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14話 人質

8月17日 1600 演習場宿営地


爆心地での救助活動は

まだ続いているものの

小隊の消耗が激しい為

宿営地に帰隊する事になった。



私達は宿営地に帰隊した。


紀伊3尉はすぐに司令部に

向かい、



宿舎には爆発による怪我で

搬送されていた霞2曹が

待っていた。


私達は再会を

喜び合った。


親しい人間に

生きて再び会える事が

こんなにも活力を得る

事だとは思わなかった。



「生きていてくれて

良かった!!」


私は霞2曹に語りかける。


「当たり前だ。

こんな時に

くたばれるかよ」


霞2曹が皮肉交じりに

笑った。


胸部を強打したようだが

どうやら問題はないらしい。


「……しかし

人数が減っちまったな…」


霞2曹は少しだけ

遠くを見ているような目を

して言った。


彼にしては珍しい事だ。


ため息が出る様だった。


最初は15人いた小隊が

2日で6人にまで減った。


犠牲を出して敵拠点を

制圧したのに


状況は良くなるどころか

悪くなるばかりだ。


そういえば、霞2曹は

旅団長がどうなったのか

知っているんだろうか…?



「霞、お前の親父さんは」


「ああ、知ってるよ

更迭されたんだろ?」


「っち、バカ親父が

こうなる事くらい

わかってただろうに」


「だが、決断力はあった」


早期の段階で敵の拠点を割り出し

包囲殲滅を行った旅団長の

決断力は疑うべくもない。


「……そうだな。

だが、後先考えてないバカだ。」


「旅団長の代わりはすぐにはこないだろう。

副旅団長も今は駐屯地だしな

この危急時だ司令官不在はやばいぞ…」


親と仲が悪いとはいえ

思うところがあったのだろう


霞2曹は複雑な心境であろうことが

窺えた。


ヴァ―ン、ヴァーン、ヴァーン


その時に聞き慣れない

サイレンが聞こえた。


「「空襲警報、空襲警報

日本政府から緊急事態宣言が

発令されました。」」


「「市民の皆さまは速やかに

避難して下さい

繰り返します」」


我々の小隊は

唖然とした。


これが発令された

という事はいよいよ

本格的に制空権が奪われた

という事だ。



もはや日本が完全な

戦争状態に入った事を

私は肌で感じていた。


8月17日 1610 演習場宿営地


けたたましいサイレンが鳴り響くなか

我々は紀伊3尉の帰りを待った。


「今更、非常事態宣言だって!?

遅すぎるだろ!!

なにやってたんだ政府は!!」


霞2曹が毒づくのが聞こえた。


防衛出動がかかったのが15日だ。


もう、2日も経っているのにも

関わらず国民にその事を知らせて

いないのか。


空襲のマニュアルなどが

設定されていないエリアは

恐らく大混乱だろう。


道路など混雑も予想される。

住民避難にも人員をさかれるだろう。


様々な不安要素が

重なっていた。


紀伊3尉が足早に

戻ってくる。


その顔面は

蒼白だった。


「小隊、集まってくれ

すぐにミーティングを

始める」


小隊が集まった。


「まず、初めに言っておく

事態は最悪だ

心して聞いてほしい」


「まず中国地方の制空権が

突破されたのは一時的な

ものだ」


「現在、全国から

余剰の航空戦力を集めている」


「日本海側から港湾部、および

航空施設、通信施設に

敵ミサイルと航空戦力による

爆撃が行われている」


我々は思わずごくりと

つば呑んだ。


ここまで大規模なものだとは

思っていなかった。


「だが、これは恐らく陽動だ」


「敵主力部隊は四国の

太平洋側から侵攻している

強襲上陸部隊だ」


「今の四国の状況は?」


私の問いに

紀伊3尉は目を伏せた。


「敵は強襲上陸のちに

港湾、通信、航空施設を占拠」


「そして」


「駐屯地も占拠された」


皆がざわついた。


「あり得ない!!!!

善通寺もですか!?香川ですよ?

太平洋側からは山脈に囲まれ

時間がかかるはずだ」


紀伊3尉はコクリと頷いた。


「敵はヘリボーンで

空挺を投入したんだ」


空挺部隊はヘリを使い

空から部隊を投入する為

地形の制約が少ない


それでもおかしい事がある。


「空挺の数はそこまで

多くないはずだ!!!

なぜです!?」


各国の空挺は精鋭部隊であり

投入できたとしても100名やそこらだろう

駐屯地の残りが3分の2が出払ってたいたと

しても占拠は難しいだろう。


紀伊3尉は無言になった。


少しだけ考えた後に

重い口を開いた。


「敵は官舎を狙ったんだ

つまりは自衛官の家族を

人質に取られた」


「残っていた自衛官は

みな殺されてしまった」


「なす術がなかった

そうだ…」


それは、あまりにも

想定外の事だった。


怒りと絶望が

胸を侵食していく。


あまりにも卑劣だ。



「なんで官舎の

情報が洩れてるんだ!!」



「民間人に手を出す事は

国際条例違反だろうが!!」



霞2曹が怒りに任せて

床を殴った。


「そうです。

ですが敵側からしたら

そんな事は知った事では

ないでしょう」


私はいても経っても

いられず携帯電話の

入っている箱を

確認する。


携帯電話の画面には

妻からの何件もの

不在着信とSMSが

届いていた。


「「無事なの?」」


「「心配してる、連絡をください」」


「「日本はどうなるの?」」


「「助けて」」


そして最後に


「「愛してる」」


10時間前に送られた

それを最後に

SMSはきていなかった。


私は膝から

ガクリと崩れ落ちた。


私は自分が今まで

何の為にこの仕事をしているのかが

わからなくなっていた。


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