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三年後。それから。

 ノクティスがルナベルに婚約破棄を告げたあと。少しの間を置き婚約破棄撤回を告げたまさにそのとき。城外の天空から異音が聞こえたために雷鳴と判断されたその音は、南の大国・レシー国にも鳴り響いていた。

 また、レシー国の東にあるジェリィ王国にもその音は聞こえている。

 ジェリィ王国は巻き戻り前のロミエルの記憶によれば、第一王子殿下が、お忍びで平民街に行った時に平民の娘を気に入りその娘を側妃にすると宣言した、あの国だ。側妃がダメならば愛妾として迎えるとも言ったが、それも婚約者に止められたことに腹を立てて、婚約者の公爵令嬢に手を挙げた。これには公爵家が激怒し、王家が誠意を見せなければ独立も辞さない、といった話の、かの国にもあの異音は届いていた。

 アイノの母・レシー国第三側妃のメルトの推測により、巻き戻し現象の余波がジェリィ王国へ向かったのだろう、と言われている。

 第一王子は王位継承権剥奪などの処罰を受けたその話は、劇になり吟遊詩人が聞かせたことで他国にも知られたのは、第一王子に男爵位を授爵させ、公爵令嬢を他の王子の婚約者にスライドさせることを阻止させるため、おそらく公爵家が裏から手を回したのだろう、とも推測された。そのジェリィ王国は、巻き戻し現象が起きた後の現在、例の第一王子は婚約者すら居ない状況だった。


 巻き戻し現象の余波なのか、ノジ公爵・オゼヌが密偵を放ってジェリィ王国を調べたところ、ロミエルの記憶していたときの第一王子は病弱で王太子の位も危ぶまれていた。それゆえに婚約者も居ない。巻き戻り前に婚約者だった公爵令嬢は、王家ではなく貴族家の跡取りと婚約していた。

 もしや誰かに記憶があってこういう状況に落ち着いた、という可能性もあるが、さすがに記憶保持者だと公言している者が居ないから想像でしかない。

 兎に角、かの国では巻き戻し現象前と現在は違う状況、ということになっている。定期的にオゼヌはジェリィ王国へ密偵を放っており、ノクティスとルナベルの婚約破棄からの撤回という際の異音が聞こえたときには、ジェリィ王国にいた密偵が音を確認していた。


 つまり、少なくとも三国では異音が聞こえたことになる。

 やはり、巻き戻し現象が終わった、という証ではないか、と関係していた者はみなが思った。

 もちろん、始まりの原因となったレシー国の国王・ナハリ。正妃・ラーラ。第三側妃・メルトも、そうだと判断していた。ナハリはその異音が聞こえたことによって、ようやく巻き戻し現象が真実だったのではないか、と思ったのである。何しろ、国中に響く天空からの異音だったから。


 それと、国の大事とは規模が違うものの充分に重要な話であった子爵領での盗賊団の一件だが、その件はバゼル伯爵・イオノから子爵家に忠告をする前に、巻き戻し現象によって時間が巻き戻って直ぐのころに、元側妃であるノクティスの母が、動いていた。

 国王と正妃に子爵領だけでなく国全体として、他国で盗賊が現れたらしいから、我が国にも現れると民が哀れゆえに、騎士団をあちこちに定期的に派遣して、治安維持に務める方が良いのでは、と進言。

 それに国王も正妃も了承したことから、騎士団の巡回が行われていた。その効果が出たのが二年後。

 つまり、アイノと側妃がルナベルとノクティスの婚約破棄宣言からの撤回宣言をいつ頃にするか、また、側妃とノクティスが宰相たちから疎まれていたことに対する調査を国王と正妃が行っていた、などの話し合いをしていたあの時期に、盗賊団が子爵領に入り込んで、捕縛されていた。

 今度は被害が出る前に、定期的に巡回していた騎士団が怪しんで、結果的に捕縛に至ったので、未然に防いだ形にはなったが、巻き戻し現象が荒唐無稽では無い証左でもあった。


 さて。

 異音が聞こえたレシー国では、メルトがおそらく巻き戻し現象は終わった、と晴れ晴れとした顔でラーラや第四・第五側妃たちに報告したことから、ラーラは久方ぶりに満面の笑みを浮かべて、ナハリに巻き戻し現象が終わったようですので、と前置きをして。


「あなたの望み通り、そして私ももう疲れ果てたので解放されたいという希望に沿って、離縁をします。正妃の仕事が嫌いでは無かったので仕事だけして人生を終える覚悟もありましたが、かなり他者に仕事を割り振ったので、誰が正妃を務めても問題無いようにしておきました。

ですので、離縁します。どうぞ、第一側妃のイドネを正妃に昇格させるなり、別の者を正妃に据えるなりしてくださいな。

私は、メルトと共にのんびりと過ごすことにいたします」


 ナハリは、本当にラーラのことを愛していたので、イドネが居ようが宰相や大臣たちが居ようが、子どもたちが居ようが、頭を下げてラーラを引き留めようと必死になったが、あなたも望んでいたのでしょう、私も望んでます、とすげなく返され、渋々了承する羽目になった。


 始まりの原因であった国王は、ようやく自分の大切にしていた伴侶を失うという大きな代償を支払うことになったのだった。


 その後、ラーラやメルトは、国内をのんびりと旅行気分であちらこちらに滞在したり、国外にも旅行して過ごしたらしい。二人の側には侍女になった第四側妃と第五側妃も居たという。

 第一側妃・イドネと第二側妃はナハリの正妃の座に着くことはもちろん無く。それどころか、散財を理由に離縁はされないものの離宮に幽閉されて生涯を過ごすことになり、ナハリは暫く一人で仕事をしていたが、ある程度のところで王太子を選出し、引き継ぎをして国王を退位し、王領の片隅で自給自足の生活をしながら、生涯を終えた。


 ノジ公爵家は、まだルナベルかロミエルのどちらを跡取りにするのか決めておらず、定期的に一家でノジ公爵家に滞在する姿があった。ルナベルとノクティスは変わらず友人付き合いをしており、ノクティスも臣下に降ることを公言してから、ニルギスとアイヴィスと国王と正妃との仲が以前より良くなって家族らしくなっている。王族らしくないのかもしれないが、風通しの良い王家にはなっていた。


 また、ニルギスが王太子の位につくことが決まり、来年は王太子位即位のパーティーが行われることになっている。

 バゼル伯爵家では、リオルノは後継者教育も佳境に入っていた。ルナベルとロミエルはノジ公爵家の跡取り候補として互いに良きライバルでもあった。


 これから数年後、ルナベルとノクティスの関係がどうなるのか、それはもう巻き戻る前とは全く違う未来が訪れた現在では分からない。

 ただ、ノクティスは意外とルナベルのことを好ましく思うようになっているようなので、再度の婚約を考えている、らしい。さてさて。



(了)

お読みいただきまして、ありがとうございました。


本作はこれにて完結です。

恋愛ジャンルに放り込んでおいて、ほとんど恋愛無しという相変わらずです。

なんで、恋愛ものが下手なんだろう……。

婚約破棄の内容があるので、恋愛ジャンルに放り込んであります。

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