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呪術師は勇者になれない  作者: 菱影代理
第16章:零下饗宴
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第262話 横道討伐戦(1)

 グリムゴアに跨った杏子を先頭に、葉山君を乗せた救急ロイロプスが走り去ってゆくのを見送る。

「やっぱこういう時って、アルファは頼りになるよね」

「クアー」

 と、レムがコアを消費して作り出した分身体のアルファが鳴く。急造の鞍と鐙だけれど、騎乗するのに不自由はしない。

 今、ここに残ったのはアルファに乗った僕だけ。

 目的は勿論、すぐにでも湖から上がって来るだろう横道を引き付けるためだ。

 奴の狙いは僕一人。仲間は食うのに邪魔だから排除しようという程度の動機だから、姿が見えなければわざわざ探し出して殺しに行ったりはしない。

 だから、ターゲットの僕が堂々と単独で奴の前に出るのだ。

「————来たか」

 ほどなくすると、ブクブクと湖面に泡が立ち、その直後には、ザッパーンと大きな飛沫を上げて、大きな魚影が飛び出してきた。

 魚影、に見えたのは、そりゃあ大きな尾びれのあるシルエットがあれば、そう認識してしまうだろう。

「ぶふ、ふひひ……小太郎きゅん、俺のこと、待っててくれたのぉーん?」

 雪の積もった地面へと打ち上がった横道は、ビチビチしながらキモいことを言っている。

 下半身はサメのような大きなヒレのついた体で、上半身は人型のまま。おおまかに見えれば人魚型ではあるが、よく見れば人間の足もちゃんと生えている。その両足は大きな水掻きがついており、河童が実在すればこういう足なんだろう、みたいな形状だった。

 なので、人魚型というより、尾ひれの尻尾が巨大な、カエルになる途中のオタマジャクシみたいな姿であった。どうやら、コレが横道の水中形態らしい。

 双子サメは、もしかして横道が湖でお仲間を食い散らかしたから雪原まで上がってきたのかも。

「うん、待ってたよ」

「嬉しいなぁ……ふひっ、たとえ本物じゃあなかったとしても、俺は嬉しいよ小太郎きゅん」

 流石に、よく鼻が利くな。横道は僕が本物じゃないことをすでに察している。

 当たり前だ、お前みたいなヤツと対面するなら『双影ふたつかげ』を使うに決まっているだろう。

 囮の僕に食いつくかどうかは半分くらい賭けではあるが、こうして無視せずに注目してくれているので、上手くはいったようだ。

「僕は本物だよ」

「男を惑わす嘘はよくないなぁ? 俺には分かる、分かっちゃうんだよねぇ。見た目も匂いも本物と同じだけど、魔力の気配は薄い。水で薄めたカルピスみたいにさぁ」

 だから、魔力で構築された分身のような存在だ、と横道は見事に正解を言い当てる。

 マジか、ここまで正確に本物と分身を見分けられる奴は、横道が初めてだ。

 人間として終わっているくせに、優れた感覚によって相手を正確に分析する知能も残っているのは厄介だな。

「おい横道、ちゃんと喋れるなら、僕と取引しないか」

「取引ぃ?」

 言いながら、横道は尾ひれをズルズルとくねらせながら地を這いつつ、その形態をさらに変化させてゆく。

 急激に尾は縮んで行き、両足の水掻きは剥がれ落ちる。

 そうして、元の人間と同じ姿へと戻り、二足歩行で僕の前へと立った。全裸で。いや、汚れ切ってボロボロだが、辛うじて下着のブリーフだけは残っている。

 現代日本では、ノータイムで通報余裕な最低の姿で、横道は僕へと向き直った。

「僕の血を吸わせてやるから、仲間にならないか」

「仲間……仲間かぁ……へへっ、そういえば、ダンジョンで最初に会った時も、小太郎きゅんは俺のこと、迎え入れようとしてくれたよなぁ」

「そんなこと、覚えていたのか」

「覚えてるさぁ、今になっては、小太郎きゅんとの大切な思い出の1ページ。ぶふっ、あの頃は俺も若かったなぁ、まだ君の魅力に全く気付いていなかったんだから」

 正直、あの頃の方がまだマシだったと思えるけどね。

 救いようのないクズではあったけど、手に負えない怪物よりは良いだろう。

「それで、どうなんだ。仲間になる気はある?」

「小太郎きゅんが俺を求めてくれるのは嬉しいけどぉ……足りない、んだよなぁ」

 ベロリ、と人間離れした大きく長い舌を舐めずる。

「俺は小太郎きゅんの全部を食わないと、もう満足できない体なんだ。もしかしたら、全部食っても満たされないかもしれないな。でも、食わずにはいられないんだよ……この『食人鬼』の飢えは、我慢できないからさぁ」

 まぁ、そんなことだろうと思ったよ。

 勿論、最初から僕に横道を仲間にする意思は欠片もない。小鳥遊と戦うにあたって、横道の戦力は魅力的ではあるものの、手綱を握れないなら意味はない。ついでに、コイツに血を与え続ける精神的苦痛も計り知れない。

 流石にキモオタ豚男の極致を行く横道にペロペロされるのは発狂モノだろう。

 そういうワケで、ただの会話で多少なりとも時間を稼げるだけで今は十分なのだ。ついでに、横道本人から食人衝動は抑えられないし、抑える気もないと聞けて、あらためて覚悟も決まる。

 やはり、横道は生かしておけない人喰いのモンスターなのだと。

「ぶへへっ、だからさぁ、今も苦しいんだよぉ……腹が減って仕方ねぇ。飢えて飢えて狂っちまいそうでぇ……そこに小太郎きゅんがいたら、もう我慢できるワケがねぇんだよなぁ」

 ギチギチと、横道の口が再び裂けて、牙が生えてくる。

 これ以上、会話で引き延ばすのも限界ってところか。

「走れ、アルファ! 全速力だ!」

「キョアアアアアアアアアアアア!」

 手綱を引いて、急反転。アルファを発進させた。

「食う……喰うぜぇ……ヒャッハァーっ! もう我慢できねぇーっ!」

 横道もまた、僕を追って走り始めた。醜い脂肪と汚れ切った体を揺らして全力疾走してくる様は、命の危機と生理的嫌悪を同時に感じさせるヤバい姿だ。

 だが、本当にヤバいのは恐らくここから。

 横道はあんな素っ裸でも、この雪原と寒空の下でも平気な耐寒性能を獲得している。さらにあの液体窒素みたいな湖の中でも問題なく行動できているのは、どう考えてもすでにこの氷雪エリアに住む魔物を食っているから。

 つまり、この環境に適応できるだけの魔物を喰らっているなら、雪の中でも素早く移動する足を持っている可能性は高い。

「待ってよぉ、小太郎きゅーんっ!」

 雪をかき分けるように全裸疾走する横道だったが、その最中で再びメキメキと音を立てながら体が変化してゆく。

 膨れ上がってゆく下半身は、ブヨブヨとした白く濁ったような色合いの皮膚で覆われ、そこから何本も地面を這うための足が伸びてくる。

「うわぁ、想像以上にキモい形態になったぞ……」

 それは、まるで芋虫のような姿であった。

 下半身が蛇で、上半身は巨乳美女になっているラミアというモンスターっているじゃないですか。あれの芋虫バージョンって言ったら伝わるだろうか。

 ウジ虫のような白い体は、優に5メートルはありそう。水中用のサメ下半身よりも大きいだろう。

 そんな巨大芋虫ボディから生えるのは、沢山の足。短いが、黒々とした甲殻を纏った足は、力強く雪の地面を掻いて、その寸胴な大型ボディから見た目以上の速度を叩き出す。

 芋虫の体を蠢動させながら、シャカシャカと足を動かす横道の移動速度は、恐らくは雪灰狼に匹敵するだろう。

「思ったよりも素早いな。けど、アルファの方が速い」

 これなら、すぐに追いつかれて食われることはないだろう。アルファの俊足にも追いつく速度が出せたら、マジでコイツ手に負えないよ。

 さて、これで横道を引き付けておけるが、問題はこれから先。僕がどこまで、野生のモンスターに対応できるかだ。

「早速、お出ましだな」

 町の方向へ走りながら、転々と建物が見えてきた頃である。進行方向でむっくりと起き上がる、複数の大きな人影が現れた。

 氷の体を持つ、アイズ・ハイエレメンタルだ。周囲には、子分の様に雪だるまボディのアイズ・エレメンタルも出現している。

「そのまま突っ切れ、アルファ!」

「クァアアアアアアアアッ!」

 鋭い鳴き声を上げて、僕を乗せたアルファがグンっと急加速。奴らのど真ん中に突っ込む。

 群れてはいるが、ハイエレメンタルの絶妙な散らばり具合の隙間を縫うようにアルファは駆け抜け、進路上に飛び出たエレメンタルはそのまま蹴飛ばして粉砕。

 アルファ単騎だったら、コイツらの群れを正面突破で通り抜けるのは、そう難しいことではない。今の僕に必要なのは、敵を倒す攻撃力よりも、素早い機動力。

 一度抜ければ、もう鈍足なエレメンタル共に追いつくことはできない。

 その代わり、直後に突っ込んでくる横道の相手をしてくれよな。

「はぁあああああああああ、歯ごたえのねぇかき氷野郎どもがぁ、俺の邪魔してんじゃねーぞコラぁっ!」

 怒声と共に、横道は勢いのままアイズ・ハイエレメンタルをまとめて吹き飛ばしていた。さながら、暴走特急である。

 1秒も足止めできずに、エレメンタルの群れはただ蹴散らされただけだった。ちっ、役立たずめ。

「まぁいい、僕の本命は他にいる……頼むから、まだいてくれよ」

 戻ってきた町の中を、横道を引き連れて駆け抜ける。目的地は最初から決めている。

 僕は使い魔にした偵察用レム鳥を飛ばして、道に迷わないよう案内させている。

 道中、またエレメンタルや雪灰狼が出てきたりもしたが、横道が余裕で撃退してくれるので、問題はない。

 さて、目的地はそろそろのはずなんだが————

「あそこだ!」

 寂れた地方都市、みたいなこの町にあって、そこは目立つ大きな建物だ。

 元々は学校、だったのだろうか。広々とした敷地に、3階建ての大きな棟がコの字型で建っている。

 そう、僕はすでに知っている。

 この学校が、ゴグマ率いるゴーマ部隊が駐屯している拠点だと。

「ンバァっ!? ゲブラァアアアアアアアッ!」

「ブンドグラァ! ゼブ、ダーダバァ!」

 急接近する僕と横道を早々に歩哨のゴーヴが発見する。

 二体のゴーヴは何やら叫びながら、手にした弓を引いて矢を放ってくる。そんなクソエイムに当たるかよ。

 僕は横道を絶妙な距離で引き連れながら、ゴーマが拠点としている学校の中庭へと突っ込んでいった。さぁ、僕のために戦え、ゴーマ共。

「ボス戦の時間だオラァ!」

「グバッ!?」

「ドゥンガァッ!」

 飛び込んできた僕と、そしてすぐ後ろに迫る横道を見て、ゴーマ達は驚いたような声を一斉に上げる。

 ちょうどこれから探索に出かけようとしていたところなのか、中庭に陣取っている奴らは、しっかりと武装をしていた。

 勿論、僕の本命である二体のゴグマも、大型の武器を装備している。

 片方は淡い緑のラインが刀身に走る、青龍刀のような形状をした片刃の大剣。もう片方は、刃全体が赤く染まっている大斧を携えている。

 恐らく、風の剣と炎の斧、なのだろう。流石はゴグマ、ちゃんと魔法武器を持っている。

「行くぞ、お前ら! 横道は強敵だぞ、気合入れて戦え!」

「グブラ、ゼブ、ダンバルガァ!」

 僕の掛け声に応えたワケではないのだろうが、ゴーマ部隊に指示を出すような声が響く。

 ソレを発したのは、ゴグマではなく、一体のゴーヴであった。

 奴らの強さ的にはゴーヴの方が格下のはずだが、あの命令を出しているっぽいゴーヴは、他の奴とは装備が随分と違っている。

 全身を金属製の鎧で覆われ、さらに鎧は色鮮やかな羽根や毛皮などで装飾されている。如何にも蛮族チックなデザインの全身鎧だが、あれはどう考えても一兵卒のゴーマやゴーヴが着用するものではない高級装備である。

「あのゴーヴは王族か貴族ってとこか」

 二体ものゴグマを従えているとなれば、その権力は相当なものだろう。僕らが滅ぼしたゴーマ村の村長ゴーヴとは格が桁違いだ。

 まぁ、今は偉さよりも強さの方が必要なんだけど。あのゴージャスゴーヴがただの見掛け倒しではないことを祈ろう。

「ちっ、飯にもならねぇオークにトロルかよ。テメーらクソ不味くて食えたもんじゃねぇからなぁ、この生ゴミ共がぁ!」

 突然の侵入者に荒ぶるゴーマ達を前に、横道も吠える。

 しかし、ゴーマも食ったことあるだろうとは思ったが、まさか横道でも不味くて食えないレベルとは。これはもう単純に味の問題ではなく、人間とゴーマの間にもっと根本的に相容れない理由なんかもありそうだ。

 まぁ、そんな種族の秘密に関しての考察はどうでもいい。今はただ、僕にとってはどちらも脅威となるモンスター同士が、お互いに潰し合ってくれればいいわけで。

 さぁ、人間を辞めた怪物横道と、人間の天敵であるゴーマとの、大決戦を始めよう。

「ゼンヴァアアアアアアアアアアアッ!」

「グヴロォオアアアアアアアアアアッ!」

 先陣を切ったのは、ゴーマ側のエース級たる二体のゴグマ。それぞれの得物を振り上げ、真っ直ぐに横道へと切りかかる。

 なかなかの迫力だ。いいぞ、やっちまえ!

「へへっ、風と炎かぁ……そんなもんがよぉ、今更ぁこの俺に効くかよぉ!」

 対する横道は、芋虫下半身の更なる変化をもって対応する。ミシミシと骨と肉が軋む音を立てながら、左右から新たな器官が生え出した。

 右側から生えたのは、岩のようなゴツい甲殻に覆われた、巨大な腕。ゴーレムの腕、と言っても納得するような形状だ。

 左側からは、赤い毛皮に覆われた獣の腕。熊のような腕で、指先には鋭い爪も生えている。

 岩のゴーレム腕で風の大剣を、赤い熊手で炎の斧を、それぞれ迎え撃った。

 衝突の瞬間、大剣からは『風刃エールサギタ』のような風の斬撃が幾つも舞い散る。大斧の方からも、見た目に違わず轟々と真っ赤な炎が噴き出していた。

 どちらも、普通に受け止めただけでは風と火の追加攻撃によってダメージは免れない。魔法武器の厄介な点の一つである。

「やっぱり、それなり以上の耐性を持っているな」

 ゴグマの剛腕によって振るわれた重い一撃に加え、それぞれ発せられる魔法攻撃。横道は、その全てを難なく受け切った。

 ゴーレム腕は風の刃など幾ら受けても傷一つつかない堅牢さ。赤熊の腕は、猛火に焙られても毛先に火が付くこともない。硬い物理防御に、高い炎熱耐性。

「グブゥウ!」

「バングガァ!」

 二体のゴグマは魔法攻撃が通じずとも、そのまま力で押し切ろうと力を込めているようだが、横道の生やした片腕だけで見事に受け止め切っている。

「トロルはデブだけあって力自慢ってかぁ? けど、俺の方が強ぇんだよぉ————燃えろぉ、『爆熱筋肉マッスルヒート』ぉ!」

「なにっ、あの技は!?」

 異形の両腕に、赤いオーラが噴き出すと共に、ゴグマはついに堪え切れないとばかりに、後ろに弾かれた。

 強化魔法によってパワーが上がった。というだけなら、そういう能力のモンスターを食ったと思うだけだが、あの特徴的な名前の強化魔法には覚えがある。

 あれは、間違いなく『炎魔術師』だった大山の技だ。

「まさか、大山も食らっていたのか……」

 僕の甘さで逃亡を許してしまった手前、いつか復讐に現れるかと気にはしていたけれど、まさかこんな形で死亡が確定するとはね。

 ちくしょう、大山の炎魔法は強力だ。僕もかなり追い詰められた。

 それが、よりによって横道の手に渡っているとは。これは想定以上に、横道の持つ能力は強大だぞ。

「おらぁ、どうしたどうしたぁ! かかって来いよぉ、雑魚のかませ共が。俺の強さの引き立て役になってぇ、小太郎きゅんにカッコよく無双するとこ見せてやりてぇんだからさぁ!」

 横道は両腕を振り乱し、ゴグマへと迫る。

 流石にパワーも防御も勝る相手となれば、ゴグマも防戦一方とならざるを得ない。

「なにやってんだお前ら、ゴグマがタンクとして横道のヘイト受けてんだから、さっさと横と後ろに回り込んで叩け!」

「ゼブラ、ゴグマダン、ゴブ、デルバルザァアアアアア!」

 ちっ、指示を出すのが遅いんだよ。

 僕の叫びの直後に、釣られて命令を叫んだみたいなリーダーゴーヴの声を聞いて、他のゴーヴ達も動き出した。

 横道は真正面のゴグマ二体に集中しているので、後ろの芋虫下半身はがら空きである。

「はっ、雑魚共がどんなに群がっても、俺を倒せるワケねーだろが! 好きに食らいな、ワームヘッド!」

 いざ芋虫の体に刃を突き立てんとしたその時、白い皮膚を食い破るように、内側からあのミミズ触手が飛び出してきた。まるで寄生虫が元気よく出てきたみたいな絵面で、非常に気持ち悪いが……多数を相手にするには、有効な技ではあった。

「ンダヴァ!?」

「ゴバァアアアアア!」

 ゴーヴでもミミズ触手に襲われるのはおぞましい体験なのか、ちょっと悲鳴みたいな声を上げつつ、必死に武器を振って応戦していた。ミミズ自体はそれほど硬くはないので、十分に奴らの剣でも切り裂けるが、縦横無尽に蠢く動作と、自分達を上回る数が迫り来るので、こちらも横道本体に攻撃を仕掛けるどころではなくなった。

「グブブ、ゼバァ!」

「うわぁ!? 馬鹿野郎、僕なんかを攻撃してる場合かっ!」

 どさくさ紛れに、ゴーヴが僕の方に襲い掛かってきた。

 振り下ろされる刃を、アルファのノコギリ尻尾で払いのける。

「助けろやぁ、横道ぃーっ!」

「ああん、テメぇ————なに俺の小太郎きゅんに手ぇ出してんだゴラぁ!!」

 怒りの叫びと共に、横道の口から青白い雷撃が放たれる。

 バリバリと唸りを上げながら発せられた雷ブレスは、見事に僕を狙っていたアホゴーヴに直撃。一撃で全身が焼け焦げ、その場に倒れた。

 よし、よくやった横道。しっかり僕を守れよ。

「今だゴグマ、横道の注意が僕に逸れた隙を狙って反撃だ!」

「グルバァ!」

「フン、ドラガァ!」

「うおぉおおっ、危ねっ!? 今ちょっとかすったじゃねぇかクソがぁ!!」

 僕の方に横道が気を逸らしたから、ゴグマがすかさず攻勢に出た。

 横道とゴーマ部隊では、能力的には横道の方が優勢だ。だから僕が上手く立ち回って、少しでも横道にダメージを与えなければ。

 敵の敵は味方、とはよく言ったものだよね。僕もまさか、ゴーマと共闘する日が来るとは思わなかったよ。

 それじゃあ、僕も頑張ってサポートするから、ゴーマの皆さんは最後の一兵になるまで戦い抜いてね。

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― 新着の感想 ―
小太郎君、熱病でバフ消したげて。 そんなアシストしても勝てそうにないかな。
[良い点] モンスタートレインからの、三つ巴戦。 ゴーマも横道も人食いの化け物だし、小太郎は鬼畜だし、ヤベェバトルだ(笑) [気になる点] 本体の小太郎はどこで何をしているんだろう? 横道に居場所…
[良い点] ハズレ回であるはずの横道回が こんな跳ねるなんて
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