第289話 僕らのアジト
「————いやぁ、マジでヤバかったよねアイツ」
「やばい」
僕はアルファの背の上で、幼女レムを抱えながらトンネルを進み続けていた。
「小太郎、どうだった? もうやられたん?」
「勝負にすらならなかったよ」
今まさに、分身で残してきた捨て駒小隊が全滅したところである。
杏子だけでなく、他のみんなも出現した超危険なボス級モンスターについて気にしていたので、知り得た情報を歩きながら話すことにした。
「リビングアーマーの最強形態みたいな、黒い鎧兜の奴だった。『彷徨う狂戦士』って名前らしい」
どうやら、僕は『直感薬学』とは別な鑑定スキルを手に入れたようだ。
『埋葬神学』という中二感溢れるネーミングの鑑定系呪術は、相変わらず壮大な雰囲気だけを漂わせて、具体的な内容は全く分からないフレーバーテキストを添えてくれる。
だがその意味を精一杯の解釈で考えてみれば……恐らく、この異世界には『天職』を与える神々と、また別の神々が存在している、または存在していた、と推測される。
そして僕に『埋葬神学』という力が与えられたということは、呪神ルインヒルデは『天職』系の神々とは異なる系統の神だと思われる。説明文にある通り、忘れ去られた神々、その勢力に属しているのだろう。
まぁ、僕の呪術はやっぱ他の天職と比べて変な能力だし、何より雛菊さんという同じ『呪術師』でありながら、全然違う能力を獲得した人もいるのだ。
その違いが何かと言えば、力を与える神様そのものが異なっている、というのは実に納得のいく説明だろう。
無論、僕としてはルインヒルデ様がどんな神様勢力出身であったとしても、信じるより他はない。むしろ、明確にクソ女神エルシオンと別勢力だと分かって清々するくらいだ。
任せてくださいよルインヒルデ様、この呪術の力でエルシオン勢力ぶっ潰してやりますよ。宗教戦争上等、ジハード万歳。小鳥遊は死ね。
「ともかく、あの『彷徨う狂戦士』って奴は、どうもヤバい神の力で動いているらしい。だから、ただのモンスターじゃあなさそうだよ」
そう、アイツは野生に生きる野良モンスターでもなければ、小鳥遊が手を加えて出現させたモノでもない。
僕の脳内に浮かんだ説明文から推測するに……『彷徨う狂戦士』は、この場所がダンジョンになった原因を作った、あるいはそれに関係する存在ではないかと思う。
凄い力を求めて、ヤバい神の力に手を出した結果、SF映画のAIが如く暴走。それを止めきれず、この場所を放棄するより他はなかった、なんて想像は簡単につく。
遥か古代の魔法文明の人々を追い出したのがコイツだと言うなら、このダンジョンの真の支配者は『彷徨う狂戦士』と言ってもいいだろう。
なんだソレ、裏ボスが普通にマップを徘徊してんの? 致命的なバグじゃない? ちゃんと隠しダンジョンの一番奥のエリアで引き籠ってくれないと困るんですけど。
「で、強いの?」
「強すぎる。一撃で全滅だったからね」
距離50メートルくらいの位置で、多分、僕らのことを認識したであろう狂戦士は、右手に握った大鉈を軽く振るった。
次の瞬間、漆黒の風が轟々とトンネルを駆け抜け————僕の視界には、バラバラに切り刻まれた僕らのパーツが映っただけ。貧弱な僕やスケルトン、それに筋肉質な人間と同程度のハイゾンビが細切れになるのは仕方ないと思うけれど……黒騎士レムの装甲さえも同じようにバラバラになっていたので、防御無視かよってくらいの威力で切り裂かれたのは間違いない。
「初撃で全滅余裕な範囲攻撃ぶっ放す奴だよ。あれはグリリンとロイロプスを盾にしても、まとめて切り裂かれるくらいの威力があった。トンネル内じゃ回避も不可能だね」
「うん、それは無理だな」
「だから、みんなも絶対にアイツには近づかないように」
可能な限り手札を引き出してやる、と意気込んではいたけど、あのザマである。狂戦士の力はどう考えてもあんなもんじゃない。ヤマタノオロチに挑むよりも無謀だと思えるね。
唯一、勝ち筋があるとすれば勇者様のご都合覚醒くらいだろう。
「おいおい、そんなヤベー奴がウロつき回ってんのに、俺らこんなとこにいていいのかよ?」
割とマジビビりな顔で葉山君が訴えかけてくる。
そういえば、葉山君も土壇場で『霊獣召喚』に覚醒したし、可能性あるかも……? いや、無理だよね。アレの相手は霊獣が束になってもダメそうな気がするし。
「心配しないでよ。むしろ、アイツがいるからここの安全が保障されてると言ってもいい」
「ねぇ、それって……その狂戦士ってのがいるから、ゴーマも他のモンスターもこのトンネルにいないってこと?」
「姫野さん、正解」
アレはただ超強力なモンスターというだけでなく、何らかの神の力で動く特殊な奴だ。ならば他のモンスターを一切寄せ付けないという特殊能力が標準搭載されてもおかしくないし、そうでなくてもあの強烈な魔力オーラを発しているのだ。縄張りとしての主張は、動物にだって理解できるだろう。
「この地下トンネル全域は狂戦士の徘徊ルート、縄張りなんだ。だから誰も近寄らない」
逆に言えば、狂戦士にさえ遭遇しなければ、これほど安全な場所もないということだ。
万を数えるゴーマ軍団が押し寄せてきても、うっかりアイツと出くわせばお終いだよね。そんなことは、頭の良さそうなオーマは百も承知だろう。
「いや、それって俺らも遭遇したらお終いってことじゃねーかよ!?」
葉山君の叫びは至極もっともな懸念である。
だがちょっと待って欲しい。確かに狂戦士は出会った瞬間、即死確定な裏ボス級モンスターだ。
けれど、アイツはこの広大な地下トンネルに、一体しかいない。多分。いたとしても、そんなに沢山はいないはず。
「アイツには、すでにレム鳥でマークさせている。今どこにいるか、レムなら常に分かる」
徘徊型の恐ろしいところは、その神出鬼没さである。
突然、そこの曲がり角から、上から降って来て、下から湧いてきて、等々いつどこから出てくるか分からない不安さがあるからこそ、恐怖が掻き立てられる。
しかし、そんな恐怖の対象がGPS付きで常にマップ表示されていればどうだ。ソイツが近くにいなければ安心できるし、接近してくれば余裕をもって逃げることもできる。すなわち、一度も相対せずに回避が可能なのだ。
ならば、それはもう恐怖の存在ではなく、避けられる障害物でしかない。
「これから24時間、ずっとレムが奴の動向を監視し続ける。だから、僕らは絶対に奴を避けられる」
幸いにも、ここは幾つもの道が入り組んでおり、たった一個体から逃れるのは容易な地形となっている。相手の居場所が把握できれば、大体どんな場所にいても迂回路が存在してくれている。
それに実際に接近してみたことで、50メートル以内に入らなければ攻撃は飛んでこないことも実証されている。
現時点でも、レム鳥を50メートル以上の感覚を開けて監視させているが、奴が特に気にした様子は見せていない。
監視の目は放置、広範囲で僕らの位置を特定して追いかけてもこないし、猛スピードで走り出すこともない。本当に、アイツはただ歩いて移動しているだけで、あくまで進路上に何者かがいれば攻撃するだけの行動だ。
積極的に地下トンネルへの侵入者を探知して撃滅、という行動原理であれば、僕らはとっくに全滅している。
今、僕らが無事であることが、この場が安全である何よりの証ということだ。
「実際、今この一本向こう側のトンネルに、アイツが歩いてるよ」
コンコン、とコンクリみたいな壁を叩いても、反応は何もない。奴のヤバいオーラの気配も感じ取れない。
「そういうワケだから、安心してここに本拠点を築けるよ。さぁ、もうすぐ目的地に到着だ」
みんなはあんまり安心したような表情は浮かべてないけど、どの道、他に選択肢もないんだし。
覚悟を決めて、ここを僕らのアジトにしようよ。地下深くにある秘密基地みたいで、ワクワクするでしょ?
ほどなくして、僕らは無事に目的地に到着した。
狂戦士は本当に僕らのことなど全く認知していないようで、レムの監視によればこことは反対側の東へ向かって歩いているとのこと。しばらくは、この近辺に現れることはないだろう。
さて、ここは先行させておいたレム鳥から集めた情報通りの場所である。
大型の地下鉄駅のような構造で、複数のトンネルが合流するホームのような区画が、実に三か所も繋がっている。三つのホームから伸びるトンネルは、やはりそれぞれ南北に東と、別方向に向かっている。
それから、ここから真っ直ぐ地上へ上がるための通路も複数、発見した。
これでどっから狂戦士が入って来ても、逃げ道は幾らでも確保できる。でも、ゴーマ軍が思い切って突撃をかけて来ないとも限らないので、きちんと防備は整えなければいけないけど。
広さこそなかなかの場所であるが、全体的には地下トンネルとそう変わらない陰気な薄暗さだ。ずっとここに住んでれば気分が滅入りそうだし、目も悪くなりそう。
暗く殺風景な寒々とした場所だけれど、一つだけ発見があった。
「おい、これって妖精広場の噴水じゃねぇか!?」
その第一発見者は葉山君であった。
真っ暗闇となっている中央の大きなホール。そこに桜ちゃんのカンテラをピカピカさせて勇んで踏み入ったのだ。
みんなで集まって見れば、確かにあった。大きなホールのど真ん中、見逃しようがない配置とサイズで、ドーンと妖精像の立つ噴水があるのだった。
「けど、やっぱこれ動いてねーだろ」
「水も出てないしー?」
上田と芳崎さんが空っぽの噴水を覗きながら言う。
他の壊れた妖精広場と同じく、ここも機能していないことは一目瞭然だ。けれど、噴水にも妖精像にもヒビ一つ入っておらず、物理的な破損の跡はない。
これ、何か上手いことやれば再起動できるのでは?
なんて考えたところで、早くも新鑑定呪術である『埋葬神学』が発動した。
『妖精さん像』:妖精女王様、万歳!
全くクソの役にも立たない説明文が出たもんだ。万歳って、この妖精像のポーズじゃん。そんなの見れば分かる。
ただ『妖精女王』なる、この石像に象られた妖精のボス的な奴が存在している、ということは分かった。もしかすれば、その妖精女王とやらも単なる君主ではなく、ルインヒルデ様と同勢力に属する神様の一柱なのかもしれない。
いや、間違いなく関係する。なぜならルインヒルデ様はかつて、はっきりと『妖精女王』の存在について明言したことがあるからだ。
「よい、神の一手には、我が一手をもって返す————そう、許されるは一手のみ。妖精女王の加護は、まだそなたの手に余る」
と、こう言っていた。
僕と杏子が転移で逃げて、葉山君と出会って、黒騎士の中に幼女レムがいつの間にか誕生していて大騒ぎした、その日の晩にお呼ばれした神様時空での対話。ヤマタノオロチにトドメを刺した『告死の妖精蝶』は、まだ僕には使えない呪術だけど、小鳥遊が『賢者』の力でズルしたからこっちもズルして使えたよ的なニュアンスで言っていたと思う。
ルインヒルデ様は「妖精女王の加護」と呼んでいたから……やはり妖精女王とは加護を与えられる存在、すなわち神様なのである。
どういう関係性と理屈でもって、妖精女王という別な神が扱う『告死の妖精蝶』という即死呪術を、ルインヒルデ様の一存で使用許可をくれたのかはよく分からないが、少なくとも敵対関係にはないのだろう。
例の忘れ去られた神様勢力の一柱で、だからこそ『埋葬神学』も反応したんだろうけど……これ以上、考えたところで今すぐ役立つ情報ではないね。
重要なのは神様の事情などではなく、妖精広場という古代の遺物を使えるか否かという即物的な問題なのである。
「とりあえず、ダメ元で弄ってみるかぁ」
さりげにみんなの期待を背負いながら、僕は沈黙する妖精像へと向かい合う。
「————おっ、反応アリ?」
小鳥遊が妖精広場の噴水を、錬成用の設備として利用していたことは知っている。だから、僕も学園塔時代は弄れないかと試してはみたものの……結果的に、上手くはいなかった。今でも自前の錬成陣だけを使っているのは、噴水の機能を僕には利用できないからなわけで。
けれど、全く反応がなかったワケではない。噴水はきちんとこちらの魔力に反応し、塔の石板と同じくホログラムを投影してくれるのだ。
ただし、そこに書かれているのは古代語なので、全く解読できなかった。ヤマジュンノートと見比べても、理解できる単語が何一つ含まれておらず、流石にお手上げだった。
そういうわけで、この停止した妖精広場の噴水は、今まさにホログラムを僕に対して示してくれたのだ。
投影されたのは白く輝くただの平面で、そこには古代語が色々と記述されているのだが————
「これは……読める! 読めるぞぉ!?」
と言うものの、全部は読めない。すでに僕が知っている古代語が、文章の中に幾つか散見されるだけで。
けれど、画面の中に僕が読める単語が含まれているということは、今までとは異なる内容が表示されているということだ。
「おい桃川、どうなんだよ! 行けそうなのか?」
「まぁまぁ、葉山君、落ち着いてよ」
かく言う僕も、可能性を感じて結構ワクワクしてきたけれど。
さて、今のところ僕が読める単語を拾うと、
『動く』、『無い』、『止まる』、『必要』、『選択』、『始める』、『終わる』
とまぁ、ざっとこんなもんである。これらの単語の羅列を都合よく解釈するならば、
「エネルギー切れで停止中だから、エネルギーが必用で、起動するか終了するか選んでくれ、みたいな感じかな」
「おおー」
僕のガバガバ古代語翻訳を聞いて、みんなからどよめきが上がる。まぁ、これらの単語を見れば、パソコンの再起動画面みたいなのを連想するのは当然だ。
期待感も高まって来るが、これで再起動できなかったらガッカリに加えてみんなの失望分も加わって余計なプレッシャーを感じているところもある。
だが、男は度胸。なんでも試してみるものさ。って、ヤマジュンも言ってた気がする。
「このボス級のコアをくれてやるから、動けよコノヤローどうかお願いします!」
どうせ今までコア持ってるだけで転移魔法起動してたんだから、妖精広場もこれでうまい具合に魔力補給してくれよ、と祈るような気持ちで、僕は空っぽの噴水にコアを放り込んだ。
すると次の瞬間、コアは赤い光を放ちながら輝く粒子となり、急速にバンザイする妖精さん像へと吸い込まれるように飛んで行き————
「————بداية(始める)!」
再起動を選択する意思を示すべく、僕は果てしなくイントネーションの怪しい古代語を、ダメ元で叫んだ。
そもそも音声認識してくれるかどうかも分からなかったけれど、果たして、妖精広場は応えた。ホロモニターには、大きく『始める』の文字が点灯する。
チョロチョロチョロ————ザバババーッ!
そうして、噴水はあるべき機能を取り戻したことを示すように、水を噴き出したのだった。
それからたっぷり三日はかけて、僕らはここに本拠点を築き上げた。
薄暗かったホールは、今や煌々と白い灯りに照らされ、妖精広場として完全に機能している。
流石に花畑や妖精胡桃の並木は即座に復活こそしなかったけれど、花壇として区切られた土の上には、早くも小さな芽が出て来ていた。恐らく、このまま放置しておけば花も妖精胡桃も全て元通りへとなるのだろう。
けど僕にとって最大の収穫は、妖精広場という古代遺跡の機能をかなりの範囲で利用できるようになったことだろう。
「よーし、それじゃあ今日から本格的に、工房を始めようかな」
「えっ、今までのは本格的じゃなかったの……?」
姫野が何か温いこと言ってるけど、気にしない。
拠点設営で初日から色々と錬成作業はやらせたけれど、そんなのは仕事の内には入らないよ。必要なものを作り出す、というのはサバイバルの一環だよね。
「この噴水があればより高度な錬成を、高速かつ複数同時に行えるんだよ。これは錬成術の産業革命だよね」
「うーん、ますます酷使される予感しかしない物言いだよ……」
姫野に続いて、中嶋もヌルヌルなことを言っている。ダメだよ、弱気じゃあ剣崎は落とせないぞ。アイツは力づくでねじ伏せるくらいじゃないと、靡かないタイプだと思うんだよね。
まぁ、剣崎の女郎のことなどどうでもいい。大事なのは高度な錬成術の行使についてである。
小鳥遊は割と序盤から妖精広場の噴水を利用して、錬成を行っていた。
この噴水は錬成魔法の作業台のような機能があるからで、そのこと自体は嘘ではなく紛れもない事実である。ただし錬成機能があることと、その機能がどのくらいか、というのはまた別のお話だ。
「まったく小鳥遊の野郎と来たら、こんなに凄い錬成能力が使えるというのに、マジで手抜きってレベルじゃねぇ仕事ぶりだよアイツ」
噴水による錬成能力をフル稼働させれば、全員分の装備などあっという間に修理でも強化でも完了できる。素材揃ってる前提ではあるけれど。
僕が弄ってもこれくらいの機能を発揮してくれるのだ。小鳥遊ならフルで使えるはずなのに、あの体たらくなのは……まぁ、奴の目的からして、クラスメイト達があまりにも恵まれた装備をするのも望ましくないのだろう。ダンジョン攻略ができるギリギリくらいの性能で、常に武装を仕上げていたに違いない。
ちっ、こんなことから、もっと酷使しておけばよかった。パワハラ&長時間残業&無限連勤で過労死ラインをオーバードライブだ。
「じゃあ、二人はとりあえずいつもの素材の下ごしらえからよろしくね」
「でもでも、まだ全然狩りとかしてないし、素材なんてそんなに持ってないでしょ?」
「いやぁ、横道戦は大収穫だったから、流石の僕もまだまだ手をつけてない素材ばっかりなんだよねー」
何といっても本体の横道が魔物素材の宝庫であり、これに加えてゴーマ部隊の戦利品などが加わっているので、ロイロプスに満載するほどの素材量は残っているのだ。
「みんなの武器もまだ応急修理しただけだし、これでようやく本格的な強化ができそうだよ」
やっぱり、まずは装備を整えるところから始めないと。
すでに三日間の拠点化作業によって、僕らのアジトは学園塔に匹敵する住環境を構築できている。
妖精広場の食堂に、大浴場、清潔なトイレット。全員分の個室にはベッドが備わってるし、倉庫代わりの空き部屋なんて幾らでも。
さらに嬉しいことに、噴水にはこの古代の駅に備わった設備のコントロールも可能としていた。
内部を照らす照明もそう。今までは制御方法なんて分からなかったから付けっぱなしだったけれど、今は自由にオンオフできる。
そして、ここの防備で一番役に立つのは、扉とシャッターの開閉だ。
全てではないが、ほとんどの通路や部屋を閉ざす扉やシャッターをここで稼働させることができる。使わない場所のシャッターを下ろしておけば、それだけで封鎖できて楽チンだ。
小鳥遊はこの機能を学園塔でも掌握していたから、僕を密会部屋に隔離できたのだろう。きっと、学園塔にもどっかに制御用の石板があったんだろうな。
ともかく、物理的にも拠点を守る手段ができて、ますます安心できるよね。
そんな感じに、正に妖精広場様様で僕らのアジトは出来上がった。こうして本拠点が出来たので、ようやくエリア攻略のための準備を始められる。
さて、まず何から手を付けようか……




