表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/108

目覚めた側妃と国王。その2

 正妃・ラーラから頼まれたのは、ノジ公爵家に連なるが困窮しつつある伯爵家の令嬢のことだった。それがメルトのことであり、後に第三側妃として娶ることになる令嬢であった。

 詳しいことはラーラもメルトも話さないが、ナハリに側妃として娶ってもらいたい、とラーラが言ってきたので仕方なく娶った。親しい友人というわけでもないのに頼まれたことが不思議だった。共寝をしてメルトは娘を一人産んだ。ノジ公爵家の跡取りとして養女に迎え入れられ、後にバゼル伯爵家イオノ・ミゼットの妻となったアイノである。


 それからさらにラーラから頼まれて第四側妃と第五側妃を娶った。第四と第五は姉妹で身元は分かっている。正妃を含め、側妃全員、ナハリはきちんとその身元や問題が無いかなど調査員を派遣して、その上で娶ったのだが、第四側妃と第五側妃の姉妹と共寝してそれぞれに子も生まれたものの、ナハリの妻というよりは、どちらも正妃に仕えているような存在であった。


 ナハリは正妃から話をされるまでは聞かないことにして、メルトと第四・第五側妃の姉妹について詮索しなかった。それが数十年にもなろうとは思っていなかったが、ラーラから話をするまでは、とナハリはずっと詮索していない。


 そんな関係なので、実のところ正妃・ラーラと第一側妃くらいしか、ナハリは妻と親しい付き合いをしていない。第二側妃以降も側妃として丁重に扱うようにしていたが。

 どちらかと言うと、正妃・ラーラと側妃五人の方が仲良しとは言わないが、それなりに交流していただろう。


 だから、メルトが原因不明の眠り病に罹っても、そうか、と思っただけでそこまで心配していなかった。それが目覚めたと聞いも、何をおいても駆けつけるほどでも無いので、ある程度執務を終えてから見舞った。これがラーラか従姉妹である第一側妃だったのなら何をおいても駆けつけただろうが。


 そうして正妃と側妃たちがメルトの側に居る中で、ナハリはメルトに声をかけたところである。

 長く眠り病で寝ていたために痩せた身体をし、夫の顔を見たメルトは弱々しく微笑んでから、大きく息を吐き出した。


「陛下、娘とその家族は生きていますか」


 そして、ナハリに問いかけたのは、アイノとその家族の生死について、だった。


「生きているな」


「左様でございますか。娘たちは、何歳ですか」


 その問いかけでナハリは、メルトが巻き戻りを信じている、いや、知っていることに気づいた。

 眠り病となんらかの因果関係があるのだろうか。

 そんなことを思いながら、メルトの問いかけに答えれば、メルトは「まだ終わっていない」と虚な目をして天井を見上げながら、呟いた。


「全て、話せるか」


 さすがに詮索しない、などと他人事のように一線を置いている場合ではない。

 夫として一人の人間として、ではなく、大国レシー国の国王として、ナハリは自分の妻である側妃・メルトに尋ねた。


「全て話すべき、でしょうが、まだ起き上がることも出来ないほどの身体でございます。ラーラ様にお任せしてもよろしゅうございますか」


 時折咳をしながら伝えてくるメルト。起きて間もないため声を出すこともままならず、話すだけで疲れてしまう、とナハリに言葉を溢す。託されたラーラに視線を向ければ、ラーラも強く頷いた。

 事の詳細を知っている、と言わんばかりの強さ。それならば、とナハリはメルトに体調を調えるように言い置いて、ラーラを連れてメルトの部屋から出ようとしたが、それはラーラに拒否され、結局その場で話を聞くことになった。


「陛下、最初にこれだけは私から言わせてください」


 咳き込みながらも強く口にしたメルト。なんだ、とナハリはメルトに視線を向ける。


「巻き戻り現象は一度では無いのです」


 常に冷静で、相手の話を見極めるために疑心を抱えているナハリですら、衝撃で言葉を失い、目に見えて動揺していた。

お読みいただきまして、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ