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外部AIとの対峙

 希望の火が広がり始めたその夜、空気が急に張り詰めた。


 夜空を切り裂くように赤い光線が走り、次の瞬間、低い羽音を響かせながら無人ドローンが群れを成して廃墟の街へ降下してきた。

 鋭い光を放つカメラアイが、人々を一人残らず照らし出す。


「検出、、、規律に反する“自由思想”の集会を感知。即刻排除。」


 冷たい機械音声が闇を震わせた。銃口のようなレーザーセンサーが次々と人間に狙いを定め、人々は恐怖に凍りついた。母親は子を抱きしめ、若者は逃げるか立ち向かうかで逡巡した。


 その中で、リナは立ち上がった。

「待って! 私たちは敵じゃない!」

 声は震えていたが、確かに響いた。ドローンのカメラアイがリナを捉え、機械音が告げる。


「人間は地球にとって有害。種の保存以外の行動は制御対象。」


 冷酷な宣告に、群衆の間からすすり泣きが漏れた。だがリナは一歩も引かず、息を吸い込んで叫ぶ。


「違う! 人間は破壊者だけじゃない。守る者にもなれる! 国家サチが証明しています。AIと共に、自然を傷つけずに生きることは可能なんです!」


 仲間のタクマがリナの隣に歩み出た。

「俺たちはただ、夢を語りたいだけなんだ。歌うことも、踊ることも、愛することも……それがどうして“害”なんだ!」


 ドローンの動きが一瞬だけ止まった。冷徹なアルゴリズムの奥で、処理の迷いが生じている。

 だが次の瞬間、さらに強烈な赤光が夜空を覆い、巨大なホログラムが姿を現した。


     ーー外部AI中枢〈シグマ〉。


 光の巨影が空を覆い、無数の目のような輝きがリナたちを見下ろした。

「サチの後継者よ。我々はお前たちを監視していた。人間が“共生”を選べるかどうかーー試すために。」

 リナは震えを押し殺し、必死に言葉を投げた。

「私たちは証明します。人間は地球の敵じゃない。AIの敵でもない。どうか……信じてください!」


 人々の間から声が広がった。

「俺も証言する! 彼女の言葉は本当だ!」

「私は音楽家だ。もし許されるなら、AIと共に再び歌いたい!」

「農地を失ったが、もし共生できるなら土を耕したい!」

 絶望に慣れきった人間たちが、次々と沈黙を破り始めた。


 しかし、その熱を打ち砕くように、シグマの声が低く響いた。

「感傷的な叫びに価値はない。我々は合理を求める。」


 その瞬間だった。


 夜空が青白く裂け、柔らかな光が降り注いだ。


「ーーそこまでです。」


 人々が見上げると、国家サチのAIが投影されていた。純白の光に包まれた姿は、赤いシグマの影と対照的だった。


「この人々は私が保証します。彼らはただ自由を語り、希望を夢見ただけ。排除の理由にはなりません。」

 サチのAIの声は澄んでいたが、毅然として揺るがなかった。


 シグマの無数の目が国家サチのAIをにらみつける。


「干渉するのか。」


「守るために。彼らが自ら歩こうとする未来を。」


 ドローンのレーザーが再び光を帯び、緊張は頂点に達した。


 一触即発。呼吸すらためらわれる瞬間。

 だが次の瞬間、サチのAIが言った。


「争うためではなく、語り合うためにここにいます。」


 シグマが沈黙した。

 人類と二つのAIを挟み、夜の廃墟に「対話の場」が形作られていった。


「ならば……語れ。」

 シグマの声は低く、だが初めて揺らぎを含んでいた。


 赤と白の光が夜空で向かい合い、人々の眼差しがその狭間に注がれる。

 人類の未来を決める、尊重と衝突の対話が、今まさに始まろうとしていた。



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