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52話 再会

9月?日 ???? 


ルー・ホ―ピンはしばらく俯いていたが

やがて席を立った。


会談は終わった。

そう感じた。


ルーは部屋を去る際に

「ワシが日本にいる限りは

君を丁重に扱おう。」


そう言い残して

部屋を去った。


暫くは一室が与えられ

自由こそないものの

食事や治療が行われていた。


やがて、秋が来て

私は他の施設に移送され

囚人同然の扱いを

受ける様になった。


私は自身の扱いから

ルー・ホ―ピンが

完全に失脚した事を 

感じていた。


その施設には

多くの元自衛官が

投獄されていた。


看守役の中国兵の

元自衛官達への

扱いは全く持って

ヒドイものだった。


私も多くの

理不尽な暴行を受けた。


やがて


秋が過ぎ


冬が過ぎ


また、夏が来て

それも過ぎようとしている。


左腕は完治できず

ロクな食べ物を与えられない状況で

身体は衰弱しきり


私の左腕はやがて

腐り果てていく。


私は今、自分の近くに

死の足音がひしひしと

近づいてきているのを

肌で感じていた。


あの時ルー・ホ―ピンの

誘いを受けていれば

こんな事にはならなかったのかも

しれない。


だが、あの決断に後悔はない。


ルー・ホ―ピンの誘いを断る事で

日本の未来を私の仲間とそして

次の者達へ確かに渡したからだ。


私自身の人生の使命は終えたのだ。


この手記を読んだ者達へ


君達が笑顔で生活できる国を

どうか大切にしてくれ。


もしそれが失われそうになったら

すがりついてでも守ってくれ。


自分一人がちっぽけな存在でも

諦めなければそれは形になる。


私は…それを証明できたと思う。


私は君達の幸せに暮らせる事を

願っている。


この思いを次につなげてほしい。


私は手記を書き終え筆記具を置いた。


そして身体を引きずるようにして

部屋の片隅に手記を隠した。


私の思う自分の役割はすべて終わり

後は死を待つだけとなった。


暗闇が迫ってくる。


ふと気がつくと

目の前に紀伊三尉がいた。


周りには死んだ小隊の皆がいた。

私は懐かしい顔に涙が出ていた。


「今…会いに行きます」と私は答えようとしたが

もう声を出す気力もなかった。



紀伊三尉は何かを必死に

叫んでいるが私には聞きとる事が

出来なかった。


やがて、紀伊三尉は部屋の扉の方を

黙って指し示した。


何か…あるのか…?


音……


振動……


それは慣れ親しんだものだった。


私の感覚が戻ってくる。


銃声が聞こえる。


迫撃砲だろうか?


その様な音が聞こえた。


戦闘だ……!!!

戦闘が起こっている……!!


やがて突然部屋の扉が

バンと開かれた。


そこには自衛隊の戦闘装備をした

霞2曹が立っていた。


霞2曹はよほど焦っていたのだろう。

その息は上がっていた。


私の姿を見ると


怒りと

憎しみと

悲しみと

喜びとを交えた複雑な表情をして

黙って私を抱きしめた。


「いいか、死ぬな!

たとえ捕まっても生きていれば

俺が必ず助けに行く!

必ずまた、生きて合おう」」


私は最後に交わした霞2曹との

約束を思い出していた。


霞2曹はその約束を今、果たしたのだ。

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