第268話 追放されし王
初めてタバコを吸ったのは、いつだったか。大して美味いものではないと思っていたが、いつしか手放せない、なくてはならないモノとなった。
道理で、20歳未満の未成年には禁止されるワケだぜ、と納得したのは中学生の頃だろう。
至福の一本だ。特に、強敵との戦いを乗り越えた後は格別である。
騒がしい祝勝会の会場を離れ、龍一は一服するためエントランスへと一人、降りて来ていた。
「……だが、いいところは桃川に持っていかれちまったな」
ヤマタノオロチ攻略戦。その立役者にして最大の武功を上げたのは、あの小さな呪術師だ。
『勇者』蒼真悠斗でもなければ、自分でもない。
遥かな古代、ゼロから国を打ち立てたような最初の王様は、きっとああいう奴なのだろうと思った。どうして『王』などという天職を授かったのか、龍一は今でも分からない。
人をまとめ、率い、そして栄光の勝利を掴む。王の資質であり、王に求められる能力だ。
「結局、俺もアイツに良いように使われちまうか」
三人の脱出枠を利用した、救助隊の編成。その一人目として指名を受け、最終的には引き受けた形となる。
誰かの言いなりになるのは性に合わない。だから不良なんてやっている。
そんな自分勝手な馬鹿野郎でも、上手に使う。やはり、それが王の力なのか。
そうだとしても、やはり気に食わない。あの生意気な童顔が、したり顔で自分の思い通りに事を運ぶのは。
「まぁ、いいか」
けれど、不思議と嫌な気分ではなかった。いつもの反発心やら反骨精神やらが、あんなチビにマジになるなよ、と諫められるかのように湧いてこない。
あるいは、自分もまた期待しているのだろうか。桃川小太郎、あの小さな少年が、また何かをする。大きな何かを成し遂げるのではないかと。
そんな風に期待できる奴は、思えば蒼真悠斗に次いで二人目だ。そういう奴は、面白い。だから、こんな自分でも付き合い続けていられる。
「————あっ、天道君、一人?」
「ああ? なんだ、小鳥遊か」
向こうから声をかけてくるとは珍しい。いつもピーピー言いながら、悠斗にくっついて回っているだけの取り巻き女子……というだけではなさそう、とは龍一の鋭い勘で察している。
だが、可愛らしい演技で悠斗に取り入ろうとしているくらいなら、自分には関係ない。女の笑顔や涙に騙されるのも、悠斗自身の責任だ。
「何しに来た」
「天道君と、話がしたくて」
「へぇ、お前がねぇ……なに企んでやがる?」
そこで初めて、龍一は階段の方へ振り返り、小鳥遊小鳥へと向いた。
小鳥の様子は変わらない。可愛らしい顔をした、小柄で、でも胸はなかなか立派な、外見だけは魅力的な女子である。ニコニコした無邪気な笑みも、いつも悠斗に向けるのと同じものだ。
だが、自然なはずの笑みが、今は薄っぺらい仮面のように見えてならなかった。
「私と、契約しない?」
「なんだ、次からタバコ増やすのに金でもとろうってか?」
現状、天道龍一と小鳥遊小鳥の接点はそこにしかない。龍一はタバコが必要で、小鳥はそのタバコを複製の魔法陣で増やすことができる。需要と供給は一致している。
「ううん、違うよ。私のモノにならないかって、聞いてるの」
「はっ、大きくでたもんだな、小鳥遊。それがテメーの本性か」
「天道君の『王』は少し特別みたいだから、私もちょっと扱いに困るんだよね。だから、契約して私のモノになってくれたら、安心だなって思うの」
それは、ただの本性などというものではなかった。小鳥遊小鳥という、一人の少女の人格の問題ではない。
その一言は、彼女の立場を表していた。自分は、ただのクラスメイトではないと。
「テメぇ、何をどこまで知っていやがる」
「私の天職は『賢者』だよ? 誰よりも知識があるのは当然でしょ」
愛らしい微笑みを浮かべながら、小鳥は軽やかに右手を振るう。
すると、薄っすらと白く輝くスクリーンのような光が灯る。ビッシリと古代文字が書き込まれた上に、幾重にも魔法陣が重なっている。
どうやら、魔術師クラスが普段から使っている魔法とは比べ物にならないほど、複雑な術式構成をしているようだ。龍一の『目』をもってしても、その効果の全てを見抜けない。
「天道君は私と同じように鑑定系のスキル持ってるから、見れば何となく分かってくれるよね。これに手を置いてくれれば、契約成立だよ」
「奴隷契約とは、随分と舐めた真似してくれるじゃねぇか」
「ただの保険だよ。天道君に襲われたら、非力な私は敵わないでしょ?」
小鳥が突き付けたスクリーン型の魔法陣は、相手に『誓約』を課すタイプの魔法らしい。
シンプルに契約者へ危害を加えられない、という内容までは龍一でも読める。
そして、この誓約魔法の原理は、魂に直接作用する効果というところまで分析はできるが……解除方法までは、とても見切れない。
普通の魔法とは全く異なる系統の魔法。恐らくは、『賢者』専用の特殊な魔法なのだろう。
「それで、どうかな、私と契約してくれれば、三人目の脱出枠を確保してあげるし、ここを出た後も王国での待遇も保障してあげる」
一人目と二人目の脱出を誰にするのか。
脱出した先にあるという異世界の王国についても知っているのか。
しかし、龍一はそのどちらについても問いかけない。
「なぁ小鳥遊、お前馬鹿だろ」
「なに、天道君、もしかして桃川の話を真に受けてるの? あんなの、上手くいくわけないじゃない。天道君なら、それも分かっているんじゃないのかな?」
「分かってないのはお前の方だ。無事に生かしてやるから従え、なんて言われて、俺が素直に尻尾振る男だと、本気で思っているのか?」
「それは馬鹿な選択だよ、天道君」
「おいおい、俺はただの不良だぜ? 馬鹿に決まってんだろ。で、馬鹿なりにも矜持ってのがあるからな。男なら、桃川の話に乗らないワケがねぇだろが」
「はぁ……これだから、馬鹿な男は嫌いなんだよねぇ!」
「『王剣』————」
「止まれっ!」
龍一の、王剣を抜くための手が止まった。
それだけではない。『宝物庫』の黄金の魔法陣も、半分ほどが描かれた展開途中で、ビカビカと明滅しながら停止している。
「どうかな、これが私の『神聖言語』の本当の力だよ」
『神聖言語「天界法15条・調停者特権第1項」』:天界を統べる法は、それを読み解く者に執行の権利を与え————神聖言語とは、神意を————その効果の適応は下界の物理・魔力・神性法則に及び————する時、調停者はあらゆる戦闘を停止させる特権を行使できる。
小鳥の『神聖言語「拒絶の言葉」』は仲間も知るスキルではあるが、それを戦闘中に使うことは非常に稀である。戦闘員とみなされていない小鳥は常に守られ、よほど強力なボスか、奇襲などがなければ、蒼真悠斗を筆頭に優秀な仲間たちが全力で彼女の身を守り切る。
だが「使える」ということが知られていれば、それを使ったことが判明しても言い訳が効く。故に、仲間にバレないよう使うことで、そのスキルの熟練度を上げる行為は、さほどリスクなく行うことができた。
幸い、小鳥の熟練度上げは誰に気づかれることもなく今日に至っているが……たとえそれが露見したところで、この真の力まで知りえることはないだろう。
小鳥がより上位のスキルへと進化させた『神聖言語「天界法15条・調停者特権第1項」』は、いまだ完全な効果を引き出すには至らないが、それでも、「拒絶の言葉」とは一線を画す性能を発揮する。
それこそ、本気で剣を抜こうとした『王』を止めるほどに。
「ちっ、こんな隠し玉を……」
「さっすが、天道君、コレを喰らってまだ喋れるなんて、小鳥ビックリだよぉ」
すごーい、と笑顔でパチパチ拍手する小鳥を、龍一は睨む。
黒高の不良もビビらせる龍一の眼力を真正面から受けても、小鳥の笑顔は揺らがない。それは、自身の優位性を確信しているから。
「とっても残念だけど、私のモノになってくれないなら、天道君は邪魔なだけなの。だから、ここでサヨナラだね————転移魔法陣起動」
この学園塔では日常の風景と化した、エントランスの転移魔法陣が稼働を始め、白い輝きを放ち始める。
その魔法陣の真上には、神聖言語により身動きを封じられた龍一だけが立つ。
「俺を殺らなきゃ、後悔するぜ、小鳥遊」
「誘っても無駄だよ。トドメを刺すために、これ以上近づくのは危ないからね。それに心配しなくても、ちゃんと天道君は殺せるよ。だって、これから飛ばす場所は『隔離区域』だから」
それもまた、『賢者』にのみ許された情報なのだろう。
龍一を追放して、そのまま野垂れ死にさせるに足る場所と、そこへのアクセス権も小鳥は持っているようだ。
「いいや、お前は必ず後悔する。何を神に吹き込まれたかは知らねぇが……何もしなければ、お前はクラスメイトの一人でいられた」
「遺言はそれだけ? それじゃあ、隔離区域で頑張ってね、天道君、バイバーイ」
そうして、天道龍一は一人、転移魔法の光と共に学園塔から消えていった。
「クソ……やられたな」
天道龍一は、咥えタバコのまま、そんなことを呟いた。
どうやら、隔離区域とやらに到着したようだ。
周囲は一切光のない真っ暗闇で、視界は効かない。タバコの火だけが、この場に灯る唯一の光源であった。
そして、その暗闇で灯る小さな火を目掛けて、鋭い風切音が迫り————
「ふん、大した歓迎ぶりじゃねぇか」
王剣を一閃。暗闇の中でも、迷いなく振り切った。
確かな手ごたえ。今度こそ妨げられることなく、宝物庫から抜刀された王剣は、龍一の首に届く寸前の刃を斬り飛ばす。
「シギィイイイイイイイイイッ!」
虫型モンスターのような悲鳴を上げる、暗闇の襲撃者。
龍一が斬ったのは、手持ちの武器ではなく、体の一部位であったようだ。
「灯れ」
追撃を振るうよりも先に、灯りをつけることにした。この暗闇の中でも、龍一は相手の居場所と動き、大まかな姿なども察することはできるので、戦闘するのに大きな支障はないが、わざわざ視界が塞がるままで戦うメリットもない。
ただ一言で、ポツポツと中空に火の球が現れ、瞬時に闇を払う。
まず龍一の視界に入ったのは、白い甲殻を纏った、人型の魔物だった。小太郎が『ハイゾンビ』と呼ぶ筋肉質で走る魔物と似ているが、こちらはより異形と化している。
目も鼻もないのっぺりした顔には、虫のような左右に開く大きな顎がギチギチと動き、這う体勢で床についた両手の先は、湾曲した長い鉤爪が生えている。
そして腰からは長くくねる尾が生えており、半ばから断たれて紫色の血を吹いていた。傍らには、銛のような形状をした刃を生やす尻尾の先が、蛇のようにのたうっている。
「見ない顔だが、大した強さじゃねぇな。けど、そこは数でカバーってか?」
「キシシシ」
「ギシシ、シィガァアアア!」
四方から、同じ白い魔物が姿を現す。どうやら、ここは奴らの巣のど真ん中のようだった。
「隔離区域、か。なるほど、妖精広場も機能してねぇってことかよ」
基本的に、転移魔法陣で飛んだ先は妖精広場だ。しかし、ここは真っ暗闇で、おまけに魔物の巣と化している。
ダンジョンのど真ん中に飛ばされたのか。いいや、違う。
ここは妖精広場だ。正確には、妖精広場だった、場所である。
噴水の水は涸れ、広場を象徴する妖精像は、頭と両腕は砕け散っていて、さながらニケの女神像のようになっている。
緑の芝生と花畑の地面は、赤黒い血肉を思わせる、ドロドロとした泥のようなものに塗れていた。妖精胡桃の並木があった広間の両サイドは、どこから運んで来たのか、瓦礫とクズ鉄が山となっており、そこから白い魔物が這い出て来ていた。
どうやら、そのゴミ山が奴らの住処であるらしい。
「ゴキブリみてぇに湧きやがって。面倒だ、まとめてかかって来い」
とても人の言葉を理解できる知能があるとは思えない魔物だが、自らのテリトリーに侵入者した敵、あるいは、久しぶりに現れた新鮮な獲物だと認識したのだろう。
直後には、けたたましい雄たけびをあげて、四方八方から俊敏な動作で一斉に飛び掛かってきた。
「————『ネザーヴォルテクス』」
そうして、黒く輝く王剣より迸る、闇の渦によって魔物は瞬く間に一掃された。
バラバラと千切れ飛んだ肉片と、夥しい量の紫の鮮血がまき散らされるが、元から穢れ切った広間にあっては、気になるほどのものではなかった。
ひとまず、邪魔者は片付いた。だが、とてもゆっくりと落ち着ける場所にはならない。
「流石にここを掃除する気にはならねぇな……」
赤黒い泥と奴らの残骸に塗れ、腰を下ろす場所すらないときたものだ。寝泊まりするどころの話ではない。
かといって、今から暗闇に満ちた未知のダンジョンを攻略しに行く気にもならなかった。
「そういえば、掃除が出来そうな奴もいたか」
継承スキル
『従者・侍女』:王に付き従う者。侍女は、王のあらゆる求めに応じ、全てを捧げ奉仕する。
錬成士に続いて獲得した、継承スキルの『従者』シリーズの一つ。学園塔生活の頃に獲得したが、特に生活で困ることもないので、今まで一度も使わなかった。というより、クラスメイト達のいる中で、『侍女』なる者が現れたら、絶対にロクでもないことになると龍一は予感していた。
だが、ここにはもう誰の目もなく、生活面での助けも必要である。今こそ、侍女を召喚する時であろう。
「くそ、なんだかやけに嫌な予感がするぜ……」
こういう時の勘は当たるんだ、と思いながらも、必要に迫られ召喚するしか選択肢はない。
ちょっとだけ躊躇した後に、龍一は渋々、スキルを発動させた。
「……『従者・侍女』」
唱えた瞬間、金色の魔法陣が展開される。錬成士と同様に、魔法陣から黄金の粒子が噴き出し、それが寄り集まって人型を形成していく。
錬成士の時は、童話の小人のような人型が複数作られたが、今目の前で形作られていくのは一人。それも、小人ではなく、通常の人間サイズだ。
小柄な少女、になるのだろうか。龍一の胸元程度の身長で、粒子はさらに衣服を形成していく。翻る長いスカートとエプロン、あしらわれたフリル。
それは紛うことなくメイド服。
そして、一際大きな輝きと共に、侍女の少女は完成を迎え————
「お呼びでしょうか、ご主人様」
「……桃川、お前なにやってんの」
それは、どこからどう見ても、メイド服を着た桃川小太郎だった。
「私の顔が、どなたかお知り合いに似ているのですか。だとすれば、それはご主人様が、そのお方にお世話されたいと願う深層心理の表れで————」
「お前ちょっと黙れ」
嫌な予感の正体はコレか、と龍一は目を覆ってため息を吐いた。
別に、小太郎にメイドになって欲しいとか、そういう怪しい願望を抱いたことなど一度もない。天地神明に誓って、天道龍一に男の娘メイド属性はない。
ないのだが、その人物のイメージがスキルに反映された可能性は非常に高いだろう。
つまり、龍一の中で誰かの世話して走り回っている姿というのは、学園塔でクラスメイトの統率と世話に四苦八苦していた、小太郎のイメージが強かったのだ。
だからといって、メイド姿の侍女として召喚されるとは思いもよらなかったが。
「まぁいい、涼子の姿で出てこられるより、マシだったと思おう」
現実を納得させるための理由として、最終的に捻り出したのがソレであった。
「もう何でもいいから、お前は————」
「皆まで言わずとも、分かっておりますよ、ご主人様。この状況を見て、ご主人様が私を呼び出した理由は一つだけしか考えられません」
流暢に喋るだけでなく、人間並みの思考能力も備えているようだ。錬成士はただ命じたまま、武器を錬成するだけで特に会話ができるタイプではなかった。
だが、この小太郎メイド、もとい侍女は自ら状況を把握し、明確に口頭での命令がなくとも、主の意図を察することができるようだ。
「————夜伽でございますね」
「もう帰れよお前」
小太郎のニヤケ顔で言われると本気で腹立たしかった。
「えっ、そんな、違うのですか?」
「ここを掃除しろ。一晩眠れる程度でいい」
「これは私としたことが、気が逸ってしまいました。そうですね、まずは閨を整えるところから始めなければなりませんね」
ぬけぬけと言い放つ小生意気な顔には、反省の色は微塵も見えない。
どうしよう、もうコイツ消して自分で掃除しようかな……と筋金入りの不良である龍一をして思わせた。
「それでは、お掃除、お掃除ぃー」
フフーン、と鼻歌交じりにメイドが手を翳せば、小さな水色の魔法陣と共に、水流が放たれた。
その水流で、噴水周辺からザバザバと泥や血肉を洗い流してゆく。ただの水を発射しているのではないのだろう。とても水で洗い流しただけとは思えないほど、床は綺麗になっていく。
あっという間に十メートル四方を洗浄し、噴水も妖精像もピカピカと輝きを放つほどになっていた。流石に、破損部分はそのままだが。
「よろしければ、錬成士に申して寝具も用意させますが」
「好きにしろ」
「では、ご主人様よりオーダーが入りましたよ、職人の皆さま、よろしくお願いいたします」
すると、龍一が発動させずとも、『従者・錬成士』の魔法陣が床に描き出され、さらには宝物庫が開き、その内部に残されていた毛皮などの素材がそこへと投入されていった。
許可さえ下りれば、龍一自身の魔法をメイドが代わりに使えるようだ。
「お待たせいたしました、ご主人様。さぁ、ごゆっくりお休みになられてください」
そうして、あっという間にベッドが拵えられた。
毛皮でマットレスと毛布、枕を作り上げ、さらにはここで倒した魔物の甲殻を利用してベッドフレームを形成している。
確かに、一晩過ごすだけなら快適な寝具が、メイドの手により整えられた。
悔しいが、メイドの性能は優秀であった。
「よくやった。じゃあ、もう戻っていいぞ」
「私を戻すなどとんでもない! これよりは、ご主人様のお傍で、身の回りのお世話から戦闘サポート、夜伽まで、ありとあらゆるご奉仕をさせていただく所存でございます」
「いらん。戻れ」
「嫌です! イーヤーでぇすぅーっ!」
涙ながらにすがりついてくるメイドだが、顔は小太郎なのでおちょくっているようにしか見えなかった。
しかし、従者でありながら真っ向から反発するワガママぶりが、不思議と嫌な気がしなかった。自らの意思を主張する、すなわち、自我の存在を認めてしまったからだろう。
「もういい、分かった、お前はその辺に立って見張りでもしてろ」
「えっ、夜伽は?」
「いらねーつってんだろ、強制的に消されてぇか」
「かしこまりました、ご主人様。オラオラ系なのに意外と奥手なところが可愛らしく、胸がキュンキュンでございます」
こんな奴にこれからずっと付き纏われるのか……
げんなりしてくるが、それでもきっと、孤独に苛まれるよりはマシだろう。龍一はひとまず、そう思うことにした。
2020年10月30日
第16章はこれで最終回です。
なんだかんだ横道生き残るのでは、と思われた方も結構いたようですが、今回はきっちりと倒し切るところまで描きました。元々はメイちゃんとのコンビで倒す予定でしたが、話の流れでこんな構成へと変えましたが、個人的にも満足のいく戦いが描けたと思います。横道の魅力(?)を出し切った、いいボス戦だったかなと。
それでは、次章もお楽しみに。




