表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/108

再びのレシー国。その2

 挨拶を済ませたバゼル伯爵家ミゼット一家。

 ノジ公爵夫妻・オゼヌとカミーユに手紙のことを直接糺したのは、イオノでもアイノでもなくリオルノだった。


「お祖父様、お手紙をもらい参りました。時候の挨拶のみが書かれていた、と両親から伺っています」


 イオノとアイノは、どう尋ねようか、今この時よりもう少し落ち着いてからの方が良いか、などと考えていただけに息子が尋ねてしまったことには驚いた。

 併し逆に息子がこうして尋ねてしまったのならアレコレ考えるより返事を聞く方が、と二人はオゼヌに視線を向ける。


「書く方が良い、と判断したのは私です。一先ず、旅装を解いて改めて話をしましょう」


 カミーユが一家を促し、滞在する部屋は以前と同じだと使用人に案内させた。運び込まれた荷物は既に公爵家の使用人たちが前回の訪れを参考に、テキパキと荷解きされている。

 そうしてイオノとアイノと子どもたちも着替えを済ませて再び案内されたのは、前回の訪れで打ち解けることが出来たからか、客用の応接室ではなく、家族団欒用の談話室だった。


「先ずは、あの手紙だけで何かがあった、と判断して直ちに此方に来たことは素早い決断だったと言える。但し。何が起きたのか分かってもいない、情報も収集出来ていないにも関わらず、人を遣わせるわけでもなく家族全員で来たのは軽率だと言えよう」


 オゼヌが重々しく口にする。

 イオノはグッと言葉を呑み込む。その通りでしかないからだ。アイノも早計だった、と自分を恥ずかしく思う。


「妃殿下がお目覚めになられた」


 後悔するイオノとアイノの夫婦の顔を見ながら、オゼヌはその一言を発した。

 レシー国の妃殿下と呼ばれる存在で、目覚めたことが明かされるのは、ただ一人。

 レシー国の王・ナハリの側妃でアイノの実母・メルト妃でしかない。

 アイノはハッとした顔でオゼヌを見る。オゼヌも深く頷いた。


「長らく眠られていたため体力が回復しておらず、国王陛下と言えども面会拒否をされておる。陛下からの親書を頂きそのような状況を伺った」


 つまり、メルト妃は国王・ナハリでも会うことが許されないくらい身体が弱っている、ということ。


「確か、妃殿下は前回この国を訪れた時には既に一ヶ月ほど眠り病に罹っておられた、と陛下から聞き及びました。目覚められたのがつい最近であられるのなら、確かに体力は回復されてないのでしょうね」


 実母が目覚めたことの安堵と、それだけ弱っていることのやるせなさと、アイノは複雑な胸中を表に出さず、オゼヌの言葉に頷く。

 前回訪れてから数ヶ月。実母であるメルト妃が眠り病に罹っていたのは、半年ほどの期間だったと思われる。それだけの間眠っていただけなら、身体を起き上がらせることも難しいかもしれない。


「正妃殿下が他の側妃殿下たちにも声を掛けられて、メルト妃殿下の様子を見ていた、と陛下からの親書に書かれていた。世話は侍女たちが行っていたが、正妃殿下自ら水を飲むようにスプーンで少しずつ与えられていた、とも」


 正妃殿下が、とイオノとアイノは目を丸くした。

 リオルノ・ルナベル・ロミエルに至っては、女性の最高位にいらっしゃる方が、そのように世話をするなんて、と衝撃であった。

 王族も貴族も身分が上であればあるほど、世話をされる側であって世話をする側に立つことなど無い、という常識が覆った瞬間だったが、それは何も彼等だけでなくオゼヌとカミーユの夫婦も同じ衝撃だった。

お読みいただきまして、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ