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呪術師は勇者になれない  作者: 菱影代理
第14章:学園塔生活
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第221話 演習成果

 それから一週間ほど、僕は特攻偵察を続けて、今回の演習は終了とした。もう少し調べたかったけれど、スペアが尽きちゃったもんで。

「はい、みんな、総合演習お疲れ様でしたー」

 無事に一人の犠牲も出さずに演習を終えた後、学園塔へと戻った僕らは学級会を開いた。

 僕の呼びかけに、みんなは実にノリが悪くまばらな返事をくれる。お疲れ様というか、本当にお疲れなのだ。ここ一週間は、ほとんどずっと戦い通しだったからね。

「ヤマタノオロチの頭とやりあうのには、多少は慣れたかな」

「多少は、ね」

「簡単に言ってくれるなや桃川ぁー」

「アレの相手はマジでキツいんだからなぁ」

 ため息交じりに言う委員長に続いて、上田と野々宮さんが言う。他の前衛組みも、似たような感想といったところだ。

「お前の言うところの第二フェーズ、首を三つ相手にするところが限界だな」

 簡潔に、蒼真君が教えてくれる。

 前衛組みを全て投入しても、第二フェーズを耐えるのが限度。その先、首が五つとなりブレスが解禁される第三フェーズとなると、やはりどうにもならないようだ。

 まぁ、僕も偵察の傍ら、司令部からブレス乱射から必死こいて逃げるみんなの姿を見ているから、知ってはいるんだけどさ。塹壕掘っといてホントによかったよ。飛び込んで助かったタイミングが何度かあったよね。

「桃川君の偵察はどうだったのかしら」

「残念ながら、洞窟は見つからなかったよ」

 おまけに、ガーゴイル共の物量攻撃は想像以上だったし、大型種なんかも生息しているし、挙句の果てに――呼んでもいないのに、ヤマタノオロチの頭が直接、僕を狙って来ることもあった。

「岩山の方はかなり厳しい。ガーゴイルだけでも厳しいのに、乗り込んでいたら他の頭が出てきて狙って来ることもあるんだよ」

「流石に、ヤマタノオロチも本体に近づかれると警戒してくるようだな」

 そもそも、最初は必ず頭一つとか、次は三つで、五つ出てきてビーム解禁とか、ゲームみたいに行動が決まっている方が不自然なのだ。気分によって最初から八本頭が出て来たっておかしくないのが生物ってもんだろう。

「岩山に突破口はなさそうね」

 落胆した委員長の声が虚しい。

 期待はそこまでしてはいなかったけれど、やっぱり何もないとガッカリするもんだ。

 希望はすでにかなり低いけれど、まだ岩山の全てを調査できたワケじゃない。準備が整い次第、また偵察に出るつもりだ。

「小鳥遊さんの方は、何か解析して分かったことはある?」

 僕が聞きたかったけれど、僕が言うと野郎は無駄に渋るので、蒼真君に言ってもらった。さりげない根回しの成果である。

「うーん、えっとね……前よりも近くで見れたから、本体のコアの位置は詳しく分かったよ」

「どの辺にあんの?」

 僕が黒板にヤマタノオロチと岩山の全体像を描きながら問いかける。

「ホントに体の真ん中のところ。岩山のてっぺんに生えてるおっきい石の木の真下だと思う」

 なるほど、おおよそ当初からの予想通りの位置にあるわけだ。

「何か本体まで通じるような場所とかは、見当がつくかい?」

 根掘り葉掘り聞き出したい欲求を抑えて、蒼真君に質問の続きを促してもらう。

「本体はすっごく大きい殻に覆われているみたい。だから、岩山の方に洞窟があっても、殻のところで行き止まりになっていると思うな」

 た、小鳥遊テメぇ、それ言わなかったら僕は延々と無意味な洞窟探しを続けるところだったじゃねぇか! お前これ蒼真君に聞かれなかったら絶対言わなかっただろ。

 危ねぇ、マジで危ないところだった。

「つまり、岩山の岩石層と、オロチ本体の殻の二重構造になっているってことか」

「うん、そういう感じであってるよ」

 自分で黒板に描いて思うけど、これは想像以上に鉄壁の防御力だ。

 岩山がただの岩盤なら、蘭堂さんによる掘削も可能だが……本体のある殻は魔物の一部だから、土魔法は通らない可能性が高い。

「おい、どうすんだよ桃川」

「本当にあんな奴、倒せるんだべか」

 終わってみれば、これといって目ぼしい成果も希望もなく、あらためてヤマタノオロチの強大さを確認したように思える。

 そういう雰囲気をみんなも感じ取ったのか、不安の声が上がっている。装備も整えたし、みんなも確実に強くなった実感もあったからこそ、尚更だろう。

「……やはり、無理にでも首を倒して、下から本体を狙うしかないか」

「まぁまぁ、そう焦らないでよ蒼真君。今回の結果は、予想しなかったワケじゃない。ひとまず、みんなが第二フェーズまで、つまり首三つまでは抑え込むことができる実力があると確認できただけで成功だよ」

「だが、奴を倒し切るにはまだまだ足りないだろう」

「そのための方法は、これから考えるよ。みんなもここ一週間は戦ってばかりだったから、明日からはしばらく休もう」

 体が疲れていれば、気分も滅入ってくる。そういう時に良い案なんてそうそう浮かばないものだ。

「そうね、まずは休息をするべきだわ。これからのことは、それから考えましょう」

 みんなはね、それでいいよ。

 でも、僕はそうもいかない。

 みんなの希望といえば聞こえはいいが、端的に言えば士気に関わる。何か、ヤマタノオロチ攻略の糸口を早急に見つけなければ……




 翌日、僕はエントランス工房の片隅で、粘土工作に従事していた。

 作っているのは、144分の1スケールのヤマタノオロチフィギュアである。総合演習で毎日見た奴の顔だ。頭は勿論、岩山まで含めた全体的な外観はよく覚えている。

 覚えているから、別に立体物として作る意味はないのだけれど、気分転換も込みで、攻略法を考える上での見本として、だらだらフィギュア製作に勤しんでいる。

 幼稚園の頃、粘土遊び大好きだったな。こういうの、ちょっと自信あるんだよね。今ならさらに錬成スキルも込みで――

「おお、なかなかにリアルな出来栄え」

 僕もうこれで食っていけるんじゃないかというほど、立派なヤマタノオロチが完成する。魔女の釜に放り込めば、粘土像も速攻で焼き上がるのだ。

「製作に集中しすぎて、全然アイデア出なかったよ」

 でも気分転換には成功したから良しとしよう。

 僕は会心の出来のヤマタノオロチフィギュアの周囲に、現有戦力たる僕ら18人を現す駒を配置していく。オマケでついでに作ったのだ。チェスの駒をモチーフに、それぞれの天職を示すデザインにしている。各自の強さに応じて、駒の大きさも変えている。

「真っ向勝負では相手にならない。岩山に突破口も見当たらない……」

 戦力を一点集中させたところで、奴の弱点たるコアには届かない。進入路はなく、体ごとコアをぶち抜くなら、岩山を形成する岩盤と、分厚い甲殻と、超巨大な肉体、全てを貫かなくてはならないのだ。いくら蒼真君の光の剣でも、これを一気に抜くのは無理。ピンチで覚醒でもしないかなぁ。

「岩盤を削れたとしても、全然届きそうもないんだよね」

 ヤマタノオロチ本体殻の厚みも相当なものと思われる。まぁ、あの巨体で身につけた甲殻が、ペラペラの紙装甲なワケないんだけど。

「この硬さで、何メートルか、何十メートルもあるのかよ」

 と、僕は掌にある薄らと青白い輝きの鱗を、暗い表情で見つめる。

 この鱗は、オロチの生首に『永続エタニティ』をかけることで回収できた、僅かな素材の一部である。

 結局、落とした首には『永続エタニティ』をかけても、この小さな鱗が数枚、甲殻が一切れ、といった程度の量になってしまう。アイツの体どんだけ魔力依存だよ。

 けれど、こうして完全に物質的に残されたヤマタノオロチ素材は、非常に硬質なのだ。サラマンダーやサンダーティラノの鱗と並ぶ頑強さだろう。素材としては優秀だが、如何せん、入手量が。みんなの苦労に見合わない。

 そして、この竜鱗並みの硬さの鱗と、同じ質で本体殻は形成されていると、小鳥遊の分析結果が付きつけられている。

「この硬さの巨大殻じゃあ、傷一つつけるのも大変だ」

 少なくとも、首の比じゃない防御力だろう。現状で、完全にヤマタノオロチの首を斬り落とせるのは、三大エースのみ。

「せめて、殻の壊し方を確保しないと……いや、殻に覆われてない部位を探す方がいいのか?」

 しかし、そんな都合の良い弱点なんてあるだろうか。あれば、小鳥遊が見つけていてもおかしくない。

「こんな殻、ダイナマイトがあっても壊せないよ」

 単純な物理攻撃力では厳しい。ヤマタノオロチの装甲値は、最早、怪獣映画並みではないだろうか。要するに、戦闘機がミサイルばんばんぶち込んでも無傷なレベル。

「くっそぉ、火に弱いとか、氷に弱いとか、弱点設定しとけよな」

 無敵の装甲とか、割とクソゲー要素である。こういうのは大体、敵にだけ適応されて、プレイヤー側だと弱点だらけだったりするよね。

 無敵だけどクッソ短い効果時間とか、防御力がウリのくせに集中砲火浴びると一瞬で溶けるとか――

「……これ、溶けるのか?」

 物理攻撃に、火、雷、氷、などの属性攻撃とは別に、酸による溶解というのはどうだろう。

 そういえば、試していなかった。

「――『腐り沼』」

 モノは試しに、小さく作った沼に鱗を放り込む。

 すると、ほんの少し……けれど、確かにシュワシュワと炭酸のような反応が見られた。

「もしかして、溶けるんじゃないのかコレ!?」

 弱点、と呼ぶほど劇的な溶け方ではない。しかし、叩いたり燃やしたりするよりも、遥かに鱗を消耗させる速度は早いだろう。

 今の僕らが持ち得る手段の中で、殻を破壊するのに最も効率的な手段は、コレなのかもしれない。

「バジリスクの時みたいに、魔法陣込みでかければ……今なら供物も贅沢に……」

 行ける、かもしれない。

 もし分厚い殻を虫歯みたいに溶かして穴を穿てるなら、本体コアまであと一歩。そこまで行けば、光の剣も届くだろう。

「いや待て、落ち着け、早まるな。もし儀式『腐り沼』で穴を開けられるとしても……僕本人が行かないといけなくなる」

 分身は『黒髪縛り』と少々の『腐り沼』程度なら使うことはできるが、魔法陣と供物を使っての儀式発動となると、僕自身じゃないとできない。

 赤ラプターの時は、海辺ホテルで本体からも見える位置にあったから、発動だけはできたワケで。分身だけだと、魔法陣を描いて、供物をセッティングする準備までしかできない。

「岩山まで乗り込めば、撤退するのも簡単じゃない」

 何度も挑んで、少しずつ掘り進める、みたいな真似は現実的ではないだろう。あそこの猛攻振りは、偵察してきた僕自身が一番良く知っている。

「あまりに危険すぎる。レム全機投入しても蹂躙されるんだから、他に護衛も連れて行くとなると……」

 絶対に動かないヤマタノオロチに対し、僕らの有利はいつでも好きなタイミングで仕掛けられることと、逃げられること。死にさえしなければ、何度でもリトライ可能だ。

 けれど、死ねばお終いだ。誰か一人でも欠ければ、そこで僕らの戦力は永遠に削られる。ヤマタノオロチは幾ら首を失おうとも補えるが、クライメイトの補充は不可能。

「この作戦は何度も挑めない。必ずどこかで死人が出る」

 こんなリスクのある作戦は採用したくない。他人の命がかかっていなくても、儀式発動する僕は絶対に行かないといけないのだから、どっちにしてもハイリスクもいいところだ。

「けれど、他に殻を抜く方法がないなら――」

 危険は承知で、どこまで成功率を高められるか、という方向にシフトしなければいけない。最善は尽くす。だが、結果はお祈りということに。

 人事を尽くして天命を待つ。

 いい言葉ととられがちだけど、僕からするとリスクマネジメントの概念が欠けた精神論としか思えないので、あんまりポジティブなイメージ持てないんだよね。けれど、とれる手段が限られると、マジでこの言葉通りにするしかないこともあるんだね。

「よし、一旦保留だ」

 このまま考え続けると、覚悟を決める、決めない、という部分に行きついてしまう。自ら思考の幅を狭めることはない。別なことを考えよう。

「そうだ、どの道、八本の首対策は必須だし」

 無限再生のクソ頭をどうにか封じなければ、本体コアへの攻撃はままならない。

 演習結果からすると、前衛組みで首三本、三大エースで首五本、とそれぞれ限界数まで受け持つことは可能。可能というだけで、勝てるとは言っていない。

「3と5で分散できたとしても、ある程度まで耐えるので精一杯だろう」

 頭五つの第三フェーズ突入でブレスは解禁される。そうなると、頭三つでも劇的に攻撃力と範囲も変わる。誰か一人ウッカリ脱落すれば、そのまま一気に戦線も崩壊しかねない。

「というか、八本首揃ったら、さらなる力を解放とか……?」

 そもそも、現状では三大エースによる五本首相手までしか至っていない。八本全部が出てくるとどうなるのか、完全に未知の世界である。

 アクションゲームのボスデザインとすれば、全力を出せる状態になると、新モーションが追加されるし、これまで以上に攻撃が激化するのは当然の仕様だ。ヤマタノオロチも、単純に八つの頭がブレス乱射するだけに留まらず、さらに強力な広範囲を薙ぎ払う必殺技などを使ってきてもおかしくない。

 初見で巨大ボスの必殺技とか、発動したら絶対に凌ぎきれない。下手すりゃ一発で全滅。何人か欠けるだけでも、戦力的には完全に詰みでもある。

「理不尽難易度すぎる……やっぱリアルはクソゲー」

 現実の厳しさに改めて呆然とするが、しばし間を置いて、思考が復活する。

 落ち着け、このゲーム脳。現実だからこそ、ゲームのように仕様に縛られない攻略法も可能というものだ。

 ゲームだったら、絶対にボスは全ての力を解放し、プレイヤーはそれと真っ向勝負をしなければならない。バグ技、ハメ技、グリッチは除く。

 しかし現実世界においては、往々にして本気を出せずに負ける、ということはよくある。というか、負けた奴って大体、「本気じゃねーし」とか言わない?

「ヤマタノオロチの全力に付き合う必要はない。八本首を絶対に揃えさせちゃダメなんだ」

 何としてでも、第三フェーズ、首五本と戦う状態までに留めなければいけない。それ以上、首が増えればこちらの対応力を越えられる。

「ということは、どうにかして常に首三本は無力化しておかないといけないワケか」

 完全に動かない状態でなければダメだ。前衛組みが戦って食い止めているようではいけない。八本揃ったら必殺技発動、くらいに考えておかないと。

「首一本あたりの完全回復まで5分。でも、奴も無理すれば2分か3分でも動き出せる」

 現状の戦いぶりでは、奴が回復中の首まで動かさなければいけないほど、追い詰めたことはない。でも、おおまかに頭部の形が揃えば、動かすことは十分に可能なはずだ。

「最初の一つを潰してから、1分以内に第二フェーズの首二つを潰す。後は三つの首を攻撃し続ければ……うーん、流石に無理がありすぎる」

 出てきた順番に速攻で潰して行けば、なんて安易な考えは、実際の戦場を見れば不可能だと分かる。そもそも、首一つ落とすのでも結構、大変なのだ。

 全力を尽くせば、今の僕らなら第二フェーズの開始段階、出現した首二つを一分以内に叩き潰して無力化することは不可能ではないだろう。

 だが、第三フェーズが凌げない。首三つが無力化状態にあれば、第三フェーズ開始時点では、首三つだけが相手となる。でも、その三つは出てきた瞬間から全力でブレスをぶっ放す。

 この状態の首を、一つ落とすことすらできていない。

 さらに、この時点では第二フェーズまでで倒した首三本を、回復阻止のために最低三人は攻撃し続けねばならず、手が空かない。一分でも攻撃の手が止めば、首は復活する。

 常に最低本数を相手にし続けても復活を許すような状況になれば、対応しきれていないのは明らかだ。

「そもそも戦闘時間ずっと、首を攻撃し続けるってのも現実的じゃあないんだよなぁ……」

 いくら天職の力で強くなっても、スタミナは永遠に続かない。武器の消耗だって馬鹿にはならない。

 何時間もの長時間戦闘を想定するなら、交代して休憩を挟むことも考慮にいれなければいけないだろう。そうなると、常に18人全員が戦えるワケではないということになる。

「もし『腐り沼』で殻を溶かせるとしても、かなり時間はかかる」

 思っていた以上の、長期戦となりそうだ。

 しかし、そうなるとますます、戦いは厳しいものとなる。全員で戦ってもイッパイイッパイなのに、どこから休息を入れる余裕をひねり出すよ。

「それじゃあ、首三本は三人が攻撃し続けるよりも、楽に封じられる手段を見つけないといけないワケか」

 どうしよう、考えれば考えれるほど、必要な条件がどんどん増えて行くよ。

「あー、ダメだ、希望が見えない……」

 もっと現実逃避の気分転換が必要か。よぅし、今度はヤマタノオロチなんかより、もっと色気のあるモノ作ろうかな。いっそエロフィギュアでも作ってやるか。どうせメイちゃんに蘭堂さんと、理想的な爆乳モデルは身近にいるわけだし。

「僕、日本に帰ったらフィギュアで食っていくんだ」

 人形はいいものだ。動かないからこそいい。ただ、あるがまま、その姿がそこにあり続ければ――

「――そうか、動かなければ、それでいいのか」

 倒す、という前提だから無理が生じる。

 絶対的な無限回復能力を持つヤマタノオロチを前に、むしろ、戦って頭を潰す、というのは完全に無駄な作業と言ってもいい。

「頭は無傷のまま。でも、動かないようにすればいい――封印だ」

 封印といっても、石やら壺やらにサイズを無視して閉じ込める、みたいなアレではない。

 ただ動かなくなる状態にさえなればよいのだ。

 それこそ、日本神話における八岐大蛇が、酒をガブ飲みして酔いつぶれたように。

 勿論、こっちのヤマタノオロチにアルコールは効果はない。演習で試してみたけど、結構な量のワインを用意してやっても、野郎、見向きもしやがらねぇ。

 ともかく、動きを封じるという意味での封印を、オロチの首にしかける。

 全部は無理だろう。だから、最低三本。

 三本首の封印を維持するのに、何人必要だ。三人じゃダメだ……二人、いや、一人でもたせる。術士は二人、交代させて魔力回復。

「三本首をまとめて封じて、もう反対側で五本首を食い止められれば、拮抗状態だ」

 この状態を維持するのに必要な人数を削れれば、その分だけ本体攻撃隊へと回せる。

 岩山の頂上で長々と儀式発動……その間、首の封印と、戦闘を続ける……できるのか、本当に?

「できる。ギリギリだけど、ヤマタノオロチを倒せる――いや、これで倒すんだ」


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天才フィギュア造形師桃川小太郎。爆乳専門な気はするけど、小鳥と剣崎のエロフィギュアで荒稼ぎして欲しい。
[気になる点] 小鳥遊はどっかでやらかしてくれそうやな第二のレイナ枠として 個人的にもう1人くらい眷属紛れ込んでそうだから小鳥遊か剣崎闇堕ち辺りはありそう
[良い点]  漸く討伐への道筋が見えて来たみたいですが、本番前に小太郎君には『呪導錬成陣』や、新たな召喚術の習得とか、ゴーマ村長の呪いで新たな能力を得て欲しいものです。 [一言]  『魔法剣士』の中嶋…
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