第二話
二話目行きます
宿のある第二商業区をぬけ、騒がしい西門大通りへはいる。
下手に裏道を通るよりは巡回する警邏隊の多い大通りの方がスリ何かも少ないので安心なのだ。
「オッサン、ひとつくれ。」
「はいよ!」
屋台でグレイウルフの串焼き肉を買い、腹を満たしながら西門へゆく。
この街、と言うかこの辺り一帯を先祖代々治めるオイゲン子爵様は領民にも他の貴族にもとても評判のいい方で、治安も他の地方より目に見えて良いために、子爵様の居城のあるこのケーニヒスベルクはとてもにぎわっている。
まぁ、治安がいいとはいえ人が多いと言うことはその分犯罪が多い。
「つまりはまぁこういうコソ泥も多いわけで」
俺は今、門にある警邏隊駐屯地…要はこの街の治安を守るおっさん共のいる場所で、捕まえたスリに関しての事情聴取をうけていた。
なお、領主様の薫陶のお陰か鬼教官の教育のお陰か、袖の下とか不当逮捕とかは「ほぼ」ない。
無くすのは無理なのでしゃーないっちゃあしゃーないが。
「災難だったな、少年。身体検査をしたところ、証拠がボロボロ出てきたから、特にこれ以上君の手をわずらわせることはない。行っていいぞ。」
身分証明書として冒険者ギルドのカードを見せ、担当の兵士に事情を話していると別の兵士のオッサンがあらわれ、すぐに解放された。
出来れば女の兵士が良かったな…
ほら、何故かあの人たち短いスカートにタイツなんてはいてるやん?エロいやん?
男として反応しちゃうのは当然だと思うのよ。
まぁそれはさておき、さっきのは現行犯な上にどうやら余罪ありのようなので行き先は犯罪奴隷かよくて数年牢屋の中だろう。
奴隷は大体犯罪奴隷か借金奴隷に分けられ、犯罪奴隷は読んで字のごとく、借金奴隷になるのは文字通り借金が払えなくて奴隷になったか、貧乏な農村の娘とかが身売りをした先になるものだ。
奴隷は特別な首輪を着けているが、これはこの大陸のほとんどの国が国教としている ヴァール教の神官が使える神聖術式がかけられていて、偽造は出来ないらしい。
そしてヴァール教の神官は神様とやらに認められてこの神聖術式が使えるようにならないと絶対になることができない。
なので、ヴァール教を信じる国では特に重要な契約などでは神官に立ち会ってもらうことで不当な契約や違反を防ぐのが一般的だ。
なお、神様とやらはこの神聖術式で悪さすると死ぬよりもひどい罰を与えるそうで、少なくとも神官が犯罪やったとか言う話は聞いたことがない。
悪さの基準はよくわからんけど、神官は大抵教会や神殿に引きこもるかしているので直接聞いたことはない。
あいつらなんか苦手だし。
話がずれたが、普通の奴隷は主人に命にかかわったり、明らかに倫理に反する(人殺し等)ような命令をされても拒否することができる。
もちろん、待遇は一般人に比べるとかなり劣るが、借金奴隷の場合金を返せば自由になれるので極たまにそういう人を見ることができる。
…裏ではそういうのを丸きり無視した違法奴隷なるものもあるそうだが、少なくとも俺には関係がない。
そうやって無駄なことを考えていると、いつのまにやら薬草の採取がおわっていた。同じ場所から根こそぎとらず、必要な分だけ色んなところから採るのがマナーだ。
「さて、次はスライムか…」
スライムは森の浅いところでもその辺でフニフニ移動しているので簡単に見つかる。が、意外と力が強く、油断するとスッ転んで怪我するので注意しながら踏み潰す。核を壊さないようにふんで、核だけ短剣で切り取れば終了だ。
ちなみにスライムの核は上手い。中の魔石をくりぬき、その穴に肉をつめて蒸すとお手軽で腹持ちのいいおやつになる。
魔石を綺麗にくりぬくのが面倒だから適当に魔石だけとって捨てることの方が多いけど。
そんなわけで魔石とスライムの死体をリュックサックにつめこみ、とっとと街に帰る。
「今日の晩飯は何にしようか、やっぱり肉か、シチューにするか、」
あのオカマの料理はめちゃくちゃ上手い。何でも昔冒険者だった頃のパーティーメンバーに教わったそうな。
「ワシに言われても知らんわい、確認がおわったぞ。はよう帰れ。」
今いるのはトム爺の店のカウンターだ。依頼のものを渡して代金をうけとる。
「はいよ、んじゃまた何か噂とか有ったらおしえてな。」
トム爺に依頼のものを渡した俺は、遅めの昼食を食いに宿にもどる。客のピークは過ぎたようで、宿泊の受付兼バーのカウンターでは、アンディが帳簿をつけていた。
「ただいま。余りもんで良いから軽くなんかつくってよ。」
「あら、お帰りなさい。遅かったわね。ちょっとまっててね。」
そういってオカマは掃除していた従業員に声をかけ、空いている席に案内させると厨房へ引っ込んだ。
「飲み物はどうされますか?」
そういって従業員…オカマはメイと呼んでいるが本名は知らない…が話しかけてきた。
「ん、昼から酒はアレだから水くれ、水」
「はい、わかりました!」
そういって飲み水を貯めておくようの樽に向かうメイちゃん。
年上だが結構童顔で、彼氏持ちなのが残念だ。
「はい、お待たせ。たんと食べなさい?」
物思いに耽っているとオカマが料理をもってきた。
ベーコンやイモのスライスして焼いたのとトーストが今日の昼飯だ。
腹を満たしながら同じく飯を食いに来た知り合いの冒険者と情報交換をする。ささいな情報でも時に命にかかわるので、おろそかにしてはいけない。
どうでもいい雑談の方が多いけど。
「昨日まで西の方の村に行ってきたけどな、今年は豊作だけど一緒にオークやらゴブリンやら迄沸いてきたらしいぜ。」
「あー、やけにその辺の討伐依頼が多いと思ったらそういうことか、
北の方は特になにもなくて平和だな、飛龍が出たらしいが丁度領主様の御一行が通りかかって、護衛の騎士様が3人でばっさりだとさ。」
詳しく聞くと、成体に成り立てのフレイムワイバーンだったそうだが、それにしてもたったの3人でとは流石護衛の騎士だなと思った。
普通竜族でも一番弱いワイバーン系統でも10人がかりの大仕事なのがふつうだ。
中にはロルフさんのように一人でワイバーンを倒せる猛者もいることはいるがそういうのは冒険者で荒稼ぎするかデカイ騎士団に所属していることが多い。
そのあとは何処其処の看板娘が可愛いだのあそこの店主はがめついだの雑談をしてわかれた。
部屋はもう二週間先まで代金を先払いしているので
あとは夜飯まで昼寝でもしようかと思った矢先、血相を変えたギルドの事務員が走っていくのがみえた。
誤字等ありましたら感想等でご指摘願いますm(._.)m
主人公の名前引き続き募集中