゲットへと向かう————が、遅い。

 すでに白疾風は飛び立ち、守護天使が銃口を向けるより早く小鳥の前にまで到達する。

「っ!?」

 瞬間、視界を真っ白い閃光が焼く。

 攻撃に身を晒した恐怖に体が硬直するが、痛みは全くない。当然だ、中級精霊である白疾風には、『聖天結界オラクルフィールド』を破る力は持っていない。

 だが風ではなく光の力を授かったが故に、その目を欺く手段がある。

 白疾風が放ったのは『閃光フラッシュ』だ。攻撃力は一切ない。しかし炸裂する眩い光は、景色を白一色に塗りつぶさんばかりに強烈だ。

 その『閃光フラッシュ』を白疾風は、戦闘機がフレアをばら撒くが如く連続して解き放っていた。

「くっ……あ……桜は……」

 白染の視界がようやく戻って来たその時には、桜の姿は倒れていたはずの場所にはなかった。

 杏子が召喚したベータラプターは四体。三体で三人を載せて行ったのだから、当然、四体目は桜を回収するために走っていたが、この瞬間の小鳥にそこまで考える余地はなかった。

 すぐ前で倒れていたはずの桜も消え、涼子達三人も取り逃してしまった。

 けれど、小鳥に他のことを考える余裕を失わせたのは、彷徨わせた視線の先に見つけた、見つけてしまった人影である。

「————よう、悠斗。久しぶりだな」

 天道龍一の姿に、蒼真悠斗はその場で足を止め、真っ直ぐに見つめ返す。

「ごめんね、みんな。来るのが随分、遅れちゃったね」

 その隣に立つ双葉芽衣子の姿に、小鳥遊小鳥は息を吞む。

「ふふん、消耗しきった僕らみたいな雑魚を相手に、よくもイキリ散らしてくれたなぁ————こっからが本番だ、覚悟しろよ」

 そして勇者に抗う力を持つ『王』と『狂戦士』を従え、本物の『呪術師』桃川小太郎が嘲笑を浮かべて、そこにいた。

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― 新着の感想 ―
そして姫野さんと桃子は隠れていた?なんか重要な仕込みでもやってるんだろうか。
[良い点] 桜よくやった!!委員長たちもナイス!!! [一言] 第2ラウンド……ここで勇者を処理出来ればいいんだけど……どうなる!?(ワクワク)
[良い点] 真打ち登場ですね。腹を斬られた双葉と、未熟とはいえヤマタノオロチを倒した天道。どちらも万全ではないですがそれでも頼もしいです。 [一言] レムには失敗したという呪導刻印ですがしっかり効果が…
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