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茶会の終わり。その1

 アイノの養家である侯爵家の兄弟に挨拶をしたことと、イオノから聞いていたバゼル伯爵家と交流のある家と。挨拶を交わすだけでもそれなりの時間が過ぎていき、気づいたら茶会の終了時刻が近づいてきていた。

 そしてそのまま和やかに茶会が終わり、リオルノたち三人兄妹はミゼット家に帰ってきた。

 待っているイオノとアイノに三人は報告する。


「ただいま帰りました、父上、母上」


 リオルノに続き、ルナベルとロミエルが両親に挨拶をして口火を切ったのはリオルノ。


「取り敢えず何事もなく終えました。ただロミエルが気になる発言をしています」


 リオルノに促されたロミエル。


「それぞれの王子殿下たちが各テーブルを回っておりました。ノクティス殿下が私たちのテーブルに来まして少しお話しただけで終わったのですけれど。とてもノクティス殿下らしくなかったのです」


 ノクティス殿下らしくない。

 それはロミエルの知っている前のノクティス殿下ということだろう。何がどう“らしくない”のか。


「ノクティス殿下とお姉様の婚約は以前にも申し上げたように十歳で決まりました。男爵家のジゼル様が現れるまで、お姉様との関係は悪くない関係でした」


 悪くない関係。

 それだけ聞くと仲が良いように聞こえるがそうではない。

 悪くない。だけど良くもない。

 ということ。


「つまり、男爵家の令嬢と殿下が出会う前からルナベルとの関係は良くなかった、ということか」


 イオノが頷く。


「お姉様は別に殿下をお慕いしていたわけではなかったのですが、王命による婚約ですから歩み寄っていらっしゃいました。殿下もジゼル様に会う学園入学前までは、お姉様の歩み寄りを受け入れておられました」


 具体的に、とイオノが尋ねる。


「例えば、お姉様が殿下のことを考えて選んだ贈り物を使用人を通じて王城へ届けるとか、交流日にお渡しするとか、そういうことをなさると直筆のお礼状が届いていました。全部は知らないですが、お姉様が三回か四回くらい贈り物を渡すと一回は殿下から贈り物が届いたような気がします。多分。お姉様は当然お礼状だけでなく、お礼状にまた贈り物を添えていらっしゃったようでしたけど」


 ロミエルの正直過ぎる話に、なんとなくルナベルがノクティスからどのように扱われていたのか察せられる。ルナベルの歩み寄りを十とするならノクティスの歩み寄りは良くて七くらいというところか。もしかしたら半分にも満たない歩み寄りだったかもしれない。


「一応ルナベルを婚約者として扱っていた、という形か。最低限の礼儀を払っていたくらいだったかもしれない、ということだな。だが、本日の茶会では前の時のノクティス殿下と違う雰囲気だった、と。そういうことであっているか?」


 ロミエルに確認するイオノ。それに頷くロミエル。


「お兄様と私が居て、周りの人の目もあったとはいえ、お姉様の様子を窺いながら丁寧に声をかけていらしたので。私の知っているノクティス殿下は、お姉様に対する態度がちょっと雑のように思えて、嫌な方でしたから。己の言動が周りにどう映って見えるか、考えたことはお有りなのか、と思うような方でした」


 確かにノクティスとルナベルの婚約関係は良くも悪くも無さそうだった。

お読みいただきまして、ありがとうございました。

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