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洞窟-1

問題は山積みだ。


転生したという事実は受け入れよう。なかなかおかしいことだが人生が2度味わえるのは幸福なことと受け取った方がいい。前世は戦争に巻き込まれて死亡するというやるせないものなのだったから。


それは置いといて、まずは俺がどの魔物に転生したか考察する必要がある。今の所、精神体のある魔物ということしか分かっていない。

精神体のある魔物でオーソドックスなのは(ソウル)(ゴースト)精霊(レプラコーン)だ。


まず思い浮かんだのは俺が死んでも死にきれず自我を持った(ゴースト)なのでは?という問いだ。


死後適切な処置、つまり葬儀を執り行わなかった人間はやがて腐り落ち(ゴースト)となると言われている。

死んでからも意識があるのであれば(ゴースト)が一番近い姿ではないのか。


しかし、(ゴースト)は基本的に人型の姿をしている。死後の腐り具合の様子にもよるが、大抵青白くて痩せこけた人形が相場だ。もっと力の弱い霊や、死後の体がぐちゃぐちゃになっていると小さな青い火の玉、霊火(オーブ)になるとも言われている。


俺の姿はどうだろう。まず、人型じゃない。手足の感覚はないし、自信が青白いということもない。じゃあ霊火(オーブ)の可能性はどうかと言われたらそれもない。というかあって欲しくない。俺の知っている限り霊火(オーブ)は非常に弱い為できてから30分ほどで霧散する。


もし俺がそいつだった場合俺の第二の人生は30分でおしまいってことだ。


…あと15分くらい?嬉しくない。


希望的観測により(ゴースト)関連の転生は除外した。残るは精霊(レプラコーン)(ソウル)


こいつらの違いはハッキリ言ってあまり分からない。

ただ、精霊(レプラコーン)は、完全に精神体のみなため、魔力を通さないと何にも関われないという特徴がある。先ほど目覚めた時、風を体で感じることができたので、俺にはわずかだが実体もあると考えていい。


そうなると選択肢は一つ。俺が転生したのは(ソウル)という魔物。


俺の知っている中で最弱の魔物だ。


まず(ソウル)というのは淡い火の玉のような見た目をしていて霊火(オーブ)よりひと回りでかい。人の顔ぐらいの火の玉だと思ってくれていい。


(ソウル)は、精神体を持つくせにしっかりと実体もあるという性質がある。要は物理攻撃も精神体を攻撃する魔法や技術も全部ダメージとして喰らうということだ。


(ゴースト)はほとんどの物理攻撃をすり抜けられるけど、俺は小石を投げられただけでペチャンコになる。

嬉しくない。


そんなハンデがあるのだから何か特殊能力があってもいいのかと思うが全くない。強いて言えばプカプカ空を飛べる。確かに人間の時では味わえなかった浮遊感に感動を覚えたが、生死が関わって来るとそんなものもどうでも良い。


うんまずいな、どうやら俺は最弱の魔物として最高難度を誇る洞窟に転生したようだ。


………どうしよっか。


どんなに弱くてもせっかく貰えた2度目の人生だ。最後までは足掻いてみよう。


とはいえ…何をすれば…。


とりあえず…周りでも探索しよっかなぁ


俺はやたら空中を泳ぐようにプカプカ進み出した。



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