第118話 贅沢
「おおー、早いっ、けど、お尻が痛い!」
ラプターの乗り心地の感想である。
屍人形で中身はレムだから、大抵のワガママは聞いてくれるし、乗馬、もとい乗恐竜の素人である僕に気を使った走りもしてくれる。それでも、身体構造上どうしても走れば揺れの一つや二つは起こるわけで。
古代の騎馬民族でも何でもない、生粋の現代日本のもやしっ子である僕としては、動物に跨る、というのがなかなかどうして上手くいかない。揺れるとグラグラして怖いし、何より、固い鱗がお尻に当たって座り心地が非常によろしくない。
けれど、問題といえば僕という軟弱な乗り手だけで、騎乗動物としてラプターは十分以上に優れている。
その見た目通り、走れば早い。ダチョウのような、というべきか。大きさも近いし、二足歩行だし。そもそもダチョウが恐竜みたいというか……ともかく、ラプターが本気を出して走れば時速50キロは固いだろう。
単純な速力よりも、元々このジャングルに生息する魔物だから、多少足場が悪くても平気で駆け抜けていく走破性が素晴らしい。アシダカもアラクネも、人間よりは遥かに早く密林を走るが、飛ぶように走るラプターには敵わないだろう。
でも残念ながら、その素晴らしい機動性を生かすには、僕がもっと上手に乗れるようにならなければいけない。というか、騎兵として使うなら、そのままレム本体を乗っけた方がいいだろう。
とりあえず、ラプターについてそんな感想を抱きつつ、僕は上中下トリオと拠点たる塔へと戻った。
帰り道は順調。ゴーマの小隊をそこそこ見かけたけど、基本スルーしたし、向こうも積極的に襲ってくることはなかった。
だから、塔に帰るまでは、奇跡のエンカウント率ゼロなのである。普段もこれくらいだと、楽できるんだけどな。
「ただいま、ヤマジュン。ちょっと頼みがあるんだけど」
「おかえり、桃川くん。えっと、何かな?」
戻って来るなり、僕は開口一番、ヤマジュンに話を持ちかける。正直、僕の話なんかより、僕が跨っているラプターと、傍に控えるスケイルアーマーなレムの方がよほど気になっているようだけれど、こっちの説明は後回し。
「綾瀬さんと話がしたいから、同席してくれない?」
「ええっ、綾瀬さんと!?」
驚くのも無理はない。ヤマジュンは僕がレイナに気がないことは一番よく分かっている。僕にとってあの女は、疫病神以外の何者でもない。
それでも、僕の方から話を持ちかけなければいけない理由がある。時間もないし。
「どうかな。綾瀬さんに、砦の攻略を手伝ってもらうようにお願いしたいんだよね」
「そっか、でも……難しいと思うけど」
「断られたなら、それはそれでいいよ。ひとまず、素直に頼んでみようと思って」
「分かったよ、桃川くん」
僕はヤマジュンと連れだって、妖精広場へと向かう。
広場へ入るなり、ヤマジュンは山田に一言二言、声をかけると、山田はそそくさと退室していった。
「ありがとう」
「いいよ、この方が話しやすいでしょ」
頼んでもいないのに、わざわざ人払いをしてくれる、この気遣い。流石だな、僕にはちょっと真似できそうもない。
さて、それじゃあ、僕は僕にできることを、やるとしよう。
「綾瀬さん、ちょっといいかな?」
「んー、なにー?」
ヤマジュンの呼びかけに、広場の奥で昼寝でもしていたのか、レイナは気だるい様子で体を起こす。傍らに寝そべる、赤毛の獅子エンガルドの大きな体をソファ代わりに背中を預けていた。モフモフした立派な毛皮は、実に触り心地が良さそうだ。
「近い内に、僕らはゴーマの砦を攻略することになるんだけど……綾瀬さんの『精霊術士』としての力を貸して欲しい」
コイツに回りくどい話し方は意味がない。ただストレートに聞いて、イエスかノーと答えさせれば、それでいい。
「えっ……む、無理だよ、私……戦うなんて、そんな、怖い……」
レイナはその愛らしい外見の通り、実にか弱く恐れてみせた。
それじゃあ、今、お前がソファにしているモンスターはなんなんだよ、と問い詰めたくなるが、今は抑えよう。
「別に綾瀬さんが戦えなくても、そのエンガルドと、他の霊獣は勝手に戦ってくれるでしょ? 綾瀬さんは安全な場所で隠れているだけでいいよ」
「いやっ! みんなと離れるなんて、怖いよ! 何で、そんな酷いこと言うの!」
レイナの癇癪に反応して、エンガルドが僕を睨んでガルルと唸る。
なるほど、とことん正論は通じないようだ。
こういう反応は予想していた、というか分かり切っていたけれど……いざ目の前でやられると、本当に腹立つな。
「お、落ち着いて、綾瀬さん。桃川くんは別に、無理に綾瀬さんを戦わせようとしているワケじゃないから。ただ、その霊獣はとても強力だから、力を貸してもらえたらと思っただけで」
マジでフォローありがとう、ヤマジュン。お蔭で、レイナが泣き叫んだ勢いで、僕にエンガルドをけしかけられることはなさそうだよ。
「うん、ヤマジュンの言う通り、あくまで確認しておきたかっただけなんだ。それじゃあ、綾瀬さんは、僕らが砦を攻略する戦いに、一切手は貸さない、霊獣を一体も出さない。そういうことで、いいんだよね?」
「私はみんなと一緒にいるの……」
曖昧な言い方してんじゃねぇよ、このダボが。とガラにもなくヤンキーみたいなキレ方を誘うほど、レイナの反応はよろしくない。いやホント、こういうどうとでも言い逃れできるような言い方されるの、困るんだよなぁ。
「分かった、もう無理に戦ってくれなんて頼んだりしないよ。でも、もし、僕らに少しでも力を貸す気になったら、いつでも言ってよね。『精霊術士』の力は、僕らが束になっても敵わないほど、とても強力なんだ。綾瀬さんがその気になってさえくれたら、ゴーマの砦も余裕で攻略できるから」
僕の言葉に対して、レイナは無言だった。こんな話、聞きたくもないといった風だ。
恐らく、レイナにとって僕は、戦いだ何だと怖い話を持ちかけてくるだけの嫌な奴、としてしか認識されていないだろう。自分にとって、快か不快、だけが彼女にとっての判断基準だから、話の内容はまったく考慮されていない。
いいだろう、それなら、僕の話を嫌でも考えたくなるほど、お前に快楽をくれてやろうじゃあないか。
「ごめんね、怖がらせてしまったみたいで。その気になるまで、僕はもう綾瀬さんには関わらないから、安心してよ」
ひとまず、今回の話はこれで終わりだ。僕は何の未練もなく、レイナに背中を向けて歩き出す。
あっさり引き下がったのが意外だったのか、ヤマジュンはちょっと驚いたような雰囲気で、慌てて僕に続いた。
「桃川くん、えっと、あれで良かったのかい?」
広場を出ると、すぐにヤマジュンに問いかけられた。まぁ、あんな無意味な会話もないだろうってくらい不毛な話し合いだったからね。
「うん、予想通りの反応だったから」
「でも――」
「そんなことより、ヤマジュンさ、ご飯にする? お風呂にする? それとも……」
なんて、どこかで聞いたことのあるありふれたフレーズを、僕は心からのいやらしい笑みと共に言い放った。
「桃川ぁーっ! お前の言ってた大猪ってコイツのことだろ!」
その日の夕方、勇ましい上中下トリオの叫びが塔に響き渡る。呼ばれた僕が急いで向かえば、なるほど、たしかに大猪がいた。三人とレムがそれぞれ足を一本ずつ持って、疲労感はあれども誇らしげな笑みが浮かんでいる。彼らは今日の糧を手に入れた、立派な狩人であるといえよう。
どうやら、僕が頼んだ猪狩りは大成功したようだ。
もし見つからなければ、蛇でもブタカエルでも何でもよかったんだけど、最高の獲物がとれたとはツイている。
「ありがとう。コレがあれば、しばらく肉には困らないよ」
「よっしゃあーっ!」
すでにして、肉の味の虜となっている三人は子供のように大喜び。ふむ、期待されると、張り切ってしまう。
「まずは血抜きから。これからも獲物を解体することもあると思うから、手伝ってよ」
「おう、肉が食えるならなんでもやってやんよ」
一狩り行ってきて疲れてるところ申し訳ないと思うけど、覚えておいて損はないから。一人でも多くできる人を増やして、僕も楽したい。
そんなワケで、ワイワイと僕らは大猪を捌いていく。
「おい、お前ら、何の騒ぎだ」
「あっ、桃川くん……本当に、やってるんだね」
猪解体祭りに誘われて、塔から山田とヤマジュンが顔を覗かせる。ヤマジュンの方には、僕が呪術師の能力で食べられる獲物を見分けることができること、そして、昨晩は実際に上中下トリオに肉を振る舞ったこと、結構美味しかったこと、などは伝えてある。
面倒だから、その辺はヤマジュンが山田に説明しておいてよ。
「マジかよ、魔物って食えんのかよ……」
うげぇ、という表情の山田。顔に似合わず潔癖なのだろうか。まぁ、どうせ食えばすぐにその気になるだろう。味気ない胡桃オンリーという精進料理も真っ青なメニューを食べ続けた者が、肉の魅力に抗えるワケがない。
「――さぁ、どうぞ、召し上がれ」
そうして完成させた、渾身の牡丹鍋。バナナイモを筆頭に、塔の周辺で僕が採取してきた野草&キノコも入っていて、これまでで一番豪華な出来栄えだ。
「ッ!? う、美味ぇっ!」
予想通りのリアクションをくれる山田。すでにして、鍋が美味いことを知っている上中下トリオは、無言でガツガツと喰らっている。
「凄い、本当に美味しいんだね」
「ちょっと獣臭いけど、気になるほどじゃないからね」
というか、適当に入れた食える野草のどれかが、いい感じに臭みを消してくれている。ハーブの一種だったんだろうか。とんだアタリを引いたものだ。
「こんなことなら、ちょっと無理してでも調理するべきだったのかな」
「いや、中には本当に食べられないヤツもいるから、止めておいて正解だったよ」
流石のヤマジュンも、久しぶりに味わう肉の美味さの前に、判断を誤りそう。
実際、このジャングルは、ダンジョン内よりも遥かに動植物の種類が多い。きっと、ここがダンジョンの外にある普通の自然だからだろう。
ダンジョン内では食えるのも、メイちゃんがとった蛇とエビ芋虫くらいだったけど、ジャングルは探せば幾らでも食用可能なモノが見つかる。正に食材の宝庫……だが、その分、毒を持つのも多い。ヤバそうな菌や寄生虫が宿るのもあるだろう。
見分けるスキルのない者が、イケるだろうと思って口にしたら、ハズレを引く確立は非常に高い。勿論、植物やキノコ系となれば、さらに危険性は跳ね上がる。鎧熊も一口でぶっ倒れる、アカキノココとかのヤベーヤツもいるからね。
「とりあえず、僕の『直感薬学』があれば、このジャングルで食材には困らないよ。優秀な狩人もいるし」
「本当に、ありがとう、桃川くん。正直、クルミだけの生活は限界で……綾瀬さんも、喜んでいるよ」
「うん、それは良かった」
と、答えた僕の声は、自分でも分かるくらいに白々しかった。
チラリと視線を横へ向ければ、そこには湯気の立つ器を手に、フーフーと小動物めいた可愛らしい仕草で鍋を食べるレイナ・A・綾瀬の姿がある。
何もしていなくても飯が食えるとは、正にニートの生態そのものだ。働かずに食う飯は美味いか?
「はふぅ、美味しい」
クルミは嫌だと、駄々をこねていたからな。そりゃあ、脂ののった新鮮な肉は美味いだろう。
料理人ならもっと腕を揮いたくなるほど、自然な愛らしさに溢れるレイナの笑顔を見ても、僕の心は温かくなるどころか、どんどん冷え込んで行く。
もっとも、僕の鍋を美味しいと満足してくれたのは、素直に喜ばしいことだけど。計画通りで。不味い、こんな臭い肉食えるか、と言われたら、正直かなり困ったところだ。
「沢山あるから、どんどん食べなよ、レイナちゃん」
「ここが美味いんだよ、よそってあげようか?」
気が付けば、山田を筆頭に、笑顔で鍋をつつくレイナを中心に輪ができていた。流石、お姫様の本領発揮といったところか。
上中下トリオは、恐らく小鳥遊小鳥狙いだった下川以外は、ロリコンの気はないはずだ。だが、趣味でなくとも、その容姿と雰囲気とで男を惹きつけ、優しくさせるレイナの魅力は凄まじい。
この僕だって、レイナに何の迷惑を被ることなく過ごしてきたなら、彼女のことを放っておけなくなっていたかもしれない。見た目完全に小学生なレイナに対して、僕は一切の劣情を抱くことはないとルインヒルデ様に誓えるが、男ってのは、エロとは別に、庇護欲ってのもあるもんだ。そういう部分を刺激されると……僕もあの輪の中に入っていたかもしれないと思うと、心底、恐ろしい。
僕はレイナから一番離れた位置で、彼らの様子をひとしきり眺めてから、風呂の準備をするべく楽しい食卓を後にした。
「――こっちの大きいのは男湯、あっちの小さいのは女湯だから」
食べ過ぎて、みんな芝生の上でゴロゴロしていたけれど、お腹も落ち着くころあいを見計らって、僕はそう切り出した。
「お、女湯って……ゴクリ」
おい、反応するな山田。目が完全に性犯罪者のソレになってるぞ。
「まぁ、綾瀬さんが入浴する時は、みんな出て行かないと」
出て行かないと、怖い獅子のボディーガードにケツを焼かれそうだ。というか、すでにグルルーとか唸ってるんですけど。
ともかく、すでに浴槽からは濛々と湯煙があがり、準備は万端。あ、流石に今回は、下川の水魔術士としての能力をいかんなく発揮してもらったので、浴槽は一瞬で満杯にできた。
「わあっ、お風呂、お風呂だ! やったぁ!」
久しぶりに見るであろう風呂を前に、レイナが無邪気にはしゃぎだしたせいで、自然と一番風呂が誰のものになるのかが決まった。おい、せめて誰か「ジャンケンで順番決めようぜ!」くらい言い出せよ。男だって、風呂には早く入りたいだろう。
お姫様の笑顔を前に、文句など言い出せる奴などおらず、僕らは黙って、唸るエンガルドに見送られて、すごすごと女湯と化した妖精広場を退散していった。
「さて、後はベッドか……」
僕にできる最後の用意が、昨晩も使った蜘蛛糸ハンモックだ。コイツは見た目完全にデカい蜘蛛の巣だから、レイナは気持ち悪がるかもしれないと思ったけど、
「わっ、なにコレ、凄い! ハンモックだ、きゃはは!」
風呂上りのレイナが、小学生みたいなはしゃぎぶりで、ハンモックに寝転がってはブラブラ揺れて楽しんでいるのを見て、杞憂だったと悟る。
「エンちゃんも一緒に寝られたらいいなー」
「……いいよ、エンガルドが乗れるくらい、大きくしてあげる」
僕はサービス精神の叩き売りで、レイナの天井知らずなワガママを叶えるために、さらに巨大なハンモックをイチから張り直した。アラクネ直伝の蜘蛛糸は、しっかり魔力も込めているから強度もそれなり。大暴れされなければ、大きな獅子であるエンガルドが寝転がってもハンモック、というか最早アラクネの巣というサイズだが、ともかく落ちることはないだろう。
「わーい、おやすみー」
モフモフ毛皮のエンガルドは毛布代わりなのか、巨大ハンモックの上で寄り添うように寝転がったお姫様は、さっさと眠りの世界へと旅立って行った。最後の最後まで、僕に対して「ありがとう」の一言もなく、レイナは自分だけ満足して寝たのだ。
それもいいさ。僕は自分のために飯も風呂も寝床も提供してやっただけ。お礼を言われる筋合いはないし、むしろ、レイナの目に映る僕の存在価値を再認識できて良かった。
これで、何の気兼ねもなく交渉のテーブルにつくことができる。
「おい、桃川」
レイナも寝たことだし、そそくさと妖精広場を退散しようとしたところで、山田に声をかけられた。何だよ、ちゃんとお前のハンモックも用意してやっただろう。
「まぁ、飯も風呂も世話んなったのは、ありがたかったけどよ……お前、それでレイナちゃんに近づけると思うんじゃねーぞ」
はぁー、これだから恋愛脳は嫌なんだよ。男の嫉妬の醜さ、ここに極まれり。
まったく見当違いの勝手な勘繰りに、カチンとくるという以前に、ウンザリしてくるけれど、僕はヤマジュンを真似るように、微笑んでみせる。
「山田君、実は僕、双葉さんと付き合っているんだ」
「えっ!?」
突然のカムアウトに、山田は素で驚く。
「デブ専なんだ」
「えっ、あっ……そうか」
ありがとう、メイちゃん。この場にいなくても、メイちゃんは僕のことを守ってくれるんだね――という綺麗事で、どうか勝手に名前を借りたことを許して欲しい。太ってる頃のメイちゃんでも、僕は普通にイケるのは本当だから。
「それに、今の僕らはチームだろう? 僕は戦闘能力が低いから、こういうところでチームに貢献すべきだと思うんだよね。だから、みんなには、特に戦いの矢面に立つ山田君にはしっかり英気を養って欲しいんだよ」
「お、おう」
爆弾発言で矛先を逸らしてからの、急に真面目な話に戻って理詰めの説得。すでにしてイチャモンつけてきた勢いはなく、完全に僕の話の流れに呑まれている。
僕が言うのもなんだけど、山田、チョロすぎるんじゃないの?
「それじゃあ、ゆっくり寝て、また明日頑張ろう。おやすみ」
「おう、おやすみ」
上手く山田のケチをかわして、僕は今度こそ妖精広場を後にする。ヤマジュンが「ボクが仲裁に入る必要もなかったね」と言いたげな苦笑で、僕を見送ってくれた。
「……ふぅ」
妖精広場じゃなくても、寝る時は一人部屋の方が落ち着くよね。みんなは安全性の観点からか、それともすっかり習慣化したのか、普通に広場で寝ているけれど、僕は別室で寝ることにした。
この塔は地底湖のやつとは違って、幾つか空き部屋がある。その内のこじんまりとした小さな部屋を、勝手に僕は自室に決めた。すぐ外にはレムが立ってるし、塔の入り口付近にはラプターを待機させているから、ゴーマがやって来ればすぐに気づける。今日も警備任務、ご苦労様。
「……ふぅ」
それにしても、やっぱり自分の部屋っていいよね。例の素材の採取も、気兼ねなくできるし、堂々とオカズを広げても大丈夫。
「蘭堂さん、マジでありがとう」
僕は素敵な豹柄パンツを丁寧に畳んで鞄に仕舞い込んでから、ようやく眠りにつくのだった。
さて、明日はいよいよみんなに対して、僕が考え付いたゴーマの砦攻略作戦を提案することになる。今日の仕込は上手くいったはずだけど……心配してもしょうがない。せいぜい、呪術師らしく、頑張ろうじゃないか。




