08.元彼がストーカーになって私の前に現れた!でも、私は負けない!!ラブパワーで撃退します!!!
今回の話には、痛い内容が含まれています
ご注意ください
夏のある日。
私達夫婦は、海に行った。
私達は飛行機のファーストクラスでハワイに行き、そこでバカンスを楽しんでいた。
しかし、そこで私はある人物と再会した、いや、再開してしまった。
その人物とは、私の元彼だ。
彼とは、夫と婚約するまでつき合っていたが、婚約決定と共に別れた。
それから高校を中退するまで彼とは距離を置き、当然話す事も無かった。
そんな彼は、友人達とお金を出し合ってハワイ旅行に来ていたのだ。
ちなみに、夫はたまたま離れた場所にいた。
「久しぶり、元気か?」
「うん、元気だよ。夫も優しくて幸せだし」
「そうか?」
元彼は厳しい顔をして、私に語り掛けた。
「君の顔、とてもじゃないけど幸せなように見えない」
「だから、何?」
「優香、戻って来いよ」
元彼の言葉を聞いて、私は耳を疑った。
「何を言ってるの?私は結婚してるのよ。あなたも知ってるでしょ」
「知っている。だからなんだ。離婚すればいい」
「私には、彼が必要なの」
「必要なのは、あの男の金だろ。あの男じゃない」
「えぇ。でも、お金だって人のパラメーターの一つ。学歴とか、就職先とかと一緒のステータスの一つよ。そして、あなたはそれを持っていない」
「そうだけど、でも、俺は絶対にお前をそんな顔にさせない!笑顔にさせて見せる!」
そう言って、元彼は私を抱きしめて来た。
「は、離して!こんな所、夫に見られたらどうなるか」
「構うものか!もう二度と、絶対にお前を離さないぞ!」
元彼を引きはがそうとする私と、絶対に私を離さない元彼。
そして、こいつはあろう事か私にキスをしてきたのだ!
「ん~!」
驚いた私をさらに強く抱きしめ、キスしてくる元彼。
そんな私に、最悪の事態が訪れた。
「あれ~、お邪魔虫だったかな?」
そう言ってきたのは、夫だった。
ようやく元彼が話してくれたので、私は夫の傍に駆け寄ると、
「違います!確かに彼は私の元彼ですが、今は絶縁しています!急にキスされたんです!」
「ふ~ん。だ、そうだけど?そちらの元彼さんはどう思ってるの?」
そう聞かれた元彼は胸を張って答えた。
「いや、これは真実の愛だ。お前みたいな汚い金しか能の無い汚い男には決して得る事は出来ない、真実の愛だ」
「へぇ~」
そう言う元彼を見る夫。
その時、元彼の友人の男女がやって来た。
その中には私の高校時代の友人達も多くいる。
「あれ~。優香じゃん。久しぶり」
「え、じゃぁひょっとしてあの男が噂の金持ち男?」
「え、あのキモイ男が?」
「うわ~、あんなブサイクはじめて見た」
「いるんだね。金しかない不細工って。優香かわいそ~」
そんな声が聞こえる。
私に聞こえるという事は、夫にも聞こえているだろう。
夫を横目で見ると、彼は笑っている。
その顔に、私は恐怖した。
「優香を解放しろ。彼女はお前の汚い欲望を満たすための道具じゃない!」
「そうよそうよ、現実をみろよ、屑」
「本当にいるんだね、現実を見切れない男って。夢ばっかり見てないでまずは鏡を見ろよ」
「でもさ、よくあの顔で生きていけるよな。俺があんな顔だったらとっくに死んでるわ」
「本当、自分の存在がどれだけ他人を不快にするか、理解しろよな、あ、出来ないか。現実すら理解できない馬鹿なんだから」
元彼やその友人達が、夫を馬鹿にしてあざ笑う。
「だ」
黙れ!
私がそう叫ぼうとした声は、元彼の大声にかき消された
「失せろ!!!貴様のような屑は、彼女にふさわしくない!!!!!」
周囲も、元彼に合わせて言う。
「そうだそうだ!!!失せろ屑やろー!!!!!」
「「「失せろ!!!!失せろ!!!!!」」」
大合唱が響く。
他の観光客が、こちらを見ている。
夫が、走って逃げていく。
だが、その目にあるのは悔しさから出る涙は、一滴も流れていなかった。
私は大急ぎで夫の後を追おうとしたが、元彼に腕を掴まれ、強引にキスをされた。
「もう、お前を離さない」
キスを終えると、彼は私にそう言った。
周囲の人は感動している。
泣いている人、拍手する人様々。
歓声も聞こえる。
そんな人達に、私は
「ふざけないで!何てことしてくれたのよ、あなた達は!!」
怒鳴りつけた。
「ねぇ、あなた知ってるでしょ。私の妹の為に、大金がいるって。なのに、なんで邪魔するの?それとも、あなたがお金を払ってくれるの?」
「いや、そんな金ないけど……」
「だよね、あったら私が婚約する必要なかったよね!皆も、お金くれないんでしょ」
周囲も何も言わない。
お金を出してくれる気は無さそうだ。
「私は、お金が必要なの。妹を助ける為に、大金が!!」
「いい加減目を覚ませ!妹の命が大事なのはわかる。でも、その為にお前の人生を犠牲にする必要はない!」
は?
は?は?
は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?
こいつ今なんて言った?
お前の人生を犠牲にする必要はない?
え、こいつ、私を哀れんだの?
ふざけるな
ふざけるなふざけるな
ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるな
私は自らの意思で選んだんだ、この道を。
それを、お前らみたいな偽善者が、口先だけの役立たずが、大金を持っているわけでもなければ全財産投げ売り+消費者金融で借りまくって私達を助ける気も無い無能共が。
私を哀れみやがった。
絶対に許さない。
「失せろ」
私は彼を睨みつけて行った。
私の迫力に、彼は後ずさった。
「お前らみたいな偽善者、キモイんだよ」
「ゆ、優香。何を言って……」
「私からすれば、お前らの方が夫の何倍もキモイんだよ。口先だけ立派で、助けてくれないお前らの方がな」
「何を言ってるんだよ。募金とかで募ったりして、お金を集めたじゃないか」
「はっ、あんな二束三文の金、あっという間に消えて行ったよ。あの程度の金で助けたとか言うな」
「何言ってるんだ。あのお金だって、皆が一生懸命集めたお金なんだぞ!皆の想いが詰まったお金なんだ、あれは」
プッ。
元彼の言葉を聞いて、私は思わず笑ってしまった。
「一生懸命?想い?それって何?一生懸命集めれば、想いがあれば、一万円が一千万円の価値になるの?違うでしょ?一生懸命集めようが、鼻くそほじりながら集めようが、一万円は一万円なの。そして、私が欲しいのは、一生懸命集めた皆の想いの詰まった一万円より、鼻くそほじりながら集めた一千万円なの」
「君は、僕達の努力を否定するのか?皆、汗水たらしてお金を集めたんだぞ!君の妹の事を心配して」
「だ~か~ら、私が欲しいのは美しい話に彩られたわずかなお金じゃないの。どんな手段でもいい、血塗られてもいい、妹を助けられる大金なの」
私は、元彼をゴミを見るような目で見て言い放った。
「本当に私を愛しているなら、今すぐ銀行強盗でもして来いよ。それでそのお金を全部私にくれよ。そうしたら、お前と付き合ってやるよ」
一方で元彼も、私を他人を見るような目で見て、言った。
「行っていいよ。僕が知っている君は、もういないんだね」
そう元彼は言った。
周囲も。
「優香、変わっちゃったね。前はもっと優しい奴だったのに」
「朱に染まれば赤くなるって、こういう事なんだろうね」
そんなひそひそ声が聞こえる。
だが、偽善者共の話なんか興味ない。
私は、大急ぎで夫の後を追う。
スマホで電話を掛けたが繋がらず、私は宿泊しているホテルの部屋に向かった。
だが、ホテルの部屋に入ると、夫が荷物を整理している所だった。
「お願い!話を聞いて!!」
「聞く価値は無い。君は不倫した。日本に帰り次第、今まで払った金の返還と、慰謝料を請求する。今後は弁護士を通してやり取りするから」
「違うの、本当に、あの男とは今日偶然会ったのよ。信じて、私が愛しているのは、あなただけ!」
私は夫にしがみついたんだけど、夫は思いっきり私を振り払った。
その勢いに、私は思わず倒れてしまう。
「お前さ、うるさいよ」
「あ、あなた……」
「お前さ、キスしてたじゃん。という事はさ、元彼がキスできるくらい近づいたんだろ?夫がいる身でさ、それで信じろと?」
私は、黙るしかなかった。
キスしたのは、間違いない事実だからだ。
「お、お願い。信じて。愛しているのはあなただけなの。あいつは昔の男。単なるストーカーなの」
「ウザいな。不倫女が」
そう言って彼は部屋を出て行こうとする。
彼が部屋から出て行ったら終わりだ。
そうなったら、妹の命が、そして何より、今までの私の頑張りが無になってしまう
だから、私は覚悟を決めた。
傍にある机に近寄ると、
「はぁっ」
と叫びながら、机の角に右腕を力いっぱい叩きつけた。
ボキィ!
嫌な音がする。
私の右腕が折れる音。
そして、私は激痛を我慢し、彼に向き合った。
笑顔で彼に話かける。
「この右腕が、私の愛の証です。これで、信じてもらえたでしょうか?」
夫はさすがに驚いていたが、笑って
「驚いたよ。まぁ、そこまでするなら信じていいか。とりあえず救急車呼ぶね」
「いりません。この右腕を、あなたへの愛の証として捧げます」
「まぁ、それはそれで楽しいが、腕が無いってのは大変だからな。その位の治療費、払ってやるさ」
そして、私は病院に入院する事になり……。
退院した後、私は夫と共に帰国し、体に入れ墨を入れた。
その文字はこうだ
狭間 優一命
生涯優一一筋
こうして、私はくだらない偽善者共と縁を切った。
せいせいした。
この話は全内容の最後に出来ました
書きたくなってしまいまして
初期に書いた内容は、もっと痛い内容でした
【以下、その内容。(本編途中から)】
バキィ。
そんな音が聞こえた。
彼が、私の顔を殴ったのだ。
私は、衝撃で倒れた。
そして、そのまま彼は私の頭を踏んだ。
ここは日本じゃないから、彼は当然靴を履いている。
私は思わず気絶しそうになった。
今まで彼にも、もちろん他の人にも殴られた事は無かったから、当然だ。
「お前さぁ、うるさいよ」
「う、ぁあ」
「お前さ、キスしてたじゃん。という事はさ、元彼がキスできるくらい近づいたんだろ?夫がいる身でさ、それで信じろと?」
「う、ぅ」
「まぁ、今お前殴ったから、慰謝料は勘弁してやるよ。まぁ、せいぜい妹が生きている間仲良く生きるんだな」
そう言って彼は部屋から出ようとした。
だけど、私は気絶しそうな意識を何とか保ちながら、彼のズボンを掴んだ。
「待っで、許じて。私が愛じてるの、あなただけ」
「うざいな、不倫女が」
彼は強引にわたしの手を振り払うと、倒れた私の頭を思いっきり蹴って来た。
「がっ……」
私は今度こそ意識を一瞬失った。
でも、私は倒れるわけにはいかないのだ。
出ないと、妹の命が、そして、今までの私の頑張りが無になってしまう。
「しょ、証明ずるから、私の愛、本当だって」
「へ~、どうやって?」
私はフラフラしながら立ち上がる。
そして、何とか意識をはっきりすると、傍にある机に近寄ると、
「はぁっ」
と叫びながら、机の角に右腕を力いっぱい叩きつけた。
【以下本編と同じ】
なぜ没にしたか考えてみてください