表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/51

先に進むには。その2

「現状は把握しました。では、お二人に巻き戻りの件は話さないこととして、先に進むことにしましょう」


 アイノは一つ息を短く吐き出し気持ちを切り替えて提案する。尚、帰国時にロミエルには前のことは、祖父母であっても軽々しく口にしないよう伝えてある。何か思い出したことがあったら、親である自分たちに話すように、と。イオノはそれに頷いた。


「ロミエルの話を前提にするならば、ルナベルをノジ家の跡取りに据える方が話は早いでしょうが、仮にそうするとしてもロミエルが王家に取られるのでは意味が有りません」


 アイノの言葉はイオノも同意する。


「幸いと言うべきか、王家に王女が居ないことで降嫁の話にはならないが。ルナベルでもロミエルでも王家に嫁がせる気はない」


「私も同じです。ですので、その辺りのことをお義父様とお義母様にも伝えておきませんか。私の出自を知られたらその可能性がある、と伝えて王家に嫁がせることはしない、と釘を刺しておく」


「なるほど。そう伝えておけばどちらに婚約が打診されても、レシー国との繋がりを欲していることが明け透けだ、と両親も理解出来るか。その前に両親がどう考えているのか、その辺りを確認しよう。伯爵家から王家へ妃輩出することを光栄だ、などと考えられてしまうと、ルナベルとロミエルの婚約を後押ししそうだからな」


 両親がそういった考えは持っていない、とイオノは思いたいが、残念ながらイオノに姉妹が居ないので、両親がそんな野心を抱いてない、とは言い切れない。姉妹が居たとしたら恐れ多い、と野心を抱くことが無い二人でいて欲しいとは思うが、分からない。


「あなたは、お義父様とお義母様がそう仰ると思うの?」


「思いたくない。だが、私に姉妹が居ないからな。そんな話になったこともないから」


 アイノの確認にイオノは本音で答えた。


「でも、あなたの世代、王女殿下がいらっしゃったわよね? つまり国王陛下の妹君。それと前国王陛下の弟君の娘の方は年上だけど、あなたが学園に通っていた頃は婚約者を亡くしていらしたでしょう。そういった話にならなかったの? あなたが私に出会うまでに婚約の話とか」


 アイノに言われたが、首を傾げるイオノ。


「ご婚約者を亡くされたかの方や王妹殿下のことは、冗談でもそういった話はしなかった。私の婚約者は探しているようではあったが、王家から目をかけられているわけでもないし、領地が特に豊かなわけではなくて、伯爵家の跡取りとして何度か釣り書きはもらっていたが、慎重に選んでいたようだった。私も尋ねられたがまだ早い、と思っていたのもあって会うことなく断ったな。そうしているうちにアイノに出会った」


 そうなの、とアイノは頷く。


「それなら別にお義父様もお義母様も王家に嫁がせることを光栄だ、などと仰らないのではないかしら」


 確かに冗談でも王女殿下の降嫁先などという話が出ていないのだから、孫娘たちを王家に嫁がせることを喜ぶことはないか。考えてみれば、母は身分が上の方に対して萎縮しているわけだし。

 イオノはそれもそうか、と納得する。母のコンプレックスは祖母の所為だ。だから高位貴族に萎縮している。そんな母が孫娘を王家に嫁がせることを喜ぶとは思えない。

 イオノの見合い相手も爵位が同じ伯爵家か下位貴族だったことも踏まえると、そう思える。尤もイオノが見つけてきた相手は他国とはいえ、元王女なのだから母のコンプレックスを結果として刺激してしまったようだが。


「では、王家に娘たちを嫁がせる気はない、と二人に伝えて。ルナベルとロミエルどちらがノジ公爵家の跡取りに迎えられても、どちらにも安心出来る相手を婚約者として探す方が良さそうか」


 さすがに王家も婚約者が居るのに、王子との婚約を捩じ込んでは来ないはず。イオノもアイノもそのように認識して、孫たちと楽しく話をしているであろう両親の元へ足を向けた。

お読みいただきまして、ありがとうございました。


本日よりタイトル変更してます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ