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呪術師は勇者になれない  作者: 菱影代理
第16章:零下饗宴
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第252話 進路変更

 メイちゃんが蒼真パーティと行動を共にしていた頃に、小鳥遊がある遺跡の中で、祭壇を使って周辺のマップ情報を獲得したことがあった、と聞いたことがある。

 どうやら、僕が今回発見した祭壇は、正にそれと同じモノだったワケだ。

「凄い、ダンジョンの中も外も、こんなに広範囲で分かるのか……」

 祭壇は青白い魔法陣のような輝きを放ちながら、僕の目の前にSFチックなホログラムのように、三次元的に描かれた地形図を表示してくれている。

 小鳥遊の時とは違う現象ではあるが、それは恐らくヤツが意図的にホログラムマップの表示を停止させて、自分だけマップ情報を見れるようにしていたのだろう。あの時点では、仲間に情報を共有される方が不利になるからね。

「マジでこんだけの情報量あれば、傍観者気どりで余裕だよ」

 僕はひとしきりマップを眺めたり、祭壇の機能を確認してから、杏子と葉山君を呼ぶことにした。

「というワケで、これが周辺のマップになってるよ」

「おおぉー、すっげぇ、マジでこれ魔法の古代遺跡って感じだよ!」

「なんかこういうの、映画で見たことあるー」

 祭壇から投影される大きな三次元マップを前に、葉山君はテンション高めに、杏子はそれほどでもないけど、二人してホログラムの光に手を翳していた。

 光魔法か何かでホログラムを投影していると思われるので、当然、触れたところで何もない。

「僕らの現在地がここ。この赤い光点のとこね」

 他にも赤い光点は幾つかあるけれど、それは恐らく他の祭壇を示していると思われる。

「で、この青い四角が、ダンジョンの入り口」

「そんなのよく分かるな桃川」

「どっかに書いてあんの?」

「何にも説明はないけど、今まで通ってきた場所と照らし合わせれば大体分かるよ」

「葉山、道とか覚えてる?」

「俺は過去を振り返らない男だぜ。お前はどうなんだよ、蘭堂」

「ウチ、地図とか読めないタイプなんだよねー」

 まったく悪びれもせず、こういうのは小太郎に任せておけば大丈夫だから、とヘラヘラ笑ってる杏子である。

 頼られるのは悪い気もしないけど、二人とももうちょっと色んなことに注意してくれてもいいと思うんだけど。なんか能天気な二人を見てて、ちょっと不安になってくる。

「ともかく、そういうワケで、こっから先のマップもかなりの範囲で判明した。ちなみに、この紫の四角がボス部屋ね」

「おっ、それじゃあこのエリアのボス部屋はもうすぐじゃねぇか」

 杏子よりは地図が読めるのか、葉山君が現在地から最も近いボス部屋マークを指す。

 確かに、この森林ドームを抜けて、少々進めば必ず行き当たるルートになっている。

 この辺に出てくる魔物はスケルトン中心だったので、ボスはデカいスケルトンだと推測される。ラージスケルトンは、天道君と中嶋君がそれぞれ最初のボスとして倒したと聞いた。

「そっから先はどうなってんの?」

「流石にボス部屋からの転移先がどこに繋がっているのかまでは分からないんだけど、僕が気になるのはこの部分」

 ボス部屋マークから大きく逸れて、マップ外側を指し示す。

「その辺って、ダンジョンの外だよな?」

「多分、この外を回って————ここの入り口から侵入した方が、ショートカットできると思う」

「えっ、マジで? なんでそんなこと分かんの?」

 杏子の素朴な疑問に答える前に、僕は祭壇に触れてチョイチョイと操作。

 感覚的には、クローズアップしたい点を明確に意識すること。この祭壇の操作は、魔力と、それから自動的にこちらの意識を読み込む方式となっているようだ。

 高度な術式で脳波やら何やらを読み取っているのか、あるいはテレパシー的な方式か。なんにせよ、要領さえ掴めば非常に便利な操作法だ。

「この青い入口マークのとこに、何か書いてあるでしょ?」

「うん、全然読めねーな」

「これ古代語ってヤツでしょ? ウチは勉強会参加してないから分かんないし」

 そうだよね、委員長と下川君と姫野さん、それからオマケで桜ちゃんも参加して、僕が古代語について相談した時、蘭堂さんは露骨に避けてたからね。きっと勉強の気配を察して逃げ出したのだろう。

 まぁ、人には向き不向きってのがあるから。無理強いはしないよ。

「ここには、僕が読める範囲で、『魔力』『濃度』『環境』『4』って書かれてる」

 僕はヤマジュンノートのお陰で、『古代語解読・序』で読める一部の文字や単語、それに加えて小鳥遊の観察などから推測した幾つかの翻訳を知っているだけ。

 だから、単語の意味が分かるだけで、文章として読むことはできない。

 けれど、これだけ揃えばおおよその内容もお察しというものだ。

「魔力濃度環境、っていうのはそのままダンジョンの難易度と考えていい」

 再び、最寄りのボス部屋マークに戻って拡大表示させると、やはり同じ単語の羅列が続き、最後の数字だけが古代語で『1』を現す数字で書かれている。

「1から順に、数字が上がると難易度も上がる。だから、4なら少なくとも3つ分は先のエリアと予想される」

「おお、なるほどな!」

「ふーん」

 感心する葉山君と、もう理解することを諦めている風な杏子。もうちょっと頑張って。

「これは推測だけど、ヤマタノオロチのいた荒地は、4か5くらいだと思うんだよね。で、僕らの目的地である天送門のある最深部は、当然、最も魔力濃度環境の高いエリアになってる」

 つまり、4とか5とかの高難度エリアから入れば、それだけ最深部に近い位置になる……はずなのだ。

「正直、僕らはこのまま正攻法で攻略を進めても、クラスのみんなの元に追いつける気がしない」

「それはまぁ、そーだよね。あっちには蒼真も残ってるし、進む分には困らないから」

「小鳥遊を抱えたまま、天送門にまでたどり着いたら、おそらく手遅れになる」

 奴の計画では、最後の脱出段階となれば、自分と蒼真君の二人だけが残るようになっている。それまでに、桜ちゃんまで含めてクラスメイトは必ず処分するはずだ。

 また強力なボスでも用意するか、いざとなれば再び毒を盛ってでも殺すだろう。

「今までは他に方法がないから、そのまま進もうと思ったけれど、僕はショートカットできる可能性があるなら、これに賭けたいと思う」

「なら、いーじゃん、小太郎の好きにしなよ。ウチはついていくから」

「そうだぜ桃川、急がねーとみんながヤベーんだろ? なら躊躇する理由はねぇぜ」

「ありがとう、賛成してくれて」

「いいってことよ……で、わざわざそんなこと聞いたのは、小太郎なりの誠意ってやつ?」

「まぁ、そんなところかな」

 グイっと引き寄せて、そう聞いた杏子は、やっぱり僕の性格ってのを理解してる。

 どうせマップも古代語も読めない二人だ。僕が黙ってショートカット案を採用して進んでも、何も知らずについていくしかないのだ。

 それを踏まえた上で、ちゃんと説明して多数決をとったのは、僕が二人の仲間に対して騙すような真似はしたくないという気持ちの表れである。

「そうと決まれば、準備をしよう」

「まだ何か準備することあんの?」

「ここを見てよ」

 と、僕はこれから進むことになる、ダンジョン外側を回っていくルートを指し示す。

 そこには、相変わらず広がる広大な森林地帯と、

「ここ、かなり標高のある山になってるんだ」

 というワケで、山越えの準備だ。




 折角なので、ボス戦はすることにした。

「うおおっ、デケぇスケルトンだ!」

 案の定、出現したボスモンスターはラージスケルトンだった。通常のスケルトンの二倍近い身長で、当然のことながら骨の太さも段違い。

 おまけに、武骨な大剣で武装もしている。

 正直、これまでの道中でスケルトンを倒してきただけの人に、いきなりコイツの相手は荷が重いんじゃないだろうか。

「流石はボスモンスターってやつだな、迫力あるぜ……キナコ、ベニヲ、気合入れていくぞ!」

「いきなり『破岩長槍テラ・フォルティスサギタ』だオラァ!」

 ドンッ! という音を響かせて、杏子がぶっ放した上級攻撃魔法によって、ラージスケルトンは砕け散った。

 さて、コアだけ回収して、ダンジョンを出るとしよう。

「あ、葉山君」

「……なんだよ」

「あの剣は貴重な金属素材になりそうだから、持っていこう。運ぶの手伝って」

「お前もうちょっと他に言うことないのかよ! こっちは覚悟決めてボスに挑みに来たんだぞ!」

「嫌でもその内に、命がけの戦いはすることになるんだから。楽できる内は、楽した方がいいよ」

 そんな感じで、僕らはコンパスノートが「早く転移して進めよ!」と言わんばかりに輝いているのをガン無視して、ダンジョンの外へと向かうのだった。




 マップ情報を元に、ラージスケルトンのボス部屋から最も近い入口から外に出て、僕らは再び森を進み始めた。

 それから三日、森を歩き続けた。途中で、ホントにあのマップ情報あってんのか……と不安にもなったけど、無事に正しさは証明された。

 不意に森が開けると、目の前には大きな山が見えてきた。

「おいおい、あの山、かなり高くねーか?」

「さぁ、富士山よりは低いんじゃね?」

「そうかぁ? なんか上の方、雪かかってんぞ」

「小太郎、マジでこの山登るん?」

 ごめん、正直ちょっと後悔してる。

 それなりに高い山だろうと覚悟はしていたけれど、いざこうして、目の前に雄大な山脈が広がっているのを見ると、かなり気後れしてしまう。

 僕にはこれまで厳しいダンジョン攻略をしてきたという自負はあるけれど、山登りってのは、また別の難しさがあるだろう。

 その上、ここは異世界の山である。当然、魔物もいる。

 そして恐らく……森を飛び回っているサラマンダーの巣は、この山のどこかにあると思われる。

 あれ、山越えってダンジョンよりも難易度設定厳しい?

「ごめん、ちょっと甘く考えてたかも……」

 若干、固い表情の僕を見て、杏子も葉山君も残念な顔になっていた。

 ええい、指揮官が不安を顔に出せば、部下に示しがつかん! 別に僕は指揮官でもリーダーでもないけれど、何となくそんなポジションになってるから、このアレな雰囲気を率先して何とかしなくては。

「よし、それじゃあまずは、本格的な山越え準備をするにあたって、この辺の麓で野営地を張ろう。近くに川辺もあるはずだから、探してみよう」

 ここまでの道中は、ひとまず山を目指して進むことを重視していたので、必要な荷物は最小限にしておいた。

 なので、あの山頂付近に雪までかかっている高い山を登るための準備は、ここから始めようと思っている。少なくとも、全員分の防寒着は用意しなければ凍死の危険性もある。

 杏子と裸で抱き合って暖をとる展開はロマンチックでエロティックでもあるけど、そんな状況下はマジで絶体絶命なので回避しなければ。

「プガガ、プガァ!」

 あ、キナコが鳴いている。多分、川を発見したのだろう。

「あっちだ桃川。キナコが水の匂いがするってよ」

 葉山君は普通にお喋りできているけど、どうやらキナコは僕や杏子の言葉も理解している節がある。人の言葉を理解する知能があるのだ。

 キナコって、もしかしてクマの魔物じゃなくて、獣人とかの亜人種なのでは?

 なんてことを思いながら、キナコに導かれるままに進んでいくと、見事に河原を発見した。

「この辺はキャンプ地にするにはよさそうかも」

 なんか普通に大学生とかがキャンプしに来るような、綺麗なせせらぎの流れる、開けたいい感じの河原である。

 やはり、ある程度開けて視界が通るような場所の方が、拠点を構えるにはいい。敵の接近を察知しやすいからね。

 ほら、今みたいに、ズズゥン、と足音を響かせて明らかにデカい奴が現れても、すぐに見つけられるんだ。

「ロイロプスだ!」

 ズンズンドーン! と激しい足音と木々を薙ぎ倒すような音を響かせて、河原へと飛び出してきたのは、大きなサイに似た魔物、ロイロプスだ。

 特殊能力や魔法は使わない。だが、そのパワフルな突進力は驚異的。それを真っ向からぶっ飛ばしたメイちゃんはさらにヤバいんだけど……今はその頼れる狂戦士はいない。

「キナコもレムも突進は避けろ! パワー負けする!」

「よ、よし、今こそ俺の出番だな!」

 あっ、まずい。葉山君がロイロプスに向かって早くもレッドランスを向けている。

 木々のまばらな林から河原へと飛び出てきたロイロプスだが、まだ明確に僕らへ襲ってくる様子はなかった。まぁ、奴はアクティブモンスなので、ほどなく襲ってくるとは思うが、それまでの猶予が大事なのだ。

 ロイロプスは、このパーティで相手をするには少々厄介な相手である。キナコとレムの力技で押し返せないほどの突進力がある以上、負傷の危険性はあるし、勿論、死ぬことだってあるかもしれない。

 そう、一般人と変わらぬ身体能力しかない葉山君なんかが、正面から奴に撥ねられれば、とてもじゃないが無事では済まない。

「待て、葉山君、まだ手を出すな————」

「行けぇ! レッドランス!」

 構えた槍の穂先が赤々と輝き、正直、僕が想定していたよりも大きな火球を形成して、真っ直ぐロイロプスへと放たれた。

 狙いは正確に、いや、途中で少し軌道が曲がったな。誘導性能なんて高等な術式、組んだ覚えはないけれど……ともかく、放たれた火球は見事にロイロプスの顔面に命中。ドパァン! と炎を散らして弾けた。

「フゥー、ブルルルッ!」

 火の粉が散る向こうから、凄まじい怒気をほとばしらせるロイロプスの鋭い眼光が突き刺さる。葉山君に。あーあ、怒らせちゃったよ。

「あれっ、え、効いてない……?」

 当たり前じゃん。アイツは頭から突進してくるのがメイン攻撃なんだから、顔面から首回りの正面はとにかく硬いに決まっている。というか、見た目にも分厚い毛皮で、生半可な攻撃は通りそうもないのは想像ついて然るべきだよね。

 強くて硬い、シンプルな強さのロイロプスだ。だからこそ、向こうが本気で突っ込んでくる前に、迎撃態勢を整えて戦いたかったんだけど、もうこうなってしまっては仕方がない。

「杏子!」

「任せろよ————『破岩長槍テラ・フォルティスサギタ』」

 必殺の上級攻撃魔法。流石にこのレベルの威力になれば、ロイロプスとて無事では済まない。

「ブルゥオオッ!」

 だが、突進を始めようかという寸前で、ロイロプスはその巨躯に見合わず素早く身を伏せた。

 ちっ、これだから野生の魔物ってのは怖いんだ。

 放たれた石柱は、ロイロプスの背中の毛皮をわずかにかすめるだけで、そのまま彼方へと飛んで行った。

「嘘ぉ、アイツよけた!?」

 流石の杏子もロイロプスの神回避に驚いている。というか、焦っている。

 いつも気軽に開幕でぶっ放している『破岩長槍テラ・フォルティスサギタ』だけど、無詠唱のノータイムで撃てるワケではない。

 天道製黄金リボルバーのない今では、ある程度の詠唱と、それなりの集中力をかけて、発射できる。つまり、連射は効かないのだ。

 ロイロプスの突進を一発で止めるには、『破岩長槍テラ・フォルティスサギタ』の威力が必要。だが、すぐに次は撃てない。

 その僅か数秒で、ヤツが突進をはじめ、完全に立ちすくんでしまった葉山君を撥ね飛ばすには十分だ。

 この一瞬が、彼の生死を分ける。

「葉山君の前に壁を!」

「よっしゃ、『岩石大盾テラ・アルマシルド』!」

 猛烈な唸り声をあげて葉山君に向けて突進を始めたロイロプスと、杏子が発動させた中級防御魔法の石の壁が出現するのは、ほぼ同時だった。土木工事で発動速度も鍛えておいて良かったよ。

 次の瞬間には、ドガァン! と爆発でもしたかのような轟音を立てて、ロイロプスと石壁が正面衝突。杏子の鍛えられた『岩石大盾テラ・アルマシルド』は粉砕されながらも、見事にロイロプスの足を止めてくれた。

「レム、続け!」

「グガァ!」

 石壁と衝突してよろめき足が止まった隙を逃さずに、大剣を構えてレムが突撃。

 僕はポケットから傷薬を取り出して、詠唱を済ませる。

「羽ばたけ、不幸を撒く羽、かの元へ――」

 黒騎士レムがロイロプスの胴体へ一閃。大剣は分厚い毛皮を切り裂くが、致命傷には至らない。

 これだけの巨体を誇ると、レムの大剣でも致命傷を与えるには苦労する。

 そして、あまりてこずっていると、ロイロプスは再び走り出してしまう。そうなると、また上手く壁にでも当てない限り、奴を止める手段はない。

 だから、ここで決める。

「————『逆舞い胡蝶』!」

 傷薬から、逆転効果を持つ光り輝く呪いの蝶が飛び立ち、真っ直ぐにレムが切り付けた傷口へと向かう。

「ブグルォァアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

 蝶が弾けた瞬間、耳をつんざくロイロプスの絶叫が上がる。

 抜群の回復効果を誇る僕の傷薬Aだ。それの逆効果が発動したなら、どれだけの痛みとなって傷口を襲うのだろう。想像もしたくないね。

「そのまま攻めろ、レム! 杏子、次弾装填!」

「次は当たれぇ、『破岩長槍テラ・フォルティスサギタ』」

 そうして、痛みにもがき攻撃や回避どころではないロイロプスを、レムがさらに攻め、今がチャンスだと野生の勘で判断したのだろう、キナコとベニヲも共に追撃をかけた。

 流石にここまで接近して攻撃され続ければ、ロイロプスもダッシュどころではなく、大きな角を左右に振り払うなどの反撃方法を選ぶ。

 だが、こうして足を止めた時点で、ロイロプスはもう詰みだ。

 今度こそ、杏子の上級攻撃魔法が暴れる巨躯を襲い、決定的な痛打を与える。

 首元のあたりに深々と、大きな石柱が突き刺さる。だが、それでもまだ唸りを上げてもだえるほど、ロイロプスの生命力は尽きなかった。

「トドメだ、レム!」

 傷口から、そのまま深く大剣を突き刺し、ついにロイロプスは地面へとその巨躯を倒した。

「はぁ、なんとかなって良かった。いい獲物が手に入ったよ」

 こんなところでロイロプスと出会えたのは幸運だった。負傷者も出さずに、無事に倒せたことも。

「でも、葉山君は後でちょっと反省会だから」

「ぐうっ……ごめんなさい」

 そんなに気にしなくていいよ。素直に謝れる君は、とても立派だと僕は思うから。

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― 新着の感想 ―
[一言] >>素直に謝れる君は、とても立派だと僕は思うから。 勇者のハーレムパーティーを引き合いに出せば、そうだと思えました。
[良い点] >「ぐうっ……ごめんなさい」 かわいいかよ。 [一言] 「ごめんなさい」と「ありがとう」が言えない、言えても渋々感や「言ってあげた」感が半端ない勇者ハーレムメンバー達を思い出すにつけ、リ…
[良い点]  今の所リライト君は、戦闘時にテンパったり、派手な効果の武器にはしゃいだりして失敗していますし、暫くは同じ様な失敗を繰り返しそうですが、反省も学習もちゃんと普通に行えて、順調に能力が向上し…
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